2026年08月16日
本日は送り盆、そして皆様におきましては、明日から再び忙しい日常が戻って来ると思われますが、こと私自身、過去、盛大にやらかしたプロジェクトを、もう一度託されるというチャンスが訪れ、明日早朝からのキックオフに備えて、ほどよい緊張とともに入念な準備をしているところでございます。
さて、恐怖体験シリーズはいよいよ真の恐怖へと突入する本章となり、その続きは下書きに装填済みにつき適宜掲載をさせていただくとして、先日、あまたの女性陣から忌憚ないコメントを頂戴し、その内容については賛否両論ございました、第三者目線によるF36とG80の極めてニッチなインプレをいたしまして、
今回は、HR&HMと並んでガソリンエンジン大好きな私が、我が家のBMWの心臓部でありレーゾンデートルたる、B48とS58の比較を、どちらもノーマル状態ではなくなってしまってはいるものの、勝手気ままなオーナー目線による主観と素人感性で綴っていきたいと思います。
簡単なスペックのご紹介から。
どちらもBMW現行の内燃機関であるものの、キャラクターは対極。
ますは『B48』(以下、WEBより一部抜粋)
2Lの直噴ターボ(ツインスクロールターボと呼ばれていますが、シングルターボです)で、N20の後継として2014年に初登場。以降改良を重ねながら「B48A20」「B48B20」「B48D20」などの派生型を展開。標準モデルからM Performance仕様まで幅広く対応し、出力レンジは150〜306psと柔軟性が高く、スープラのSZ-R、SZにも搭載。
ちなみに、F36 420ⅰに搭載されているのは「B48A20」で、スペックは184ps(135kW)/5000rpm. 最大トルク,27.5kg・m(270N・m)/1350~4600rpm.
N20との違いとして、クローズドデッキ構造による高剛性化、燃焼室と冷却経路の改良による熱効率アップ、改良型Valvetronicによるレスポンス改善、チェーン駆動系の信頼性向上、アイドリング時の静粛性の向上など。
ウィークポイントとして、何をトチ狂ったのか、ウォーターホースのブロックとの接合部が樹脂製であるため、振動と熱で劣化していき、5万㎞程度で破断、クーラントをぶちまけ、オーバーヒートのリスクがあること。
対策品も出ているが、相変わらず樹脂製の接合部分であるため、根本的な対策になっておらず、定期的な点検と交換が必要と、もはやリコール案件。
続いて、『S58』(同じく、一部、WEBより抜粋)
言わずと知れた、BMW直6最強の3L直噴ツインターボ。
歴代のS型がそうだったようにM専用の心臓部(ただし、S58のみALPINAにも供給)。
2019年の登場時には、480ps&510ps、600Nm&650Nmだったスペックは、CSLでは560psまで向上(6MTを採用した為か、逆にトルクは550Nmに低下)
クローズドデッキブロック・大型インタークーラー・改良されたウォーターポンプなどS55から基本設計から見直され、さらに2027年9月には、先進技術である副室燃焼を採用したMIgniteが登場。
ちなみに、S=BMW M社開発、5=直列6気筒、8=ターボ/バルブトロニック/直噴のガソリンエンジン、B=縦置きガソリンエンジン、30=排気量3.0ℓを表しているとのこと。
我が家のG80Competitionは、510ps、650Nmの標準型。
目立ったウィークポイントは、S55でのクランクハブが固定化されたこともあり、ほぼないのですが、オイル管理がシビアなことと、TOPGEARでお馴染みのジェレミー・クラークソンもコメントしていた、設計上、タペット音が大きめに発生している(潤滑性能のためにカムとのクリアランスを広めに取っている?)ところぐらいでしょうか。
翻って、現在の我が家のB48は、納車1カ月足らずでbm3を施工し、ほぼ300ps、480Nm(パワーメーター表示)、S58はと申しますと、ちょうど1年前のパワーチェックでは、35度を超える猛暑の中、吸排気のチューニングのみで、598PS/6002rpm、78.6㎏/4216rpm(ダイノパック TCF1.15換算)を記録しており、比較対象としては、どちらも適切ではなくなってしまっているかもしれませんが、インプレッションを。

ノーマル時点でのB48はと申しますと、汎用ユニットと思えない程、極めてなめらかで上質、そして高圧縮の直噴ターボがもたらす分厚い低速トルクのおかげで、停止状態からの加速も1.5tの車重を感じさせないほどスムーズ(0-100㎞ 8秒台)
