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2012年05月19日 イイね!

モノクロ写真考

モノクロ写真考













火曜日から、心斎橋のギャラリー「ナダール」で、この日曜までモノクロ写真の
展覧会に、出展しています。
今年のゴールデンウィークは旅を一切せずに、一年近く貯めた撮影済みフィルムを、
毎日せっせと現象しておりました。

私の写真は、まだ半分くらいはフィルムで撮影しています。それもモノクロ(白黒)が
結構な比率で、年間に36コマで20本程度撮影し、現象は永年自分でやっています。
なぜそうなのか、私に取り、これは、一つの“精神統一”の出来る行事なのです。
日々の修行は、酒を飲み、(笑)、精神面のリラックスと発想の転換なのですが、
独りになりたい時は、旅に出たり、町歩きします。
旅先などで撮って来た写真を、映像に変換するのに、今はデジタルという方式で
瞬時にブログなどにアップすることが可能、いや当然の時代になりました。
私は「待ち」とか「ため」の時間が好きです。時間と言うものは誰にでも平等に
与えられたとしても、どう使いこなすのかというのは大きな問題です。
パチンコの騒音の中に身を委ねるのが恍惚という人もいれば、競馬のゴールの
瞬間に人生を燃えあがらせる人も居るのは自由です。




私は他人にインターラプト(干渉)されぬ時間というものは、人類に与えられた
尊厳だと思います。携帯電話を一昨年まで持たなかったのも、一種のポリシーでした。
その“姿勢”を崩した時は、やはり悔悟と苦渋の念も強かったのですが、いまは
携帯で投稿しているので、人のことは言えません。しかし中途半端な投稿をこうして
旅から戻り、手を入れております。

写真は、すごく広い世界のある文化です。
中でも、モノクロは、色の無い世界に真実や、宇宙観のある面白い分野です。
これは30年以上前の時代には、当たり前のツール、メディアでした。その頃から
私はセルフでやっていたのですが、衰退するものの中に「本質」を見出すのが
私のモットーです。これは奥行の広いアートであり、メディアとしても完成度の高い
保存性が安定した“やり方”だなと見抜きました。皆さんは“やり方”って、人生において
とても大切なカギであることは、分かってますか。

白黒の写真は発明されて150年以上が経過しましたが、銀塩の方式は1920〜30年代
にほぼ完成の域に達します。ライカが35mmという方式をスタンダード化し、世界は
追随します。戦後の1950〜60年代に戦争の影響の無い撮影の自由が確立し写真界は
黄金時代を迎えます。平行してコダック社に寄るカラーという発明が素晴らしい
プレゼントとなりますが、戦前期に様式の確立したモノクロはびくともしません。
今見ても素晴らしい写真には、空気が写っており、時代の臨場感を醸し出します。
フルカラーの動画が情報を伝える現在においても、100年後にジャーナルな感情を
伝えているのはどちらでしょうか。



さて、フィルムを新聞ニュースの時代は、即座に暗室に持ち込んで現像することが
記者たちに求められました。
私も体験的にそのピリっとした臨場感を覚えております。
もはやプロの写真関係者に非デジの人は、皆目おられないと思います。
ソース、コンテンツの持ち込み、加工は100%デジタル化されており、「フィルムで
仕事引き受けます」と看板を出しても依頼が来ないと、本職氏は笑います。

だから私は永遠のアマチュアであり、それなら自分は写真用品が無くなる日まで
趣味の道は「従来方式」で行こうと考えました。不便と言うのはものすごく考える
余裕と時間を与えてくれます。レコード盤を針とプレーヤーでピックアップし
アンプで増幅するのもそうですし、こういうマニュアルミッションの車に乗り
エンジンシリンダーの垂直運動を回転運動に変え、シャフトやクラッチ類で繋ぎ
ギア歯数の組み合わせでトルクを伝えて行くことに喜びを感じます。

フィルムの現像をする時は、どうしても水仕事になり、気温20℃前後と言うのが
制度設計的に理想的な印影画面が出来上がるのです。
撮影済みフィルムを金属製リールに、光の入らない袋の中で巻き付けて行く。
この時にも慌てたり乱暴に巻くとミスをします。そして金属製の現像タンクに
あらかじめ作っておいた現像液を投入し8分から10数分。私は水と1:1に
割った希釈現像が好きなので、こうして1分置きの撹拌を続けながら、容器の中で
どんな映像が浮き上がっているのかを想像します。
フィルムはいろいろな種類と性質が有り、現像液との「相性」がはっきり出ます。
停止液(酢酸希釈)、定着液のプロセスを経て水洗に至ったフィルムを缶の容器
から出した瞬間、落胆することは何回でもあります。



それでも「お気に入り」の幕面が仕上がった時は、快哉を叫びたいくらい。
だからこの作業をいつまでも続けられるのでしょう。
いろんなフィルムや現像液にトライして、自分好みの画像とは、どのあたりが
ベストなのか。

デジタルは便利です。だけど自分の思うようなハンドリングする余地は殆どない。
フィルム現像は、趣味の道に通じ、気分や体調にも左右されるような気がして
なりません。だから私は、この「不便な」趣味を延々と引き摺っているのでしょう。



Posted at 2012/05/19 04:45:18 | コメント(1) | トラックバック(0) | 思うこと | 日記

プロフィール

「やっぱり。言わんこっちゃない。「トヨタ、センチュリーを独立ブランドに クーペ開発でラグジュアリー市場拡大」https://x.com/i/trending/1977788758218219921
何シテル?   10/14 09:32
車は殆ど処分して、1971年登録のフィアット850クーペに 1987年以来、乗り続けています。 住居は昭和4年築の、古い日本家屋に、現状で住んでいます。
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