※車に無関係な長文ブログは、やはりみんカラに向きではないようですので、前編含め、しばらくしたら限定公開か削除しようと思います。
前編からの続きです。
秋の学校行事で講義が中休みに入っている内に元カレ君の推薦が終わり、久々の講義の前に資料室で待機する私の前に現れたのは・・・
「先生、私知ってますよ。アイツの推薦、手伝ってたでしょ。」
リカでした。
「な、、、いや、ほら、、、、」
(お前のせいだろ。)と口元まで出かかったセリフを何とか飲み下し、
「うん、ちょっと気の毒になって。」
「制汗剤というかコロンとかすごくなかったですか?」
「あー、うん、言われてみれば。」
そう、物凄いケミカルな芳香を体中に漂わせており、正直、何度かむせかけていたのでした。
「元カノ全員、自分のこと引き摺ってるって言ってませんでしたか?」
「言ってた。すごい自信たっぷりに。」
「別の意味で引き摺っでるんですけどねー被害者の会みたいな。あと、いっつも鏡出して、髪型とか気にしてませんでしたか?」
「してた。」
「で、顔が丸くてデカいから、鏡に入らず、思いっきり腕伸ばしてませんでした?」
「それもしてた。」
「眼鏡も度が強いから、ズレると目の大きさ変わるんですよねww」
「なってたわ~」とつられて笑いながら、ケントデリカットの懐かしいネタを思い出していると、少し間を空け、ふうと一息置いたリカが、
「
あと、、、、あの、私の事、、、何か言ってましたか?」と表情を硬くしたのでした。
「ううん、何も言ってなかったよ。」
当たり前だ。誰のせいで、元カレ君のメンタルにクリティカルな一撃が入ったと思っているんだ。折角立ち直って来たと言うのに、リカのことなんか口に出せる訳がないだろ。
「ホントですか!?あいつ、性格最悪だし、もう女子全員に相手にしてもらえなかったりで、根に持っているかと思って。ちょっとやり過ぎちゃったかなぁなんて反省したりしましたし。」
「え?マジでそんな心配してたの?」
「全然してませーん♪」と大げさにテヘペロするリカ。
「だよね~」
「むしろ清々してます!」と言って席を立ち、
「なんかアイツ、腹立つことに受かったみたいですよ。後から報告に来ると思います。」
と教室へと向かっていったのでした。
するとほどなくして、
「失礼します。」と扉を開けて一礼する男子生徒の姿が。
「おお!どうだった??」
「
合格しました、やりました!ありがとうございます!!」
とダブピー✌️✌️に満面の笑みを浮かべる元カレ君。
「いや~良かった、おめでとう!6年間長いから、留年せずに国試受からないとだね。」
「それは入ってから頑張ります。マジで感謝しかないです、将来、面接で尊敬できる人を聞かれたら、澱みなくV先生と伝えます(笑) あ、インスタとXも再開したのでフォローして下さい!」
と嬉しそうな顔を眺めていると、右耳に、この前までなかったピアスが空いている・・・
声も気持ちイケボに聞こえる上に、瓶底眼鏡からコンタクトに、なんか髪の毛も茶色く、眉毛も細くして、明らかにチャラくなっているではないですか。
正直、どこぞの大陸の悪趣味な成金みたいで、全然似合ってない。
「あ、さっき、リカいましたよね?今だから言いますけど、あいつホント、クソビッチですよ。オレのことが好きって言ってたから、付き合ってやったのに、
全然やらせてくれないし。医学部目指していたのも、リカが学歴厨で、そうして欲しいって我儘聞いたからで、オレ、正直、行きたくなかったんすよね。で、今、歯学部受かってから、他校の女子とめっちゃイイ感じになってるんで、もうリカなんて眼中にないっす、アイツ、
全然やらせてくれないし。」
なぜ、そこを2回繰り返したのだろうか。
その後も、合格したことで心のタガが外れたのと、この前の仕返しとばかりに、リカへの悪口は止まらず、
「あんなこと書いてましたけど、こっちから捨ててやったんすよ。リカ、別れるのヤダって泣いてましたもん。全然やらしてくれないですから当たり前ですよね。」
(いやいや、別れるの嫌だって泣いていたのはお前って聞いていたんだけど、都合が悪いことをこうまで自己改変できるとは、クラピカレベルの念能力者なのか!?)
など、リカが前回、原稿用紙と一緒に提出してきた下書きにびっしりと書いてあった目の前の元カレ君の悪行を思い返している間も、リカへの悪口はヒートアップしていき、
「メンヘラは嫌いじゃないんですけど、マジ、ヤンデレ化して萎えました。顔だけじゃ、オレは本気にはならないってことで、黒歴史もいいところです。LINEも馬鹿ウザいし、オレより身長あるからヒール履くなって言っているのにヒール履いてくるし、服とメイクのセンスも最低で、、、、」などなど止まる様子もないディスりに、
(振られた挙句にあんなことをされたから、気持ちは分からないでもないけど、
もしかして、こいつ、真性のクソヤローなんじゃね?)と思い始めていると、
「先生もあまり真に受けないでくださいね。アイツ、周りを利用するだけするヤツですから。」
確かに、この前、計算と打算で動くことを思い知らされたので、そこは否定できない部分はあるが、次の捨て台詞は受け入れがたいものだったのでした。
「リカ、受験失敗しないですかね。そしたらワンチャン、ヨリ戻してやってもいいんですけど。ほら、先生もオレと同じで利用されたクチじゃないですか。」
と言い放つと、今からカラオケに行くと言って、出て行ったのでした。
このクソヤ、、、いや、元カレ君は、もう講義には出る必要がないので、面と向かって会うのも実質最後。
あまりの清々しさに『そのクズさ加減やよし!』とキセルがあればポンと振り降ろしそうになるほど、ある種の敬意すら感じてしまった私は、とあることに思い至ったのでした。
リカのコンセンサスを取って、校正した彼女の原稿を模範解答例とし、毎年、受講生全員に配り続け、所業を語り継いでいくことを。
※おまけ

生原稿の一部、掲載了承済み