2012年04月07日
・ミニキャブの荷台のコンパネバージョンアップを仮完了。今回は「色を白に」「歪みをなくす」「高さを伸ばす」「腐りづらい接合」「後ろが見えるカバー」ってな所が改良点。色は白が一番ですね、視認性が全然違います。てか、白いコンパネは見ていると眼が痛くなる。歪み関係は結局コンパネ周囲に板を張り付けてセミモノコック構造にして、今度その板同士を筋交い使って取り付け。以前は90cmの高さだったので、そうすると荷台上面が低くて使い勝手が悪かったのですが、110cm(ルーフと同じ高さ)にしたので、それほど不具合は感じませんし、長尺物も一応積めます。農機具も入りますが、ユンボとかだと筋交い外さないと無理ですね。ゲートはまだ取り付けてませんし、幌もまだですが、なかなか良さそう。重量バランスも戻ってトラクションがかかるように。
・ブドウ園は園内の湧水を塩ビパイプの水路で流すようにした。土地が浸食される事や作業時に水たまりに落っこちる事が嫌だったし、過剰な水分が色々影響する事もあったからだ。湧水部分からパイプに流しても最初は谷に水が流れていて「他の部分からの伏流水が多くて意味ないのかな?」と思ったが、やがて谷の水は枯れだした。多分上流部からの供給が止まって地下水位が下がってきたのだろうと思う。何しろとなりの園なんか足がズブズブ沈むほど湿地になってた場所もあったしな。ただ、ここは湧水しているだけ良く、もっと隠れた湿地になっている場所だと、横方向に水抜き管を打ち込む必要があり、簡単に対応はできそうにない。斜面だと重機も入れづらいし。まあ、園の上部を掘って暗渠を入れればいいのかも知れないが。
・田んぼも全部耕し終わりました。初めての田んぼというのはトラクターの走る順序で迷うのですが、テキトーに終わらせました。いや、本当は結構難しい問題です。とくに構造改善されてない変形した田んぼを綺麗に耕すのは至難の業です。変形だとロータリーの幅と合わない場所が出てくるので、蛇行するなり短く切り分けるなりする必要が出てきますが、実はこれが良くない。蛇行すると片方のタイヤは耕した場所に、もう片方はまだ耕してない場所に乗るので車体が斜めになります。そうするとうちのトラクターのように自動水平がついてないトラクターのローターも斜めになります。すると耕した側はより深く、そうでない場所は浅くなってしまいます。じゃあ、先に蛇行しておいて、残りを真っ直ぐ耕せばどうかと言うと、やっぱり車体がでこぼこに乗るたびにローターもでこぼこに動きます。
多少凸凹するのは仕方ないと思われそうですが、水田だと地面の水平は実はかなり重要です。全部泥に思われる水田ですが、農作業で入る時は泥の下の耕してない層(耕盤とか呼ぶ)を農機具は走ります。言ってみればプールの底で、稲は底に沈殿した泥で育っている訳です。プールの底がでこぼこだと、田植えにしろ代掻きにしろぜんぶ農機具が基準となる面を出せないので不都合がおきます。例えば田植えなら車体が斜めになるので稲の植え付けの深さが変わりますし、下手すると蛇行します。代掻きだと不陸が出来て水深にバラツキが出ます(まあ、代掻きは何度かすれば泥が移動して水平になってくれますが)。
今のトラクターはそういう事の対策として、左右方向には「自動水平」と言ってローターが重力に水平にあるようになっているそうです。また、オートデプスと言って深さを一定にする装置もあるようです。ただ、そういうトラクターを買う余裕もありませんし、電子制御は壊れやすく補修が出来ず、取り扱いにも慣れが必要という問題もあります。実際うちのシンプルなトラクターでも稲作は普通に出来ます。いろんな小技はあるのですが、一番重要だと思うのは「深耕しない」って事でしょうか。結局15cmも20cmもほじくり返そうとすると車体が沈むので上の問題が大きくなるのですが、10cm以下5cm以上ぐらいで耕す分にはあんまり関係ありませんし、燃料も使いません。PTO1の4速か5速で耕せば燃料は1反で1リッターぐらいじゃないかな?時間も30分ぐらいだし。
