
昨日は朝起きて、チャオイタリアに行って見ました。
池田に転居して初めてです。
セントラルサーキットに行くのも、いつ以来でしょう。
最低5年以上は、空いていると思います。
8時過ぎにエンジンを始動し、渋滞の中国道を横目に、高速に
乗らずに、宝塚をそのまま走り、生瀬塩瀬を越えて三田市を通り、
176をずっと走り続けて篠山を過ぎ、丹波大山から左にそれます。
今度は福知山線の単線区間に沿い、下滝を過ぎ谷川から加古川線の
一番奥の区間に沿って黒田庄に出て、そこから普通の道を走らずに
大昔の人が歩いた細い山道で、多可町に出ました。
セントラル=中の由来になった旧中町です。
ここでマクスバリュが現代の田舎らしくロードサイドにあったので
少しでも節約しようとお弁当にお茶2本とおやつを買い込んだのが
10時半で、2時間半の下道ドライブでした。
コーダトロンカ2台。
駐車場所も中側に停められました。まずは当日料金2500円を払い、
サーキットを見物しに、スタンドに向かいます。
気持ちよさそうに、既にサーキットを走る車たちを見ると、当日エントリー
出来たら面白かろうと思いますが、準備せずにサーキットを舐めたら
あきません。
甲高い音で全開走行するフェラーリFXXを初めて見ました。体験しました。
すごいの一言です。
インナーの駐車場で見かけた気になった赤い車2台。
フィアット124スパイダー、最初期型でも、最後の2000でもなく
1800の中期時代(案外長い)でしょうか。ピンボケ御容赦。
ザガートハイエナです。デルタベースのスペシャルですが、なんだか
解らない車を乱発した90年代ザガートの中で、これは見られる美しさ
を保っていました。
さて、早めの昼食をスタンドで観戦しながら摂り、次はパドックに向かいました。
別料金1000円を取られます。セントラルは、駐車料金は別に要りませんが
前売りで2000円、当日で2500円、結局3500円払わないと満足のいく
チャオイタ見物は出来ないということです。
ランボルギーニ・ミウラ、大阪33ナンバーつきの好ましい個体が、パドックに
置かれていました。
アルファ系のショップは、アウトパルコ、ユニコルセ、販社系のアピスなどが
店を出していましたが、目を引いたのはここかなあ。
割と古めのスパイダーをレーシングモディファイした1台。
固定ルーフ後端が軽く持ち上がっている理由は、ロールバーをクリアする
為です。
走行シーンでも登場の1961年頃のFIAT1200スパイダー。57-58年頃の
トラスフォルマビレの後のオープンモデルです。先代の戦後初のオープン車が
アメリカ輸出を意識して思い切りテールフィンと大型グリルに、曲線的な
バンパーで米国臭をアピールしたのに対し(シャーシは1100系)、後継車は
純粋なイタリアンデザインになり、欧州内の風景に似合った物になりました。
後のピニンファリーナデザインの124スパイダーまでのリレーランナーですが、
エンジンを強化した1500やOSCAのエンジンを積んだ1600などのバラエティー
があり、オスカと呼ぶ人もいますが、これは1200Sだと思います。
2004年のフィアットフェスタで初めて実物を見ましたが、ずっと関西に生息して
いるようで安心しました。珍しい車なので別カットもお見せしましょう。
日本で言えばフェアレディSP時代です。英国製小型オープンが9割くらいの時代。
実は僕はこのあたりのオープンでこれが一番の愛聴盤(フェイヴァリット)なのです。
1500は第1回か2回目の神戸のポンテペルレに来ていました。ドライバーに話し
かけたが850に興味も何も無い人でした。後で雑誌を見ていて高岡早紀の元夫か
と(Free&Easy誌に得意そうに出ていました)気付きましたが、関係ねえっス(笑)。
イベント全体の感想を申しますと、午後遅くまで、時間の間が持たなかったです。
その理由はあとで書きます。
最初にけたたましいフェラーリF50やFXXの全開走行に、度肝を抜かれました。
その後は走行と競技の中心のイベントなので、ずっと見ておれば良いのですが
本当のレースで無いので単調なのは否めませんが、それは我慢しましょう。
私はチャオイタが始まった旧TIサーキット(岡山国際サーキット)時代から、
セントラルが出来て、こちらに移ってからからも、足しげく通い見てきました。
従来はパドックやスタンドで、ここかしげに知り合いに声をかけられ、得意そうに
返事をしたこともあります。それは自己満足で、今回は一人も知り合いに会う
こともありませんでした。車の横で無いと私だと気付かないかも知れません(笑)。
私が不満に思い、これだけの歴史があるのだから、もうちょっと趣味の成熟が
進んでいないかと、感じたことなどを少し書きます。
まず悲しかったこと。イベントはこの不景気な時代なのかで、健闘し盛況と
思いました。だが、例えば前回5年以上前に来たとき、駐車場を圧倒していた
アルファ156が全然いなかったこと。147、155、145は普通に駐車場やパドック
で、まだいるなと思いましたが、156離れは潮が引いたようにこの車の人気の
一過性を示したようで、寂しいと思いました。
