深淵のプログレねたの続きです(^^;;。
イギリスを発祥とするProgressive-rockが1970年代半ばがピーク で、その後
パンク・ロックの時代に衰退の道を辿りました 。そんな中で
ASIA、YES、Genesis等は産業ロック化して生き残りを図り、一部Neo Progre、Pomp Rock等と言われる新しい世代が継承して行きますが、1980年代初めには一大ムーブメントは終了 してしまいました。
その後も細々と、しかし根強くProgressive Rockは続いて行きますが、既に本来の進歩的なProgressive Rockでは無くなり、70年代の形態を継承するようなFollowerが中心となり、5大プログレグループ(King Crimson、Yes、ELP、Pink Floyd,Genesis)に匹敵するような強烈な個性を発揮するグループは無くなってしまいました。
そんな70年代終わりにキング・レコードが、イギリスに追随する形でヨーロッパ各地でもムーブメントを起こしていたprogressive Rockをユーロピアン・ロック・シリーズとして紹介 を始め、
イギリス発祥のProgressive Rockがイタリアを初めとしてフランス、ドイツ、東欧へと波及していく過程を伝えて受け皿 を作っていました。
当時LPレコードが¥2,800程だった時に1979年に始まったパートⅠ、パートⅡシリーズは¥1,800で、パートⅢ、パートⅣで¥2,000、パートⅤから最終パートⅩまで¥2,200と安価に販売 されていました。
この程度の価格だと、ライナーの紹介文やジャケ買いを可能とする水準で、選りすぐりのアルバムを紹介していたこともあると思いますが、progre-fanは1/3から半分程度購入したと思いますが、好みはあるものの比較的大ハズレは少なかったと覚えています。
当時
既に廃盤となり、複雑に権利が絡んでいる欧州の小さなレーベルの契約をキング・レコードが取り付け、価格を廉価に設定してユーロピアン・ロックの世界を日本に広めた功績は非常に大きなものがありました 。
その後キング・レコードの成功に追随しようといくつかのレーベルから同じようなシリーズ物の企画が発売されましたが、いずれもほぼ通常価格での販売となったため販売が伸びず、ことごとく失敗に終わっています。
2000年ごろからDisc Unionのレーベルを中心にユーロピアン・ロック・シリーズの名盤が紙ジャケ、リマスターCDで再発 されるようになりました。価格は税前¥2,800と安くありませんでしたが、
プログレオヤジ達がユーロピアン・ロックをCDで買い直す需要を掘り起こし 、そこそこ売れたようです。
そして、
イギリスのプログレグループの再結成、復権と同様に、ユーロピアン・ロックのグループもCD再発とともに再結成の動き があり、その後の川崎の
Club Citta'のユーロピアン・ロック・グループの招聘にも繋がっていった ものと見られます。
キング・レコード「ユーロピアン・ロック・コレクション」
【ユーロピアン・ロック・コレクション パートI】 (発売年、レーベル、国)
マウロ・パガーニ「地中海の伝説」(1978年、アスコルト、イタリア)
オザンナ「ミラノ・カリブロ9」(1972年、フォニット・チェトラ、イタリア)
ニュー・トロルス「コンツェルト・グロッソI」(1971年、フォニット・チェトラ、イタリア)
ルチオ・バッティスティ「8月7日午後」(1971年、リコルディ、イタリア)
パルサー「ポーレン」(1976年、キンダム、フランス)
メッセージ「神経細胞」(1976年、ノヴァ、ドイツ)
【ユーロピアン・ロック・コレクション パートII】
アトール「組曲『夢魔』」(1975年、アリオラ、フランス)
ニュー・トロルス「UT」1972年、フォニット・チェトラ、イタリア)
オザンナ「パレポリ」(1973年、フォニット・チェトラ、イタリア)
イ・プー「パルシファル」(1973年、CGD、イタリア)
アレア「1978」(1978年、アスコルト、イタリア)
バンコ「自由への扉」(1973年、リコルディ、イタリア)
アクア・フラジーレ「マス・メディア・スターズ」(1974年、リコルディ、イタリア)
ゴブリン「ローラー」(1976年、チネボックス、イタリア)
【ユーロピアン・ロック・コレクション パートⅢ】
アトール「サード・アルバム」(1977年、ユーロディスク、フランス)
フランソワ・ブレアン「千里眼」(1979年、エッグ、フランス)
ミッシェル・マーニュ「天地火水<第2部>水」(1979年、エッグ、フランス)
