2012年04月05日
・今年はじめてトラクターを動かした。最近になってやっと借りられた水田があって、そこは秋起こしもやらずに放置されていたのだ。そもそも地主のおじいちゃんが死んでしまって息子の代が引き継いだのだけれど、兼業するだけの時間がなくて、一年やって無理だと悟ったけれど、いろんな事情で契約出来なかった。昨年など雑草は生え放題で稲も半分ぐらいしか刈り取ってなかったし、取れた量も当然少なかったのではないかと思う。区画整理を受けてない田んぼとしては大きい1反弱の水田だが、灌漑施設が貧弱な上に畦が痛んでいてとても手がかかる。
・ま、それでも作れるのはメリットがあるので、堆肥を軽トラ2杯1tぐらい運んで撒いた。手作業で大変だったが、スプレッダーが必用なほどでもないとは思う。まあ、かなりムラはあるのだが、ロータリー掛けちゃうし。そう、ここでトラクターの出番になったのだ。
・このトラクターはアワーメーターは500時間以下だったと思うが、寒い時期はなかなかエンジンの掛かりが悪く、バッテリーが上がらないかヒヤヒヤする物だった。まあディーゼル農具一般がそうなんだが、ディーゼルってのは圧縮熱を利用するので、安定燃焼するまでは不完全燃焼で黒鉛が出て不機嫌になる。昨年に灯油を軽油相当の潤滑性とセタン価にする添加剤、そしてクリーナーを買ったのでタンク1/4ぐらいで投入していた。その状態で自分の水田の田起こしをして冬眠していたはず。その時から始動性が良くなった気はしていたが、休眠開けでその効果を実感した。
・まず始動性がすごい良い。大抵、グロープラグを真っ赤にしてやっと始動していたのだが、かすかに赤いかな?って程度で回してすんなり始動(グロープラグは良し悪しで、これを余熱すれば始動は良くなるだろうが、バッテリーは当然疲弊してクランキングが辛くなる)。最初こそちょっと黒鉛とか白煙が出たような気がするが、すぐに安定した燃焼になって黒鉛も消えた。そう、黒鉛も非常に出づらくなった。またアイドル回転が安定した。
・トラクターのアクセルというのはハンドレバーで調整する(ペダルアクセルもあるが、普通は使わない)。このレバーをもっとも戻すと以前はエンストするか、しないでも酷く不安定な燃焼になっていた。そもそもアイドリングをさせる運転がトラクターではあまり無いので、ハンドレバーの戻し具合で調整していたのだが、それを戻していったら全戻しでもアイドリングをしてしまったと言った所。ただ、この時はチャージランプが付くので、バッテリーに充電はされない。
・エンジンの力もかなり出ているようだ。セタン価があがるとガソリンエンジンで言う点火時期を進めた状態になるし、燃焼効率も上がるので、当然トルクも増しているはず。トラクターというのはガバナーという装置が回転数を一定にする制御をするので、力のあるなしを直接的に感じるのは難しいのだが、「PTO1速の車速4速で10cmぐらいの湿った粘土質の水田を16馬力の120cmローターで秋起こし出来る」と言ったら分かるだろうか?分からないよな・・・実際は10cmも起こす必要はないので、調整して5cmぐらいにしてるけど、それだとロータリーが地面に下りてもあんまり変化を感じないぐらい余裕がある。まだエンジンオイルも良いのにしてないし、ミッションオイルやロータリーオイルも古いののままでだ。すごい。ただ、エンジンが強くなってロータリーの負担が増すので、チェーンケースのゴミ取りはこまめにやってる。そうそう、回転は1500rpmでやってる。16馬力というのは2000rpmの定格表示なので、単純計算だと定格12馬力でこんだけ使えるんだと言った所。
・ともかくディーゼルエンジンのセタンブースターの類の効能は想像通りというか、期待を裏切らない事が分かった。燃費的にも助かるだろうけど、機材的にも大きな仕事をさせられるので20馬力のトラクターに30馬力級の仕事をさせたいって時に役立つと思う。またクリーナーはエンジン一般で有効だけれど、その効果もかなりあると思う。実際ディーゼルエンジンばらすとインジェクターはすごい汚れているしね。
・あと現代農業のトラクター特集のネタに一言(飛んだな)。定格馬力を出す2000回転とかに上げなくても良いという記事は確かに良いのだが、ガバナーがあるトラクターのディーゼルだと回転数=消費エネルギーではない。フラットトルクだとして2000回転でトルク10kgでやってる仕事は、1500回転だとトルク13.3kgの仕事になるので、原理的にはどっちの仕事率も変わらない(パワーは不変)。回転数を下げて出来る仕事率に落として初めて省エネなり機材の負担軽減につながる。まあ、ただ、ディーゼルエンジンで2000回転は割と回ちゃってる感があるので、トルクがさがりだしている領域である機種もあるのかも知れない。
・で、セタン価が上がるとその部分が変わってくる。ディーゼルが高回転が回らないのは、一つはピストンなどが丈夫な分重いので慣性が大きいからだが、そもそもは着火遅れがあるので高回転化すると燃えないという限界があった。ガソリンなら点火時期をどんどん早くすればいいが、ディーゼルは燃料を早く入れても燃えないのだ。今のコモンレールにはプレミックス燃焼を分散させておいて燃焼速度を上げる物もあるらしいけれど、点火時期が早まる訳ではない。古い機械式ポンプだと、そこは如実に出てくる(が、噴射タイミングを変える機構があるメカポンもあるとかないとか)。実際このトラクターは回転レバーをMAX回しても2500回転以上は多分回らなかったと思う。しかし、今回始動時にフルスロットルで始動したら、タコを振り切る勢いで回ってしまった。暖気後なら4000は回りそう。
Posted at 2012/04/05 23:44:03 | |
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農業 | 日記