2022年12月27日
クリスマスイブの大雪で、家の前の坂をスタッドレスでも登ることができず、数年来となる仕事に大穴をあけてしまい、そのフォローがようやくひと段落つきつつあるFlyingVでございます。
さて、実話成分多めに虚実綯交ぜにした不定期連載のこのシリーズ。
前編は諸々の事情により削除しまして、楽しく読んでいただいている方が存在しているのか疑問ですが、一応、年内に終わらせておかないと気持ちが悪いのとみんカラのモチベが少しでもあるうちにと、書き溜めていたものをUPしておきます。
年末お忙しい時のお目汚し、お暇でしたらどうぞ。
==========本編===========
岐阜でのキムタクコラボライブが無事終わって、キーボードを入れようと決まり、バンドの第2回忘年会(焼肉)で、その候補を連れてきた時のこと。
私の知り合いの中で一番鍵盤が上手いのが、以前、ブログに書きなぐった、かつての教え子でもあり、医大に通う女子大生(倉科カナ似、以下「カナ」とします。)
試しに、「メロスピ&様式美メタルバンドのキーボードやってみない?」と声を掛けたところ、「是非!!」と予想外にやる気だったので、メンバーと初顔合わせのため、忘年会に来てもらうことに。
ただ、バイトが遅くなるため、来られるかどうか分からず、男4人でむさ苦しくスタートし、酒が入り、カナのことなどすっかり忘れ、頭の中が男子中学生に戻った我々が、稲中レベルの卑猥なネタで盛り上がっていたところに、何の前触れもなく、カナが現れて、油断していた私の横にシレっと腰掛たものですから、私以下全員がパニくり、チューハイをこぼすわ、椅子を倒すわ、お店の人が気を使って、おしぼりやら持ってきてくれたのですが、動揺収まらず、カナが脱いだコートを受け取り、そのまま羽織ろうとするベーシストと何故か生肉片手にスマホでそれを撮影するドラマー(汗)
「V先生、全然電話出ないんだもん!いい加減、ラインやってくださいよ、もう!!」
と膨れるカナに、
「ごめん、全く気が付かなかった。。。。」
机に置いたスマホを見ると、確かに着信が2件とSMSが入っている。
「改めまして、○○大医学部4年のカナです。遅れてすいません、よろしくお願いしま~す。」との年の割に場慣れした挨拶で、忘年会は仕切り直し。
突然のJDの参加に、テストロテンを噴出させる、私を除くおっさん3人。
前回の忘年会とは打って変わって、カナを中心にちやほや包囲網が形成され、私はすでに蚊帳の外。
あの時は、ベルセルクのゴッドハンド二体を前に、贄として捕食される側だったのが、この日、うら若き女子大生が来た途端、捕食する側に回るとは、なんという変わり身の早さ、そして、悲しいほどの男の性。
アルコールが入り、大脳旧皮質が剥き出しになったおっさん3人は、まず、結託して、私を会話から退場させることから始めた。
「Vさ、奥さん知っているの?カナちゃんのこと?」と突如ぶっこむドラマー。
「いや、別に生徒の一人だったし、特に言う必要もないかなと。」本当のことだ。
「V先生の奥さんの話聞きたいです!!」と食いつくカナ。
「高校の同級生で付き合い長くて、こいつの一目惚れからずっと好きだったんだよ。めちゃくちゃ可愛いよ。」とシンコぺ気味にのたまうベーシスト。
さすがリズム隊、ライブもそれぐらい息ピッタリ合わせてくれるとありがたいのだが。
「そうなんですか!全然そういうお話されないんで。へ~奥さん同級生で可愛いんだ。」
何か含みのある反応をみせるカナに、私と嫁の関係を暴露し、無事、自分たちのターンの持っていくことに成功したおっさん3人のリビドーはさらに加速し、
「カナちゃん、どんなのがタイプなの?」
「私、年上じゃないとダメなんです。」とあざといレスにまんまと釣られ、
「お、俺、今独身なんだ。」と離婚して唯一独身のベーシストが身を乗り出し、