1500pmも回っていれば、8ATの緻密な制御と相まって、流れをリードすることも可能。
ゼブラゾーンまで、控えめなサウンドとともに淀みなく回るのも美点ながら、特性が低~中回転域ゆえに、4000rpm以上は、トルクレスポンスが希薄。それゆえ、同じ4気筒ターボでも、一気呵成に吹け上がる170psのN13の方が若々しく感じたのは事実。
3000rpm前後で、直4ならではの2次振動が発生するのはやむを得ないとして、全域でフリクションを感じさせないバランスの良さと組付け精度は、汎用ユニットすら手を抜かないBMWの設計思想でもあり、スポーツモードに入れると、なぜか6気筒のような重層的なサウンドになるのも、走る喜びを感じさせてくれる粋な部分。
bm3を入れ、ポテンシャルを開放した後は、それらの美点はそのままに、スポーツユニットのごとく積極的に中~高回転域を好むようになり、やや物足りなさを感じていた高速域での加速も、300ps相当と文句なしの性能に。燃費の悪化は織り込み、総合的にマップが適正化されているとはいえ、ブースト圧がノーマルの65kPaから2倍の130kPaに上がっているのが少々心配。
それらを鑑み、自称、内燃機関フェチとして、直4エンジンの最高峰は、NAではホンダのH22A、ターボはこのB48ではないかと、思っている次第です(異論大歓迎)

画像はどちらも、TKさんで整備中の時のもの。
一方、S58はと申しますと、ノーマル状態かつ電子制御が効いていたとしても、もはや素人が扱えるFRの限界を超えており、合流加速で深めに踏み込むと、リアの305がギリギリ持ちこたえながら、フロントのグリップすら怪しくなるほどの猛烈な加速に、たちまち血の気が引き、イキリダッシュなんてしようものなら、自爆してSNSで晒されること必至。
先代のS55のように直線的にパワーが出ていくというよりは、S55の7500rpmのレブリミットから250rpm引き下げられた7250rpmまで、低速トルクを敢えて絞り、濃密な回転フィールに加えて、レブに向かってヤマを作ったような演出がなされていると感じております。
ドラマ性でいえば、官能の権化であるS54に及びはしないまでも、過給機付であることを感じさせないほどの常用域でのフレキシビリティとマグマのごとくパワーが湧出していく爆発的な回りっぷりは、S55と同じく、まごうことなきM社の手が施されたスペシャルユニット。
詳細は、愛車レビューにも載せておりますので、よろしければご参照を。
麺類で例えると、ノーマルのB48は、冷えた素麵を、カツオ出汁の利いたさっぱりとしたツユにつけ、少しばかりの薬味とともに、のど越し良く、つるっと流し込むような感覚で、bm3を施したB48は、素麺がコシの強い讃岐うどんになり、ツユは濃厚動物系スープへとなり替わって、つるりとした喉越しはそのままに、ガツンとパンチの利いた風味へとアレンジされたよう。
S58は、世界的なシェフが、コンテストに勝つため、コストを度外視して厳選した食材をふんだんに使い、パンチもテイストも3つ星レベルへと仕立て上げた二郎系全マシといったところでしょうか(勿論異論OK)
まとめとして、B48は“BMW史上最高の4気筒エンジン”と評されるだけあって、『最新のBMWが最良のBMWである』との格言を体現した内燃機関であり、
S58については、官能性や情感、レースフィールドでのバックストーリーが乏しいのが惜しくはあるものの、スペックでは、最強の直6であることは疑いようはなく、歴代の直6ユニット、S50、S52、S54そして、M系では不世出であろうV8のS65B40を振り返ってみると、どれも伝説の名機S14B23につらなる系譜であり、その名機S14B23も4気筒だったことを思えば、B48にも名機のDNAが流れていても何ら不思議ではなく、エンジン屋としての矜持は、基本設計や世代、キャラクターは違えど、遍く注がれているのだと、僭越ながら、一つの考察に至った次第です。
バイエルンのエンジン屋が手がけた、S50、S52、S55、S58&N13、B48を乗ってきた身として、是非とも内燃機関を続けてもらいたく、F1からフィードバックされた新技術である副室燃焼のMigniteを採用したS58に胸躍るのでした。
Posted at 2026/08/16 13:59:09 | |
トラックバック(0) |
