VOLVO CAR GROUPの開示変更により、2018年1月から低迷していた本国Sweden単独での開示が無くなってしまいました。また欧州も従来は中東を含めたEMEAで集計されていましたが、1月からは集計範囲が狭まりEuropeでの集計となっています。
EMEAでも本国Sweden同様低迷気味でしたが、2018年1月のEuropeは、他の地域同様にボリュームは同+11.7%と2桁増を確保。2月同+8.4%。しかし、3月同+0.9%の横ばい、4月同+3.1%の小幅増加、5月も同+1.7%の小幅増継続。
しかし、6月は同+11.2%と半年振りの2桁増となり、7月も同+10.1%と2桁増をキープ。
8月は最もボリュームの小さな月にもかかわらず同+4.9%と再び減速、9月は同+8.4%と若干持ち直し、10月は同+12.2%、11月も同+10.3%と2桁増を確保。
ただ12月もボリュームが大きな月ながら、29,469台の同▲1.3%とマイナスになってしまいました。
XC40の本格出荷が本格的に貢献してきている様ですが、カニバリやXC60の新旧モデルの切り替えがあまりスムーズに進んでいないと見られ、ホームテリトリーにもかかわらず力強さは欠いています。既存の40シリーズ、S,V60の減少、V90の伸び悩みも影響しているものと見られます。
【モデル別販売動向】
モデル別の販売で、V40については発売後4年目に入りグローバル販売が頭打ちとなり、2016年に入ってからは前年同月比でマイナスが続いていました。
マイナーチェンジモデルの販売が本格化し2017年2月以降はようやく安定した推移となりましたが、XC40の発売が近づき6月以降は再びマイナス。
2018年1月からXC40の販売が開始され、New Modelで代替モデルが無く、純増になっていることから本格的な貢献が始まっています。
2018年1月の40シリーズ全体の販売台数はボリュームが小さい月で、前年同月比では+13.2%と8ヶ月振りのプラス。2月同前+20.0%を確保。3月同+25.0%を確保。4月同+59.3%、5月同+40.3%、6月同+43.7%、7月同+110.0%、8月同+114.1%、9月同+102.1%、10月同+105.0%、11月同+68.0%の大幅増。
そして、12月は比較的ボリュームが大きな月ですが、1万5,436台、同+53.1%と大幅増のペースを維持しました。従来の40シリーズモデルは3割強のマイナスが続いていますが、新規投入で純増となるXC40の本格的貢献で十分カバーしています。
XC40の販売台数は7月に初めて従来の40シリーズ合計を凌ぎましたが、12月は8,724台で、従来の40シリーズ合計の6,712台を大きく上回っています。
XC40の販売は、1月395台、2月1,580台、3月4,261台、4月5,554台、5月5,413台、6月6,538台、7月9,005台。8月6,540台、9月8,598台、10月9,568台まで伸ばしてきています。
11月は若干ピークアウトも8,993台、12月も8,724台と高水準を維持しています。
目先増加が一巡してしまいましたが、今後XC40がどこまで拡大し、旧世代となる既存の40シリーズがどの程度維持できるかが注視されます。
これまでモデル末期でも最量販車種の座を維持してきたXC60ですが、New XC60の出荷が本格化し、10月以降販売減少が強まり、
2018年1月782台(前年同月比▲93.1%)、2月384台(同▲99.6%)、3月377台(同▲98.0%)、4月213台(同▲96.9%)、5月171台(同▲98.9%)、6月70台(同▲99.6%)、7月34台(同▲99.8%)、8月22台(同▲99.8%)、9月18台(同▲99.9%)、10月24台(同▲99.7%)、11月8台(同▲99.9%)、12月16台(同▲99.6%)と大幅な減販となってしまいました。
2017年3月7日にGeneva Auto ShowでNew XC60が発表になり、8月以降販売が本格化して来ています。
新型XC60の販売台数は、12月は販売開始20ヶ月目で18,268台となっており、旧型に代わって2017年11月からXC90も抜いて最量販車種となりました。またV60の販売も開始され7ヶ月目で4,906台となっています。
モデル末期まで売れ続けたXC60の旧モデルの減少は大きいものの、ようやく生産体制も整い旧型のピークに迫る水準にまで販売が上がってきました。
