2012年01月01日
砥石の番手と粒子
・年末にホームセンターに行ったらキング砥石のS-3が売られていたので買ってしまった。S3というのは、よく見るS1のサイズ違いであり、♯6000の砥石である。キングの中だと超仕上げに位置づけられており、この上はG1の♯8000があるのみ。あるサイトではSシリーズは悪くはないがGほど研磨力がなく、番手相応みたいな話だった。貝印の♯1800で結構鏡面になっていたので、♯6000だとどんだけ凄くなるのだろうと思って使ったのだが、意外な結果になった。
・S1のレビューだと研磨力はあまりなく柔らかい砥石、と言うのでそうだと思っていたが、S3は私の感覚だとかなり研磨力があって、ガリガリ削れていくような感じ。キングの1000番(赤レンガ)とそっくりな感触だ。研ぎ滑りもなく、吸水性も皆無。なんか、モデルチェンジしてんじゃないかと思うぐらいレビューと違う。あるいはS3とS1が違う物なのか。印象としてはG1の♯6000版と言う感じ。
・で、貝印の1800は逆にものすごい滑るというか、全く削れない砥石で、まるで石鹸みたいにぬるぬるになる。なので6000で研いでから1800で仕上げるという逆転がおきる。ただ最後が1800だから変わらないかと言うと、6000で仕上げてから1800にすると、切れ味が違うような感じがする。目で見ても分からないのだけれど、刃先が硬くシャープになっているような感じがする。切断のコントロールはかなり難しく、リンゴの皮がジャガイモの皮剥きみたいにシャコシャコとそぎ取るようになってしまう。
・問題はもちろん粒子の大きさと切削力(と砥石の製法)によって研ぎ味が違うのに、一般に出てくる要素は粒子サイズだけと言う事だろう(いや、素材ももちろん公開されているけど、今回どっちもWAだ)。という事で調べてみたのだが、この♯番手というのは粒子サイズで一応分けられていて、平均粒子サイズは8000で5ミクロン程度らしい。選別が沈殿では無理なので空気集塵だったか特殊。これで意図的にせよそうでないにせよ、粒子のバラツキが出てくる。
・さて、この先に進もうと思うと10000番とかに行く事になるが、なにしろキングの6000より細かく仕上がる物がすでにあり、貝印にその上の番手がないので、今度は10000番ぐらいにしないと違いが出ない気がするが、その番手は工業規格にないらしく、つまりこれまで存在してなかったのは工業製品として無かったからだ。もちろん粒子分別は物理的に可能なのだから、延長上で作ったかも知れないが、そもそも番手が厳密に粒子サイズで決められる保証もないので、あるメーカーが20000番と言っても本当にそういう粒子かどうか保証はないし、研ぎ上がりが10000の2倍の精度とも言えない。
・そもそも、その番手になると恐ろしく高いし、砥石である必然性がちょっと怪しいと思っている。例えば剃刀なんか非常に鋭利だが、あれは砥石で仕上げず研革と言う物で研ぎあげている。作り方は革の銀面に青棒を塗りつけているだけである。この青棒は酸化クロムな訳だが、粒度はどういう訳が10000番という表記しか分からない。ただ、砥石でも鏡面仕上げにこだわるのだから、だったら粒度がそこらへんの研磨剤を使うのが合理的だろうと思う。手近で手に入るとしたら車のコンパウンドが0.2~0.5ミクロンのが光学研磨用として手に入る。ここらへんで試してみたい。
・そういう超微粒子コンパウンドを使った研磨の叩き台についてだが、革を使う方法もあるが、平面度で言えばガラスが良いだろうと思う。鏡面だから粗度は多分そのぐらいあるはず。そこにコンパウンド垂らして表面を仕上げれば刃先だけは簡単に必要な粒度になるはず。革だと正確は平面は期待出来ないが、逆に密着性は良いので、バリ取りのように仕上げるには可。しかし、このレベルになるとテスト方法があいまいなリンゴとか野菜だと本当に良くなっているのか分からない気もする。またケイ素の研磨剤と言えば、素のガラスそのものに押し上げても精密仕上げになりそうな気もする。
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Posted at
2012/01/01 02:27:48
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