イニD好きのカナが「RX-7に乗りたい!!インプレッサも好き♪」との話になると、
「今度、これに乗せてあげる。」とボーカルが自慢のWRXの画像をスマホで見せ、
「バンドでライングループあるから、ライン教えて。」とドラマーがどさくさにスマホを差し出す始末。
そんなカナの話術にホイホイ乗せられたおっさん達は、
「今、彼氏いないの?」
「いませんよ~クリぼっちなんです(泣)」の言葉に一斉に色めき立ち、
「大丈夫、俺がサンタになる!」
「個人練しよう!」
「イタリアンでいい?このお店どう?」などなど、ガッツき始める様子を、私は冷ややかな目で眺めていたのでした。
そう、こいつらは知らない、、、カナの本性に。
こうして私がトイレに行っている隙にお会計となり、「おいくらですか?」とカバンを開ける彼女に、「いいからいいから」とカッコつけたいおっさん達から万札が次々差し出され、結局、カナどころか私もご馳走になってしまう事態に。
店を出ると、「先生、今日、お車なんですか?」とカナ。
「うん、仕事だったからね。」
「てことは、あの車ですか?」
「そう、M3。」
「やったー!!」
「先生、俺もー!」と声を揃える逆方向の酔いどれおっさんたちは捨ておくとして、
「じゃあ、隣の駅までね。」とコインパーキングに停めたM3に向かうと、そのまま放置しておいたら、翌朝、パトラッシュに連れられてアスファルトで冷たくなっている勢いで酔っ払っていたボーカルが目に入り、ついでに乗せていくことに。
助手席に腰掛けるカナと後部座席にはトドのごとく横たわるボーカル。
それでも、私が駐車料金を支払っている隙に、ちゃっかり自分の電話番号をメモして渡している辺り、本当に酔っぱらっているのかどうか怪しいレベル。
「先生、私、名駅まで行きたいんですけど。ダメですか?」と上目遣いのカナ。
「無理。そもそも方向全然違うし、高速乗らないといけない。」
「え~、、、、やだやだ、、、だったら髪の毛落としちゃおうかな。」
「お、おい、それはやめろ、、冗談でもそういう事したら人間として絶対にあかん、、、、」
「しぇんしぇい、、、ゥオ、レェも名駅まで、、、、」と後部座席の酔っ払いも調子がいい。
「もう、しょうがないなぁ、行くよ名駅。」
「わーい、先生大好き~」「オ、オェも大ちゅき~」と心にもない言葉が飛び交うカオスな車内空間のまま、夜の繁華街にS55を響かせ、道中、カナの近況を聞きつつ、後部座席の酔っぱらいのウザ絡みを躱しながら、名駅に到着。
「ありがとうございます。」とM3から降りるカナに、別人のように打って変わってしゃんとしているボーカルがその横に。
「あ、、、あれ!?まあいいや、おやすみ。スコアと音源はすぐに渡すね。」と伝え、一抹の不安が頭をよぎるも、M3を高速へと乗り入れました。
その不安とは、、、、、このボーカルはじめメンバーがカナとの間になにかあって、バンドを破綻させること、、、、
ではなく、カナが男心を弄んで喜ぶ、ドS気質だということなのです。
その翌日、ボーカルから、ラインで予定を組みたいから、カナの連絡先を教えて欲しいとのメール。
ベーシストからも、クリスマスイブに個人練を約束したから、連絡先を、、、、以下同、
ドラマーも打ち込みが必要なので、連絡先を、、、、などなどそれらしい理由をつけていまして、それもこれも、全部、あの飲み会で、頭の中に、どぶろっくの『♪もしかしてだけど、もしかしてだけど~♪』が流れ出すよう、彼女に仕向けられたから。そしてラインや電話番号などは簡単には教えずに、上手くはぐらかすのも彼女のやり方。
チョロ過ぎるおっさん達は、一見、ピュアで可愛らしい雰囲気、医学部に現役合格する頭脳と恋愛偏差値の高さ、医学界きっての家柄と経済力、そしてハンニバル並みのサイコパスと呼んでも差し支えないひん曲がった性癖の、彼女の掌の上で見事に転がされ、その結果、バンド内に不穏な空気が流れ始めたのでした。