60シリーズ全体では26,322台で同+2.7%と2ヶ月連続で増加に転じて来ました。
ただ欧州の主力車種のNew V60の出足が鈍いのは気掛かりです。
新型XC90は好調に拡大を続けてきましたが、本格デリバティーから2年目に入り、2017年2月はついに前年同月比で前年割れとなり、8月までマイナスが続きました。ただ、初期需要の反動減が一巡し、2017年9月以降は再びプラスに転じてきています。
2018年1月も同+4.0%、2月同+32.1%、3月同+25.1%、4月同+13.1%、5月同+20.0%、6月同+18.9%、7月同+9.3%、8月同+20.4%、9月同+5.6%と回復、10月は▲2.3%と14ヶ月振りのマイナス、11月は同▲10.5%の2桁減となってしまいました。
12月も9,023台で同▲18.2%とマイナス幅は更に拡大してきており、マイナーチェンジ等のテコ入れが必要になってきており、今後の動向が注視されます。
S90、V90の動向ですが、2018年12月はS90が5,108台(前年同月比▲24.7%)、V90は2,277台(同▲16.0%)、更にV90CCは1,991台(同▲9.1%)と全てマイナスになってしまいました。
S90は中国生産集中で中国での販売が好調な様ですが全体としては需要一巡。欧州で主力となるべきV90の伸び悩みが顕著で、逆に健闘していたニッチモデルのV90CCもマイナスとなってしまいました。マイナーチェンジ前の在庫調整であれば良いのですが、90シリーズは利幅が大きいだけにテコ入れ急務と言えます。
以上の結果、
12月は90シリーズ全体では18,399台で同▲19.0%となり、シリーズ全体で販売が一巡し減速しつつあります。
旧型XC60は大健闘でしたが、新型への移行期に入り、
V40もマイナーチェンジ後力強さを欠き、XC40投入で様子見姿勢が強まっていました。
新型XC90がデリバリーが始まってから4年を経過、シリーズ全体で調整局面に入っってきています。
米国、中国を狙いとしたXC90、S90はジーリーの思惑通りに成功し、中国生産も現地需要への対応で順調に拡大して来ましたが、本国Sweden、欧州ではV90の販売が停滞気味と見られ、戦略がうまく行っていないのではないかと懸念されます。
また、これまで需要を牽引してきた米国、中国のマーケット自体が縮小気味になってきている点も懸念材料です。
ジーリーはVOLVOをMB、BMW、AUDIに匹敵するプレミアムプランドに引き上げるとしていますが、直接これらのプレミアムブランドと競合する本国Sweden、欧州の販売低迷、V90の立ち上がりを見ていると、欧州ではそれほどうまくいっている感じには見えません。New V60の販売も開始されましたが、V90同様に立ち上がりあまり力強さは感じられません。
今後は欧州での主力、量販車種となる新型60シリーズの先鋒として販売が開始されているNew XC60の生産・販売販売拡大、1月から販売が開始され市場が拡大しているコンパクトSUV市場に投入されたNEW XC40がどのように推移してくるのかが注目されます。
相次ぎCar of the Yearを受賞し、好調好調ともてはやされていますが、足元では90シリーズの成長一巡、XC60の新型への切り替え遅れとXC40とのバッティング、SUVモデル以外の低迷等が表面化しつつあります。
販売台数の増加は新規に追加されたXC40の純増にすべて掛かっている状況に陥って来ています。米国、中国の自動車販売全体の頭打ちもあり、Volvoも先行き決して楽観できる状況にはありません。
なおジーリーの販売動向ですが、2015年12月以降回復が一巡し頭打ち状態になっていましたが、2016年4月以降は持ち直し。8月以降は急速な回復、拡大。
2018年に入っても1月同+51.1%。2月23.9%、3月同+39.1%、4月同+48.5%、5月同+60.8%、6月同+44.7%、7月同+32.0%、8月+30.1%、9月同+14.3%、10月同+3.1%、11月同+0.3%と10月から大きく減速。
直近12月は9万3,333台(同▲39.2%)と大幅なマイナスとなってしまいました。市場の低迷の影響が出てきているのか4年振りのマイナスで、かつ2012年始め以来7年振りの大幅なマイナスとなってしまいました。