2010年04月10日
ポイント点火の修理
・やったぜ、点火がダメだったポンプのエンジンが無事動いた。コイルの2次がダメになっていると思っていたけど、抵抗の測定レンジが不適切なだけだった。さて、なんでダメになったか分からないポイント点火だけれど、昨今こんな旧式なメカの解説はどっこにも書いてないので私の試行錯誤を覚書。
・まず農機具エンジンのポイントは大抵フライホイールの内側にあります。フライホイールは大抵コイルスターターでぶん回すようになっているので、スターターがついた側を外します。この時注意すべきはスターターがついているカバーは外さない事。ここ外すとバネが外れてえらい目にあいます(違うエンジンでの経験者)。エンジン本体についているカバーごと外すとスターターは分離しないで外せます。
・んでフライホイールは冷却ファンも兼用しています。普通スタータークラッチがかみ合うカップが独立しているので外します。フラホは丈夫なので適当に押さえればインパクトじゃなくても外れるかと思いますが、ある人はインパクト。で、フライホイールはテーパー溝に圧入してあるのでナットを外しても普通は外れません。が、クランク軸をハンマーでぶん殴れば外れます。プーラーとかは不要。クランクの強度?知らね(笑)。
・そうするとポイントとご対面ですが、何がどうなっているか分からないでしょう。基本はクランク軸につけられたカムでヒールが持ち上げられて、カム山で導通が切れて二次コイルに誘導電圧が流れて点火する仕組みになってます。ポイント接点は焼けるので、ここはサンドペーパーでもかまして綺麗にしましょう。次にギャップ調整ですが、これは「カム山でどれだけ接点が離れているか?」になります。
・ここで、なぜギャップを調整するかの説明をします。これ、たぶん整備している人でもなぜギャップ調整なのか分からないと思うんですよ、生意気な話ですが。ズバリ、実はギャップそのものには意味はありませんでした。導通が切れればいいので0.5mmでも1mmでもすごい適当でもいいんです、本当は。実は本当に大事なのはドエルアングルという「導通がある長さ」と「ポイントが開くクランク角度」です。これはカムの高さなどで異なるので、一概に標準的なギャップを決められない要因になっています。
バルブで考えるとタペットを変えると同じカムでも作用角度が大きくなったり、バルタイが広がりますよね?このタペットに相当するのがギャップで、バルタイに相当するのが点火時期、そしてドエルアングルに相当するのが作用角度です。ギャップはバルブカムと違ってカム高さはジャンプしない程度であれば良いので、適度にすばやく切れ、その後ジャンプせずに落ちるようなカムプロフィールであれば、山の高さは低くても平気です。逆に言うとタペット以上にギャップ調整で数字が変わってしまう訳です。ギャップを広くするとカム山の一部でしか切れないので電圧はたぶん高くなりますが、通電時間が短いので充分な火花になりません。逆に低くすると通常の通電時間が短くなり放電時間が長くなるので電圧が不足してくるかと思います。そして点火時期からするとギャップが広がると点火時期が遅れ、ギャップが狭まると点火時期は進みます。
ヒールが磨耗するとギャップは狭まる方向ですから、「火花が弱くなる」「点火時期が遅くなる」とパワーダウンになる要素が2つある訳です。逆にポイントが磨り減った場合には、ギャップが広がる方向ですから「火花は一瞬だが強くなる」「点火時期が進む」となり適度ならパワーアップになりえます。ただ接点が傷むと電流の流れは悪くなるので相殺するのでしょう。ま、元のギャップがどう設計されているかで異なるとは思いますが。
・で、私は整備資料などないので、0.3mm、0.45mm、0.50mmでやってみましたが、0.45mmの火花が良いように思われました。これが0.5mmになるとからっきしになります。なぜか抵抗値が高い中古プラグだと火花が飛んだりしましたが、新品プラグだとダメでした。今考えると二次の誘導電圧が上がるまで中古プラグはより抵抗があって逆にスパークするのかなぁ?ともおもいますが分かりません。0.3は飛ばなかったかな。
・さて、ギャップを変えると点火時期も変わります。ヒール磨耗で詰めた場合にはギャップ調整しなおせば同じ時期に戻るはずですが、一応点火系全体が回せるような固定になっているはずです。そして大抵はメーカーが点火時期のマーキングをしてくれてあります。クランク回転軸に対し進めれば点火時期が早まります。ただ汎用エンジンは点火時期は固定になっていますし、圧縮が低いです。また高回転は使いません。つまり点火遅れをどの程度見ればいいのか分かりませんが、比較的遅い設計になってはいます。好き好きで調整しましょう。たぶん高回転で使う農機具ではアイドル上げてでも進めれば良くなるでしょう。あるいはスローだけ濃くして進める手も考えられます。
・それにしても、このエンジンもマフラーの容量は不満というか人を馬鹿にしています。「ヒノキの棒」を渡して「大魔王倒して来い」と言うのに近いですね。アイドル付近がかろうじて許せる限界です。
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Posted at
2010/04/10 23:50:03
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