そして、なによりも、彼女は、私に貧乏くじのような役目を押し付け、軋轢にはまり込んで苦心する様子を観察し、ほくそ笑んでいるに違いなく、来年のスタジオでの音合わせで、破滅の不協和音が鳴り響かないことを祈らんばかりなのです。。。
Posted at 2022/12/27 10:30:33 | |
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M3とお姉さま達 | 日記
2022年11月17日
前編はこちら>>>
我々は完全に油断していた。
四半世紀が経とうとも、うちのバンドのファンファンになろうとも、カーストの序列のまま、彼女たちの本質は、いつまでもQueenBeeであり、我々の根っこはGeekなのだ。
アルコールが入った穏やかな場の雰囲気を作り、我々の警戒が解けるのを見計らって、捕食者の牙を剥いた。
そして、この後、スクールカーストに君臨していた彼女達の情報収集能力は、Mossadも驚くべきレベルだということを思い知ることになったのだ。
しまりのない顔で、チューハイを傾けるKに対し、突如、
「K君さ、S野さんと付き合ってたでしょ、内緒で。」とブッコみ、
「そ、その話、もういい加減、やめて、、、」幾度となくこすられたネタに、割と本気で嫌がるKに、さらに、
「キスすると赤ちゃんできるから、しないって言って別れたんだよね。」
「で、S野さんに自分で作った歌、録音したテープ渡したの、私たち、聴いちゃったんだよね。」
と、間髪入れず、Kの半壊したメンタルにクリティカルなダメージをくらわし、
「その歌、クラウドに保管してあって、いつでもUPできるみたいよ。」とのダメ押しに、
「それは、、ダメ、、おふぅう」とKが静かに沈んでいくと、
次に、
「M君って、ほら、DuranDuranみたいな作詞したくてさ、なんか、詩とイラストが書いたノートを、、、」
なんてことだ。
そのノートは、ごく限られた当事者しか知らない最高機密かつ我々ですら触れることの許されない『特級呪物』じゃないか。先ほどのKの自作テープは、かなりの人数が聴いたことがあり、痛さやインパクトはもはやそれほどではないが、こればっかりはモノが違う。
その一ネタで、Mの人生5回は吹き飛び、子々孫々まで肩身の狭い思いをする黒のコアを持ち出すとは、まさに鬼畜の所業。
「ちょっ、と、、、、、、、いや、、や、めろ、、ください。」と激しく動揺するMに、
「K織に渡してたよね。」
「は、はぁぁぁぁ~ん」自らの恥部から目を背けるように、Mの視線が空中へと泳ぐ。
「実は、私たち、K織から相談されてたの。ちょっと、、、ううん、かなり無理って。」
「ねー♪あ、画像見る?」とハモる二人の無慈悲すぎる追撃に、黒歴史のセントラルドグマを深く抉られ、ゲシュタルト崩壊を起こしたMは、
「は、はべ、べべぶべ、、、べべ、、」と振動音らしき擬音を口から発して機能停止。
当然のことながら、最後のターンは私だ。
ウーロン茶の水面が細波立っている。
テーブルが揺れているのか、、、、いや、震えているのは自分の腕だ。
アルコールが回り切り、トロンとした4つの瞳がこちらに向けられる。
右手で髪をかき上げながら、空いた手でグラスを飲み干し、彼女の一人はこう口にした。
「V君さ、私のこと好きだったでしょ?」
「へ?、、、いや、、、な、、今頃、、」
「だって、小5の時、そう言ってくれたじゃん。」
すると、もう一方が
「え?私のことが好きだったんじゃないの?」
「は?え、え?何?何これ?」
「忘れたの?それを信じて、旦那と別れて来たのに、ヒド過ぎ、、、」
幼い頃の記憶の中に、心当たりは、、、、ある、、、だからこそ始末が悪い。
