2021年11月27日
武田信玄とネアンデルタール人・ブダイ
・ラジオで武田信玄生誕500年番組をやっているが、このオッサン、ほんと戦争しかしてないなーという印象。しかも戦争そのものより諜略(スパイや謀反のススメ)だらけで、勝てる戦にしてから戦った印象だが、上杉と北信濃で対立してからは分も悪くなんだかなー状態。唯一誉められるとしたら両国甲斐の国は安定していて上杉みたいな内乱は少ない訳だが、それでも皆無ではないし、内政がそんな上手かったのか?って印象。ビジョンがないまま状況に応じて戦乱に明け暮れていて、偉人と言うか大きな何かを成し遂げた人物なんかなぁ?という気がしてきた。地方の山猿の一匹というか侵略戦争やりまくった迷惑な山猿ではないかと。
そう思っていたら、今度歴史教科書の見直しで暗記偏重との指摘から用語の削減が提案されて、その中で武田信玄や上杉謙信、坂本竜馬などがリストラ候補に上がっていて、さもありなんと納得。と同時に反対意見もあって、武田信玄を他の地方大名と峻別する物があるのかという歴史的重要性の観点から再評価がされていた。
その前に武田信玄の間違った負のイメージとして、騎馬軍団が強い反面鉄砲など新技術導入が遅れたため信長・家康に長篠の戦いで敗れて(まあ敗れたのは子供の勝頼時代)武田家滅亡というのがある。実際は武田信玄も鉄砲はとっくに導入していて、長篠の敗戦は物量差によるものと近年は分析されているそうな。また長篠の戦いですぐ武田家が滅亡した訳でもなく、上杉の跡目争いで推した人の違いで北条と仲違いして二方面作戦を余儀なくされた結果、高天神城の戦いで援軍を出せず面目丸つぶれになったので甲州征伐で滅亡というのが正しい。
まあだから、武田家の滅亡に関しては勝頼の失策が響いているが、信玄がすごい上手く立ち回ったかと言うとそうでもないんじゃないかと。で、歴史の専門家の信玄の功績の大きいのは「喧嘩両成敗(法整備)」「信玄堤」「度量衡統一とか甲州金鋳造」らへん。確かに成果は大きかったかも知れないが、治水はまあどこもやった事だし度量衡統一も域内経済政策でやるのは当然のことだ。法整備は難しくて、確かに慣習的な決闘ではなく領主裁判なのは新しいそうだ。でも、内戦防止程度の意味であって、法の支配とかではもちろんない。
つまり、信玄の立ち位置は甲州の領主であって信州の支配を巡って新潟の上杉と抗争を繰り広げてただけで、天下統一とか新しいビジョンは感じられない。なお、なんで上杉と戦争してたイメージが強いかと言うと武田・今川・北条は強い同盟関係があって安定していたからで、むしろこっちの方が功績ではないかと思う。平和の方が利が大きかった。結果的に上杉と川中島でやらんでいい泥仕合でやってはいけないレベルの損害を出してお互い弱体化して、上杉は内紛、武田は北条と仲違いし、何故か上杉武田は同盟関係になって戦うハメになったが、尾田徳川に敗れた経緯がある。あそこでバカな損耗をしてなければと何度も思った事だろうよ。そういう意味だと信長が成功した背景には上杉の武田との消耗戦があったと言える。
なお信長だって天下布武はしたけど、当時もまだ室町幕府の将軍は残っていたし信長も途中までは利用している。でも名ばかり将軍があまりに勘違い野郎だったので追い出している。そういう意味だとあくまで将軍から任命された国府大名だった武田上杉とは一段上の存在ではあろう。
たとえばスマートフォンの創造者と言われるとジョブスと言われるが、スマートフォン自体はそれ以前にいろんな人やメーカーが作っていた。しかし、それを単なるガゼットやアイテムでなく、アプリのプラットフォームとしてPCの次の形(平民向けPC)としてイノベーションを起こしたのはやっぱりジョブスって事になるだろう。信玄もプレ・スマホ時代のスマホメーカーって感じだったと思うのだ。
一方で名前の教科書削除で感じるのは2点。一つは「人物名より事柄の推移」という方向は分かるが、一方で事柄には名前がついてない事が多い。なんとなーくそっち方向になっていったとして、大政奉還とか大東亜共栄圏とかそういう名前がついてない事の方が多いのではないかと。それらは人物名を憶える事でわかった気になった方がとりあえずは分かりやすいのではないかと。
もう一つは「歴史的事実ってほんと残ってないというか理解されるまで時間がかかるなぁ」という事。信玄生誕500年って事はここらへんの事はたった500年内外の事件である。昔と言えば昔だが、もう文字もあったし言葉も同じようなもんなのにコレである。
・んでもう一つ読んでる本が現代人類の歴史の話で、冒頭部分かなりを割いてネアンデルタール人の考古学的地位の変遷の話をしていた。ネアンデルタール人は直接的な人類の祖先ではないが、石器時代にホモサピエンスと生活が重複しており、一部は遺伝子的交雑もあるという説もあり、4万年前に滅びたとは言う。これ、すごい古い時代の話とは言え、考古学的スケールで言えばそれほど昔とも言えない。たった4万年程度の話しでしかない。なんなら人類史はエジプトとかで1万年近く遡るわけだし。それでも以前一緒に暮らしていた猿の仲間の事は忘れてしまっているわけだ。
西暦がはじまったキリストなんてたかだか2000年程度の話しで、ほとんど昨日程度の事だが分からない事だらけだし、なんなら人間の生命スケールの中に収まる第二次大戦の事もすでに大分あやふやになっている。写真すら存在してた時代にも関わらずだ。という事で、歴史の検証や伝承の難しさと、伝統と思っている事ってそんな古い事じゃないかもよ?って話でした。
・先日買ったスパイシーブダイという缶詰が美味しかった。ブダイをチリソースとスダチで煮た物で、適度にとろみがあってスパイシーで美味しいダシが出ていた。これはいい商品だが、パッケージに磯焼け対策にブダイを食べましょうと書かれていて「それはそうなんかなぁ」と思った。磯焼けは海藻が死滅してしまう現象で海が砂漠のようになり生物相が貧しくなる問題だ。ブダイは冬場は海藻を食べるので、磯焼けの原因ではないかという訳だ。
しかし別の動画見ているとこっちではウニが磯焼けの原因だった。いや、正確には磯焼けが原因不明ではじまるとウニは飢餓に強いので最後まで残って海藻を徹底的に食べてしまうから悪役なだけで、本質的な真因ではないのではないかと言われていた。ブダイにしても海藻を食べるのだろうが、逆に言うと魚が食べるだけの海藻が生えるから海の環境がいいのであって、対処療法的な意味はあってもブダイが悪者というのは言い過ぎではないのかなと。
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Posted at
2021/11/27 08:47:09
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