G80M3 | 日記
2026年08月12日
お盆休みとはほぼ無縁、今日も今日とて、資本家の皆様からご温情を賜り、糊口をしのいでおりまするFlyingVでございます。
つい先日、仕事終わりのレイトショーでスパーダーマンの新作『ブランド・ニュー・デイ』を観てまいりまして、内容は文句なし、トビーマグワイア時代が大好きな私も納得のシナリオで、アベンジャーズと絡んで取り散らかった伏線をほぼ回収し、これまでのシリーズを仕切り直して新たなシーズンへと導く秀作でした。
ただ、文句をつけるのであれば、吹替版のエンディングに流れた、青りんご夫人のサントラが全然映画と合っておらず、レコード会社のゴリ押しだとしても、もっとちゃんとしたアーチストに依頼すべきと、折角の余韻が興ざめでした。
それでも、スパイピーファンとして、大変楽しめたのは確か。
で、長いだの、なろう系に投稿しろだの、色々と失礼しております、こちらのシリーズ、いよいよホラー展開に突入です。
お盆中に全編載せられたらいいなと思いまして、今回はさらに巻きの長文です(汗)
【本文】
そして、その夜。
夕食を終え、入浴を済ました私の部屋に、まずやってきたのがサーファーのK人と同じく3年生のR太。
ひげを剃り、妙にこざっぱりとしたK人からは、尋常でない意気込みが伝わってくる。
私と同室の3人の後輩たちも、ソワソワしっぱなしで落ち着きがない。
それもそのはず、要領よく女子達と仲良くなったリア充とは対極の、いかにも高校時代、教科書とエロ本が友達でしたといった風貌の冴えない野郎ばかりが集っている。
やがて、部屋のドアがノックされ、「どうぞ~」と応答すると、「お邪魔します。」というアニメ声と同時にN美が上がりこみ、その後から遠慮がちに上がりこむ、健康的な二の腕や太ももが露になった薄着のうら若き女子3人。
たちまち、むさ苦しい男部屋に立ち込める、風呂上りの石鹸とシャンプーが入り混じったむせ返るような年頃の女子の甘い香り。
ほんのりとメイクをし、しかも薄着の二十歳そこそこの女子大生達が加わり、瞬時に視床下部がパンパンに膨れ上がった野郎どもは、合宿所の近くにある唯一の売店で買い込んでおいた、ジュース、ビール、スナック菓子を全部広げたものの、どう接していいのか分からない。
特に素人童貞と言って憚らないK人のキョドリっぷりは半端でなく、わざわざサーフィンの話題を振ってくれた女の子に、とんでもない早口で専門用語を呪文のごとく捲くし立て、会話の波に乗るのはおろかパドリングすらできないでいる。
女の子たちも真面目そうな子達だったので、新鮮なぎこちなさが傍で見ていて楽しかったりしたのですが、K人の持ってきていたUNOでもやろうかということになり、UNOがスタートすると、彼らの緊張がしだいにほぐれ、次第に和気藹々とした雰囲気が出来上がったのです。
それもそのはず、1週間も同じ時間と空間を共有したもの同士。おまけに大学では同じ授業を取っていたりと共通の話題で盛り上がることしばし。
すると、突如、K人がこんなことを言い出したのでした。
「そういえば、この建物、色々な噂があるんだよね。」
「うん、一緒のグループの先輩から聞いた。」とM緒。
「噂って?」私が聞きなおすと、
「出るんです、これ。」N美が両手を胸の前でブラブラさせ、
「なにそれ?おもしろそうじゃん。」
と誰かが言ったときには、全員の好奇心がそのテーマに向いておりました。
「ここの噂は、ま、そんな大した部類じゃないよね。線香の香りがして、振り向くと角帽をかぶった学ランが裸足で追い掛けてくるってやつだろ?」
「そんなおっかいの初めて聞いたわ。でも夜回りしていて全然遭遇しなかったぞ。」
「V先輩のほうが怖がられてたりして。後、女風呂の鏡のこととか。」
「やだ、なにそれ、、、」顔をしかめる女子達。
「知らないの?入り口から数えて、4番目の鏡の前で頭を洗った後、顔を上げるとお風呂場全体が真っ暗に見えることがあるんだって。その時、鏡を覗き込むと、、、、」
「もうやめてよ。」本気で怖がるR子を無視して、
「でもオレが経験したのが最恐かもしれない。」
と、K人が語り始めたのでした。
「オレの地元にある海岸なんだけど、ちょうど、夏のこの時期になると、適度にシケて、いい波が来るのよ。
辺鄙なところで、車で行くにも不便な分、海水浴客もまばらだったりで、地元の人以外、めったに来ることがない、仲間内でも知る人ぞ知るスポットなんだよ。ちょっとしたプライベートビーチみたいなもんだな。
