2022年08月24日
お盆が過ぎ、まだまだ暑い日が続きますが、涼を取ると言えば、そう、人外にまつわる『こわ―い話』
肝試しやお化け屋敷と並び、まんが日本昔ばなしでも、この季節はお化け妖怪話が企画されていたぐらい、一昔前は夏の風物詩でもあった心霊特番は、BPOやら何やらがうるさくなって、すっかりTVから姿を消してしまいまして、個人的にはまっこと寂しい限りでして、、、、
それなら、自分の体験を自分で語ってしまえと、以前、ご紹介した恐怖体験シリーズの第4章でございます。
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・赤いシルビアのI先輩
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何度も申し上げますが、私自身、現実主義かつ理性的なスタンスでおりまして、『怪力乱神の類は、存在は認めるけど信じていない。』との相矛盾した結論に至ったのは、小さい頃から自分が望む望まないに関わらず、そうとしか説明できない体験をいくつかしてきたから。
今回ご紹介するのも、その一つでございます。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー本編ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
大学1年生の夏、久々に里帰りした私ことFlyingVは、中学時代の友人たちと徹マン(一応お断りですが、徹夜でマージャンのことです。)をする約束をしておりまして、
と、その前に、私の実家は、愛知県のド田舎中のド田舎にあり、どのぐらいド田舎かというと、風光明媚と言うには聞こえがよく、実は、未だに土葬の風習が残るような僻地だったりします。
一年が稲作と一緒に過ぎていく、まさに太陰暦のようなここは、春は代掻きした田んぼの水面にカルガモ親子が泳ぎ、初夏には伸び盛りの稲から青畳に似た芳香が立ち込め、秋には、実りの黄金色の風景が広がり、冬には凍り付いた畝が伸びる、見渡す限りの田園地帯。
ある夏の日の夜11時に、古い豪農のツレの実家へとママチャリで向かっていた時のことです。
差し入れのビールを買い込むべく、同じく里帰りした別のツレと待ち合わせたのは約3㎞先のコンビニ。
そう、それは、今日のような、蒸し暑い日の夜でした。
20歳の私は、真っすぐに伸びた深夜の田んぼの細いあぜ道を、秋を待ちわびた気の早い虫の音がそこかしこから鳴き出し、また、それとは別に、得体のしれない動物たちの蠕動する気配がするのはいつものことながら、覚えたての麻雀がとにかく楽しみで、弱虫ペダル顔負けのチャリテクを駆使し、申し訳程度に敷かれだけの荒れたアスファルトの上を疾走しておりました。
そこまでの明かりと言えば、星明りと、ママチャリのライトが照らす前方数メートル、まばらな民家に、今にも消えそうな薄暗い街灯が一つ二つあるだけ。
目が慣れたとはいっても、薄闇が絶えず体の周りに纏い付き、田んぼから立ち上る生ぬるく湿った空気と虫や小動物が醸し出す微かな生物臭が鼻腔に入り込み、実家に帰ってきたことを実感させられる。
頭の中は、未だ見ぬ役満や、かの阿佐田哲也が愛した断么九三色一盃口(タンヤオサンショクイーペーコー)、そして、憧れの『哭きの竜』よろしく、「それ、カンだ。あんた背中が煤けてるぜ。」と裸単騎のまま、嶺上開花して、幻の役満と言える四槓子をツモる姿を思い浮かべ、ひたすらペダルを回していると、どこからともなく、人らしき声が聞こえてくるではありませんか。
どうやら、その人の声らしきものが、進行方向から向かって左側から発しているようで、近所の誰かが、田んぼ近くで話でもしているのかと思い、気にせずにいたところ、会話にしては同じ言葉を繰り返し、こちらに向かって呼びかけているかに聞こえてくるのです。
とは言っても、数十メートル先は、真っ暗。
一体どこの誰なのか、さっぱり見当はつかない。
「あれ?」と思い、チャリのスピードを落とし、注意して聞いてみると、それは低く唸るような大小さまざまな声で、
「V、、、」「V~、、、」「Vィィィ」「・・ブ、、、ブィィィィ」「ぶーいー」と、何度も私の名前を呼んでるじゃありませんか!!