まさかこの2人と一緒に昔話をしながら飲むことになるなんて全く予想してない上に、そんな紅顔のみぎりの頃を蒸し返され、両方から詰められるなんて、常軌を逸している。
言葉に窮する私に、示し合わせたかのように、彼女達は共闘態勢に入り、
「どういうこと?皆に好きって言ってるってこと?そんなの絶対に許さないっ!」
など、酒の勢いもあって、こっちの言い分はすべて無視し、いかに私の言動が彼女たちを傷つけたか、その後、悪い男たちに引っかかったのも全部、私の責任にさせられ、体だけが目当てだっただの、DNA鑑定をしたいからズボン脱げだの、あることないこと綯交ぜにして、ゲラゲラ笑いながら、散々、肴にして弄ばれてしまったorz
すると、さっきまで機能停止していたドラムのMが突然、会話に割り込み、
「ううん、こいつが好きだったのは、ミナちゃん。」
と、とんでもない燃料をぶち撒いたせいで、完全割り勘のはずが、彼女たちの分は私持ちに。
その後、鉄の紳士協定はあっけなく破られ、Mはエッ〇な本をガンプラのケースに入れ、お気に入りのものはシャアザクの箱に隠していただの、同じ先輩から彼女を2人連続で略奪したあげくに後輩にNTRされただの、Kは、夜の名古屋空港の土手で「アハァン♡」なことをしようとして職質を受けただの、元カノが忘れられずに毎晩家の前まで行ってただの、雑居ビルの最上階から順に大人のお店をハシゴして体調壊して次の日仕事を休んだだの、ヘタレメタラーは、バイト先での下ネタが過ぎてエロエ〇大王と呼ばれ、コマ劇場前で酔いつぶれて新宿二丁目に迷い込み、朝方未明に、営業後の髭の剃り跡が青々としたお姉さま(♂)にお持ち帰りされかけただの、バンドメンバーの間で、ノーガードで斬り合う血まみれの暴露合戦が開始され、女性陣は笑い転げておりました。
ただ、本当にヤバいカミングアウトはギリギリ避けつつ、お互い致命傷にならない程度にやり合えたのは、カースト上位の理不尽をやり過ごすために、Geekで培った知恵だったのかもしれない。
「あー楽しかった。ご馳走様です♪」と満足そうな彼女達をお見送りし、ライブの反省会は幕を閉じ、メンタルにたっぷりと生傷を負わされた我々は、鉄の紳士協定を再締結し、夫々の帰路についたのだった。
※今回の反省会の総括
我々の過去を知り過ぎた人物が複数人、特にスクールカースト上位だった女子が参加する飲み会において、バンドメンバーの誰かが不利な状況に陥った時には、絶対に裏切らず、味方になること。それでも孤立した場合、パルプンテもしくはメガンテの詠唱を妨げない。
また、エ〇チな本の隠し場所は、ガンダムのプラ箱よりもボトムスの方がベター、名古屋空港の土手では寝っ転がらない、歌舞伎町で酔いつぶれて2丁目に迷い込んでいけない、それで抜き差しならなくなったときは、ワ〇リンかオ〇ナイン軟膏を用意すること、そして、お互いの黒歴史は抑止力としてのみ使用し、一切の報復行為は禁止。ただし、面白ければ全て良しとする。
以上、ライブの反省会でした。
Posted at 2022/11/18 19:32:36 | |
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M3とお姉さま達 | 日記
2022年11月17日
キムタクと丸被りした岐阜市でのイベントライブも無事終わり、集客のほとんどをキムタクに持っていかれながらも、ライブはそれなりに盛り上がり、その後、至近距離から生キムタクを視認し、彼と同じ空気を吸うという貴重な体験ができた先々週の日曜。

※バンドメンバーが撮影したものです。
そのライブの打ち上げを週末に開催し、ボーカル君だけ都合がつかないためバンドメンバー3名に、ファンファン2名(種別;ホモ・サピエンス・サピエンス 性別:雌 年式:昭和末期)を加えた5名で地元の居酒屋に集いました。
