2010年03月26日
爽やかな感動とキ印な人達3連発
一昔前に比べ、電車内での携帯電話のマナーがマシになってきたと思う反面、シルバーシートに堂々と座り込み、お年寄りがいても譲ろうともしない社会人を見る機会が確実に増えているここ名古屋の地下鉄。
それを目に当たりにするたびに、ガキンチョならまだ救いようがあるにしろ、分別ある立場の人間の社会良識は、ここまで劣化し欠如したのかと暗澹たる気持ちになってしまいます。
今朝、上野駅で携帯電話を注意された30代のキ印(いわゆるキ○ガイです。)が、注意した男性を山手線ホームに突き落とすという事件を知って、私が先日体験した、心洗われる出来事とそれを台無しにしたキ印達との脂っこい一日について書くことにいたしました。
1週間ほど前、クライアント先へ向かうべく、早朝の市バスを利用した時のこと。
バス停に並ぶ7、8人の列につき、5分ほど遅れて到着したバスに乗り込むと、既に通勤通学で込み合い始めた車内には当然、空いている席もなく吊革につかまって揺られながら次のバス停へ。
バスが遅れれば遅れるだけそれを待つ列も長くなるため、次のバス停では15人近くが乗り込み、ほぼ満車状態。
丁度、私がつかまっている吊革近くに来たのは、年の頃70歳前後と思しき白髪の、黒い大きなカバンを抱えた男性。
背筋をきりりと伸ばし、姿勢よく吊革につかまりながら、荷物が他の人の邪魔にならないよう自分の前に回し、手で抱えるようにして立っておりました。
シルバーシートはあいにく、お婆さま方でいっぱい。
近くに優先席もなく、バスが発車しようとしたその時、私の立ち位置から少し後ろに座っていた、サラリーマン風の男性が立ちあがり、「ここどうぞ。」とご老人に席を譲ろうとしました。
と同時に、今度は私の目の前に座っていた男子高校生までも立ちあがって、「あの、良かったら、こちらに。」と少し照れくさそうにご老人に声を。
二人から同時に席を譲られて、驚いたような顔をしていた、そのお爺さんは、少し間をおいた後、「ええよ、ええよ、わたしゃ、どうせ遊びに行く身だから。あんたらこれから仕事と学校だろ。だったら、余計に座っておきなさい。」と、やんわり遠慮されていました。
「いや、でも・・・・」とためらう二人に、お爺さんは、顔をくしゃくしゃにして、
「わしゃ、譲ってもらうほどの年に見えるかのぉ。なんだかちょっと恥ずかしいわ。ははははは。」と二人を再び席に付かせて破顔一笑。
そのまま立って5つほど先のバス停で降りて行かれたお爺さん。
矍鑠としたお爺さんとの爽やかな朝のやり取りに心が洗われました。
しかし、バスを降り、地下鉄に乗ってからがいけなかった。。。。
地下鉄は、バスほどの混雑はなかったにしろ、それでも体が少し触れ合うぐらいの乗車率。
私の横には、スラリとしたビジネススーツとチェックのトレンチコートに身を包んだ、背が高く、一見、スマートな印象を受ける20代と思しき社会人の青年。
気になるといえば、iPodから盛大に漏れるアホっぽい歌声とシャカシャカ音。
ま、なにか横着をするわけでもなかったので、今朝の出来事の余韻を反芻し、晴れやかな気持ちに浸っていると、2つ目の駅に到着したときに事件は起きました。
私から5メートルほど先に座っていた人がその駅で降りるため、一人分の席が空いたその時です。
その席の前に立っていた初老の女性が腰掛け、鞄から本を取りだそうとした瞬間、私の横のその青年が突然、「ああ、そこ、そこ、その席!!!!ダメだって、ほら、早く、、、どいて!!!」と、人込みをかき分け、大声を出して腰かけたばかりの初老の女性に詰め寄り、あろうことか、席を立たせて、自分がどっかりと座りこんでしまったではありませんか。
席に着くと、足を投げ出し、そして化粧鏡を取り出して髪形を直すなど、無人の野のごとく振るまう青年。
お礼の一言も詫びもなく、さも当然そうに居座り、口を開けて鏡を眺めるアホ面と信じがたい言動に、あっけにとられて誰も注意することができないまま、地下鉄は動きだしました。
恐らくこめかみに青筋が2、3本浮き出し、頭に血が上った私は、そいつに詰め寄り、
「お前は一体、何を考えているんだ。」と一喝すると、シレっとした顔で無視。
そうか、それだなと瞬時に理解した私は、シャカシャカ耳障りなイヤフォンを引きぬいて、
「もう一度言うぞ。お前、無茶苦茶だぞ。立ちなさい。」と叱りつけても目を合わさないどころか、どこ吹く風。
初老の女性から、「あの、もういいですから、、、すいません。」とたしなめられ、次で降りる駅だったのでドア付近に移動。
目的地の駅名を車内アナウンスが告げ、地下鉄が止まり、ドアから降りようとしたその時、私の右大腿部に走る、鈍い痛み。