ご覧のようにパドックで威張れるのは最新のフェラーリかランボルギーニです。
私にフェラーリを語れる資格はありません(笑)が、フェラーリもこんなものかと
思ったのは、430でさえ古く見える今のフェラーリのこけおどし的方向性です。
355なんて可哀想なくらい駐車場でも遠慮気味に停めています。
458とかあとは、古くても希少価値のあるF40は来ていませんでしたがF50に
エンツォくらいでしょうか。456もいませんでした。
308や328は今見ると新鮮で綺麗です。デイトナやもっと古い系列はゼロでした。
クンタッシは、もう充分ヒストリックな、子供の頃の創造画の近未来指向であり、
かつドリームな味わいがあると思います。西川淳の黄緑のLP400なんて最高だ
と思います。庶民の僕が原型850クーペを乗り続けるのに通じる価値があると
思います。民間文化財の動態保存に意義をどれだけ、持っているかの矜持です。
さてこれらは以前も良く見かけた風景。
良くも悪くも代わり映えの無いアルファのノルド系クーペの並んだ姿とデルタの
勢揃いです。これらが一時代前のイタリア車イベントの、一大勢力であったことは
良くご存知でしょう。オーナーの方は、怒らないでゆっくり読んでください。
前者の場合、バンパーレス、レーシー化がひとつの方向性です。
これも1台ならいいけどみんなやると面白くない。返ってバンパー付きや
日本に正規に入った伊藤忠時代風にやる方が、新鮮に思えませんか。
レーシー化のベクトルがのぼせると、GTAとか、オバフェン指向になります。
ところが町乗りするのにどっちが良いかと言うかということも考えましょう。
それも40代後半や50代になってくると、30代前半までの若い頃なら
勢いでファッションはこなせます。この趣味傾向は20年以上続いているの
ですが、オーナーが加齢してくると、実はノーマルの方が「見られる」という
ことに気付かないと「自動車趣味は困った人たちが乗る趣味だ」と受け取られ
かねません。ここが私の言うひとつの警鐘です。
年に一度のイベントに愛車を出しているのにとお怒りでしたら謝ります。ただ
一般駐車場などに一時代、二時代前のイタ車に乗ってきている人が、思った
以上に少ない。そこらで感じるのは、欧米の自動車好きたちはもっと普通の
生活の延長線上で、趣味を楽しんでいるのじゃないかという、思いです。
普通でシンプルに自動車趣味があり、その中で希少価値や特別なことばかり
を追い求める時代は、そろそろ超エンスー幻想を卒業してみてはどうでしょう。
パドックのテンションに疲れて、午後は駐車場で寝ていました。こんなクルマたちを
みて、少し癒されたりもします。
最後に、このイベントよりずっと歴史の長い、神戸のスピードショップF2の
お店をのぞきに行き、ぶら下げてある一つの古いハンドルが目に止まりました。
「これは」、と思い手にとって見ていると、店のおやっさんが戻ってきて、背後から
声をかけられました。
今年イタリアで見つけたものやけど、どこにも銘が入ってなくて、モモのボタンが
あうんやけど、ネジ穴はナルディの位置やなあ。
これ、60年代くらでしょう。とそこで話が盛り上がりました。私も131時代や
最初に850の尻下がりが気になってショックを交換して以来、20年の
付き合いです。
アバルトのホーンボタンを着けたら似合うでという会話に、フィアット辺りの方が
このデザインならと言うと「月桂樹のやつやな」とリクエストに応えてくれました。
ここでベテラン同士のイベント感想です。東京はNYMあたりが最高で、あれで
随分売り上げているそうです。雑誌広告を見て問い合わせてくるのも4割が東京、
4割が地方で、関西は残りの売り上げ程度と、言うコメントに、神戸で開業して
40年以上マニア向けの外国車パーツ販売を続けているおじさんの、今の関西に
対する思いを聞いた感が残りました。
35φのイタリア製ハンドルの値段は聞いていませんが、オリジナルの木製が
外されて黒い革巻きに交換されている850ベルリーナあたりに、とても似合うと
思いました。
以上が私のような趣味の世界の端っこにいるものの感想です。
もっと古い車が、内側の駐車場に並んでいたら良いのにと思いました。
甘えではないのですが、30年、40年以上前のイタリア車なら、特別参加
扱いでも良いのではと思います。ノーマル歓迎で(笑)。
このままのベクトルで行くと、F2のおやっさんが潮時と思って引退する頃に
こういったイタ車趣味や文化が終わってしまわないかと、危惧するのです。
僕が主催者側の人間でもありません。午前と午後で同じような企画、
じゃんけん大会の景品も、出展業者に当日徴収しているのも、間に合わせ
的な感想が残りました。
ふらっと、買い付けでイタリアに行ってきたF2の親父の土産のハンドルが
申し訳ありませんが、この日一番の収穫のように思えました。
来年も全く同じ企画でも、来てくれる人は来るだろうか。
来客層は入れ替わっていますので、私が知り合いに会わなくとも不思議は
ありませんが、「来年も来たいな」と思わせるそこだけが、気がかりなんですよ。
おしまい。