2009年07月06日
すいません、いきなり、みすぼらしい画像で(汗)
今日、思い出の品が一つ旅立って行きました。
それは、メタラーの必須アイテムでもあり、20年前、丁度、高校を卒業したばかりの時、思いっきり背伸びして手に入れたブーツ。
当時、大学受験が終わって後は結果を待つばかりとなった頃、当時付き合っていた彼女とのデート中に「わぁ、かっこいい!!」と彼女がなにげなく口にした一言で、衝動的に買ってしまったものなのです。
当時の定価30,000円、現在の貨幣価値にして、税込み31,500円。。。
これを履いた姿を彼女に見て欲しい一心で、一人暮らしのために貯金していたバイト代をつぎ込み、ほとんど直情的に買ってしまったブーツでしたが、このブーツを履いて初めて出かけて行ったデートが彼女との最後のデートとなりました(涙)
当時、志望校ではない大学への入学を悩んでいた私に、地元の短大に早々と入学を決めた彼女から、「行きたくなかったら止めたらいいじゃん。私が1年間支えてあげるから。」と励まされ、その一言だけを頼りに、目出度く大手予備校に通うこととなった途端、桜が散り終わり、葉がつき始めるのとシンクロして、次第に女子大生らしくなった彼女は、私の誕生日の前日に「そういうの重いから、ごめん。」と告げて、きらびやかな女子大生生活に溶けていってしまいました。
あっけなく裏切られ、感情野が機能停止に陥るほど傷ついた私は、お仕入れ深くこのブーツを仕舞い込み、灰色の浪人生活に突入。
1年後、ようやく志望校に合格し、忌わしい思い出を振り払い、このブーツを再び履くことができるようになり、その後、東京での学生生活と数々のライブを共にし、そして名古屋に戻って来てからも数々のリぺアを繰り返して、大事な用事にはほとんど駆り出していた盟友というべきこのブーツ。
初めての愛車、Z31のペダルを踏みつけていたのもこのブーツです。
しかしながら、、ここ2,3年での痛みが極端に激しくなり、すっかり下駄箱の定位置を陣取ったオブジェと成り果ててしまい、嫁からは「一体、いくつブーツ持ってるの??履かないものは早く捨てなさい!!」とのヘビープレッシャーが厳しくなったここ数日でして、、、
「まだ、履けるから、、、ね??」とごまかしごまかししていたものの、先日、ついに決断の時が訪れました。
今の住まいから新居への引っ越しが決まり、履いていない靴を持って行っても仕方がないは当然ながら、20年という歳月は靴という道具を超越した時間でもあり、これを捨ててしまったら、ある自分を失ってしまうという根拠のない強迫観念に駆られ、どうしても先延ばししていたい自分に踏ん切りがつかないまま、ゲタ箱から引っ張り出した靴を眺めていると、一番よく履いていた20代の頃の思い出が去来し、思わず足を入れてみたくなり、懐かしいそのブーツに足を入れた途端、足底から伝わってきたのは懐かしさのような生易しいものではなく、きわめて現実的な感覚。。。。
すでにブーツとしてのお役目を終え、履物としての寿命をとっくに迎えてしまっていたことが、痛いほど伝わってきたのです。
見た目以上に革が痛み、底もぐずつき、接着部分も脆くなって、もう、あの頃のようにアグレッシブに駆けまわれないこのブーツ。
ゆっくりと足から抜き取り、「ご苦労さま。ありがとうな。」と心の中で声をかけて、ようやく決心がつきました。
最初に出会った時から、私の心を幾度となく踏みつけ、その度に、未熟な心を鍛えてくれたであろう、このブーツ。
共に刻んだ20年分の足跡は、長くもあり短くもあり、そして忘れてしまいたいことも多々あったけど、それも全部、自分だったのだと、飴色に変色した皮の滋味が、まぎれもない自分の一里塚であったことを、確かな質量を伴った実感として未だ足元に残っているのでした。
Posted at 2009/07/07 00:55:50 | |
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My Life | 日記
2009年07月01日
7月1日の朝。
この日、新事業年度を迎える出資先の全社朝礼と会議に参加するため、新しいスーツを下ろし、しっかりと糊が効いたシャツに腕を通して気持ちを引き締め、家を出ました。
