• 車種別
  • パーツ
  • 整備手帳
  • ブログ
  • みんカラ+

FlyingVのブログ一覧

2012年06月12日 イイね!

オイル交換meetsパイクカー

まるで、新しい肌着に着替えた時のような、あの清々しさに似た感覚。
それを味わうにはどれがいいのか、予算とにらめっこしながら、銘柄を選ぶのもまた楽しく、
『航空技術のフィードバック』
『レースフィールドで鍛えられた・・・』
『エステル、PAO高分子配合、突き抜けるような高回転』
などの謳い文句に胸を弾ませ、「ストリートだけだから、これぐらいでいいかもしれないけど、でも、やっぱりいいもの入れたいんだよなぁ。」と、少し無理して一つ上のグレードをチョイスした後、愛車を預けることしばし。
そしてピットから誇らしげに出て来た愛車のハンドルを握ると、嬉しそうなレスポンスと滑らかなフィーリングを伝えて来る様子に、つい口元が緩んで二ヤリとなる自分が居る。

そんなオイル交換の矜持を取り戻すべく、先週末、ようやくM3のオイル交換をしてまいりました。

前回の交換から数えて9ヶ月というインターバルは、オイル無交換記録の最長不倒。

『ガラスの名機S54はオイルマネジメントが命!!』と過去のブログで書いていたとは信じがたいエクストリーム横着ぶりに、ボディカバーをはぐり、バッテリー端子をつなげて、「ごめんなぁ。」とイグニッションを捻ると、「もうないかと思ったよ。」と言いたげにフォン!と勇ましく一吠えし、高めのアイドリングをするM3。

少し暖気したところで一旦エンジンを切り、念のためオイルの量と汚れを確認すると、ほとんど新油のような透明度とサラサラとした手触りは、いくら9ヶ月ぶりとはいえ、刻んだマイレージはたったの500kmとの等閑さの裏返し。
そんな、つれない私を責めるでもなく、「そろそろ行こうよ~」と可変式のレブカウンターを一つずつ消灯するM3にせかされ、向かうは、私の様なディーラーの敷居すらまたぐことが許されない並行輸入車を偏愛するはぐれBMW乗りのメシア的存在、マイスターショップ『TK-Square』さん

E46M3の納車時から、筆舌に尽くしがたい程お世話してもらいながら、M3で乗りつけるのは、約半年ぶり。
しかも事前に予約したわけでもない私の不躾な訪問にも、快く出迎えてくれる辻社長にM3を預け、前回と同じオイルをお願いし、待合室で雑誌を読みながら、作業終了を待つことにいたしました。

と、ここで、TKさんにしては、随分と毛なみが違う車が片隅に置いてあるのを発見。



画像を見て、ピンと来てしまう方、きっと、職場の定期健康診断では、バリウム飲んだりしているお年頃ですね~うふふふふふ(同年代)

そうです、80年代後半から90年代前半まで大ヒットを記録し、社会現象にまでなった日産のパイクカ―シリーズの2台目『パオ』でございます。

入庫していたこのお車、トライアンフのスパルタンさとバンデンプラ・プリンセスのコンサバティブな雰囲気を漂わせるモディファイから、オーナーさんは部類の英国車好きで、そして足元には、ヤングオートでおなじみの懐かしの深リムホイールMK-Ⅱをさりげなく履かせている辺り、世代的には同じぐらいかと勝手にプロファイリングしてしまいました。

そして、保護タオルがかけられたボンネットの下には、TKさんに持ち込まれたからには、RB26かVG30DETTが、、、なんて思ってみたりしましたが、エンジンはノーマルで、今回はファインチューンとのこと。

にしても、車齢20年以上にもかかわらず、バリピカのコンディションは大事にされていた証。
その横で9ヶ月ぶりにやっとオイルを交換してもらえるM3があまりに不憫に思えて仕方が無くなり、ミッション&デフオイル交換もついでにお願いしてもらおうかとの気持ちが芽生えるも、今月はなにかと出費がかさむことから、お財布リミッターが作動して、やむを得ず断念(涙)

待つこと30分足らず、その間、その後、来店されたみん友さんご家族と歓談している内に、オイル交換作業は終了。

車を受け取り、「廃油、めちゃくちゃ綺麗でしたよ。」との社長のコメントに、「勿体ないことした。。。」と軽く凹むも、その帰路、新油を注ぎこまれたエンジンルームから放たれる直6シンフォニーは、地を這う通奏低音の上に、テノールとファルセットが混然一体となったハーモニーがかぶさり、それはそれは甘美な調べとなって梅雨の晴れ間にこだましておりました。


その帰路、S54を久方ぶりに堪能した後、M3を車庫へと滑り込ませると、不敵に息を弾ませるアイドリングは、無邪気にじゃれつく子犬のようでもあり、遊び足りないことへのおねだりに聞こえてしまい、ついイグニッションを切るのが躊躇われる。

