
雑誌やインターネットでのオートバイの記事を読んでいると、ふと“オートバイに乗ろうと思っていたころ”のことを思い出すときがあります。
まだオートバイの本当の魅力に気付いていない頃のことですが、憧れていた【仮面ライダー】の「本郷猛」や「一文字隼人」に近づけるチャンスだと感じていたのかも知れません。
それは私が中学生のとき(今から45年以上前)になるのですが、たまたま雑誌に載っていたオートバイの記事を見た時に“これが50cc?!”と驚いたものです。
それまでのイメージは『ホンダ モンキー』や『ホンダ スーパーカブ』でしたから、50ccなんてカッコ悪い(ごめんなさい)と思い込んでいたので乗りたいなんて思っていませんでした。
真実の50ccオートバイを知った時にはカッコいいと思うとともに、乗りたいとハッキリと思ったものです。
それからオートバイの雑誌にも関心が行くようになって、立ち寄った本屋さんで目にしたのが雑誌【モトライダー】の1977年4月号であり、その雑誌の中でスグに目に留まったのが『ホンダ XE50・75』の広告ページ(1-2ページ目です)だったんです。
私にとっては、とても衝撃的でした。

それからいろいろと50ccのオートバイのことを調べていきましたが、やはり一目ぼれした『ホンダ XE50』のエンジンが忘れられずにいたこともあり、最初に自分のオートバイになったのは『ホンダ TL50』でした。
兄弟車である『ホンダ XE50』よりも少しだけ大柄であることが決め手になりましたが、どちらにすべきか悩みに悩んだものでした。笑
そしてこれが『ホンダ TL50』のカタログの表紙で、何度も何度も見ていた画像なんですが、それだけにとても懐かしく感じるとともに、あの時の想いがこみ上げてきます。
それにしてもオートバイが小さくがとても見えるのですが、50ccといえばこのくらいの大きさだったのでしょう。

その『ホンダ TL50』は高校1年生になって夏休み&冬休みにアルバイトをして貯めたお金で買ったもので、当初から新車で買おうと考えていたので大金が必要でしたが、それでも今考えると諸経費込みでも12万円程度で手に入れられた時代でしたからリーズナブルだったのかも知れません。
とはいうもののアルバイトの時給が高校生だと600~700円(これでも高額な方)だったかと思いますから、高校生の私には達成までの道のりが遠く感じたものです。
オートバイを買う前に父と約束したことがあり『ホンダ TL50』で出かけることは許されておらず、いつも家のすぐ横にあった空き地でオートバイに乗る練習ばかりしていましたが、それでも乗れるだけで嬉しくて仕方ありませんでした。
高校から帰った“土曜日の午後”は私にとって最も自由を満喫できる時間を与えられているように感じられていて、オートバイに触ったり磨いたりする時間が何よりも楽しかったことを思い出します。
自分の『ホンダ TL50』で自由に出かけられるようになったのは高校3年生になったころだったと思いますが、それまでは玄関(室内)に置いてあったオートバイにまたがりハンドルを握っているだけで幸せな時間を感じられていたのですが、それは今でも変わっていません。
エンジンをかけて走らせていなくても、大好きなオートバイにまたがっているだけで幸せを感じます。これはクルマでも同じようなことをしていたことがありますが、とても楽しい時間です。
いくつの頃にもストレスを感じるような嫌なことがたくさんあるものですが、たった50ccのオートバイからたくさんの幸せをもらっていたことは間違いありませんし、励まされていたようにも思います。
そして何よりも走らせればもっと楽しい時間を味わわせてくれて、エンジンの鼓動だけでなく、タイヤから伝わる路面の凸凹感も、向かってくる風の優しさや厳しさなども、すべてが魅力的に感じられたものでした。

