2022年11月17日
【血で血を洗う後編】打ち上げ、そして、仁義なき黒歴史暴露大会へ
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我々は完全に油断していた。
四半世紀が経とうとも、うちのバンドのファンファンになろうとも、カーストの序列のまま、彼女たちの本質は、いつまでもQueenBeeであり、我々の根っこはGeekなのだ。
アルコールが入った穏やかな場の雰囲気を作り、我々の警戒が解けるのを見計らって、捕食者の牙を剥いた。
そして、この後、スクールカーストに君臨していた彼女達の情報収集能力は、Mossadも驚くべきレベルだということを思い知ることになったのだ。
しまりのない顔で、チューハイを傾けるKに対し、突如、
「K君さ、S野さんと付き合ってたでしょ、内緒で。」とブッコみ、
「そ、その話、もういい加減、やめて、、、」幾度となくこすられたネタに、割と本気で嫌がるKに、さらに、
「キスすると赤ちゃんできるから、しないって言って別れたんだよね。」
「で、S野さんに自分で作った歌、録音したテープ渡したの、私たち、聴いちゃったんだよね。」
と、間髪入れず、Kの半壊したメンタルにクリティカルなダメージをくらわし、
「その歌、クラウドに保管してあって、いつでもUPできるみたいよ。」とのダメ押しに、
「それは、、ダメ、、おふぅう」とKが静かに沈んでいくと、
次に、
「M君って、ほら、DuranDuranみたいな作詞したくてさ、なんか、詩とイラストが書いたノートを、、、」
なんてことだ。
そのノートは、ごく限られた当事者しか知らない最高機密かつ我々ですら触れることの許されない『特級呪物』じゃないか。先ほどのKの自作テープは、かなりの人数が聴いたことがあり、痛さやインパクトはもはやそれほどではないが、こればっかりはモノが違う。
その一ネタで、Mの人生5回は吹き飛び、子々孫々まで肩身の狭い思いをする黒のコアを持ち出すとは、まさに鬼畜の所業。
「ちょっ、と、、、、、、、いや、、や、めろ、、ください。」と激しく動揺するMに、
「K織に渡してたよね。」
「は、はぁぁぁぁ~ん」自らの恥部から目を背けるように、Mの視線が空中へと泳ぐ。
「実は、私たち、K織から相談されてたの。ちょっと、、、ううん、かなり無理って。」
「ねー♪あ、画像見る?」とハモる二人の無慈悲すぎる追撃に、黒歴史のセントラルドグマを深く抉られ、ゲシュタルト崩壊を起こしたMは、
「は、はべ、べべぶべ、、、べべ、、」と振動音らしき擬音を口から発して機能停止。
当然のことながら、最後のターンは私だ。
ウーロン茶の水面が細波立っている。
テーブルが揺れているのか、、、、いや、震えているのは自分の腕だ。
アルコールが回り切り、トロンとした4つの瞳がこちらに向けられる。
右手で髪をかき上げながら、空いた手でグラスを飲み干し、彼女の一人はこう口にした。
「V君さ、私のこと好きだったでしょ?」
「へ?、、、いや、、、な、、今頃、、」
「だって、小5の時、そう言ってくれたじゃん。」
すると、もう一方が
「え?私のことが好きだったんじゃないの?」
「は?え、え?何?何これ?」
「忘れたの?それを信じて、旦那と別れて来たのに、ヒド過ぎ、、、」
幼い頃の記憶の中に、心当たりは、、、、ある、、、だからこそ始末が悪い。
まさかこの2人と一緒に昔話をしながら飲むことになるなんて全く予想してない上に、そんな紅顔のみぎりの頃を蒸し返され、両方から詰められるなんて、常軌を逸している。
言葉に窮する私に、示し合わせたかのように、彼女達は共闘態勢に入り、
「どういうこと?皆に好きって言ってるってこと?そんなの絶対に許さないっ!」
など、酒の勢いもあって、こっちの言い分はすべて無視し、いかに私の言動が彼女たちを傷つけたか、その後、悪い男たちに引っかかったのも全部、私の責任にさせられ、体だけが目当てだっただの、DNA鑑定をしたいからズボン脱げだの、あることないこと綯交ぜにして、ゲラゲラ笑いながら、散々、肴にして弄ばれてしまったorz
すると、さっきまで機能停止していたドラムのMが突然、会話に割り込み、
「ううん、こいつが好きだったのは、ミナちゃん。」
と、とんでもない燃料をぶち撒いたせいで、完全割り勘のはずが、彼女たちの分は私持ちに。
その後、鉄の紳士協定はあっけなく破られ、Mはエッ〇な本をガンプラのケースに入れ、お気に入りのものはシャアザクの箱に隠していただの、同じ先輩から彼女を2人連続で略奪したあげくに後輩にNTRされただの、Kは、夜の名古屋空港の土手で「アハァン♡」なことをしようとして職質を受けただの、元カノが忘れられずに毎晩家の前まで行ってただの、雑居ビルの最上階から順に大人のお店をハシゴして体調壊して次の日仕事を休んだだの、ヘタレメタラーは、バイト先での下ネタが過ぎてエロエ〇大王と呼ばれ、コマ劇場前で酔いつぶれて新宿二丁目に迷い込み、朝方未明に、営業後の髭の剃り跡が青々としたお姉さま(♂)にお持ち帰りされかけただの、バンドメンバーの間で、ノーガードで斬り合う血まみれの暴露合戦が開始され、女性陣は笑い転げておりました。
ただ、本当にヤバいカミングアウトはギリギリ避けつつ、お互い致命傷にならない程度にやり合えたのは、カースト上位の理不尽をやり過ごすために、Geekで培った知恵だったのかもしれない。
「あー楽しかった。ご馳走様です♪」と満足そうな彼女達をお見送りし、ライブの反省会は幕を閉じ、メンタルにたっぷりと生傷を負わされた我々は、鉄の紳士協定を再締結し、夫々の帰路についたのだった。
※今回の反省会の総括
我々の過去を知り過ぎた人物が複数人、特にスクールカースト上位だった女子が参加する飲み会において、バンドメンバーの誰かが不利な状況に陥った時には、絶対に裏切らず、味方になること。それでも孤立した場合、パルプンテもしくはメガンテの詠唱を妨げない。
また、エ〇チな本の隠し場所は、ガンダムのプラ箱よりもボトムスの方がベター、名古屋空港の土手では寝っ転がらない、歌舞伎町で酔いつぶれて2丁目に迷い込んでいけない、それで抜き差しならなくなったときは、ワ〇リンかオ〇ナイン軟膏を用意すること、そして、お互いの黒歴史は抑止力としてのみ使用し、一切の報復行為は禁止。ただし、面白ければ全て良しとする。
以上、ライブの反省会でした。
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M3とお姉さま達 | 日記
Posted at
2022/11/18 19:32:36
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