今回のオイル交換は、名古屋特有の猛暑を前にした愛車のリフレッシュは勿論のこと、
M3に乗り続けることの決意を新たにし、十数年ぶりにスポーツモデルへと回帰して私と走りに行く約束を交わした友たちの気持ちに応えるためのもの。

そんな私の気持ちを知ってか、一緒になって胸を高ぶらせるM3に、
「まだだ、もう少し、もう少し待つんだ。」と言い聞かせるようにエンジンを切り、バッテリーを外してカバーを掛けると、M3は再び深い眠りに落ちていったのでした。

今まで、このガレージでM3が見てきた夢は、きっと灰色の寂しいものに違いなく、
夕暮れ時の公園の、誰もいなくなった砂場で、ぽつんと一人で遊んでいる心細さに似た夢だと思うと、たちまち申し訳なさがこみあげてきてしまう。

しかし、今からM3が見る夢は、私が見る夢と同じもの。
一人取り残された砂場に、離れていった仲間達がまた一人、また一人と戻ってくる光景が、瞼の裏に広がっているのです。

さあ、夢から覚めたら出掛けよう。
夢と同じ笑顔をたたえた友が居る、あの砂場へと。



-----------------------------------------------------------------------------

前回のブログでは、沢山のイイね!をありがとうございました。
末筆ながら、この場でお礼に代えさせて頂きたく、今度ともご高覧いただけましたら幸甚です。

FlyingV拝
Posted at 2012/06/12 18:30:39 | コメント(10) | トラックバック(0) | E46M3 | 日記
2012年06月06日 イイね!

車が生活の中心から消える時

車が生活の中心から消える時280psカーが続々と登場し、高性能スポーツをフラッグシップとして送りだすことにメーカーが威信を掛けていたモータリゼーションの真っ只中、カタログや中古車雑誌を穴があくほど眺め、深夜のファミレスでツレ達と車談議に花を咲かせては、週末になると中古車屋とショップを回るのがなによりも楽しかった20代前半。
誰かが納車を迎えるたび、次の日が仕事であることを全く厭わず、朝まで走り回ることが当たり前だった日々。

自由で弛緩した学生生活から社畜へと身売りした目的は車を買うためと言っても過言ではなく、その代償として得られたわずかばかりの金の使い道は、娯楽、ファッション、彼女ではなく、当然、車へと注ぎ込まれていった。

学生時代の友人達や職場の同期、そしてバンド仲間でさえも、その関心は、いかに速くてかっこいい車に乗ることであり、助手席に可愛い彼女がいれば言うことなしだったのだが、無理やり組んだローンとガス代、その上、チューン費用までもローンに上乗せしていったため、彼女を作るどころか、遊ぶ金も工面できない赤貧とも言うべきギリギリの生活を送るツレばかりで、彼女から援助してもらっている度し難いツレの一人は事あるごとに非難の的にされていた。

Z31に湯水のごとく給料を突っ込んでいた私も類に漏れず、当時の外出着と言えば、ヘインズの3枚セットのT-Shirtsに履き古したブーツカットと色あせたショートブーツが定番。
バンドは、幸いにしてドラムの実家の納屋がスタジオに改築されたことと、ステージ衣装もほとんど手作り、ギターだけは学生時代に鬼のようなバイトの末に手に入れたGIBSONのVをかろうじて維持できていたが、Z31を降りて自動販売機の前で財布とにらめっこする私に、当時の彼女がデート代をカンパしてくれるなど、車貧乏のスパイラルに完全にはまり込んでしまっていた。
ちなみに、その彼女は、今やがっちりと我が家の財布を握るしっかりものだ。

それでも、ただハンドルを握るのが楽しかった。
ツレと車の話をすれば、時間を忘れた。
洗車場はデートスポットであるのと同時に、車と彼女の品評会の場でもあった。
ほとんどすべての車雑誌の販売日を暗記し、発売と同時に買い込み、何度も読み返した。
信号待ちで先頭になると、隣には速そうな車が並び、シグナルが青になるのと同時に次の信号まで速さを競った。
ホイールを買い替えたり、思い切ってF-CONを入れたりと、自分の思った通りに車が仕上がって行くのを見ると、仕事を頑張ろうという気持ちがわいてきた。

あの頃の生活の中心は、間違いなく車だった。

それが、いつからだろう、生活の中心から車が消えてしまったのは。
この情熱がそのまま続いていくのだと誰も疑わず、将来、子供ができても、ずっとスポーツカーに乗ると誓い合った約束は、とうに有効期限を過ぎてしまったのだろうか。
結婚、マイホームを持つなど、人生の節目は、そのきっかけの一つに違いなく、経済的、物理的な部分も原因になっていたことは否定できない。
年を取るごとに緩やかに感受性は鈍化し、刺激から安定へとライフスタイルが変容していく過程で、車に求めるものも同質になったと考えれば合点もいく。

