2010年02月19日
・JAで貰った農家の資料がひどくて笑えるので抜粋。ひどいと言っても作りではなくて、実態がそうなら農家って無理ゲーだよな、という意味で。もちろん、逆説的にこういう農家経営を指針にしたら死ねるという見本にはなるが。細かい数字は資料特定するとまずいので適当。あ、労働力は生産費に入ってない。出荷経費は入ってる。ちょっと抜き出すと
10アール収量 単価 生産額 生産費 所得 所得率
米 600 14500 137000 103000 34000 25%
小麦 400 7500 52500 41000 11000 22%
そば 100 12000(45kg) 24000 20000 4000 17%
・・・・ええと、とりあえず死ねるな。米1反作って収入35000円ってのも泣けるが、小麦なんか1万円だ。そりゃ転作したがらない訳だ。蕎麦なんか畑休ませておくのと変わらないな。というか、米が穀物の中でダントツに収入になるのが農協の米政策のツケで、高値にしたはいいがそれ以外が壊滅なのでジリ貧に陥っているのが分かる。
ただ、資料そのものも怪しい点は多い。もっとも気になるのは生産費が異常に大きい事だ。工場とかでの生産での製造コストは製品の10%前後って事が多いのだが、これだと製造コストが人件費抜きで75%~83%とかありえない数字になっている。労働時間は概算で15時間(そんな早いか!?)だから、最低賃金で700円を加えると生産費に1万ぐらい別途かかる。ただ、生産費では機械関係が大きいようで、ざっと2000万円ぐらいの機械を7年で減価償却している。それで7ヘクタールを作った場合のようだ。思うのだが、そんな必要なんだろうか?いやね、税金関係のとかあるんだろうけどさ、2000万円を7年で使い捨てにして経営が苦しいって、そりゃ当たり前すぎるだろう。粗収入だけ見れば7ヘクタールは900万円にもなっている。所得率からすると250万円ぐらいか。小麦はちょうどその半分ぐらい。機械がしめる割合が所得とおんなじ位ある。
単価は適正なのだろうか?検索かけて分かった資料による小麦の国際価格は記録的に高かった時で27kgで12ドルだったそうな。3000円ぐらいが妥当か。日本では政府がいろんな政策で卸売価格を決めていて、そいつが8000円前後になるそうな。これだけ見ると日本の小麦価格はそれでも保護されているような気がしてしまうけれど、強力粉の製品価格は業務用でキロ200円から600円。つまり60kg単価は12000円~36000円となる。歩留まりとかあるんだろうけど、加工部門の儲けぶりはたいした物だ。
次野菜
10アール収量 生産額 生産費 所得 所得率
トマト 10t 270万円 170万円 100万円 40%
きゅうり 10t 250万円 115万円 125万円 40%
アスパラ 400kg 44万円 25万 20万円 45%
チンゲンサイ 2,4t 56万円 30万円 25万円 45%
タマネギ 5t 40万円 25万円 15万円 40%
ジュース用トマト 8t 38万 20万 20万 50%
特に書くことはないが、トマトときゅうりがかろうじて生きているラインかな?と見えるが、実際には労働力の集約度が違うので、野菜では皆死ねる。まあ、年中同じ物を作る訳ではないから(チンゲンサイとか4~7回転するらしいし)アレだが、やっぱり生産費用が高い。キュウリなんか、どうやれば100万円も掛けられるのか逆に知りたいね(笑)。
次、果物
10アール収量 生産額 生産費 所得 所得率
りんご 4t 100万円 70万円 30万円 30%
ぶどう 1.5t 100万円 70万円 30万円 30%
ラフランス 3t 90万円 70万円 20万円 22%
一見するとりんご農家もぶどう農家も対等に見えるが、経営限界がぶどうが2反、りんごが5反なので、倍ほど違う。ま、どっちにしても、生きていくのがぎりぎりのラインなのは間違いないが。
最後、畜産
収量 生産額 生産費 所得 所得率
酪農 9t 90万円 70万円 17万 20%
肉 500kg 50万 50万 ゼロ
採卵100羽 1.8t 37万 37万 ゼロ
言うまでも無く完全に死んでる。酪農の卸は98円、肉は120円だから、まあほどほどの値段で取引されているとしても、このていたらくである。当然ながら、この部門はさすがに新規は誰も取らない前提だ。
ところがヘンなのは、この本だと栽培限度を果物で2反から5反で書いているのに、事例では2ヘクタール(20反)とかとんでもない単位が頻出する。家族経営でも限界の4倍って、そんな広がっていいのだろうか?まあ、この問題は長くなったので後日。
Posted at 2010/02/19 23:32:58 | |
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