デュッセルドルフ・ファースト(1975年、ノヴァ、ドイツ)
バンコ「ダーウィン」(1973年、リコルディ、イタリア)
オザンナ「人生の風景」(1974年、フォニット・チェトラ、イタリア)
オニリス「翼を持った男」(1979年、バークレー、フランス)
ペペ・マイナ「ハープとフルートの歌」(1977年、アスコルト、イタリア)
【ユーロピアン・ロック・コレクション パートⅣ】
アトール「ミュージシャン・マジシャン」(1974年、アリオラ、フランス)
オメガ「ガマポリス」(1979年、ペピタ、ハンガリー)
ニール・アードレイ「ハーモニー・オブ・ザ・スフィアーズ」(1978年、デッカ、イギリス)
バンコ「ファースト」(1972年、リコルディ、イタリア)
ゼウス「ユーロピウム」(1979年、テルデック、ドイツ)
バクマク「アウト・オブ・ザ・ブルー」(1976年、ノヴァ、ドイツ)
クリスチャン・ヴァンデール「トリスタンとイゾルデ」(1974年、エッグ、フランス)
カナリオス「"四季"~アントニオ・ヴィヴァルディ作曲"四季"による~」(1974年、アリオラ、スペイン)
【ユーロピアン・ロック・コレクション パートⅤ】
フォルムラ・トレ「夢のまた夢」(1972年、ヌメロ・ウーノ、イタリア)
イル・ヴォーロ(1974年、ヌメロ・ウーノ、イタリア)
アクア・フラジーレ(1973年、ヌメロ・ウーノ、イタリア)
オメガ「ライヴ・キスタディオン'79」(1979年、ペピタ、ハンガリー)
アレア「ティック・タック」(1980年、アスコルト、イタリア)
リック・ヴァン・ダー・リンデン&カタラン・ティルコレア「変奏」(1978年、アリオラ、オランダ)
ジョン・G・ペリー「サンセット・ウェイディング」(1976年、デッカ、イギリス)
イーラ・クレイグ「ヴァージン・オイランド」(1980年、アリオラ、オーストリア)
【ユーロピアン・ロック・コレクション パートⅥ】
イル・ヴォーロII(1975年、ヌメロ・ウーノ、イタリア)
フォルムラ・トレ「神秘なる館」(1973年、ヌメロ・ウーノ、イタリア)
オザンナ・ファースト(1971年、フォニット・チェトラ、イタリア)
ルーナ「火の鳥」(1980年、スプラッシュ、イタリア)
デュッセルドルフ「個人主義」(1980年、テルデック、ドイツ)
ノヴァリス「凍てついた天使」(1979年、アホーン、ドイツ)
ホークウィンド「絶体絶命」(1975年、リバティー、イギリス)
ラッツ・ラーン「ソロ・トリップ」(1978年、ストランド、ドイツ)
【ユーロピアン・ロック・コレクション パートⅦ】
ニュー・トロルス「コンチェルト・グロッソNo.2」(1976年、マグマ、イタリア)
ラッテ・エ・ミエーレIII ~鷲と栗鼠~(1976年、マグマ、イタリア)
ピッキオ・ダル・ポッツォI(1976年、グロッグ、イタリア)
チェレステ(1976年、グロッグ、イタリア)
ノヴァリス「時の交差」(1980年、アホーン、ドイツ)
メディテラネア「地中海の印象」(1981年、アミアミオーチ、イタリア)
エルドン「Stand By」(1979、エッグ、フランス)
リシャール・ピナス「イースト・ウェスト」(1980年、CBS、フランス)
【ユーロピアン・ロック・コレクション パートⅧ】
ニュー・トロルス「アトミック・システム」(1973年、マグマ、イタリア)
マウロ・パガーニ「真夏の夜の夢」(1981年フォニット・チェトラ、イタリア)
ピッキオ・ダル・ポッツォ2nd(1980年ロルケストラ、イタリア)
イル・パエーゼ・デイ・バロッキ「子供達の国」(1972年、CGD、イタリア)
フシォーン3rd「ミノリーサ」(1974年、アリオラ、スペイン)
ホークウィンド「ドレミファソラシド」(1972年リバティー、イギリス)
サテン・ホエール・オン・ツアー(1979年、ストランド、ドイツ)
エンブリヨ「胎児の復讐」(1971年、リバティー、ドイツ)
【ユーロピアン・ロック・コレクション パートⅨ】
ニュー・トロルス・ライブ「テンピ・ディスパリ」(1974年、マグマ、イタリア)
ムゼオ・ローゼンバッハ「ツァラトゥストラ組曲」(1972年、リコルディ、イタリア)
レアーレ・アカデミア・ディ・ムジカ(1972年、リコルディ、イタリア)
フーベルト・ボグネルマイヤー+ハラルド・ツシュラーダー「大地の響」(1981年、エルデンクラング、ドイツ)
トーマス・ディンガー「我が為に」(1981年、テレフンケン、ドイツ)
ホークウィンド「宇宙の祭典」(1972年、リバティー、イギリス)
【ユーロピアン・ロック・コレクション パートⅨ】