とにかく、泳ぐのは勿論、波乗りするにももってこい。
でも、ある期間、正確に言えば盆の、ご先祖をお迎えしてから送り火をする間は、夜、絶対に海に入っちゃいけないって言われてて、漁師さんもイカ釣り漁とか夜漁の船を出さないんだ。
夜釣りなんてのもダメ。
なぜかって?盆だし、鎮魂とかそういう類のものだわさ。どえらい昔からの言い伝えみたいで、おじいちゃんも、そのまたおじいちゃんからそう聞かされたと言ってた。船幽霊なんてのも日本昔話であったろ?そんな類じゃないかな。
それでもさ、なにか頑張っていることが上達していくと、面白くてたまらなくなるよな。
で、当時のオレは、浪人真っ最中でさ、夏期講習だとか模試とかで、絶望的に気分が落ちてて、サーフィンするのが唯一の息抜きみたいな時期だったんだ。
高2の頃から始めた波乗りも、やっとカットバックとか自分のもんにしたのも、この時。
自由に波を切れるあの感覚が堪んなくて、毎日、海に入らないと中毒症状が出るというか、依存症になりかかっていた。」
K人はここで一息つくと、ビールを煽った。
「もう分かるだろ?オレが何をしたのか。」
「まさかの罰当たりってやつか」R太が口を挟んだ。
「そう、オレは、絶対に入っちゃいけないって言われていた、盆の送り火の前夜、言いつけを破ったんだ。」
「で、どうなったの?」と女子の一人が急かされ、K人は続けたのです。
「その晩は、風はほど良く凪ぎ、雲ひとつない満月だった。
波は穏やかだったけど、沖からドクドクと脈打つような波頭がいくつも来ているのが分かった。
特に、月が出ているときの海は、海面がきらきらしていて、底の方のプランクトンが青く光っているみたいでさ、とにかく神秘的で。
全国模試が明日だって言うのに、どうしても海に入りたくなり、思い余ってボードを担いで出て行こうとしたら、たまたま地元に帰省していたサーファーのツレから電話が掛かってきた。
向こうは軽く飯でも食おうとのつもりだったみたいだが、波乗りしないかとのオレの言葉に、少し間があった後にOKが出て、今から車で迎えに来るって言ってくれた。免許を持っていなかったしがない浪人生のオレには、まさに渡りに船だ
15分ぐらいして、ヤツのハイラックスが現れた。車には、そいつの他に、懐かしい顔が二つあって、どっちも年はタメなんだけど、一人はオレのサーフィンの師匠、もう一人は、いわば色々とヤンチャした悪友。
車内にはサーフィンやるとんだ罰当たりが3人と、ノリでついてきたアホが1人いたのさ。
オレも久々の邂逅にテンション上がったけど、やっぱり言い伝えの禁忌を破るのは少々気が引ける。
臆病風ほどではないけれども、気になったので
『あのよ、海入っても良かったっけ。』と聞いてみた。するとバックミラー越しにオレの顔をちらりと見たツレは、
『迷信っちゃあ迷信だけど、ダメなのは釣りと漁だろ。殺生しなければいいんじゃないのか。』の一言に、『それもそうだな。オレら、波に乗るだけだし。』と妙に納得させられてしまった。
『おい、花火も持ってきたぜ。』と悪友がバッグからでっかい花火セットを取り出し、ニンマリとした笑みを浮かべて、女の子たちと現地集合していると聞いた時は、胸が躍った。ついでに言うと、人数分のオカモトさんもちゃっかり用意されてたりしたんだな、これが。」
ヒヒヒと歪な笑いを浮かべるK人に、
「ほんともう、サーファーってヤツは。。。」女子達が呆れている。
「失礼な。これでも一応、純潔を守ってるんだぞ。」K人が負けじと言い返した。
「早く、話進めてよ。もうすぐ深夜1時よ。夜更かしすると肌が荒れるの。」とN美。
「おう。そうだな。え~と、確か、そうそう、この時も時間は、日付が変わる頃を過ぎたところだった。その海岸に行くには、結構入り組んだ山道を抜けていかなくちゃいけないんだ。ナビにない道を通るし、夜は特に暗いので、地元のヤツでも迷いやすい。
目印らしい目印と言えば、信号が一つ、標識が何個と、道中、いくつか古いトンネルがあって、三つ目のトンネルを真っ直ぐ抜ければ、海に着く。
この日も、いつもの交差点で左折し、一つ目のトンネルを抜けたあとの三叉路の真ん中を進み、さらに二つ目のトンネルを潜ってから、ここがちょっと表現しにくいんだけど、あれこれ曲がっていくうちに最後のトンネルが現れる。ここまで来たら、着いたも同然。
全開にした窓から、ユーロビートがトンネルの中でガンガン反響していて、もう気分ブチ上がり。
もうすぐ、夜の浜辺を独り占めにして、おまけに女の子がいるんだぜ。