実は、我々バンドメンバーとファンファンは何を隠そう、小中学時代の同級生。
ファンファンこと彼女達は、中学時代、スクールカーストのほぼ頂点に君臨していた、QueenBeeたるイケ女2名。
他の中学にも、その名を知られたキレイどころ。
一人は、スラリとしたモデル体型に大ぶりな瞳と形の良い唇が特徴の、エキゾチックなフェロモンを漂わせ、とにかく先輩たちにモテまくり。
もう一人は、花の名を冠する名前の通り、黒目がちなタレ目と栗色の巻き毛の華やかな顔立ちに、155センチ前後ながらメリハリのある細身に加え、何をするにも仕草があざとく、いかにも男子ウケする反面、女性陣のヘイトをめちゃくちゃ買うタイプ。実際、中学の時、告白された次の日に、上履きを隠されたりしたこともあったほど。
高校に入っても、その二人のモテっぷりは絶えることなく、数多の恋愛を重ねること四半世紀、今や、女盛りを通り越し、地面に落ちる寸前の熟柿、いや、妖艶な瘴気を漂わせるもはや人外の域に。
それに引き換え、我々楽器隊は、中学時代は冴えないスクールカースト底辺のGeek、高校に入ってバンドに目覚めるも陰キャから抜け切れず、恋愛の経験値は村人レベルのまま。
オタクっぷりが垢抜け始めたのはそれぞれが大学に進学してからで、就職、結婚をし、四半世紀が過ぎた頃、モテまくった反動で恋に疲れた彼女達の網に、うっかり引っかかった哀れな羽虫達が我々だったのでした。
とは言え、中学の頃のGeekのままなら、ジョロウグモにパックリいかれたはずが、危機回避本能をとことん磨き、人生の困難から逃げることだけは誰よりも長けた陰キャの3人は、彼女らの毒牙をのらりくらりと交わし、気が付いたら、その二人は、ライブに足を運んでくれるありがたいファンファンに。

で、コロナ禍がひと段落付き、久々の打ち上げとなった、先週末。
私が遅参すると、遠目から見ても関わり合いを持ちたくない、淀んだ空気を醸し出す4人のテーブルが(汗)
良く見ると、ド派手な出で立ちのブラック・ウィドウ2体と何故か正座のおっさん2人の姿がある。
言うまでもなく捕食する側とされる側だ。
「V君、遅いー!!はい、駆け付けイッキ!!!」
入り口付近から、大きな笑い声が響いて来てたので悪い予感しかしなかったのが、15分遅れただけで、完全に出来上がってる。
ベースのKとドラムのMは、私の到着を待ちわびていたかのように、安堵の色を顔に浮かべていた。ま、彼らにとって、生贄が一体増えただけのことなのだが。
差し出されたグラスを手にすると、彼女たちの真ん中に言うがまま着席させられ、そのままウザ絡みがスタート。
私の膝や肩へのボディタッチのオプション付きなのはいつも通り。彼女たちの白い手は、無意識とは思えないほど、入れ代わり立ち代わり、私が抵抗しないのをいいことに、身体のどこかしこを強く弱く、長く短く、絶妙な間隔で、なぞり、押すなどしていた。
彼女たちの昭和の悪ノリを全力でスルーし、岐阜でのキムタクのこと、ライブのこと、近況などをしばし語らい、KとMも相好を崩し、このまましっぽりとした和やかな雰囲気が続くかに見えた。
だが、その甘すぎる見立ては、たちまち、彼女たちの暴挙によって否定されるのだった。
〈血まみれの後編へと続く〉
Posted at 2022/11/17 14:33:23 | |
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M3とお姉さま達 | 日記
2016年06月13日
3年前に書きためていたものながら、読み返していると辛くなってまいりましたので、明日の夜あたりに投稿しようかと目論んでおりましたが、S3のインプレもいい加減しなくてはと思い、一気に吐き出していただきます。
あ、勿論、虚実ないまぜになっておりますので、あくまで読み物としてどうぞ。