チェルベッロ「メロス」(1973年、イタリア)
コルテ・デイ・ミラコリ(1976年、イタリア)
ニュー・トロルス「ライブ」(イタリア)
アルファタウラス(1973年、イタリア)
ユートピア(1973年、ドイツ)
イースト「蒼い楽園」(1981年、ハンガリー)
地元川崎の
Club Citta'はプログレ、ユーロピアン・ロック・グループの招聘に力 を入れており、2003年にオランダのFOCUSを招聘して以降、
2005年Arti & Mesrieri、2006年New Trolls、PFM、2007年New Trolls、BANCO、2010年OSANNA、2011年Latte E Miele、PFM、2012年Goblin、2013年Area、New TrollsとItalian Rockのベテラングループを次々と招聘 。
そして
2011年にはPFM 、GOBLIN、ARTI&MESTIERI、THE TRIP、IL BALLETTO DI BRONZO、OSANNA(with オーケストラ) 、PFM(with オーケストラ)を招聘して「Italian Progressive RockFestival」を開催 しました。
2012年にはI Pooh、New Trolls-UT、Le Orme、Locanda Delle Fateを招聘して「Italian Progressive Rock Festival Vol.2」を開催 。
2013年にはArea、Mauro Pagani、Formula 3、Il Rovescio Della Medaglia、Museo Rosenbach、Maxophoneを招聘して、「Italian Progressive Rock Festival最終楽章」を開催 し、
その後Italian Rock FestivalからEuropean Rock Festivalへと発展 させました。
SwedenのThe Flower Kings、Anekdoten、Moon Safari、Trettioåriga Krigetを招聘し「European Rock Festival 2013」を開催 しています。
そして、
2015年4月26日にはClub Citta'とEuropean Rock Festival 2013を協賛していた音楽誌のStrange Daysが、独自に東京国際フォーラムで「第2回European Rock Festival 2015」を開催 しました。
フランスのAtollの再結成版André Balzer Atoll、SwedenのKaipaの再結成版Kaipa Da Capoの大ベテランとともに 、
SwedenのThe Flower KingsとイギリスのThe Pineapple Thiefのベテランのシンフォニック・ロック・グループの計4組でFestivalが開催 されました。
キング・レコードのユーロピアン・ロック・シリーズの中で一番の販売枚数になったと言われているAtollの最高傑作である組曲「夢魔」の完全再現が圧倒的に高い評価 を得ていたようです。
VIDEO
Atollは是非見に行きたかったのですが、他の3グループはそれほど聴きこんでおらず、4月30日のU.K.のLast Liveが近く、Festivalのチケットは¥12,500と高額だったので、早々に参加はあきらめてしまいました。
Atollの組曲「夢魔」の再現力の水準が読めなかったことも大きな要因でした。Atollは1989年に一度来日していますが、初来日当時は全盛期のメンバー、音楽性が全く異なっており、後に東京公演のLive CDが発売され購入してみましたが、知らない曲が多く、全盛期の曲も残念な演奏になっていてガッカリした印象が強く残っていました。しかし、今回は全盛期のメンバーが中心となっており、かなりレベルの高い組曲「夢魔」が再現されていたとの事でした。
VIDEO
そして
Strange Daysと分裂開催となったClub Citta'は、2015年7月にThe Best of Italian Rockと題して7月4日にVol.1 Osanna「パレポリ 40周年記念」特別公演 、7
月5日にVol.2 Arti&Mestieri「結成40周年記念」特別公演を行う予定 です。
イギリスを中心としたプログレ同様、ユーロピアン・ロックのベテラン勢も再結成して活発な活動を続けています。明らかにオヤジ世代がDelux EditionやリマスターのCDを購入し直して、コンサートに足蹴く通って支えている感じですね。