小田急ロマンスカー
VSE50000形 2022年3月引退、
のニュースに衝撃を受けていたのですが、
鉄道ジャーナル2月号「RAILWAY TOPICS」の記事にもちょっと動揺を隠せず!?
富山地鉄10030系に廃車!? しかも昨年11月4日(@_@)
これはチェックできていませんでした。

富山地方鉄道も、ご多分に漏れずコロナ禍で観光客が減り、地元の利便性を図るため、特急を削減して各駅停車中心のダイヤに組み替えているのですね...。
さて本題です。
元京阪特急3000系を改造し導入した、富山地方鉄道10030系の第4編成モハ10037+モハ10038が、昨年11月に廃車されていた、との内容。
鉄道ニュースには、解体に向けたトレーラー搬出のため、既に上市駅へ廃車回送の写真が!?
☞鉄道ニュース『富山地鉄モハ10037+モハ10038が廃車される』
2年前の2020年2月、富山で1ヵ月間の入院生活を終え、リハビリ期間中に立ち寄った、富山地鉄稲荷町車両区。
元西武レッドアロー5000系の16010系と電気機関車デキ12021に挟まれて並ぶ10030系ですが。
今回廃車された、第4編成モハ10037の姿を捉えていました。
京阪3000系は、1971年に登場した2扉、オール転換クロスシートの特急用車両で、京阪特急で初の冷房車。
後継の8000系が導入されたのち、一部は富山地方鉄道や大井川鉄道に譲渡されましたが、廃車も続き、2013年8000系30番台に編入されていた京阪最後の3000系第5編成が引退。
(写真はWikipediaから)
富山地鉄には1990年から順に先頭車同士8編成16両と、2013年には最後の3000系編成からダブルデッカー車1両が入線。
1990年譲渡(カッコ内は富山地鉄の形式名)
3001(モハ10031)- 3501(モハ10032)
3018(モハ10033)- 3518(モハ10034)
1991年譲渡
3003(モハ10035)- 3503(モハ10036)
3004(モハ10037)- 3510(モハ10038)
3014(モハ10039)- 3513(モハ10040)
3017(モハ10041)- 3517(モハ10042)
1992年譲渡
3016(モハ10043)- 3515(モハ10044)
1993年譲渡
3010(モハ10045)- 3509(モハ10046)
2013年譲渡
8831〈←3805〉(サハ31)
なので、1971年から製造された京阪3000系の富山地鉄譲渡車は、サハ31を除き、京阪3000系時代より富山地鉄10030系として過ごした時間のほうが長いことになります。
サハ31は、第2編成に連結され、
モハ10033+サハ31+モハ10034 に組成。
このモハ2両は京阪特急色に復元され、栄光の鳩マークも復活。
『ダブルデッカーエキスプレス』として運行されています。
京阪線のレール幅は1435mmの標準軌ですが、富山地鉄はJRと同じ1067mmの狭軌のため、そのままでは入線できません。
そこで車体を生かすため、軌間の異なる台車に交換する改造が成されました。
京阪時代の動力台車 FS-381
空気ばね車体直結のダイレクトマウント方式。
交換する台車には、1990年頃同じく廃車や長野電鉄への譲渡が進んでいた、営団地下鉄日比谷線3000系のダイレクトマウント台車が当てられました。
日比谷線の軌間は、1067㎜の狭軌です。
これは長野電鉄に譲渡された後の、営団3000系→長野電鉄3600系(3連)。
長野電鉄長野駅にて。
当初は営団3000系が装備していたダイレクトマウント式台車FS-336を履いていたのですが、
富山地鉄線で走行中、振動問題が発生。同じく営団3000系で使用されていたFS-510台車に振り替えられました。
素人目線には、FS-336のほうが乗り心地がよさそうに見えますが…?