オレの頭の中もドーパミンでタプタプ。
でも、トンネルの出口が見え始めた頃、運転していたヤツが、おかしなことを言い出したんだ。
『おい、あれ何だ?』って指さす方を見てみると、トンネルの出口付近の天井から何かがぶら下がっている。
『暗くて分からねぇな。枝かなんかじゃねえの。』と皆、最初は大して気にしてなかったんだ。
『そうかぁ』ハンドルを握るツレも気のない返事をした。
でも、トンネルの出口に近づくにつれ、それが何かはっきり見え出すと、オレら全員がパニックになったんだ。
ぶら下がっていたのは、女の人の長い髪の毛がみたいなのが逆さになって、出口の上からだらんと揺れてるんだよ。
『やべえ、見たか、今の!?海藻か何か?』
『見た、、、っていうか、髪の毛に見えた気がするけど、あそこに人が上れんのかよ。』
出口から50mぐらい行ったところで、ツレが車を止めて振り返ると、その髪の毛みたいなものはなかった。」
「もうヤダ、怖い。。。」R子が布団をギュッと体に巻きつけていた。
「まだ続くぞ。こっからが不思議なんだ。」と、K人はビールを飲み干すと
「そのトンネルは一番長い三つ目のもので、本当に真っ直ぐ行くだけで海に着くんだよ。でも、この時、真っ直ぐ行けども海ではなく、なぜか山道に入っていってしまって、ついに行き止まりになった。
ここどこだって話になって、ハイビームにした途端、腰を抜かしそうになったんだ。ヘッドライトの先に、古い小さな墓地があって、いくつかの苔だらけの墓石と朽ちかけた卒塔婆が何本か浮かんでいる。オレは冷たい汗が流れるのを感じた。変な気持ち悪さは全員が感じていたんだ。でも、『お前、運転ヘタすぎ。』とか、無理やりふざけながらも、なんとかUターンして、来た道を引き返した。
で、やっと出た道は、そのトンネルの出口近くじゃなくて、入り口が見えるところなんだよ。
もう訳分からないだろ?暗いし、どこかの分岐で間違えたんだろってことにして、三つ目のトンネルに入っていった。
きっと気のせいだ、今度は間違いなく海に行ける。車内の全員がそう思い込み始めていた、その時、ツレがハンドルを握る手を震わせながら、
『おい、あれ見えるか?』とオレらに聞いてきたんだ。
『マジかよ!?』
我が目を疑ったね。トンネルの出口付近には、さっき見た、長い髪の毛が垂れ下がった先に、今度は女の人の白い顔が逆さにぶら下がっているんだよ。しかも、うっすら笑みを浮かべているように見える。
『見るな見るな、早く行こうぜ。』
ツレはアクセルを踏みこんで、とにかくトンネルを抜けた。
でも、真っ直ぐ行けども、海はなく、真っ暗な山道でさ、もう、オレ自身、悪寒が走りっぱなしになるっていうか、どう見たって海に行く道じゃないんだ。
案の定、行き止まりに着いた。ヘッドライトの向こう側に、そう、あの墓地があったのさ。
ツレは顔から血の気が引いていた。誰も口を利くことができなかったよ。引き返すと、例のトンネルの出口に着くはずが、また入り口なんだよ。訳が分からなかったね。
で、気は進まなかったんだけど、女の子を待たせたら悪いと言うことで、3度目の正直に賭け、もう一度、トンネルを通った。」
「どうなった?」今度は、私が聞いてしまいました。
「ああ、あったよ、出口に、逆さになった長い髪の毛の女の人が、今度は白い着物の上半身を出して両腕をぶらぶらさせてるんだ。オレは生きた心地がしなかった。で、直進したら、また例の墓地に着いたのさ。ツレはブルブル震えていた。オレもサーフィンもことも女のこのこともどうでも良くなって、家に戻った。」
「女の子はどうしてたんですか?」
アタリ目を齧りながらビールをちびちびやっていたY治が聞いた。
「結局、親にバレて、こっぴどく叱られた挙句、家から出してもらえなかったんだって。だから、オレは今も純潔。N美のためにとって置いたってことで。」
「全然欲しくありません。でも、その女の人って一体なんなの?」とN美。
「しばらく、そいつらと会うことも話すこともなかったけど、親父がその話を住職に話したら、すぐ寺に連れてくるように言われてさ、で、オレら全員、呼び出されて、お祓いを受けて、ま、それで一件落着みたいな。住職が言うには、ぶら下がった顔は、一種の呪詛みたいなもんで、数え歌みたいに、最初は髪の毛、次は顔と、体の部位が順番に現れていくんだって。とにかく、全身が出る前で良かったらしい。このお守りを身につけておくことと、金輪際、その海に絶対に行ってはならないって、おっかない顔で言われた。」と、K人がポケットからところどころ擦り切れ、くたびれたお守りを取り出したのです。
