2013年03月06日
ミニキャブで奥多摩・
・今日はとあるワイナリーの畑の見学に出かけた。東京方面には何度も行っているので、まあその途中ってぐらいのイメージだったのだけれど、かなり遠かった。はじめて横田基地とか通ったけど、別に飛行機飛んでないのな。でも衛兵とか見ると、なんで日本の中に外国の軍隊が治外法権持って居るのか一瞬分からなくなる。まあ、多くの在日米軍の兵卒は自らを安保協定に基づく相互保証のための軍隊なんて思って無くて、太平洋戦争で属国になった日本の占領軍だと思っているんだろうな。で、行きの方はカーナビは知っている道の補助が多かったのだが、まあまあ使えるかな?と言った印象。マイナスとしては「タッチパネルの感度や反応が遅かったり間違ってる」「ルート検索で一発目で高速の使用を選べない」「意味不明な道案内をする」って所か。特に最後の奴は民家の軒先だろって感じの道と2桁国道が交わってると「3キロ先、左折です」とか言ってくるのがうざい。なのにもっと太い道との合流で案内が出ない事もしょっちゅう。
多分地図判読のアルゴリズムが幹線道路続きが否かを重視するとか、図形的に直角でない交差は鋭角でも注釈入れちゃうとかあるんだと思う。あと自車の方向は分かりづらいですね。ジャイロとかないので方角が分からないのはしょうがないかも知れませんが、最初の一歩をどっちに踏み出せばいいのか分からないのは困る。また地図が粗い。カードは4GBでしたがデーターはせいぜい2GB、もっと少ないかも?って感じで、田舎で拡大すると周辺目標物が何にもなくなって、逆に方角が分からなくなります。ま、ここらへんは分かっていれば大した問題ではありません。やっぱりナビがあると知らない道なんかは非常に助かりますし、音声案内だと画面見ないでも大体分かりますしね。しかしルート検索はあとでとんでもない問題を引き起こしました。
帰りはかなり多摩の奥地に入ってしまったので、そこから自宅コマンドでルートさせたら奥多摩湖に行けとの支持。え?アホだろ、このナビ、と思いつつ、「まあ久々に峠ルートもいいか」と思って行ったんですよ。奥多摩走るのは15年ぶりぐらいで、当然軽トラははじめてです。大体、夕方5時にあんな所に入っていく人はいないので、結論から言うと5時間近く同じ進行方向に車が一台も一緒しませんでした。つまりね、このナビは道がどんな峠道だろうが等価値なんですよ。距離さえあってりゃ雪があろうが夜間通行止めだろうが案内してしまう。知ってりゃ「そんなナビの言う通りにする奴が悪い」って思えますが、これが全く不案内な道でやられたらナビを奥多摩湖に投げ捨てますよ。
ま、奥多摩湖まではそうは言ってもそこそこ快適な道なので、下手に混雑する道に戻されるよりは私はマシです。渋滞だって嫌な物だしね。しかし、ナビの指示で走っていたら、何故か雪が残る一車線のメチャクチャ狭い道に迷い込んでしまいました。こういう時にどこに案内しようとしているか確認するのですが、このナビが馬鹿なのは目的地の途中でどこを通るのかが見づらい点です。倍率を上げるとほんと文字が全部消えて日本地図になりやがります。地球儀持って埼玉でもさまよってろ!って感じでわからん。そして普通のナビのように進行ルートをタッチで探っていってもタッチの誤作動が多くて意味なルートすら乗ってない地図にすっ飛びます。まあ、行きで大丈夫だったから、この道でいいだろうと走っていたら、甲府に出るはずが大月に出ました。このひどい道を我慢して走っているのはショートカットになるからだったはずなのに、たかだか大垂水(高尾らへん)を端折るだけだったとは、泣けてきます。念のためグーグルでルート検索やってみましたが、柳沢峠を使うルートに対して、松姫峠を使うルートは20km以上遠回りですし、グーグル先生は利口なのは周辺地点を追加して松姫峠を使わせようとしても自動では選択してくれませんでした。どう考えても411号一本で行った方がマシでしょ・・・という事で、オートルートは使えないですね。知らない道で峠走りそうだったらグーグル先生のお伺いを立ててからの方がいいです。