今の私のオートバイ『ホンダ FTR/HE゙AT HOPPER』は排気量223ccの軽量級オートバイですが、何よりもスリムでコンパクトな車体と、非力ながら必要にして十分なパワー&トルクを持たせてあります。
さらに自分好みのスタイルで仕上がっているわけですから、私にとっては“欲しいもの”が詰め込まれているわけです。
原付バイクの『ホンダ TL50』と比べると大柄かつ頑丈な造りであり、オートバイらしさは比べ物にならないほど本格的になっていますから、とても幸せを感じています。
それでも走らせれば『ホンダ TL50』も『HE゙AT HOPPER』も、同じような鼓動と楽しさを感じさせてくれますから、オートバイとしての魅力に大差はないのかも知れません。
二輪車である以上は自立しないことが魅力の1つであり、乗る人と一体にならなければ走ることはできません。
またカーブするときには車体を傾けなければならないのも大きな魅力の1つで、特に意識しなくてもバランスを取りながら走るのがオートバイの面白さだと思います。
さらにリヤタイヤが地面を蹴飛ばしながら加速する感覚はとても気持ちの良いものですし、ブレーキングの際にフロントフォークが一気に沈み込んでいくことや、そこから左右に曲がっていくフィーリングも独特ですから、走らせればとても楽しいと感じます。
車体や排気量の大小などによって乗り味は大きく変わりますが、基本的にやっていることは変わりませんので、大きなオートバイに憧れる感覚はまだまだ持っていますが、走らせる楽しさは変わるものではないと思っています。
もしそこに違いがあるとしたならば、それは乗っているオートバイに対しての“思い入れの差”ではないかと思っています。
大好きなオートバイだったならば走らせる楽しさが倍増したりすると思いますから、オートバイでもクルマでも楽しむためには“好きだという気持ち”は大切だと思います。
私の乗る『ホンダ FTR』は223ccの単気筒エンジンで、この排気量から味わえるトルク感なんて大したことはありません。
とはいえ、それなりに4サイクル単気筒エンジンの魅力を味わえますし、より小さな50ccのエンジンとは比べ物にならない爆発力と瞬発力も持っていますから、間違いなくオートバイの魅力は大きくなっていて楽しいです。
よりパワーもトルクもある400ccのビッグシングル(単気筒エンジン)が捨てがたいのですが、車検がありますからいろいろと面倒なこと(維持費やカスタマイズにおいての問題等)もありますので、私には250cc以下の“軽二輪”が好ましく思います。
となるとその中でも最大の250ccを選びたいところですが、オートバイそのものを楽しもうとするならば車体はコンパクトで軽量な方が乗りやすくコントロールしやすいので、バランスの良い200ccクラス(125ccクラスの車体に排気量を上乗せしたような仕様)になったというわけです。
モトクロスをやっていた頃に何度か乗ったことがあった“1981年式のエンデューロレーサー『ホンダ XR200R』”の乗り味が忘れられずにいましたから、あんな風に走りを楽しめるオートバイに乗りたいと思っていたのですが・・・
あのトルクフルな走りを味わえるようなモデルは存在しませんから、結果的に『ホンダ FTR』をベースとして作り上げてしまったというところでしょうか。

未だにキャブレターのセッティングをちゃんと出していないので乗るたびに調整している始末ですが、それでも無意識に笑顔がこぼれてしまうほど走らせると楽しいので、こんな状態ながら悪くないと思ってしまっています。
気持ちに余裕があって、時間が取れた暖かい日であれば、キャブレターのセッティングを終わらせたいと思うところはあるのですが、なかなか至りません。ついつい別のことをしています。苦笑
それにしても、この223ccの単気筒エンジンはとても魅力的だと思っています。
ノーマルでは19馬力程度の出力しかありませんが、吸排気系およびカムシャフトなどの変更により推定22.3馬力程度を発揮していると考えていますので、楽しく走るために必要な動力性能は得られていると思います。
この排気量はもう1台の愛車である660ccのスポーツカー『ホンダ ビート/HE゙AT CYCLON』の約1/3の排気量になるわけで、3気筒のエンジンの1/3ということは1気筒になりますから絶妙な排気量だと思っています。
エンジンは水冷式と空冷式の違いがあり、クルマとオートバイの違いと同じように対比しているようにも思えますが、それとは別にとても似ているようにも感じているんですよ。
カムシャフトは同系の125ccエンジンの純正部品を流用していますが、もともと最大出力の発生回転数が7000回転だったことを考えると125ccエンジンのカムシャフト(最大出力の発生回転数は9000回転)は少し荷が重かったように思います。
なんとか9000回転までは回っていたものの、中古車として購入した当初はやや苦しいと感じることがありました。
自分のオートバイとして乗っていくうちにスムーズに回るようになったと感じていますが、数か月前にフライホイールを軽くしてからは高回転域も軽く回るようになり、やっとカムシャフトの性能を引き出せるようになったと感じています。
そういうことから考えると、特に手を入れていない『ホンダ FTR』には200ccエンジンのカムシャフト(最大出力の発生回転数は8000回転)が好ましいと思うところですね。

エンジンの外観も好ましく感じていますが、もともと『ホンダ XE50』のエンジンのカッコよさに一目惚れしていたわけであり、【ホンダ】のこのタイプのエンジンの美しさに惹かれていたからだと思います。
『ホンダ TL50』から乗り換えた“初めての自動二輪車”である『ホンダ XL125S』も同じ系列のエンジンを搭載していますが、私は【ホンダ】のオートバイが好きであり、このタイプの単気筒エンジンが大好きなんです。
より高出力な2サイクルエンジンも魅力的に感じていますが、たった1台を相棒として乗るならば私は4サイクルエンジンの方が好ましく思えますし、そんな中でも単気筒のエンジンはベターだと思っています。
先にも言いましたが、大きな排気量のオートバイにも魅力を感じていますから『ホンダ CB400SS』あたりをベースにして『HE゙AT HOPPER』を作ったら面白かったかな?!と思うこともありますが、諸事情により『ホンダ FTR』を選んだことは運命だとも思っているんですよ。
私なりにオートバイの本当の魅力をわかっているつもりでいますが、それは別にしても大きな魅力を持っている乗り物であることは間違いありません。
誰が乗っても安全であるようにオートバイもクルマも改善されていく昨今ですが、それは本当の魅力をわからなくしているようにも思えますので、私は好ましく思っていません。
それぞれのスタイルとともに乗りにくさや扱いにくさも大切な個性だと思えるならば、アナログなオートバイは最高に面白くて魅力的な乗り物であり、大切な相棒になってくれるんじゃないかと思っています♪