「な、なんだ??」と振り返ると、そいつがわざわざ降り際を狙って蹴りを入れに来てくれているじゃありませんか(怒)
瞬時に血が沸騰しつむじから蒸気が上がりかけるも、先方との約束があったため、一瞥をくれただけで、拳をぐっとしまいこみ、教育的指導を断念。
20年前なら、ネクタイ掴んで引きずり出していたのに、、、、と丸くなった自分に嘆息をつきながら、スラックスについた靴底の跡に再び怒りがぶり返すも、ハンカチで拭い取ってクライアント先に向かいました。
ちなみに3年前のメタル親父大暴れは、あくまで受動的かつ防衛行動ですので。。。。
これが、この日、最初のキ印との遭遇。
そして、午後、名古屋駅地下街を移動中、前からなにやら挙動の怪しい眼鏡の銀行員風(真面目そうという意味です:汗)な中年男性を発見。
どう挙動が怪しいかといいますと、暖かくなったここ最近、明るい春もののフワフワして丈が少し短くなったスカートの若い女性とすれ違うたびに、腰を少しかがめて、目でずっと追っているのです。
しかも、なにやらブツブツ言いながら歩いている様子。
私の少し前を歩くのは、これまた脚線美をしっかりと誇示したレザーのミニとブーツの女の子。
そして、そのおっさんとすれ違った時、おっさんは腰をぐっと下げながら、厳しい顔でこう言いました。
「下から、見ないかん。」
そうです、私は聞いてしまったのです、そのおっさんの、いや、世の男性の心の叫びを・・・・
そして、その女の子を目で追いながら、「また、もうちょっとだわぁ。」と残念そうに言い残して、ブツブツ言いながら歩き去って行きました。
これがこの日、2番目のキ印。
大トリは、帰宅途中のまたしても地下鉄。
運良く座れた私は、文庫を開いて読みふけっていると、とある駅から乗り込んでくる数人の乗客に混じって、大きなリュックサックを背負った、朝と同じく20代と思しき兄ちゃんが、私が座っている前に立ち、支柱につかまりました。
大人しそうなこの兄ちゃんに、「やっと平和に帰れる。」と胸をなでおろしたのも束の間、突然、その兄ちゃんが、
「なんで、ダメなんだ。」と私に向かって話しかけてくるではありませんか。
「????」と面食らい、顔を上げると
「どうして許してくれないんだ。」と再び訴えかけてくる兄ちゃん。
許すも許さないも、面識があるとはとても思えない、初見の兄ちゃんに、唐突に許しを請われ、
『な、なんかしたか、俺??』と今までの罪深き人生の記憶の糸を手繰っていると、目は私を見ているようではなく、大きな独り言のよう。
『もう、今日は、こんなんばっかり・・・』と少しうんざりしつつも、害はなさそうでしたので、変に刺激しないように、そのまま文庫を開いていると、再び、
「いけないことなんて、何一つもない。」と彼。
周りのOLさんも顔をしかめて、少し距離を取り始めています。
「誰も分かってくれないんだ。」「一つも間違っていないのに。」「クソ、クソ、どうしたら・・・」
と思い詰めたかのように、たたみかける兄ちゃん。
私も読書どころではありません。
引いていた近くの乗客達も尋常ならぬ雰囲気に、少し気がかりな様子。
「う、く、くくくく、、、」と絞り出すように唸り、しばらく沈黙した後、
「そんなに悪いことなのか、、、、神がそう決めたことなのか、、、、、、、」と彼。
『だから何が??』(乗客一同)
そして、一呼吸置いた後、ついに核心に触れる一言が彼の口から放たれました!!
「なんで悪いんだよぉ、、、、、、、、、兄妹ってことがっ!!」
『一体、なにがあったぁぁぁぁぁ!!!それだけはダメだぁぁぁぁ!!!!』『』(乗客一同心の叫び)
周りの関心を引くだけ引いた後、衝撃の事実を告げると、貝のように黙り込み、それからむっつりと何も言わなくなりました。
この彼がこの日最後のキ印。
早朝のバスの爽やかな経験から一転、その後、立つ続けに痛い人たちに巻き込まれ、感動、怒り、呆れ、そしてミステリーとある種得難い経験をしたこの日。
日常のどこにでもある、ひょんなことから被害者にも加害者にもなり得る空間。
袖振り合うも他生の縁とは良く言ったもので、「お互いさま」と寛容し、自分の振舞いを戒めるのが良識というもの。
それでも、ホームから落とされる縁は持ちたくないので、結局、君子危うきに近づからずなのですが、望まずとも接近された時はどうしたらと思いを巡らせながら、うっすらスラックスに残る靴底の跡が目に入り、再び拳を握らずにはいられない未熟な自分だったりします。。。。
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My Life | 日記
Posted at
2010/03/26 15:54:42
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