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2012年04月24日 イイね!

鉄道にむせぶ夜

鉄道にむせぶ夜ついつい昔の鉄道の話に、浸り込んでしまう。
遠い遠い思い出の中のセピア色の記憶。
生まれて初めて九州に引っ越した、小1直前の山陽線の西下の旅、
広島駅で、母方の祖父が短い停車時間に迎えてくれた。
華やかな181系特急の時代。
「つばめ」「はと」に乗られるのは、無上の待遇で九州に送り出してくれて
未踏の地、北九州で待っていてくれた父。
全てが懐かしい。





九州と言うのは文化も、生活も、鉄道も違っていた、遠い遠い
異国の地であった。

そんな所で高校を卒業するまで住んで、いろんなものを見て来た。
中でも、関門間の接続と、機関車の付け替えは懐かしい。
鉄道黄金時代の残り香が、そこここに漂っていた。
EF30の回送4重連。

夕方4時に下関を発ち、東京へ毎夜旅立つあさかぜ1号の晴れ姿。

山陰の長く、静かな日本海の旅を誘う客車列車。幡生という駅が、
山陽路から分かれる長い長い旅路の始まりであった。





山陽線を行く、戦後の明るいサンシャインであった80系“湘南”電車。
今も小月付近には蓮畑の池がわずかに残っている。






また山陰の話題に戻ろう。

旅情あふれる往年の室内音を聴きながら、大阪ー博多間、784.8kmを
昭和60年3月13日まで毎日駆け抜けた特急「まつかぜ」のことを偲んで下さい。


この列車は、昭和36年10月1日改正で、全国に誕生した1D列車
(キハ80系を使用したディーゼル特急、当時日本中の幹線の殆どは
「非電化」であった。山陽線でさえ全線電化は39年)
として、北から「おおぞら」「白鳥」「つばさ」「かもめ」(かもめは客車列車の高速化)
「まつかぜ」らが一斉に羽ばたいた。

前年の「はつかり」の試行錯誤を教訓に、美しい姉妹たちは、日本中の東京ー
名古屋ー大阪以外の区間を貫き、北海道の「おおぞら」、青森ー大阪間の裏日本
1000km以上をつなぐ「白鳥」(一部は信越線回りで長野ー上野まで足を延ばした)、
羽越路の「つばさ」、山陽路から長崎まで健脚の定期便となった「かもめ」と共に
日本の近代化のために、それまで特急が走ったことの無い、地方幹線を舞台に
主役を演じることになった。




彼女らは、それぞれが列車としてのキャラクターを持っていたと思う。
北海道の大地の下を走る明るい性格の「おおぞら」、日本海縦貫線を駆ける
演歌的な日本美人「白鳥」、西日本の発展を車窓にまざまざと見せつける
高度経済成長型の「かもめ」、それらに比べると、一番地味な路線を走りながら
西日本の日本海を爽やかに走破したのが「まつかぜ」であった。



「まつかぜ」は山陰線の全区間通しの運転期間は24年で一番早く打ち切られた。
あとの殆どの列車が新幹線に昇格したり、今も残っているのに対し、儚気な美人で
あったが、短い幸せの時間が今とても愛おしい。
私が写した昭和60年2月と言うのは、あとひと月で食堂車含め米子から西の区間
は廃止になる直前である。

前夜に京都で現役学生の追い出しコンパで酒を飲み、酔った勢いで「よし鳥取まで
廃止になる夜行に乗ろう」と周遊券を買い、朝は倉吉駅で二日酔いの顔を洗い
廃止になる倉吉線の始発に乗り、折り返して来てから、鈍行ですることもなく大阪まで
のんびり戻ることになった。
その時に居組駅(鳥取県)で単線のため列車交換待ちをしていたところ、大阪8時発の
5D「まつかぜ1号」がタイフォンの音も軽やかに雪の山峡の駅を駆け抜けて行った。
そのシーンを連続で、たまたま持っていたオリンパスOM1と50mmレンズで運良く
捉えることができたのが、お見せする写真なのである。




素晴らしい鉄道旅行の忘れられない一瞬。
こんなことがあるのだから、カメラはいつも持ってなくちゃいけないし、人間は好奇心の
アンテナや牙を研いでいないといけない。
居組で「あっ『まつかぜ』が来る!」と言って座席のモケットの上に時刻表を放り出し、
車外に松籟のように、駆け出した私のことを同席の友人らは笑ったが、私のお陰で
この貴重な「まつかぜ」のラストラン近い雄姿が見られたのである。

テツを嗤っちゃ、イケナイゼ。

なつかしい時刻表のページを見ながら、3号車、食堂車の室内音など
思い出していただければ、筆者として冥利に尽きる。











Posted at 2012/04/24 00:11:33 | トラックバック(0) | 鉄100% | 趣味

プロフィール

「変わり行く年に〜2025〜 http://cvw.jp/b/176891/48571345/
何シテル?   07/30 07:43
車は殆ど処分して、1971年登録のフィアット850クーペに 1987年以来、乗り続けています。 住居は昭和4年築の、古い日本家屋に、現状で住んでいます。
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