ｋｏｔａｒｏのブログ一覧

痩せ我慢こそ、男の最後のサンクチュアリィ。
私は常々そう思っている。

この安易で簡便で、気が付いたら体の芯から骨抜きに
なりかねない、こんな時代にこそ。
いまだにエアコンも無いMT車に乗ることこそ、
男の浪漫であり、夢ではないだろうか。


今回の長い旅の最後に、外観は使い倒しで、塗装は
すり切れたスリッパのよう。
プラスティックは真っ白のプジョー２０５（ただの）５ドアが
待っていた。

外観はこれで不快なキズはない。
シートは少し擦り切れているが、使用には十分、アンコも
生きてる。

天井も垂れていない。

それで、エンジンとミッション（AT）とステアリングのアシスト
は十分すぎる感触であった。

社長は僕が来るのを待って、仮ナンバーまでとって
自由に運転させてくれた。

誰のために、というまでもない、男同士の気持ち。
判ってくれればいいということだ。

どんな麗色をつくしたお世辞より、臍曲りは粗野の中の
持て成しに、心を動かされるのである。

このスニーカー感覚こそ、本当の仏車通だろうなと、思った。

きょうはここまで。

綴り間違いないですか？

平凡な、二昔前のフランス車に、試乗してきました。

数ヶ月前に、ダサくてショボいフランス車と、記事に書いたあれである。

インプレッション
これが、ナカナカ侮り難くイイのである。

エンジンは同時期のBXや205GTiに積まれていたohcのプジョー製だ。

ずいぶん珍しくなってしまった205だが、たまに見かけるのはGTiとオープンのCTiくらいである。

5ドアの国内生存率は、どのくらいであろうか。


さて、脚回りは、柔らかく、粘り強い。そのうえシートがスポーツモデルと異なり、地味で柔らかい。これは美点だ。

1988年式とのことで「ベルリンの壁」以前のまさに、ネオビンテージの欧州車に当たる。


ステアリングはラック＆ピニオンか。パワーステアリングモデルというが、いやらしさを感じさせない、実に絶妙なトルクステアだ。

実車は、走行13万を超えており、エンジンの異音、オートマの不具合を覚悟していただけに、あっさりと走り出したのには、こちらの方が拍子抜けした。

さてと、この車、お持ち帰りになられますか

暑い夜である。
今晩寝ているのは、山口県岩国市である。

米軍海兵隊基地と化学コンビナートのある15万の人口を持つ、地方では規模の大きな町である。

ここから30㎞以上西に行った所にある柳井という町が、45年前によく通った、父方の古里である。

そして先祖代々の墓所は、さらに６㎞離れた田布施町と平生町の境にある。

きょうは、そこまでクルマで走って、夕方に岩国市に戻ってきた。暑い一日だった。

花を買うために、柳井の町に立ち寄ったが、駅の周りは人影も開いている店も、数少なく、昔の思い出を辿ると愕然とする現実がそこに広がっていた。

35年前に新幹線が出来るとき、この町を通過して、しまったこと。国鉄時代にこの町にあった鉄道の機関区が消えたこと。

近世から瀬戸内海沿いの港として栄え、戦前には住友銀行の支店もあった商都は、遠い昔の物語になっていた。

父の一族で、今この町に住み続けている者は、もういない。

大きな旧い墓が、静かに眠っている。お寺は荒れることなく続いていることだけが、心の拠り所だ。

私の車に気付いた住職夫人が、気を付けられておかえりくださいと、告げた。
長く暑い旅は、あと何年続くのであろうか。

きょう、神戸の舞子である集まりに出席し、
その足で、西に西に走っていき、古い車で遠い旅に
出てみようと思う。

昨日１日おいて家族と会い、このことを告げた。
いつも直近にならないと、予定を出さない私の悪い癖は
皆知っているから、いきなり行こうというわけにも
いかず、今回も単独である。

妻はいつも予定があるので、遠いところにある墓所に
何年もいっていない。自分の先祖のところもおそらく
そうであろう。

50歳を過ぎて、心の中にある空しさのようなものが
年々広がっていく。
これではいけないと、思うのだが、それを埋める答えは
まだ、見つかっていない。

二十年以上乗った古い車で、五感を頼りに走る。
機械装置を信じて、自分自身を信じて進む。
時に思うようにいかぬこともあるし、それもまた
反省への経験の一つである。

心をフラットにして、前に進めば、やがて大海に出るように
いつかは、行きたい所に行けるであろう。

良い旅になりますように。

写真は２００４年９月のイスタンブール。

向こうに見える海は、ボスポラス海峡の外側、マルマラ海である。

写っている自動車は、フィアット１３１のノックダウン車。

ムラート１３１である。

こんな、素敵な季節に、

君は、旅を、しないのか？