「ふ~ん、もう一回トンネルを通るとやばいんだな。」私は納得したように言うと、
「ねえ、もう部屋に帰ろう。」
R子がN美の袖を引いた。
「ちょっと待って。私、V先輩に相談があるって言いましたよね?」
「ああ、そう言えば、昼間、タバコ吸っている時に、確か、、、」
「次、私のターンでいいですか?K人先輩のつながりで少し怖いお話ですけど。」
「なに?N美もそんな体験あるの?いいよ~オレの横に来るかい?」とK人。
「いえ、結構です。あ、その前に、ちょっと戸締りをお願いします。」
日中は30度を超えることもあるが、避暑地だけあって、夜はかなり涼しく、清涼な高原の夜風が随分と気持ち良いので、どの部屋もクーラーを着けるより、窓を開けて就寝していたのです。
「窓閉めるって、どうして?」N美に言われて、窓の方へと向かったR太が聞いた。
「ちょっとした用心と言うか、あ、ドアもお願いしますね。」
「まあ、いいけど。」私も立ち上がって、ドアを施錠した。
「じゃあ、私もお話、、とは言っても、相談なんですけど、聞いてもらえますか?」
「うん、いいよ。」
N美のことをしつこくつけましている輩が居るのは知っていた。
鍵を掛けるのは、最終日の晩である今夜、N美が私の部屋に来ていることを知ったら、押しかけてくるだろうと見込んでのことと、この時は思っていました。
戸締りを確認した後、N美は私の隣に座り、語り出したのです。
~その3 ここまで その4『こっち側』に続く
Posted at 2026/08/12 16:41:08 | |
トラックバック(0) |
アンビリーバブル | 日記
2026年08月10日
先日、ダイソーにとあるものを探しに立ち寄った際、どうしても見つけることができず、店員を呼び止め、問い合わせたところ、「そこになければないですね。」との回答に、かの哲学者パルメニデスの存在論「あるものはある ないものはない」の真理を垣間見た気がして、全然必要なかった単4電池を買って帰ったFlyingVでございます。
さて、極めてニッチなオカルトファンの皆様に、お楽しみいただいております、恐怖シリーズの続編でございます。
留年のオープンリーチを回避すべく、真夏の体育科目の自動車合宿に参加し、晒し上げのような役職「総部屋長」に任命され、ひたひたと恐怖が歩み寄っているとは知らず、奮闘するメタラーの単位はいかに、、、
長いお盆休みに入り、Netflixやアマプラを観つくしてしまった、漫喫にも行き飽きたなど、暇で死にそうな皆様におきましては、どうぞ宜しくお付き合いください。
【本文】
いざ合宿が始まってみると「総部屋長なんてな、点呼とって日誌を付けていればいいから。」との担当教官のいい加減な言葉とは裏腹に、体調を壊した学生のケアや、朝夕の点呼、そして毎日のショートレポートの提出などなどやることはてんこ盛りで、おまけに、こんな小さな集団でも人間関係の歪みがしばしば生じることもあり、その愚痴とも言える相談をそこかしこで受けたりしている内に、女子達と仲良くなるチャンスを逸した挙句、頼りになる先輩を通り越して、完全に寮母さんの役割をこなしていたのでした。
こうして、合宿も残すところ一日となり、最後の実習を終えた時のこと。
昼前には実習が終わり、午後、課題のレポートを書きあげて、後は自由行動と相成り、手持無沙汰の私が、喫煙所でシケモクをチビチビ吸ってると、突如、「先輩、こんにちは~」と鼻に掛ったようなアニメ声。
振り向くと、その声の主は、オタクの多い校風もあって、この合宿メンバーの中でも1,2の人気を誇る、小柄でショートヘアー、細身で幼児体系、後〇真希をもう少し猫に寄せた感じの2年生女子のN美が、漂う煙を手で払いながら近づいて来るではありませんか。
「どうしたの?」
N美の突然の訪問と仕草に、換気扇のスイッチを入れて、タバコの紫煙を追い出していると、少しモジモジしながら
「夕ご飯の後、ちょっと、お時間ありますか?」と伏し目がちに伝えてきたのです。
この一週間、部屋長業務にひたすら忙殺され、女子達と事務的な会話しかできなかった苦役が、今やっと報われる時がようやくやってきたのかと感極まり、ほとんどフィルターしか残っていないシケモクを盛大に吸い込んだせいで、
「お、ぐえぉお、ゲホ、ゲホ、、、、じ、、か、時間、あ、、、あひゅ、あるよ。」