まあ、ネタ的には松姫峠という結構不気味な峠道を走れたので良しとしましょう。ここもすれ違ったのは下の部落(全長35kmの最後の6kmぐらい)を抜かすとバイク一台と犬一匹でした。途中で疲れて仮眠取ってたらバイクの音で目が覚めてバイクがすれ違いで行ったのが分かったのですが、あの先は雪が積もっている訳で、ライダーが無事に帰れるとは思えません。てか、ライダーの頭、なかったりして。さらに犬は人里からまだ10km以上離れたトンネルの前の道路のど真ん中に、真っ黒なマスチフっぽいのが突っ立ってました。調子良く下っていたので、フルブレーキで助手席の食い物を全部ダッシュボードにぶちまけながら、なんとかかわす事が出来たのですが、トンネルの光が中ったらやばかったでしょう。しかし、なんでこんな山奥に犬が?万一猟犬が迷子になっていた場合、下手に出ると襲われてしまうので、用心して見たのですが、捨てられたとも見えず迷子っぽくもなく、野良って感じでもなく、なんかばかされている感じでした。そう言えばここらへんは三峯山とか大口崇拝とか山犬様信仰がある所なので、そっちかとも思いましたが、足は明らかに洋犬の足でした。
・そんな訳で行きで6時間、帰りで7時間、目的地周辺でも1時間ぐらい乗ったので13~14時間ぐらい軽トラに乗りっぱなしというのは、言うまでもなく疲れました。シートがいいので腰は良かったんだけど、揺られ続ける事が疲れます。エンジンだってレッド近くまで引っ張って使うから振動酷いしね。ほんと3G83ってバランサーなんて付いてるのか?具合が悪い事にハンドルのボスの油が切れたらしく、ハンドル切るとギーギー音が出るし。
・肝心のワイン畑ですが、想像していたのとかなり違っていてびっくりしました。ある施設が管理しているのですが、実際はそこの利用者が栽培しているのではなくて、雇われたおじいちゃん達がやってました。もう栽培は35年ぐらいになるのですが、まだ全然技術が安定してないようです。「日本では栽培困難なブドウ」が作られている最大の秘密は本当に簡単でした。完熟させないんです。糖度は聞いてびっくりの12度とかで、うちらのボーダーの14を完全に割ってます。実際は16程度のもあるそうですが、絞るとそのぐらいになるんだとか。うちのも果皮の裏側は22から下手すると26ぐらいになりますけど、絞ると結構下がるんですよね。でもワイン用葡萄は生食より水分が少ないので、やっぱり低い事は低いです。この品種の最大の弱点は完熟する前に腐ってしまうという問題(ここは晩腐と灰色カビ病、世界的には貴腐かな)で、糖度が低ければそれらは起こりづらいので、そりゃ大丈夫だろうけどよ・・・ってなります。あとは笠かけをしているので、それもプラスになっているだろうとは思われます。でも収穫は9月まで待てないらしいので、熟期が違うこっちと比べても「それはワイン用じゃないだろ?」ってなる訳です(デラやポートの時期です)。しかし、一方でそれだけならアルザスのリースリングだって同じですが、ここのワインの不思議な点は「リースリングの香り」はしっかりとしている点なんです。私はこれがあるので、ここはしっかり完熟させて収穫しているのだろうと早合点していたのですが・・・・あるいは、リースリングは耐寒性が強いのでドイツで作っているのですが、実際は温暖な地域では早生になるのかも知れません。アルザスはマジで作り方と「寒いのに早く取ってしまう」とかあるのかも。
・栽培管理は知らなかった事が良かったのかも知れませんが、最新のトレンドを踏んでいるというか、へたな化学万能になってないんですね。何しろボルドーだけ使っていた時期があったり、除草剤や化学肥料も使わず、最近は堆肥もいれず広葉落ち葉を有機物として素でまいていただけ。剪定も我流で、長梢剪定なのに更新かけないから枝が混み合い放題、枝の長さに対する結果母枝の割合はかなり低いです。そして35年生とは思えないぐらい細い木です。巨峰なら5年生ぐらいでしょうか。かなり密度が高い密植をしてます。私は一応最近の栽培の方法は説明しましたが、ある意味この栽培方法は一つの完成形だとも思います。
