これが最終回。
いよいよ完成です。
前回までの再塗装で、部品が組み立てられるようになりました。
できるところは組立てが完了しましたので、電気的な部分の修繕に入ります。
こちらは碍盤。ガイバンと呼んで頂きたい。
トランスと分相用のキャパシタ、スイッチレバーが固定されたもので、初期の時代には陶器で作られていたためこの名が付いたそうです。
この個体のはベークライト製です。
かつて、松下幸之助が出世するきっかけになったのが碍盤の受注だったとか。
上に載っている箱がコンデンサことキャパシタです。
押印の11.11は恐らく昭和11年11月でしょう。
以前の記事にも書きましたが、この扇風機の型式はRCF437。4は40cmの4で、37は生産年の西暦下二けたとみられます。
1937年は昭和12年ですので、前年末の部品が使われていてもおかしくないですね。
ピッチの封入された古いタイプで、もう70年以上経っていますので交換しました。
それでも一応は機能していたわけですが…
と、スイッチ端子のビス穴が割れています。
しかも焦げ跡がある。
上下にプラ板を挟んで補強としました。
そしてこれ。
前回の写真で2本が短かった長ねじ…
組み立て段階になって、長さが足りないことが判明しました。
M4の長ねじ自体は入手できますが、ねじのピッチを測ると0.75っぽい。JISじゃねぇかこれ。
ここでの選択肢は以下の通り。
・袋ナットとナットを新品にして、0.7mmピッチの(現在の)長ねじに交換
・鉄棒からねじ山を切って、長ねじを自作する
悩んだ挙句、せっかくのフルレストアだし当時の部品はできるだけ使いたいので、ねじの自作に決定しました。
旧JISに合っていたのが不幸中の幸いで、容易にダイスを入手できました。
それでは、人生初の雄ねじ切りに挑戦。
途中経過の写真です。
うん。楽しいねこれ。
気を付けないと傾いたまま進みやすいとのことでしたが、意外にも失敗無く4本が完成しました。
タミヤ風に言うと両ねじとかねじシャフトとか。
左の4本が古い方です。
そして無事取付け完了。
これで最後まで組立てが進められます。
そして完成した姿がこちら。
綺麗になりました。
後姿です。
エンブレム。
古河電気工業の「ふ」と、独・ジーメンスの「じ」を合わせて「ふじ」。漢字をあてて「富士」。
ジーメンスはSiemensなので、当時のロゴはFusiの表記でした。
最後、以前に修理したRCF337と並んで撮影。
設計はそのまま拡大縮小の関係にあり、一部部品は共通になっています。
今回、扇風機修理を始めて約8年、修理台数も恐らく20台程度にして初めてのフルレストアでした。
今までは、ある程度状態の良い個体を選んでいたため、オーバホールはするものの、再塗装まではしていませんでした。せいぜいファンガード程度で。
大変でしたが、これもいい経験となったと思います。
普段はプラモ等の樹脂ベースでしか塗装しないため、感覚が違って新鮮でした。
ただし、オリジナルの塗装が失われてしまうことも事実です。
今回のように、入手時から再塗装済みのような場合なら、ある程度抵抗なく行えます。
以上、駆け足の3連記事でした。
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Posted at
2014/09/15 13:10:15