起耕が浅いと植え付けも浅くなります。田んぼも歩きやすいです。養分は地表ほどあるし酸素も多いので稲の生育も良いのですが、虫干しとかには弱いはずなので、深水管理で肥料は控え目になります。深水管理だと除草の手間が省けますし、分けつが得られるので疎植になり、病気には強いし苗代が浮くというメリットもあります。うちは昨年は1、2株植えで7畝で14枚ぐらいでしたが、今年はもっと疎植にする予定です。肥料で分けつさせないので、苗の高さは低いですが、重量があって大粒の米になるので収量はまずまずで、倒伏の心配はありません。まあ、そういうのがすべてセットになって稲作がある訳です(もちろん私のやり方が全てでもないです。地質や環境や銘柄で違うでしょう)。
・他の田んぼを見ていて気がついた事ですが、秋起こしをしても乾土効果が出てない田んぼが多いように思います。またイナワラを還元しているのに腐ってない田んぼも多いです。うちはイナワラは畜産に使ったりして循環させてるのであんまり出ませんけど、腐ってないイナワラは浮いたり夏のガスわきの原因になったりして嫌われます。原因の一つは排水問題のようです。元々粘土質の田ですから、降雨があれば帯水してしまいます。そうすると乾かない。また荒く耕して出来るだけゴツゴツした状態が良いのですが、皆細かく耕してしまっています(とは言っても、湿っていればいずれくずれてしまいますが)。乾かすには荒い方が毛管水が切れていいんですが。藁が腐らないのは空気がないからのように思えます。ある程度水分があった方が腐るとは思いますが、濡れた藁は今度黄色いままだったり、下手すると青かったりしますし。
・ここらへんの水田では「溝切り」は行われません。畑作転作ではやってたりしますが、稲作の時にはやらない。理由として、「面倒だから」ってのが真っ先にあるとして、高地で水は豊富なので、あんまりシラタの原因となる猛暑の影響がないのだろうと想像します。排水はそんなシビアじゃないし、収穫時期にそれほど帯水もしませんし(地が深すぎない)。ただ、やった方が良いだろうとは思います。昨今重視されている暗渠とか地下灌漑とかも、溝切り作業だと大変なので代替技術として発達している部分があるかと思います。逆に元から溝切りがない地域だと、暗渠とか地下灌漑の重要性も理解されづらいんですね。
・えー、あと、今からの課題ははさかけです。米作で一番労働力が必要なのは収穫で、結構暑い時期に行う必要があります(ここらへんでは9月の第一週ぐらいから)。昔は6月に植えて10月に収穫しており、それが自然のサイクルでしたが、兼業農家がゴールデンウィークに田植えする関係ですべてが狂ってきています。ま、暑い時期に収穫が必要だと。籾が一反で9俵取れると、藁もおおよそ同じぐらいの重量になります。つまり合計1tぐらいの物をはさかけして乾燥させる必要があります。これがなかなか面倒なのでコンバインが発達しましたが、いろいろ計算するとはさかけの方がメリットが多いように感じます。
コンバイン=脱穀まで一回で出来る・籾を人工乾燥させる必要がありコストがかかる・機材が高く自走して田んぼまで持っていけない・グレンタンクはもっと高いし輸送車が必要・養分の環流がなくおいしくない
はさかけ=機材コストが安い・省エネである・イナワラが畜産で使え堆肥がタダで手に入る・おいしい・作業が2回になるので作業人員が必要
以前は収穫となればどの田んぼでも家族総出ではさかけをするのが当たり前の風景でした。今は少数派です。専業で面積をふやすと特に難しいのでしょうけど、人を傭っても実の所機材費よりははるかに安いのではないかと。ただ、はさかけ棒などが近代化してないので、そこらへんの技術がないと段取りが面倒ではあります。
Posted at 2012/04/07 03:46:28 | |
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