2018年10月14日
液晶テレビのチップリフロー修理、他自作ダブルワイパー
10月も後半となりました。仕事的には一番緊張するイベントがある月…あと一週間。
さて、今回は久々の家電修理ネタになります。
最近不調だったらしい友人宅のテレビ(LG 22LE5300-JE)が急激に症状悪化し、年数も経ったことから買い換えるとのこと。でもどうせ捨てるなら分解してみて、可能なら修理してほしいとなりました。
テレビといえどPCディスプレイとは親戚のはずなので、受取り前にはコンデンサの寿命あたりだろうと思いましたが、電源はACアダプタ式なので違いそう。コンデンサ不良は大体電源系ですので。
早速電源を入れてみますと…


数秒ほど問題なく映ったと思ったら画面が右下に突如オフセット。左と上に青っぽい帯が見えますでしょうか、その分だけ画面がオフセットしています。それからはどんどん表示が荒れていき、文字すら判別不能な有様に。設定画面でこれってことは受信とは別の段で問題が起きているようです。
ここで聡明なるジャンカーの皆様ならお気づきのはず…そう、かつてGeForceやRadeonチップ搭載ノートで多発した、GPUのハンダ不良にそっくりな症状です。PCディスプレイではなくテレビですから、GPUを内蔵しているはずなので疑い濃厚です。
ということで、トドメを差すリスクを伝えた上でリフロー修理を試みることに。何回か成功例がありますので、一応は自信ありです。
ちなみにリフローとは、BGA(Ball Grid Array)タイプのICを基板実装する工程のことで、予めボール状ハンダが端子に盛られた部品を基板に乗せて高温のリフロー炉で基板ごと熱し、ハンダを溶かして実装する方法です。リフロー修理は、これを簡単に再現してやることでハンダ不良を直してしまおう…という一種の荒療治になります。
具体的には、対象とするチップに基板用フラックスを流し込んでおき、ヒートガンでチップを炙り温度を上げ、クラックの入ったハンダを溶かし直してやるのです。初期型PS3で流行った、排気口からドライヤーを当てて…という療法も原理は一緒。
更に部品の端子について余計なことを書きますと、自作PCでおなじみのLGAはLand Grid Array、AMDのCPUや往年のSocket 478なんかはPGAでPin Grid Arrayとなります。

まずはさくっと分解。PCディスプレイと違って正直にビス止めで組み立ててあるので、5分とかからず基板に到達。
そしてこちらがメイン基板…メインも何も、基板はこれ一枚に集約されています。
信号処理を担っていそうなICはというと、中央のアルミヒートシンクの下くらいしか見当たりません。集積化ってすごい。今やなんでもワンチップの時代です。
この下に恐らくは、被疑者たるGPU(で表現はいいのだろうか)のチップが居るはずです。

リフローの準備はこんな感じ。熱しなくて良い箇所を覆うためアルミホイル(ホイールに非ず)を切り抜いて、対象のチップだけ露出させておきます。
本当はヒートシンクを除いてICのヒートスプレッダなりダイなりを直に熱したいところですが、こちらは熱伝導シートでしっかり接着されている模様。外してしまうと手元には熱伝導シートが無いので、仕方なくこのまま進むことに。
アルミホイル養生のコツとしては、余計な所に接触させないのが第一になります。電解コンに触れていれば熱が伝わり破裂させてしまいますし、樹脂製のコネクタ等に当たっていれば溶かしてしまいます(いずれも経験あり)。
なお写真がありませんが、熱源となるヒートガンはドライヤーの上位互換のような代物でして、数百℃の熱風を強烈に吹かせてくれるアツいヤツです。
車関係だとステッカー剥がしや樹脂板の曲げ加工なんかに使えます。出力次第では熱収縮チューブの施工とか。
そして3分ほど焼いたところ…


ミッション成功の模様。見事な3分クッキングです。
その後無負荷で30分動作、UHFループアンテナを持っているのを思い出して20分ほど受信させても問題なさそうでしたので、無事返却と相成りました。
ただ、一度クラックが入ったはずのハンダを再使用しているので、また同じ症状が起きる恐れが残っていることも伝えておきました。
余談になりますが、こういった集積度の高い製品は小型・軽量・安価にできるのが売りですが、ひとたび故障してしまうと基板Assy交換が前提となってしまい、昔のように信号処理の段ごとに原因を追って修理…ということが難しくなってしまいます。カスタムICと多層基板にはちょっとお手上げです。これは車にも言えることで、今やセンシングと電子制御の塊ですから、ユーザレベルでは手の入れられない箇所が増えています。
そのため今の新車や家電製品が年数を経ると、ハチマル車やそれ以前の旧車、あるいは真空管ラジオや戦前の扇風機のようには残らないのではと思います。高度なシステムや基板が多いので、
交換部品が無くなると共に廃棄するほか無いのではないのでしょうか。
その点古いモノは自作やワンオフで何とかなる範囲(いわゆるローテク)が大きいですから、古さゆえに故障しやすくとも、再起不能にはなり辛いものと常々思っております。
なんか長くなりました。さて、ここ最近は毎週末のように台風がやってきてうんざりでしたが、ようやく洗車することができました。ボディコートにホイール洗いとタイヤワックスまでしっかりできました。
あとは温めていた(放置していたとも言う)自作ダブルワイパーの製作です。
まずは発色をよくするべくサフから。

何やら出来損ないのドローンみたいな姿。下地作りというよりは黒を弱らせる目的が強いので、敢えてサフはざっくりで済ませました。念のためその下にはミッチャクロン。
上塗り色は選定で悩んでいましたが、市販色のボデーペンにいい色を見つけました。

いすゞ純正のマリンブルー。ソリッドブルーの純正色は貴重です。NAロドスタのマリナーブルーも考えましたが、それは在庫に無くこちらになりました。
店で見つけた時は、ボデーペンの大多数が乗用車用であることからジェミニやビッグホーンなんかを連想し、「こんな色あったっけ?」なんて思いつつ購入。店の駐車場を出る時に、「あぁ、エルフの純正ブルーか」と気づいたのでした。大型はふそう派ですが、「いすゞのトラック」はいい歌です。
色の乗りが良く、調子に乗って厚塗りしたら白かぶりが出てしまいましたので、缶を温めてさらっと修正すれば完成できそうです。
次は恐らくこのワイパーと…約1年放置してしまった、ルーフラックについてきたオプション(ブリッジフレーム)の取り付けかなぁ。
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Posted at
2018/10/14 22:36:46
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