梅雨真っ只中ながら晴れ間がのぞくも、ムッと湿り気を帯びた空気が体中に纏わりつき、スーツの上着を脱いで右手に持って、なぜかお鉢がまわってきた朝礼のスピーチを頭の中で反芻しながら、イメージするのは完璧なスピーチを終え、一礼をして颯爽と去る自分の姿。
「よし、バッチリだ。」と仕込んだつかみの鉄板ネタに口元が緩み、そろそろバスが来る頃と、少し早足になると、交差点の向こう側に、まさしく私が乗ろうとするバスの屋根が見えるではありませんか。
このバスを逃したら次は7分後。
到着もギリギリで、ともすれば遅着する危険もあります。
新事業年度が始まる朝礼に、訓示を垂れようとする人間が、まさかの遅着では、なんの申し開きも説得力もなく、「い、いかん!!」と150m先のバス停にダッシュ開始。
『奥歯に加速装置のスイッチがあったらどんなにいいのに。』と石森章太郎ワールドが頭をよぎるも、右手にスーツとカバンを持ったバランス悪い姿勢のまま徐々にスピードが乗り、マックススピードとなった50m近辺で、それは起きました。。。
右足を着けたコンクリート製ドブ板がガタッと動いたと同時に、右足が段差に引っかかってしまい、ぎりぎりのバランスを取っていた体がそのまま前につんのめって、なんとか左足で踏みとどまるも、マックススピードで制御を失った体をそれでも支えきれず、もう一歩右足を出すも、無情にも眼前に近づくアスファルト(滝汗)
脱出用ポッドのようにワイシャツのポケットから射出する携帯。
アスファルト激突まであと、50cm・・・
「こ、コケる!!!!!!」
物理学的に加速度がかかった肉体を止めるには、あまりに非力過ぎるメタラーのへたったサスペンションと固着しかかったドラムブレーキは、あっさりと底付き&フェードを起こして、なんとか受け身だけは取りながら、目一杯アスファルトに抱き寄せられてしまいました(汗)
幸い、アスファルトとのDEEP KISSは回避できたのでメタルの魂、ビジュアル系きもかわフェイスは無傷。
不思議と体のどこにも痛みはなく、転がった体を起して、葉っぱやら払いながら、吹き飛んだ携帯を拾いに行こうとすると、渋滞が起き始めたすぐ横の幹線道路から、「大丈夫か~」とトラックの運ちゃんから声を掛けられてしまい、赤面しつつ、「はい。」と答えるのが精いっぱいでした。
携帯を拾って動作確認をし、時間がタイトになってきたので、タクシーでも捕まえようと、右手にもったスーツを左手に持ち替えようとしたその時、衝撃的な映像が目に飛び込んできたのです(涙)
なんと、今朝下ろしたばっかりの、ジャケットの背中部分がこんなことに(男泣)
受け身を取った右手で、アスファルトにしこたまこすりつけてしまったのでしょう。
がっくりとうなだれ、ふと膝の方に目をやると、なんと、左膝まで破れちゃっているではありませんか!!!
奮発して買った新品のPualSmithが家を出てわずか5分でこんな変わり果てた姿に。。。
そうは言っても、時間は待ってくれないので、涙にくれるのは後回し。
慌てて家に戻って別のスーツに着替え、なんとか朝礼に間に合いました。
もちろん、掴みの話として使わない訳などなく、このことは『鳥の目、虫の目、魚の目』の挿話として折込み、イメージ通り颯爽と朝礼を終えた、、、、はず(汗)
帰宅後、改めて、スーツの惨状に「はぁ~・・・・」と溜息をついていると、
嫁が「全然怪我しなかったんでしょ??スーツが身代わりになってくれたんじゃないの?」と声を掛けてくれまして、
息子も、「そうだよ、きっと。お父ちゃんを助けれくれてありがとう。」と手を合わせている姿に救われた気がしました。
劣化したコンクリートブロックが引き起こした今回のへタレメタラー転倒事故。
社会人となって10数年、スーツを着ていてコケたのは生まれて初めてで、新品のスーツ1本がつぶれたものの、幸い体は無傷で済みましたが、仕事も人生も、自分の歩む道の足元くらいは、しっかりと確認して歩を進めないといかんとのメッセージだったんだろうなぁ。。。
Posted at 2009/07/02 12:07:30 | |
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悲しいとき | 日記