長々と続いておりました、『女子大生とM3 Episode1』、これにて完結です。
前篇はこちら>>>
中編はこちら>>>
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ICを降り、Mちゃんの自宅近くまで来たところで、彼女のこれまた唐突な一言に面食らってしまった。
「Vさん、携帯貸して下さい。」
「なにするの?」
「変なこと絶対しませんから。」
「え?え?いや、変なことになるでしょ。」
「大丈夫ですって。えっと、でしたら、R香とA子の携番とメアド、ライン削除してもらってもいいですか?」
「は?何、消すって、、、ま、別に構わないけど。削除っと。これでいい?」
彼女の半ば命令に近い勢いに押されて、考えるより先に、体が言うことを聞いてしまう。
「後、メールも全部。」
「うーん、面倒くさい。。。」
「だから貸してって言ったんです。」
「まあさ、こんなんで、Mちゃんの気持ちに応えられるなら、やるけど。」
「さすが。わたしなんてVさん以外の男の人、全部消しちゃいますから。」
うふふと悪戯っぽく笑うMちゃんは、以前の彼女とはまるで別人のように無邪気に見えた。
「それは絶対に止めた方がいい。」
「もう遅いですよ~さっきやっちゃいました!」
と言いながら、Mちゃんの指先でゆっくりとスクロールする電話帳データには、はっきりとは確認できないまでも、確かに私の他、男性と思しき名前は見当たらなかった。
バイパスからずっと携帯を触っていたのは、メールやラインでもなく、これだったのか。
陸橋下の交差点を抜けると、すぐ彼女の自宅前だ。
M3を停めてハザードボタンに手を伸ばすと、Mちゃんは、心なしか思いつめた表情をしている。
「着いたよ。」
「はい、、、」
「どうしたの?」
「あの、、、もう一つ、ワガママ聞いてもらえますか?」
そう言って、いつになく真剣な眼差しをまっすぐ向けるMちゃん。
「いいよ。」
「Vさん、大人の建前とか、そんなの要りません。
明日でいいので、本当の気持ちを教えてください。絶対、約束ですよ。」
そこに以前のような思わせぶりな素振りは一切なく、
「分かった。」
「本当に、本当ですよ。」
「うん。」
「ね?待ってますからね。」
そう念入りに言うと、こちらに身を乗り出し、倒れこむように今度は正面から身体を預けてきた。
柔らかくしなやかな重み。
耳元で「お休みなさい。」と聞こえたのと同時に
口唇に何かが触れる感触を残し、Mちゃんは、マンションの入口へと消えて行った。
その晩、いつものようにMちゃんの残り香を消臭剤で念入りに処理し、M3にボディカバーを掛けて、余韻に浸りながら床に入るも、別れ際のMちゃんの表情がどうしても頭から離れないまま朝を迎えてしまった。
翌朝、寝不足の頭で昨日の返事を逡巡していると、事務所に着く頃、T先生からメールが入った。
開けると面倒くさいので、昼まで放置していたら、今度は電話が掛かって来た。これもスルーしていると、再びT先生からのメール。
正直、今はそれどころではない。
午前中一杯、頭を悩まし、昼過ぎになって、ようやくメールを書き上げることができた。
が、今度は送信ボタンが押せない。
『本当の嘘偽りの無い気持ち。』
なにも始まらないかもしれないし、なにかが始まったとしても、始まってから考えればいい。
終業時間を過ぎたところでそう決心がつき、送信トレイからメールがサーバーへと吸い込まれて行った。
携帯を閉じ、T先生の用件を片付けるべくPCに向ったところで、携帯から響く、メールが来たことを知らせる着信音。
高まる鼓動を抑え、メールを開くと、
Mail Delivery Systemの文字。
メアド間違えたのかと宛先を確認すると、間違いなくMちゃんのものだ。
サーバーの不具合かと、もう一度、送ってみるも、また、MAILER DAEMONで戻ってくる。
