2006年12月21日
メッキシリンダーについて
今の自動車だとメッキシリンダーがあるのな、知らんかった。メッキシリンダーは私の知る限り日本ではモーターサイクルが最初に採用しだした。しかも2ストが多い。鋳鉄ブロック(シリンダー)は重いし放熱が悪い。スリープライナーを入れれば改善するが、やはり肉厚の取り合いになるし、2ストの場合シリンダーにポートがあるので局所的な熱変形が問題になる。特に熱くなる排気ポート周辺ギリギリに水を流せないデメリットが生じる。で、ニッケルボロンやニカジルメッキが採用されたと思ったけれど、その技術自体はポルシェだったような気もする。ポルシェも軽量化には拘りがあり、油冷って事もあってシリンダーはかなり昔からアルミだ。(911Tのような廉価版鋳鉄シリンダーも存在するが)。
さて、じゃあポルシェはシリンダーが減ったらどうしていたのか?オーバーサイズピストンはどうするのか?先にバイクの話で言えばメッキは普通の施設では出来ないし、従来型は治具も特殊なのが必要だったので、ダメになったらおしまいだった。と言ってもメッキシリンダーの耐久性は鋳鉄をはるかに上回るので、事実上まともに乗ってれば本体寿命並の耐久性はあったようだが、2ストは焼き付きが多いので高いシリンダーを買った人もいたようだ。NSRとかオーバーサイズピストンは多分無かったと思う。まあ最近は再メッキしてからボーリングすると言う方法が出来てきたので、オーバーサイズがもう無いブロックでも再生できたりする(Lとか)。
ほんで今の自動車の話だ。まずオーバーサイズが無い理由だが、まともに使えば4ストのインジェクションの低回転のエンジンのシリンダー寿命がほぼ半永久的になったのがあるだろう。仮に修理が必要になったとしても複雑なエンジンを町工場で修理出来ないだろうからリビルト買ってくれと言う意味もあるのかも知れない。またコスト削減にもつながるだろう。逆にメーカーの恐ろしいまでの品質管理があるのかも知れない。実はNSRにはオーバーサイズではないがピストングレードがいくつか存在し、クリアランスを数十ミクロン単位で調整していた。それは製造公差があるのでピストンとシリンダーをグループ分けして品質管理していたからだ(恐らくピストンの公差にあわせてシリンダーボーリング量を調整したはず)。では今の自動車はどうなのか?少なくともOSピストンがあった頃にそこまで細かいグレード分けはしていなかったと思う。ロードスター専門店で取り扱いが多い所なんかは任意でさらに細かく分けてくれていたけど。もちろんメーカーレベルだとメッキした方が安いだろうしね。
すごい高性能なエンジンが廉価に販売されているのは嬉しい半面、修理不能な可能性も増え、エンジンをオーバーホールする人も減る。どんどん技術は高度化しながら一般レベルは馬鹿になる。それはいい事なのか悪い事なのか。
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2006/12/21 12:23:42
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