この前、E46M3のカバーを外してから、間もなく1ヶ月が経とうとしている。
それでも尚、沈黙するM3を横目に、安楽なSTiのコクピットに潜り込むのは、バッテリー端子を外したことを言い訳にして先延ばしする自分の姿から、目を背けているだけなのかもしれない。
そして、GTVを手放し、至れり尽くせりの健康優良児なSTiがやって来て以来、頭の芯が急速に醒め始めている実感。
「家族のことを考えたら、答えは自然と出るだろ?STiならお前が求める速さもあるし、なによりも奥さんがあんなに喜んでるじゃないか。いい大人なんだから、金の使い方をもっと考えたらどうだ。」
頭の中で、常識を気取った正論が鳴り響いていた。


先日、クラス会で邂逅を果たした中学の同級生から、携帯に着信が入った。
「おう、久しぶり。」と出るなり、興奮した口調で、私にこう告げてきたのだ。
「あのよ、買ったよ、BRZ!!納車したらM3と走りに行こうぜ。」
「やるなぁ。ハイブリッドはどうした?」
「嫁が乗るから、まだある。でもよ、やっぱりクーペだろ。いやぁお前のブログ、アルファロメオのやつ?あれ読んでたら、買える気がして、で、思わず。あ、勿論、嫁さん説得済みだから、だはははは。」
「それで、わざわざ俺んとこ、連絡くれたのか。」
そうさ~、だってお前ぐらいだもん。こんな車、買ったって言って、一緒に喜んでくれるの。これ、ブログに書いてもいいぞ。
と子供のように声を弾ませる旧友のなにげない一言が、醒め切る寸前の頭の芯に、ポワッと光を灯した。

さらに話を聞くと、セカンドカーとして程度のいい32GT-Rを本気で探している友人と、それが刺激になり、ファミリーカーに落ち着いたはずの昔のツレ達が、値段のこなれた90’Sのジャパニーズスポーツをこぞって物色し始めているとか。

正直、好きな車に乗ることよりも、良きパパであることを選んだ堅実な友人達に対して、いつまでもスポーツカー命でいることに負い目を感じ、みんカラひっくるめて、そろそろ潮時かと思っていた矢先に、去年のホラー映画大会で、ちらりと本音を漏らした友人しかり、私自身、なにげに隠れ車バカ達の拠り所にされていたことは、まさに目から鱗だった。

車好きだった友人たちは良きパパのフリをしながら、その実、虎視眈眈とその機を狙っていただなんて、あの頃の情熱は過ぎ去ったものになっていないどころか、小さな焼けぼっくいを消えないように大事にあたためていたという事実。

M3との関係を終わらせようと耳元で張り付くように囁いていた、あの常識を気取った正論は、もう聞こえない。

この週末は、9ヶ月ぶりにE46M3のオイル交換でもしに行こう。
GT-RとBRZ、そしてまだ見ぬ懐かしのJ’Sスポーツのハンドルを握った仲間達との、十数年ぶりのランデブーが待っているのだから。

Posted at 2012/06/06 11:54:52 | コメント(22) | トラックバック(0) | E46M3 | 日記

プロフィール

「世の中、捨てたもんじゃない http://cvw.jp/b/192969/48592459/
何シテル?   08/10 22:33
20年前に偶然出会った96年式M3CLimousineを溺愛すること4年、そして涙の別離を乗り越え、その後、やって来たE46M3と忘れえぬ10年来を共にした不人...
みんカラ新規会員登録

ユーザー内検索

<< 2012/6 >>

     12
345 6789
1011 1213141516
17181920212223
24252627282930

リンク・クリップ

蛇使いたちの特濃空間 エテロドッソさん 
カテゴリ:メンテ&チューン
2011/12/06 10:03:34
 
BMWのマイスターショップ TKsquareさん  
カテゴリ:メンテ&チューン
2011/12/06 09:56:25
 

愛車一覧

BMW M3 セダン おハナさん (BMW M3 セダン)
M3最後であろう純粋な内燃機関をどうしても乗っておきたく、大好きなF80M3を手放し、迎 ...
BMW 1シリーズ ハッチバック BMW 1シリーズ ハッチバック
スイフトRS-Tを嫁に進呈し、その後釜としてやってきたのがこちら。一度は真剣に購入を考え ...
スズキ スイフト スズキ スイフト
初めての新車として我が家にやってきたスイフトRS-Tです。 旧型よりも格段に向上したボデ ...
BMW M3 セダン 電子制御の鎖で繋がれたバイエルンの獣 (BMW M3 セダン)
難病が寛解したら絶対にこれに乗ると心に決め、闘病し続けた3年半。 2020年に待ちに待っ ...
ヘルプ利用規約サイトマップ
© LY Corporation