2023年04月03日
変態の萌芽
RANDYの病気が発覚する1ヶ月ほど前。
この春より社会人になる息子が、通勤用の自分の車は自分自身で選ぶと意気込んでいたものの、一向に決まらず、おまけに、私が色々言いたい雰囲気を察して、候補すら教えてもらえなくなってから約2週間が経過。
GRスープラを目標に、最初はお値打ちなコンパクトカーを慎ましく乗って貯金をすると聞いて以来、全く、その後の情報がシャットアウトされ、胃酸がこみ上げてくるほどヤキモキする私に、
ようやく、「車、決めたよ。」と食卓に着くなり口を開いたのが、3月初旬の夕食時。
その唐突な報告に、お茶を気管に流んで誤嚥しかかるも、
「う、、ゲホ、ゲホ、、、お、おお!で、どれにしたん?」とあくまで平静を装い、聞いてみると、
「何だと思う?」車好きなら当ててみろと言わんばかりの挑発的な息子。
「え!?まず、確認だけとコンパクトカーなんだよな、国産の。」
「そうだよ。」
「スイフトはないって言ってたから、、、、イグニスとか?」
「違いまーす。」
「う~ん、、、CH-R??いや、マツダ3か、、、、」
「どっちでもありませ~ん。」
くっそぉぉぉぉ、、、なんだそのドヤ顔、腹立つなぁ、、、、、
しかも、よりにもよってコンパクトカーは一番苦手なジャンルじゃねぇか。
「メーカーだけ教えて。」
「ダメ。父ちゃんなら分かる、絶対に。」
「はあ??」
いやいや、そりゃ片っ端から車種を挙げていったら、いつかは正解にたどり着くんだろうけど、車好きの端くれとしては次ぐらいで当てたい。
「うーんとね、父ちゃんがめっちゃ大好きなポイントで選んだ。」
私が大好きなポイントと言えば、ピリリと辛いホットハッチ。
であれば、高出力な内燃機関を積んでいるということ。
「まさか、スイフトスポーツ?」
「今さっき、自分で言ったじゃんスイフトはないって。」
「それもそうだ、、、えー、あと、走りが良いコンパクトって、ジュークのターボとか??」
「残念!!」
「ごめん、分からん、、、、教えて、、orz」
と車種すら当てられず、完封されて白旗を掲げた私に、
「ふふふふ、、、、、日産だよ。」とまだ小出しにして勿体ぶる息子
「ん?ホットハッチ、あったっけ?」
「うん。日産のノートにした。2代目のヤツ。」
「ああー、、、って、え?ノート?マーチのニスモじゃなくて??」
ノートと言えば、E-power。ガソリンエンジン大好きな私がそれを当てられるはずがない。
「確かに、E-Powerの走りはいいみたいだけど、熱盛ポイントがあまりないような気がするんだけど。。。」
「は?父ちゃん知らないの??」
「何が??」
「ノートのDIG-Sってグレード。」
「あ、、、何か聞いたことある。」
「聞いたことあるとかじゃなくて、HR12DDRだよ!ミラーサイクルにスーパーチャージャーついちゃってんだよ!!!」

「な、なにぃぃぃぃぃぃぃ!!!!ミラーサイクルといえばスカイアクティブ、その上、スーチャー付きといえば、懐かしのユーノス800やないかい!!!」
2代目ノートはE-powerのイメージしかなく、そんなイカツイグレードがあるなんて、恥ずかしながら不明にして、知りませんでした。
早速、スマホで検索しようとすると、堰を切ったように早口で捲し立てる息子。
※以下、非常に鬱陶しいので読み飛ばしていただいて結構です。
「父ちゃん、HR12DDRってのはね、HR型式の1.2リッター、DOHCにダイレクトインジェクションとRoots式のスーパーチャージャーの頭文字を取ったもので、エンジン型式でスーパーチャージャーのRがつくのは、マーチスーパーターボのMA09ER以来。量産エンジンのミラーサイクルは日産初。いわゆる圧縮行程で、吸気バルブは開きっぱなしにして充填効率を上げつつ、直噴化してエンジンの圧縮比を12.0まで高めて、気化熱で燃焼室内の温度を下げながらノッキングしないようにしているんだよ。ま、その分、カーボンデポジットが起きやすくなるデメリットがあるんだけどね。