返事をするどころか、背中が波打つほどむせかえる私に、
「大丈夫ですか?」
と若干引き気味ながらも心配してくれる優しい彼女。
「う、、、うん。ゴメン。。。」
手の甲で涙が止まらない目頭を抑えている私に、
「でしたら、今夜8時にお部屋に伺いますね。」と、用件だけ伝えて、充満するタバコの煙を掻い潜り、さっさと出て行ってしまいました。
すると、同じくシケモクをくゆらせながら、このやりとりを耳にしていた3年生のサーファーのK人が、
「V先輩、折角の最後の夜なんで、楽しくやりましょうよ~UNO持って行きますから。」と波乗り宜しくちゃっかり便乗しようとしている。
この男、サーフォンはプロ顔負けの腕を持ち、インストラクターのバイトで生計を立て、3年生にして既に留年が確定しているツワモノ。
悪い奴ではないものの、サーファーらしからぬ貧弱な体と、日に焼けた怪しげな長髪の髭面、毎夜毎夜、起きているんじゃないかと思われるぐらい薄い白目をむきながら、はっきりとした寝言を言い放ち、一人でいるときは難解な哲学書を読んでいたりと、皆から一目置かれていると言うより、一天文単位ぐらい距離を置かれている怪人物。
それでも、お互い、3、4年生にもなって単位を落としまくっている浮いた存在とあってか妙にフィーリングが合い、初日から喫煙所で、人生譚を語らうようになっていたK人が、実は、自分はこう見えて素人童貞だという知りたくもない秘密を披歴しながら、濡れた捨て犬のような目をこちらに向けるものですから、
「分かった、UNO持ってこいよ。」と告げると、ニンマリとした笑みを浮かべ、シケモクを灰皿に押し付けて去って行きました。
禁欲生活が一週間も続き、私自身、一瞬、妄想が膨らみ股間が切なくなりましたが、良く考えてみるとN美はさりとてタイプではなく、彼女を狙っている連中達を押しのけてモノにしてやるといったガツガツする気も起きず、合宿が終わって大学で再会した時に、この時の話ができたら楽しいかなぐらいの心持ちでした。
しかし、この安請け合いが恐怖の始まりだったとは、紫煙の向こう側に消えていったN美の華奢な背中からは微塵も感じられなかったのでした。
~その2ここまで、その3 恐怖体験の始まりに続く~
※タイトル画像は、決して子供と観てはいけない、絶賛放映中のカス女アニメの問題作で、個人的にはこの夏の覇権アニメ。でもって、本文とタイトル画像は一切関係ございません
Posted at 2026/08/10 12:45:13 | |
トラックバック(0) |
アンビリーバブル | 日記
2026年08月05日
BPOのせいで、オカルト番組がめっきり少なくなったのは寂しい限りですが、令和になっても、そういった都市伝説は廃れるどころか、モダナイズされたり、新たなものが生み出されたりと、ニッチな界隈では盛り上がっておりまして、やはり、人は怖いと分かっていても禁忌への好奇心に抗い難いのが性分。
私はと申しますと、何度も申し上げ、もはや定型文と化しておりますが、現実主義かつ理性的なスタンスでおりまして、『怪力乱神の類は、存在は認めるけど信じていない。』との相矛盾した結論に至ったのは、小さい頃から自分が望む望まないに関わらず、そうとしか説明できない体験をいくつかしてきたから。
今回ご紹介するのは、数年前、知り合いの出版社に持ち込んだところ、出版契約寸前までいくも、揉めてお蔵入りとなった曰く付きのもので、虚実ないまぜにしたオカルト長編を何分割かにして載せていこうと思っております。
みんカラとは一見無関係のようではありますが、車が多分に絡んでいることを申し添えますとともに、オカルト大好きな諸兄におきましては、無聊のお慰みとして、宜しくお付き合いください
ちなみに、一昨年の、『恐怖シリーズ 第4章 決して返事をしてはいけない【とあるメタラーを呼ぶ声】』はこちら。
【本文】
これは、私が学生時代、体育の授業の一環としてやってきた新潟の合宿所で体験した少し怖いお話。
マイナーなビジュアル系メタルバンドを組んでライブとバイトに明け暮れ、生来の自堕落さが輪を掛けて、卒業まで40単位以上を残して迎えた4年生の春。
卒業見込みが出ない上に成績不振を極めた私に、無謀にも内定を約束してくれた某広告代理店の男気に応えなければと、卒業への一発逆転を狙って再履修を詰め込んだものの、どうしても体育を取れる時間が工面できない。
困りに困った私は、で〇ベッピンの綴じ込み付録かと思うぐらい顔を近づけてカリキュラムを凝視していると、ある授業が目に入るや否や、一筋の光明が見えた気がしたのです。