・まず農薬の使用が少ない点、特にボルドーを使っていた点。棚線が腐るぐらいボルドー一辺倒だったようですが、それで栽培出来ていたんだからいいんじゃないかと。確かに安定してない時があって今の化学農薬に切り替えたそうですが、それでも私からすると少ない方です。とくに殺虫剤が少なく、ストロビンはよく使ってます。ストロビンは耐性菌がありますが、ボルドーは出ませんからね。ボルドーは樹勢も強くする(耐病性があがる)ので、自己免疫力の強化みたいな物があります。殺虫剤が少ないのは他にブドウ作っている人がいないのが影響しているみたいで、これは産地形成されるとある程度仕方ない問題でしょうか。
・肥料も例えばフランスでは土を持ち込むぐらいで厩肥(動物の糞)を使うのは嫌う所が多いです。また除草剤は言うまでもないですが良く無い。そして落ち葉を入れるというのは、最近の事例で林床の有用菌を持ち込んで耐病性が上がったという報告がいくつかあります。どうも酵母などが入っているらしく、病原菌と栄養競争するみたい。また窒素が少なく炭素を多く入れる農法もありますから、ブドウには最適なやり方でしょう。一方で地質は肥沃すぎる嫌いがあり、水分も他から流入するのでかなり過湿であり、そこで栽培が成功している事の方がびっくりです。
・剪定はちょっと考えさせられています。光合成生産物の分配理論で言っても防除や管理の最適化から言っても良くは無い方法です。短梢の一文字の方が楽で良い。それは生食用ブドウだと確実です。一方で、リースリングのような野性味がある品種は本来的には伸びすぎるぐらい樹勢があるみたいで、それをどう抑えて日本で凝縮味のある品種にするか?が課題になります。ここはまず棚栽培って点が一つですね。植栽密度が高いので違いの枝にかかって殺し合っていて、生食でこれやったらどんどん木が枯れるはずなんですが、何故かそうなっていない。黒木部分が適度に樹勢を殺しているのか、新梢が長くても1m、短いのは60cmぐらいで、リースリングの果実重量からするとこのぐらいの方が良さそうな気もします。以前はグリーンハーベストも行っていたようですが、現在は収量が落ち込んでいることや技術指導があって残しているそうです。新梢は10芽ぐらい残して芽欠きで半数にすると言ってましたが、枝を見る限り残っている新梢は10芽に1~3って所です。昨年の収穫が少なかったので減っているのかも知れませんが。
・もっと分かりやすく言うなら、剪定の大きな目的は地下の根と地上部との比率(TR比・多分trank/root比)をいじって、根に対して普通は地上部をやや少なくする事で、樹勢を強く見せるって事だと思います。じゃあ剪定しないと作れないかと言うと、単独で植わってて他と日光競合しないなら、案外平気だったりします。果実はちょっと小さくなるけど、出来ます。日本で棚栽培が発達した理由は湿度の影響大きいはずですが、棚だと樹冠を広げられるので樹勢を落ち着かせやすいというのもあります。垣根だとそれが出来なかった(今日本のワイナリーも垣根をやる所が増えましたが、そこを対策しているのはごく少数のようです)。窒素を控えて硬い木に育てて新梢をかなり少なくする栽培が出来ているから、あんないい味になるんじゃないかと。実際昨年は1反5畝ぐらいの畑で800kgぐらいの収量で絞ったら400kgちょっとで、タンクの最低ロットに届かなかったので甲州を混ぜて製品化していましたが、ある意味もったいない。原因はなんであれ、それだけ収量制限が出来たら、普通はプレミアムワインとして売り出せるはずだからです。海外だと良い畑は少なくとも1haで50ヘクトリットルとかの制限があります。これを1反にすると500リットルです。1反5畝で400なんて言ったらたった26ヘクトリットルですからね。普通の日本の畑では1反で1.5t~2tなので、歩留まり6でも100ヘクトリットルは超えます。
・障害者の方の雇用はかなり大変そうな印象。部分的に出来るかな?と思ったりもしましたが、彼らはその作業を覚えるのに10年ぐらいかけており、しかも同じような作業だからあれだけ高能率なので、大半の人はそういうレベルにすら達してない。運搬が出来る人がちょっといたらラッキーぐらいで、高度な職能を持ってしまうと逆に外出したがらないそうで。
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Posted at
2013/03/06 09:12:36
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