何度試してみても同じことだった。
ドクンと胸が波打ち、次第に膨らんでいく焦りに似た不安。
ラインも消えている。
思い余って、Mちゃんの携帯に掛けたところで、不安は的中した。
「お客様のお掛けになった、電話番号は、現在、、」
頭の中が真っ白になったまま、T先生に電話を入れようとしたところで我に返った。一体、T先生に何を伝えようというのか。
それから今日まで、Mちゃんはじめ、R香ちゃん達から、何の連絡も無いし、こちらからは当然、連絡の取りようも無い。
こうしてMちゃんは、私の前から消えてしまった。
まるで、最初から出会っていなかったように、R香ちゃん達とのデータや痕跡全部を消して。
T先生は、今度は女子大生のローカルアイドルに入れ上げており、相変わらずだ。
そして、送ろうとして届かなかった、ウソ偽りのない気持ちが書かれたメールは、二度と開かれることはないだろう。
この季節、今でもM3のハンドルを握りながら、背格好が似た女性がいると、つい目で追ってしまい、その度に自己嫌悪に陥る。
ただ、時々、S54の乾いたエキゾーストに混じって、ナビシートから聞こえて来る気がするのだ。
「Vさん、このお車、かっこいいです♪」
そう屈託なく笑う、Mちゃんの涼やかな声が。
(女子大生とM3 最終章 『モア・ザン・ワーズ』 完 2013年6月草稿)
次回、女子大生とM3 EPISODE2 に突入予定!?
Posted at 2016/06/14 00:30:54 | |
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M3とお姉さま達 | 日記
2016年06月13日
さて、月曜から失礼しております、前編に続き、中編です。
前車のことでもあり、ブランクが長すぎて、みんカラにUPしていいものかどうか迷いましたが、車に絡むブログなので、まあ良しですね。
推敲も終わり、完結に向け、ご迷惑にならない程度に投稿していきます。
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期待に胸を膨らませつつ、海綿体が膨らまないようハンドルを握り、有料道路へ。
半島の先っぽのとある海岸にM3を停め、砂浜へと降りた。
海風が砂を巻き上げ、コーティングをしたばかりのM3のボディにたちまち張り付き、黄色く烟っていく。
「こりゃ、帰ったら洗車だな。」
一人ごちて、思ったより人気のない海岸を見渡していると、売店に行っていたMちゃんが戻ってきた。
「Vさん、た、大変残念なお知らせです、海開きまだですって。」
なんてことだ。
残念過ぎて一人ジャーマンスープレックスを砂浜にかましそうになってしまった。
ここがもし南米だったら暴動が起き、インド独立運動の最中であれば、あのガンジーですら核武装に走るほどの深刻な事態だ。
こんな理不尽、絶対に許さない。
参議院選挙の立候補届を出し、T先生を海神への供物として人柱にしてしまうところだったが、少し息を切らし、眉毛をハの字にしたMちゃんのいじらしさに、『二度目はないと思え。』と今回だけは海を許すことにした。
後から、『別に海開きじゃなくても水着着られるんじゃね?』と気付いて、畳を掻きむしったのはここだけの話。
日陰にレジャーシートを広げ、そこに腰掛け、凪いだ海を眺めながら、T先生のことをどう切り出すか思案している私と、その横で砂をいじるMちゃん。
波音だけが流れ、沈黙が続く。
すると、Mちゃんのほうから口を開いた。
「待ってますよ、R香、Vさんのこと。」
「え、なにが?」
「今日、お話があるって、R香のことじゃないんですか?」
R香ちゃんは、第2章にも登場したMちゃんと同じ学校に通う読モ仲間で、細面に切れ長な目元が特徴的な、控えめな美人。