電動機(モータ)は、当初は営団3000系のMB-3054(75kW)を搭載。
のちに、JR485系や419系廃車発生品の、国鉄式インダイレクトマウント台車DT32と120kW電動機MT-54に換装し、高出力改造された編成が登場します。
写真は高出力化された第5編成モハ10039+モハ10040
(電鉄富山駅にて)
国鉄新性能電車の標準エアサス台車DT32を履いています。
しかし10030系のうち、第1編成モハ10031+モハ10032と、今回廃車された第4編成モハ10033+モハ10034は高出力化されず、FS-510台車と75kW電動機MB-3054のまま残されていました。
さて、富山地方鉄道の独特の車両形式について。
1万台表示のうち、頭の3桁が電動機出力(馬力)を指し、下2桁が車両形式とその連番になっています。
モハ10031
モはモータ付き、ハは普通車、
頭3桁が100なので、100馬力(→75kW)モータを搭載。
下2桁30が車両形式で、1から順に番号が付きます。
サハ31
サはモータ無しの中間車、ハは普通車、
頭3桁が無いのは、モータを搭載していないからで、
下2桁30が車両形式で、その1番め。
元レッドアローの5000系は、富山地鉄16010形を名乗り、
モハ16011
モはモータ付き、ハは普通車、
頭3桁が160なので、160馬力(→120kW)モータ搭載。
下2桁10が車両形式で、その1番め。
となります。
なお、運転台付き、モータ無しの制御車クハは、クハ175形が現存しますが、
運転台なし、モータ付きの中間電動車は存在しないため、制御電動車は国鉄式のクモハではなく、単にモハとなります。
また、レッドアロー16010形の第2編成は水戸岡鋭治さんにより「アルプスエキスプレス」仕様に改造され、モータ無し中間車が組み込まれましたが、改造の経緯から運転台無しにもかかわらずクハ112を名乗っています。
ここで、ふと、ある疑問が!?
JRのDT32台車と120kWのMT54電動機で高出力改造された10030系は、16030系となるべきではないのか? ということ。
理由は、良くわかりません。例外的に10030系のままとなっています。
廃車となった第4編成モハ10037+モハ10038ですが、75kWのままの低出力そのものが理由ではなく、昨年から機器故障が続き休車状態だったそう。
昨年西武鉄道から譲渡されたニューレッドアロー10000系の改造が進み、富山地鉄デビュー間近ということも一因のようです。
ここからは、過去のブログも交えながら富山地鉄10030系について徒然なるままに。
☞【目指せ社会復帰】温泉で、富山のテツ巡り③
10030系の運転室です。進行方向反対、後方を撮影。
同じ10030系と離合します。
これは2018年9月に訪れた稲荷町車両区。
左から元 京阪10030系、元 東急17480系、元 西武16010系と地鉄自社発注車10020系。
東西大手私鉄車両と富山オリジナルが肩を並べる、なかなかの風景。
地鉄オリジナルの10020系で最後まで残っていた1964年製の第3編成、モハ10025+モハ10026は、2019年9月に惜しむらく廃車。
長野電鉄2000系と類似設計の、日本車両製私鉄標準型電車が消えました。
これで富山地鉄の自車発注車は1979年登場の14760系だけに…。
(電鉄富山駅にて)
さて2020年2月のリハビリ期間中。
富山地鉄をぶらり。
第2編成ダブルデッカーエキスプレスが各駅停車運用に入っていたので乗ってみます。
見た目はそのまんま現役時代の京阪3000系。
京阪3000系の後継で、今も京阪特急主力の8000系。
赤色とオレンジ色が逆塗りになっています。
(出町柳駅にて)
8000系の登場時は、3000系と同じ塗り分けでした。
(Wikipediaから)
京阪伝統のテレビカー。富山地鉄でも液晶テレビを搭載して復活しています。
ダブルデッカーには京阪のときに描かれた「時代祭行列絵図」も残されています。
二階席から。
階下席、ホームが目の前。
電鉄富山駅から一駅、稲荷町駅で、仲良さそうな老夫婦と一緒に下車。
終着 岩峅寺駅を目指す、第2編成モハ10033+サハ31+モハ10034を見送ります。

この姿で、いつまでも走り続けてほしいですねー。
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