※もちろん、本名で呼ばれています。
見晴らしのいい田舎では、知り合いのおっちゃんが、遠くの方からでっかい声で名前を呼ぶなんてこと日常茶飯事。
声の出どころは、私の進行方向から向かって左側の田んぼか林のどこか。
この時、当の私は、麻雀が楽しみ過ぎて、待ち合わせをしていたツレが、その左側の田んぼ方面からやってくることを思い出し、かつ、無類の酒好きのツレのこと、出発前に一杯ひっかけて酔っぱらったまま、私のママチャリのライトを見つけて、ふざけて名前を連呼しつつ暗いあぜ道をふらふらチャリンコを漕いでいるとばかり思い込み、田んぼに落ちたら大事につき、すぐ先の十字路でチャリンコを停めて、彼を待つことにいたしました。
ぽつんとオレンジ色の薄暗い街灯だけが灯る十字路。
右折して数㎞ほどまっすぐ行けば、待ち合わせ場所のコンビニがある。
周囲は膝ぐらいの植え込みと田んぼ、そして暗闇だけ。
「V~、、、」「V・・・・」「ブ~イ~」
私を呼ぶ声は、依然、遠からず近からず、断続的に低く響いている。
数分が経過し、ツレのチャリンコがもう見えてもおかしくない。
一向に現れないツレの姿に、
『あれ、おかしいな・・・』と首を傾げたその時、
重大な事実に気が付いたのです!!
それは、ツレが来ると待ち構えていた左側の道は、林に囲まれた墓地にしかつながっていないのです!!
『あかん、これヤバいやつや、、、、』と途端に背中が冷たくなり、慌てて、チャリンコを漕ぎ出そうとした、その時!!!
真っ暗闇の中から、目の前で、
「Vさん?」
と、はっきりとした女性の声が、私を呼び掛けてきたじゃないですか!!!!
「あぶぁ、&%@ ¥か *ふべば、、ごはああ、あ、、」
恐怖のあまり、声にならない声を挙げ、一心不乱にペダルをこぐも、背中には、墓地から響いてくる「V~」「ブイー」とした声が張り付いてくる。
どこをどうやってたどり着いたか分かりませんが、待ち合わせ場所のコンビニに着いた時には、その声も聞こえなくなり、過呼吸気味になりながら、駐車場にへたり込んでしまいました。
そこへ、件のツレが、チャリでやってきて、
「お待たせ~。お、なんだ、汗だくだな、徹マン前にそんな疲れてどうした?」と酒に酔っている風でもなく軽口を言うものですから、
「おい、さっき俺の名前ずっと呼んでたよな。」と聞いてみるも、
「はあ?そんな頭おかしいことするわけねえだろ。ていうか、まさか、お前、何かキメているのか、いや、お前の性格からして、やばいメンヘラにでも絡まれてるとか?」と訝しげな顔をするばかり。
「そりゃ、そうだよな~」と納得し、先ほどのいきさつを話すと、
「うへ~、なんだそれ、俺んちの方じゃねえか、怖えよ、マジで。」とビビり散らかしておりました。
で、徹マン会場である古い農家の納屋を改築した一室で、メンツ4人がそろったところで、雀卓を囲み、再びこの話をしたところ、対面になった農家の息子が私の後ろをおもむろに指さし、
「あ、V、お前の後ろのさ、あの髪の長い日本人形、、、動くぞ。」と恐怖のダメ押しをするオプションつき。
徹マンの結論から申し上げますと、私は四暗刻単騎を阻止し、面前清一色三暗刻ドラ2という3倍満を上がるなどし、爆勝ちを果たしたのでした。
果たして、あの私を呼ぶ声は一体何だったのか。
お盆に遊びに来ていた先人たちに、ただ、からかわれただけだったのか。
それとも、もし、名前を呼ばれたあの時に、私が返事をしていたら、、、、、
Posted at 2022/08/24 16:52:01 | |
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アンビリーバブル | 日記