
アルファのシートポジションが
ベストでなかったせいか、腰が痛い。
1700キロも無理して走ったというより、
好むままだったので、職業ドライバーには、
見習いたいが、やっぱり普段しつけていない、
運動なのか。
それでも月曜日にマッサージにやっと行けた。
昨日よりも腰から下の痛みが、漸く薄らいだ。
寄居町で泊まった旧い宿を朝、出発して今日は群馬県の中之条に行く。
寄居から中之条までは、今は関越道で渋川経由とするのが一番早い。
この寄居町と秩父を源流とする荒川の位置関係が、初めて来た人間には判りづらくて、
出発早々、国道を小川町方面に走り出したことに気付きUターンする。
今度は国道254に乗れずに140号に入って秩父鉄道の秩父の方に向ってしまった。
波久礼(はぐれ)の手前で気がつき、これはいかんと北側に出る山道を抜けること
にする。
円良田湖(つぶらだこ)という高台の釣り堀みたいな池の横を通って美里方面に
出られた。こんな、と思う山の中の池みたいな所でも別荘保養地みたいで、駐車と
人が多いのに驚いた。
というわけで、高速は使わずに、中之条まで走っていくことに、決めていたので
ある。
プランとしては254で藤岡に出て、高崎は大都市なので3連休は道が込むであろう
から、吉井町ー富岡を通り、信越線の安中に出るコースを選んだ。安中からは、
さらに低い山を越えて、榛名町あたりで国道405に乗れば、中之条まで一本で
走って行ける。
大半が平凡な道であるが、走って面白かったのは、安中ー榛名を結ぶ雉子ヶ尾峠
である。
先行するのはローリーであるが、空荷か手慣れた道なのか、なかなか侮りがたく速い。
少々クレイジーなスピード感に、興奮。そう、ここはもう、「頭文字D」の
赤城の国なのであったことに、気がついた。きちがい峠ではないが、これまでの
首都圏方面の交通と違い、走り屋系のクルマが、まだ生き残っているのに納得した。
榛名から中之条までは、国道で北上して行くと、ほぼ一本でいけるが、本当は
榛名湖を回って行ったら気持ち良いだろうと、思う。しかし3連休でそのルートは
混んでいるだろう。ところが国道も、法定速度以下で走る軽自動車がいて、次第に
ストレスが貯まってくる。
倉渕村から中之条に入ったあたりで、ハンドルを右に切り、山道を走ってみる。
上州の山道が走りたくて、来ているのだから、国道のノロノロはきつい。
こういったルートを走るために来ているのだから、我慢も限界である。
3速と2速にダウンしながら、坂道を走る。時には4速まであげてやり、
アルファのエンジンとシャーシを使って走って行く。

この特徴のある山容は岩櫃山という東吾妻町のシンボルらしい。
やがてクルマは中之条町の中心地に到着した。11時すぎである。
ビエンナーレというのは屋外の空いた民家などを使って広域に開催する
現代アートのフェスティバルのことである。とりわけここ、群馬県の中之条町のは
本格的で、評価も高い。
その会場は中之条地区以外にも、周囲の温泉部にも広がっている。
有名な四万温泉までクルマを進めてみた。
最後の建物は、四万温泉のシンボル的な建築で、ここでも一部を使い、会場に
なっていた。
不思議な繭のような現代アート作品(積善館にて)
湯婆は、居ないか。出てきそうな、そんな古風で奇怪な建物。
四万会場を出てから、先行入りしている知人らのアーティスト集団と合流する。
外観はこんな平凡な風景の中で、異空間が広がっているのが、オモシロイ。
作品ではないが、作品の近くに存在する空気が普段と異なる。そんな場面が
好きで、シャッターをいくつも切ってみた。
現代アートばかり見せられても、「どうよ」の人も居るだろうから、こんなのも。
会場周辺に来ていたクルマ。こういうのなんと言うジャンルだろう。
結構年月経った改造車で、2年前のビエンナーレにも見かけたと、友人らが証言。
会場は屋外中心なので、犬好きが多い。このシベリアンハスキーに似た大きな
犬には懐かれて面白かった。この家族と犬とは、別の会場でも遭遇。
ある会場近くの駐車場近辺で、発見。あれはFRセリカの最終型だ!。
そんな道中で、友人グループらと中之条の町を歩いていたら、さっきのクルマが
走って来た。今度はばっちり捉えたが、好きで最終FRセリカに乗っておられるの
であろう。
現代アートそれ自体より、群馬の田舎町に出現した、非日常の方が面白く
僕は時間を忘れて、童心に帰っていた。
さて、夕方になった。彼ら友人グループは、フィナーレを飾るイベントの一つ、
短歌の歌会を始めるので、私は今回は遅くなるので割愛して別れた。
さて、これからどうしよう。
チョコカネゴンとか、見ている場合じゃないっちゅーの。
それにしても、歩いても味わいの深い町であった。
この看板の旅館は現役で、デコボコ館でなくクボタ館と読む。
とりあえずJR吾妻線の駅前に戻って、友人らお勧めの台湾風?ラーメンを
食べて、出発することにした。なじみらとの会話を聴いているとどう見ても
コリアンだと思うのだが、変な気分。
夜通し走ってどこまで帰れるか、賭けてみようと思った。
だが渋川から乗ってすぐに渋滞。高崎をやり過ごして藤岡から上信越方面へ。
下仁田までは、ものすごいカーチェイスを、5台くらいのクルマと繰り広げる。
上州でもこのあたりの運転は、北九州みたいだと思った。
やっと軽井沢を超えて佐久に入り、深夜の信州の夜景を眺める。
疲れたなあと、パーキングに入る度に実感し、30分くらい寝てしまう。
トランクに寝袋もあったなあと、思い出したが、更埴のジャンクションで
このまま伊那方面に行っても、おもろくないやんけ、と右に進路を取り
上越方面に進むことにした。
トンネルが多く、上手くもないのに飛ばして抜いて行く平凡なクルマが多い。
上越まで急いで帰りたいのだろう。と思った瞬間回転灯が回り出し、
平凡なセダンは捕まっていた。先日の自分をプレイバックする瞬間。
新井というサービスエリアに夜遅くクルマを止めて、ここで仮眠かあ、と
一瞬思ったら、SAの外側に、なんとスーパーホテルの電光表示が見える。
明日は平日だから、多分断られないだろうと、携帯電話で検索してコール。
やった!、これでベッドの上に泊まれる。
SAから「ETCなら、道の駅側に出られますけど、門限10時であと数分ですから」
おっと慎重に、ことは急げだ。
ホテルに着いて、まともな駐車場に停めて、フロントの女性に宿泊を告げる。
短時間過ぎて確認がとれるのに一瞬かかったが、支払いもカードで済ませて、
幸運なことに、その夜は付設の天然温泉に入って、広いベッドで眠った。
しんどい旅だった。家族に会うのをキャンセルしたのは心残りだったけど、
いよいよ明日は大阪まで戻れる。クルマも安定しているし、今回のグランド
ツーリングに、失敗はなかったと思っておこう。
航続距離もすでに1000kmを超えているが、愛車と、自分の体を信じて
明日も走り抜こうと思った。