2022年08月04日
すいません、心底どうでもいいことを前回、前々回と書きつらねておりまして、皆様においてはお目汚し極まりなく、五体投地でも謝罪し足りないない心持でおりますFlyingVです。
ここまで来たら、最後までUPして後始末するのが責務と心得、期待値ゼロでご覧いただければ幸甚です。
【とある酔いどれチー牛メタラーの独白 後編】
「こ、ここからは、口に出すのも、あまりに恐ろしい、、、、
ちょっと、シラフじゃ何だから一杯ひっかけながらでもいいか?
あー、、、よし、じゃあ、続きを始めようか。
そう、あの時、俺は牛丼を食べ終わり、席を立とうとした時、左目がやけに熱いことに気が付いた。
最初は、メガ肉が顔に付いた時、ツユでも入ったのかなぐらいに感じてたんだ。
紅生姜と七味が浸かっていたぐらいだから、多少の刺激は分かる。
だが、今、尋常ではない熱さになっている。
俺は店内のトイレで念入りに顔と目を洗った。
すると、何事もなかったかのように、さっぱりしたんだ。
鏡で目の中を見ても、異物は入っていない。
うん、大丈夫だと、店を出て、夜明け前の澄んだ外気の中を進んでいるうちに、再び、左目の中で、熱さがどんどんこみ上げてきた。
それとともに、眼球を無数の針で突き刺すような痛みが走り、俺は思わず、
「アアア!!」と叫んで、深夜の青梅街道脇でうずくまってしまった。
やばい、、、何かが起きている、、、涙が止まらなくなった左目を、ヘインズのTシャツの裾で押さえ、途中何度も「アァァーー!」と悶絶しながら自宅へと向かい、左目を開けてられるのも困難な状況になっていったんだ。
途中、痛みに耐えきれなくなり、無意識に体をもたれかかった自販機には、『明るい家族計画』の照明が灯っていてさ、以前、なけなしの1,000円(500円×2)を飲み込んでくれた因縁のヤツだよ。

皮肉なことに、あの時、俺の下半身を裏切ったヤツに、今、下半身を支えてもらってるんだ。
そこからどうやって帰ったのかは記憶にない。
身体をのけぞらせながら階段を上り、片手で開錠し、トイレに駆け込んで、無我夢中で目を洗った。
そうすると、痛みと熱はスッと引いていく。
「はぁ、、、よかった。」
座椅子に腰かけ、ほっとしたのもつかの間、途端に眼球表面が熱を持ち始め、痛みがぶり返してくる。
またトイレで目を洗う⇒痛みが引く⇒座椅子でくつろぐ⇒数分と経たずに眼球が煉獄に⇒再びトイレに駆け込む。
この無限ループを何度も周回している内に、脳内で、藤井隆が躍り出していた。

「ホット、ホット♪」
繰り返し言うが、洗面所の鏡では、なんの異物も視認されなかったんだ。
眼科に行くべきか、いや、今日は必須科目の後期試験がある。
教授のあの冷徹な性格からすると、追試は絶対に通らない上に、これを落とすと、留年V2にリーチがかる崖っぷちだ。
たまらず、アイスノンを左目に当てて、ごまかししつつ、それでも、灼熱の痛みは眼球表面へと容赦なく刺しこみ、反射行動で左目をぎゅっとつぶると、その痛みがスーパーひとし君かハンマーチャンス大成功となって押し寄せ、
「ぐ、あっ、ぐわあああああ!!!」と濁声が響き渡る。
もはや負の確変だよ、これ。
こうなったからには、布団に入って横になり、ひたすら、痛みが引くのを待つしかない。