その上、吸排気に油圧式のVVTまでついて、外部EGRや徹底したフリクション対策も抜かりがなく、水素フリーDLCコーティングをバルブリフターやピストンリングに採用し、 鏡面加工をカムシャフトとクランクシャフトに実施、 可変容量オイルポンプ、ビーハイブスプリング、真円ボアなども採用してて、多くのフリクション低減技術を採用することで、HR12DEエンジンに対してフリクションを10%低減でき、ECOモードOFF、つまり通常モードでは、過給する状況に至らなくても1000〜1600rpmの領域でSCの電磁クラッチをつなぎ、過給しない状況では空回りすることと、つまり、電動のON/OFFクラッチを備え、街中での穏やかな運転領域では過給をカットするなど、ドライバーの加速意図に応じてONとOFFを効率よく制御することで、優れた燃費性能と、高い加速性能を両立できていて、エンジンは通常はNAミラーサイクルで走り、ECOモードをONにした場合は、基本的にNAで、キックダウンスイッチが入った状況でのみ、電磁クラッチでSCをつなぎ、過給。それによってJC08モード燃費は24.0〜25.2km/Lと高性能と高燃費を両立したのさ。
さらに、アイドリングストップシステムでは、CVTの副変速機を利用した内部ロック機能で、6%程度の坂道でもクルマが下がることなくエンジンを再スタートさせることが可能で、また、エンジン停止時のクランクシャフトの位置を正確に計測することと直噴システムの特性を活かして、エンジン再始動時間の短縮も図っているんだ。
(中略)
そもそもマツダのユーノス800やミレーニアの2.3Lが失敗したのは、販売チャンネルの問題もあったけど、今みたいな直噴技術がなく、また、可変バルブタイミングのような緻密な制御ができなかったこと、それに張り切ってめちゃくちゃ高価なリショルム・コンプレッサーを採用したことで、高級車にならざるを得ないことにあると思う。その後、ハイブリッド車の登場、EVへの流れの中で、スカイアクティブとして生き残ってはいるものの、それはあくまで燃費に振った技術であって、スーパーチャージャーを搭載して燃費と走りを両立させようとするモデルまでは生まれてこなかった。
(中略)
エンロンやリーマンショックによる世界的不況により開発費が縮小されたこともそうなんだけど、そもそもケインズによると2%の金利と公共投資により経済を底入れしなければならないところをバブルからの低金利、そして、民主党政権によるデフレターゲットが暗い影を落とす中、ゴーン体制で息を吹き返した、技術の日産の面目躍如という訳。あと付け加えるとしたら、VWでのツインチャージャーは機構的に複雑で高コストかつ信頼性が、、、、、
(この後全部省略)
・・・ということ、分かった?」
「あ、、は、はい。。。」
「一応、純正フルエアロでアルミ付きのグレードにしたから。スペックとかは、ググっといてね。」
と言うだけ言うと、自室へ戻って行ったのでした。
でもって、3月末日、エアロパーツで武装したスポーティな極上車が無事納車され、一緒にドラレコや外付けメーターを装着したり、給油に同行したりして、スーパーチャージャーの力強い加速の片鱗を感じさせてもらったりしましたが、その間も喋りっぱなし(汗)
今週末は彼女とドライブに行くとのこと。
車好きに育ったのは、まあ良しとして、もし、迎えに行った彼女の目の前でボンネットを開け、その後、ナビシートでげんなりする彼女のことをお構いなしに、ECOボタンのONとOFFを繰り返しながら、呪詛のような蘊蓄を延々語ってしまわないか、ちょいと、いや、結構心配な親心です。
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Posted at
2023/04/03 14:09:11
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