
写真は信号待ち等が頻発する街中を走行した際の水温です。ちょうど100℃を指しているのがお分かり頂けるでしょうか?
水温計の針は、ふつうは真ん中(このクルマの場合は90℃)にあるという考えからすると、この表示は“高い”ことになりますね。
ちなみに日常的にこの水温になります。
さぁ、この状態は果たして異常か否か、が今回のブログのテーマです。長くなりそうなので、複数回に分けて診ていきます。
▼水温の推移▼
乗ったことの無い皆さまに状況を把握いただくべく、走行中のパターンを4つに分けて説明します。
走行中①(平地の定速走行時などアクセルOFFする瞬間もある場合):90℃付近で安定
走行中②(登坂路など、アクセルを常時踏む必要がある場合):95℃~100℃くらい
走行中③(下りでアクセルOFFの場合):85℃くらい
走行中④(街中などSTOP&GO繰り返し):100℃~105℃
言ってしまえば、下り坂でアクセルOFFにならない限りは真ん中をちょっと超えたところに針はずっと居る、ということになりますね。
これは2012年末のサーモ交換後の温度です。
したがって新品。開弁温度85~88℃。水温計用のセンサーも新品です。検証するために不具合の要因を減らしたつもりです。
この場合、気になるのが“走行中②”あるいは“走行中④”のケースでの水温の上昇です。
今日はこれら走行パターンに関して、いくつか仮説を立てたものを見て頂き、それをもとにした今後の対策についてご意見を伺えればと思います。
“走行中②”のケースの場合、サーモの開弁温度を超えているにも関わらず、水温がどんどん上昇して心臓に悪いことこの上ないです(笑)
開弁温度を超えている=ラジエター側に冷却水は流れ込んでいる状態且つ、走行中ですから走行風で冷却されているはずですが・・・。
以下3つは私の仮説ですが、皆さまの経験等で他に考えられるケースがあればご教授いただきたいと思います。
●仮説①●
ウォーターポンプの能力が低い。つまり、冷却水を循環させるだけの威力が無い。とくにサーモが開弁したとしても、ラジエターに流れ込み難いorラジエターから出ていきにくい形状になっているのでは?
●仮説②●
水温センサーが液相部分の温度を検出しておらず、気相部分の温度を検出している。実際の液温よりも高い温度を検出しているのでは?
●仮説③●
水温センサーはサーモのハウジングにねじ込まれる。そして、そのハウジングはEg.ブロックに直付されるため、もろに伝熱or輻射熱を受けているのでは??
では、順番に私が立てた仮説に対する検証を見ていきましょう。
以下、検証①~③の番号は仮説①~③の番号と対応しています。
◆検証①◆
羽根車の形状が複数種類あり、ものによっては羽の形状が心もとないものが確認されている。当方の車両に取り付けられたものが、どの形状のものかは不明・・・・。
今度確認するつもり。
◆検証②◆
走行中①から走行中④のケースに遭遇した場合を考えてください。
クルマは走行風を受けなくなり、少しずつ水温計の針は上昇していきます。このときの針の上昇スピードですが、“停車後およそ15秒で針半分くらいの幅だけ動いたことが分かる”レベルになります。
しかし、いくらなんでも走行直後とは言え、液温がそんなに急激に上がるのでしょうか?
私は甚だ疑問で、この“仮説②”を導きました。液相の温度を計測しているのではなく、気相部分の温度を計測しているのではないのかと。↓の図をご覧ください。
汚い手書きの図で恐縮ですが、配管の断面を示しています。左側が現状の図、右側の図が私がイメージする理想状態の図です。
水温センサーが液相の温度を計測しているのか、それとも気相の温度を計測しているのかが大きな違いです。
ウォーターラインのメンテをすると気が付くのですが、ホース内側やサーモスタットのハウジングを眺めると、水がどの位置まで流れていたかが分かります。
多くの場合、その水位は配管内径の半分にも満たないと思うのですが、いかがでしょう。かつての145でもそうだったように記憶しています。
この場合の気相と液相って、どちらの方が熱が伝わりやすいかご存知ですか?気相ですね。
水って温まりにくく冷めにくい(冷却水だからエチレングリコールだってのはここでは省略)物質ですから、左側の図の位置に温度センサーがあると、温度変化しやすい気相部分の温度を計測していることになるわけです。
◆検証③◆
エンジンブロックに直付されたサーモスタットのハウジングは、もろにエンジンの熱を受けます。当たり前です、サーモのすぐ横は4番シリンダーですし。。。
走行中は少なからず走行風が入り込み、いくらか冷却効果はあります。しかし、停車した途端に走行風は無くなり、水温センサーの刺さったサーモのハウジングを冷却する術は無くなります(この場合は走行風による空冷を意味している)。
停車後、すぐに水温計の針が上昇するロジックは、まさにこれが原因ではないかと思っています。
同様に“走行中②”のケースにおいて走行中にも関わらず、水温計の針が上昇するロジックは、アクセルを平坦路以上に踏み込み(回転を上げて)、燃焼が行われているエンジンの熱をまともに受けているから、ということになるでしょうか。
ここまで来て言えることは、“水温計の針の指示値”は“実際の水温とは異なっているのでは?”ということです。エンジンからの伝熱を受けてしまい、しかも水温センサーは液相に接しておらず、まともに温度を計測していない・・・これでは実際の水温とは著しく異なっているのではないか、と思うのです。
したがって、液温を正しく計測し正しい水温を把握する必要があります。
水温センサーを移設するorデータロガーと熱電対の組み合わせで温度の推移と走行パターンごとに計測し、またレポートしてみたいと思います。