第2章の千夜一夜編でのパーティでMちゃんが連れてきたことで知り合い、その後、メールや相談に乗る名目で時々食事をしていたのだ。
「R香ちゃんとは、ただの相談相手だって。」
下心がないなんてことはない。メールや会話の端々に薄々と感じていた。慕ってくれている以上に、私に好意を寄せてくれていることを。
「でもR香は、そういう風じゃないみたいですよ。」
「いやいや、あり得ないよ。」
それは、同世代のガツガツした男友達が子供っぽく見え、ただ経験値が高いだけのこなれた年上の男性が、妙に魅力的に見えてしまう、少し背伸びしたい年頃特有な、一時のエディプスコンプレックスに似た熱病のようなもの。
そこにつけ込むほどロクデナシにはなりたくない。
「それ聞いて少し安心しました。」
Mちゃんは、相変わらず砂をいじりながら、うつ向き加減でいる。
「まあさ、R香ちゃんをそれだけ心配できるなんて、仲良い証拠なんじゃない。」
「あ、はあ、、、仲良しですけど、、、、」
と言い掛けて、口をつぐむMちゃん。
すると、砂の上を小動物のように所在なさげに動いていたMちゃんの手が止まった。
「ちょっとイヤかなって思ったんです。」
いつの間にかMちゃんが足を組み替えて、真っ直ぐにこちらを見据えている。
「確かに、家庭があって、半端なことしたら、誰だってイヤだよね。」
「そうじゃないんです、私がイヤなのは!」
さっきとは打って変わって強い口調のMちゃんに、もはやT先生のアシストするどころではなくなり、
「そんなに迷惑してたとは、本当にごめん。はっきり言ってくれてありがとう。じゃあ、送るわ。」
と腰を上げて砂を払おうとした時、Mちゃんはさらに続けた。
「もし、私がT先生と付き合うって言ったら、Vさん、イヤですか?」
「T先生はそれを望んでいるんだし、祝福すると思うよ。」
「へぇ~、さすが大人ですね。でも私はお子ちゃまなので、言っちゃいますよ。R香とVさんが付き合ったら、イヤなんです!ああ、言っちゃった。恥ずかしい。」
「そうならないから、もういいんじゃない?」
「まだ、言わせるんですか?だ、か、ら、友達だからとか関係なく、Vさんがそうなるのが、、、」
ここまで捲し立てると、Mちゃんは顔を海岸に向け、指で砂を弄り始めた。
脳が圧縮漏れしているんじゃないかってぐらいレスポンスが鈍い私でも、いい加減気が付くというもの。
しかしながら、過去、Mちゃんには何度も同じようなシチュエーションで、華麗に裏切られてきた苦い記憶がアラームを鳴らす。
「なんか、前にもあったよね、屋上でこんな風になったの。あの時、結構、ダメージあったから、今回もまたなんて。」
Mちゃんの度重なる仕打ちに、すかさず予防線を張るのを忘れない私。
「ほんと、ごめんなさい。わたし、ひど過ぎですよね。許してもらおうとかじゃなくて、ただ、、、、」
少し水平線に近づき始めた太陽から強めに吹いて来た汐風が、Mちゃんの髪をそよがせ、ほんのりと彼女の香りと磯の混ざった空気を運んで来た
「まあ、お気に入りのおもちゃが誰かに取られちゃうとか、そんな感じでしょ。家庭持ちだし。」
「私、家庭とかあまり気にしませんよ。」
大事なことをさらりと言い放つMちゃん。
はにかんだ笑顔が壮絶に可愛い。
「こういう距離感でいたほうが、いい関係でいられるって。」
「ヤダな、大人って。」
と言いながら、言葉とは裏腹に、座ったまま身体を預けてきた。
肩に腕を回すと、横顔から覗く勝ち気な瞳には傾いてきた夕日が映っている。
「帰ろう。」
Mちゃんは私の手をM3のシートにつくまで離さなかった。
(女子大生とM3 最終章 モア・ザン・ワーズ 後編に続く)
Posted at 2016/06/13 18:24:00 | |
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M3とお姉さま達 | 日記