それはと申しますと、『自動車運転実習』
夏休みにたった一週間程度、合宿をするだけで単位がもらえるという、再履修過多の私にとって、それはまさに、カンダダに降ろされた蜘蛛の糸。
しかも、専用のコースにて大型をはじめとした車などの運転を学ぶ、車好きには願ってもないもので、さらに一週間男女が同じ屋根の下で過ごすときたら、元気が出るTVなどの影響で、メタラーという理由だけで言われなき差別や迫害を受け続け、一生縁がないと諦めていたキラッキラのアオハルを、取り戻せるかもしれない絶好のチャンスが到来したのです。
ただ、大手企業の内定をちゃっかり取り、いち早くメタルからビートロックへ転身して取り巻きの子達とリア充を謳歌していた、軽薄で度し難い要領のいいサークル仲間の話では、スキーと並んで非常に人気のの授業で応募者多数につき毎年、抽選になるとのこと。
「これがダメなら、留年・・・」と祈るような気持ちで希望を出したところ、憐れな私を見かねて事務局が情けをかけてくれたのか、見事、抽選に勝ち残り、ギリギリ卒業への望みが首の皮一枚繋がったのでした。
そして迎えた合宿本番。
新潟県の某所にあるローカル線の駅に集合した男女併せて約50名は、そこからバスで1時間ほど山奥へと進んだところにある木造2階建ての古い宿舎へと到着。
外観はさすがに年代を感じるものの、中は手入れが行き届いていて、各部屋にはクーラーも完備されるなど、さすがは臙脂色ユニフォームを背負った名門ラグビー部が、毎夏、汗を流している合宿所といった趣。
恐らく最年長の私は、知り合いもいなければ、ほとんどが年下ばかりと、心細さを感じていましたが、そこはお気楽大学生。
4,5名で括られた部屋割表に従い、各自が部屋へと移動する頃には、たちまち同部屋の連中達と意気投合し、オリエンテーションではノリのいい女子達とお互いのことを話したりと、否が応でもつかの間のリア充生活が送れる予感が沸々と湧いてきたのでした。
もちろん、メタル布教活動はこの間、厳重に封印。
授業が行われるのは、合宿所からバスで十分ほど下った更地。
アスファルトで舗装されたそこには、普通車、ワンボックス、トラックなどの車が置かれ、S字クランクがあったりと、いわゆる自動車学校さながらの設備の充実ぶり。
※タイトル画像参照。WEBから拝借した実際のものです。
ただ違うのは、妙高高原を望む絶景が足下に広がっていることと、そこかしこに立ち並ぶ『マムシ注意』の物騒な立て看板。
「いいですか、もし噛まれても、血清がある病院まで車で一時間以上あります。生命力のある若い皆さんでしたら噛まれた所が壊死する程度で済みますが、くれぐれも気を付けて下さいね。」
と、教官から慣れた口調できっちり脅された後、運転歴に応じてのグループ分けがされ、授業開始となりました。
女子の多いCグループに入りたかった私は、なぜか男子しかいない運転上級者のAグループに組分けされ、エアロスミスのTRAIN KEPT A ROLLIN'のギターソロが、ジョー・ペリーではなく替え玉だと知ったのと同じぐらいぐらいがっかりしましたが、運転の基礎からスピンターン、カウンターなど、授業とは思えない楽し過ぎるカリキュラムにテンションが上がり、グループ分けなどどうでもよくなっていたのでした。
夜は夜で、繁華街から遠く離れた人気のない山奥の、まさしく隔離された立地だったため、授業後に外出しようとする学生は皆無。こうした閉鎖的な環境に押し込められ限られた人間達が蠱毒のように煮詰まっていくと、ボッサードの法則よろしく仲良くなる男女が現れるのも当然のこと。
3日が経過する頃には、男子の部屋に女子が遊びに来たりする誠にけしからんグループが出現するわけでして、こと私はと申しますと、最年長者がすることになっているという決まり、平たく言うと、2年生までに取得すべき単位を落としまくってここに来ている出来の悪い上級生であることを暗に知らしめる無情なポジション、『総部屋長』に任命されてしまいました。
それでも渋々ながら承諾したのは、決して、単位取得に有利になるとか、頼りになる先輩として潤んだ視線を後輩女子達から向けられ、相談に乗ってあげたりしている内になんて甘い考え、、、、以外に一体に何があるというのでしょうか。
~その1 序章 ここまで、その2に続く~
Posted at 2026/08/05 16:35:27 | |
トラックバック(0) |
アンビリーバブル | 日記