洗面所に行くたびに鏡の中の左目は大リーグボール3号を投げ込む星飛雄馬のそれよりさらに血走り、何度洗おうが、眼球の上で陽キャたちのBBQパーティーが開催されてしまう。
明らかに、おかしい、、、
紅生姜と七味を載せていたとはいえ、たかが牛丼のツユで、ここまでなるとは、、、
確か、あの店には、長髪を後ろで縛り上げ、すっぴんのビジュアル系バンドっぽい風貌のバイトがいたような、、まさか、レッドホットジャンキーがブレイク間近と知って、俺を亡き者にすべく、謎の化学合成薬物でも混入されていたのだろうか。
いかん、痛みのせいで、妄想も疑心暗鬼も、めちゃくちゃ低レベルだ。
人の頭の中が読めるばかりに、調子こいて村人相手にヒャッハーして、囲炉裏からバチっと跳ねた薪でうっかり撃退された、妖怪サトリの気持ちが初めて分かった気がした。
現在、AM5:00、彼女はまだ寝ている。
留年どころか、ともすると視力を失うかもしれない・・・
眼球の上は、BBQパーティーから花火大会へと移行したようだ。
このまま軍事演習に突入するのも時間の問題だった。
そうこうしている内に、めざましテレビが始まると同時に日が昇り出し、一定周期で悶絶するも、痛みには多少慣れてきたこともあって、冷静に考えた結果、単位を諦めて眼科に行くと決めた。
こまめに目を洗いながら耐え続け、眼科が開く時間近くになったので、髭を剃ろうと、朝日が差し込む窓際の化粧鏡を見た時だった。
鏡の中の、毛細血管が真っ赤に膨張し、うっ血した左目をしげしげと見つめ、なにげなく瞼を裏返してみたのよ。
そしたら、そこに、何があったと思う?
鏡が、息で白くなる距離まで顔をくっつけて観察すると、上瞼の裏に、めちゃくちゃ小さな赤い破片が2個、張り付いているんだよ。
さらに、下瞼を思いきり引っ張り下げると、そこにも1㎜もないぐらいの微細な赤い破片が3個あるんだ!!
いやもう驚いたのなんのって。
マジダで洗面所に駆け込み、シャワーノズルの水流を眼球に当てて思い切り洗い流したら、赤い小さな破片が排水溝へと吸い込まれていくのが見えたね。
そう、俺の左目には、唐辛子の極小の破片5個が入り込んで、凡そ6時間にわたって辛み成分カプサイシンがジワジワと瞼の裏で染み出し、俺に地獄の責め苦を与えていたんだ。
痛みで瞼をぎゅっと閉じると、その圧力で、さらにカプサイシンが放出されるという、まさにメガ肉の呪いというべき悪魔のサイクルが出来上がっていたというわけだ。
洗面所の照明では、瞼の血管が保護色となって識別できなかったのが、太陽光の下で暴露されたんだ。
まさか、こんな微細な破片で、一晩中、眼球を焼かれ、体をよじるほどに悶絶させられていたとは。。。
改めて、その非人道的な破壊力たるや、国際条約で禁止されてないのが不思議だと怒りすら感じたね。
痛みが引き、安心した俺は、そのあと、布団に入ってまどろみ、必修の試験をぶっちぎって、無事、単位を落としたのは、またその後の話。
ま、こんな訳で、弩級のトラウマが刻まれ、俺は、金輪際、牛丼店の牛丼に箸をつけるはやめようと決めた。
な、退屈だったろ?これで話は終わり。さ、もう一人にさせてくれ。」
そう言って背中を向けると、「なんか、最近、若い奴らからチー牛って言われるんだけど、一体なんて意味だ?」と、誰に言うまでもない独り言とともにおぼつかない足取りで繁華街へと消えていったのでした。
でもって、日曜の昼に四半世紀を超えて食した牛丼は、あの時と変わらず、懐かしくも、おっかない味がしまして、子供たちからは、「なんか、目つぶって食べてる!!」と笑われましたが、もちろん、目をつぶって箸を進めたのは、決して、あの時の恐怖からではなく、深く味わうためであることを滔々と伝え、親の沽券を守ったのは言うまでもないという(汗)
ただ、この時、もう一つ、忌まわしき記憶とともに、深く沈んでいった思い出が蘇ってきたのです。
20代の頃、Z31で嫁と東京まで貧乏旅行に行った帰り、節約のため、深夜の1号線で名古屋までのんびり戻る道中、吉野家のあまりの多さに、嫁と一緒に数えた記憶。
途中で嫁は寝てしまい、名古屋まで何件の吉野家があったのは、結局、分からずじまいでしたが、今度はちゃんと数えられるたらいいなぁと、牛丼を頬張る嫁の横顔をチラ見しつつ、再び目をつぶって牛丼を口に運びながら、Z31の助手席でオレンジ色の看板を嬉しそうに数える、嫁の姿と重ね合わせたのでした。
とここまで、長々お付き合いいただきました饅頭怖いならぬ牛丼怖いの結末でした。
Posted at 2022/08/04 15:45:18 | |
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