2012年08月19日
・最近は夕立でウェットなときなど、タイヤがスピンしてしまうことがたびたびあり、空荷の軽トラは怖いなと思っていたのだが、なんだかクラッチの方も怪しくなってきた。この軽トラU42Tは買ったときからクラッチはちょっとおかしくて、ミートが唐突だったのだが、最近は1速で滑っているような感じがある。まあ、それほど坂がちなところを上ったりはしないので、滑っているのが確定してから交換しても遅くないだろうけど、7万キロ前で本当に滑ってたら耐久力が無いな。私が乗ったのは5万キロからなので、私の使い方も良くなかったかも知れないが・・・
・そうは言ってもクラッチってのは使い方で大きく耐久性が変わるもので、へたくそが乗れば1万キロでも駄目になるし、上手く乗れば20万キロぐらい持つ人もいるらしい。そして軽トラに乗ってる爺様達のクラッチワークのへたくそさは若い農家の会合でもちょっと話題になるぐらいだ。ともかくミート時に回転を挙げすぎて「ゼロヨンですか!?」って感じで選果場の中でバックしだしたら、すぐ逃げろという。実際巨峰のパレットに突っ込んだって話もあるし(出荷前の山積みの巨峰の箱が乱舞したそうな)、老人のMT車というのは一つの問題だ。じゃあATならいいかと言うと、今度は踏み間違いによる暴走が後を絶たないし、どのみちへたくそが乗れば機械側でフォローしきれる問題でもないよね。敢えて言えばATにはルーズモードを採用して暴走や急加速できないようする事は出来るはずだが。プリうウスとか多分暴走出来ないはず。あとはブレーキとアクセルを一つのペダルにして誤操作できなくしている方式もある。他にはここらへんでは農業用キャリーカーを使っている老人が数名いる。
・私はキャブセットを冬のまま乗っているので、ノーマルよりは薄いけど冬場よりは濃くなっているようで、トルクはかなり出ている反面、燃費はちょっと悪くなった感じ。かなりずぼらなギアチェンジでも走るので、軽トラにミッションもクラッチもいらないんじゃないかと思ったりもする。U42Tのクラッチ交換はやった人多くが「ミッションが軽くて楽勝」と言うので、いずれやってみたいところだ。まあ、何の面白みもない整備になるだろうけど。
・普通の意味の畑は今年はお休みなのだが、加工トマトと地這きゅうりの苗だけは作って放置してあったので、先日水田の横の利用しづらい区画の草を刈ったついでに植えてきた。ここは水田と用水の間の段差部分を埋めきらなかった部分で、20坪程度。トラクターは入らないが耕運機やハンマーナイフモア程度は入ってくれる。雑草をモアで刈り払って、そのまま不耕起で苗を植えてみた。当然畝などない。もともと捨てるほど徒長した苗を簡単に投げ込んだだけなので、ほとんど死ぬだろうと思ったが、トマトはほぼ全て活着した。逆にきゅうりは悲しい結果に。トマトは少しでも生れば加工用だから完熟して落ちたのを拾って食べようかと思う。きゅうりは放置したら化け物になるだけで数が取れないからつらいところ。特に地這きゅうりは肥大化しやすくて小さいサイズを取るのに向いてないので、なおさらかな。
・補助金関係はお盆明けに面接があるという話だったが、やる気がない書類出したからどうなるやら。というか、購入書類とか無い場合は農水省は自治体窓口がそれらを確認すること、となっていると説明しているので、窓口がその確認に来ないとおかしいわけだが、農地の確認も含めてその気配はない。いや、農地に関してはいついつに見に行くということは言わないで見に行った方が「本当に分かっている」窓口ならいいと思う。確認の日に合わせて草刈やるとか、特定の作業をやって、いかにも適正に管理してますというのは違うと思うからだ。
一方で、現在適正な状態でないからと言って新規就農者の責任かと言うと、それもまた違うと思う。たとえばうちが今年から借りた水田は、湛水できなかったので畦の修繕を行ったが、不十分で他の問題もあったので充分に保水できず除草剤の効きが悪かったので、昨年に引き続きかなりアメリカセンダンが発生して除草もはかどってない(今度は水を抜く方向でも上の人の田からの漏水などあって乾燥しなかった)。でも無責任な人はやれ除草剤が足りないとか、漏水対策が悪いとか言いたい放題だ。自分の畑がしっかりしているならともかく、人の畑に漏水しているのに言われてもナァ、って感じだ。新規で構造改善後の良い水田なんか借りられないし、永年作物である果樹なんかはなおさらその問題は大きい。スーツでケツが光ってる市役所職員に果樹園の下草の種類が分かるとは思えないし、これで面接とかいきなりやらないよな?最低同席して畑地をチェックして話すべき話題だろうけど、そういう風にも聞いてないし。正直農繁期にこのくだらない話が長引いているのはそれだけで精神的に澱が生じる元凶であり、さっさとどうにかして欲しいものだ。
・ブドウやワインの勉強は少しずつ進んでいて、地域のワインの歴史についてなかなか勉強になった。この地域のブドウの歴史はかるく100年を超えていて、明治22年に塩尻に官営のところの苗を譲り受けて植えているそうな。じつは最初はうちの地元に植えられたけど、土地が狭くてワイン作りのような大規模な栽培には向かないと、当時荒野だった塩尻に入植した経緯がある。当時の塩尻の桔梗が原は狐火がよく出る、もののけの世界だったそうで、一つは非常に寒く水利が悪く農業に向かなかったそうな。だから平地部でもブドウ園が多いのね。これがどれだけ古いかと言うと、かのフィロキセラの害でヨーロッパのブドウが壊滅的なダメージを負ったのが1870年ごろなので、ポストフィロキセラのスタートとしてはヨーロッパとそんな変わらないことになる。とは言え最初は(今も)耐寒性があるけど中途半端なラブルスカ系のコンコードとその混血のナイアガラばっかりだった。現在はナイアガラに関してはラブルスカ系の醸造用の白だと多分トップだろうと思うけど、ヨーロッパではラブルスカはワインにはしないのであまり評価されない。
コストで考えると醸造用を反あたり1.5tぐらい取ると、最終損益では生食用の1/2程度にはおさまるみたい。海外だとAOCだと1ヘクタールで15kリットルは取りすぎのラインなのだが、水が少なくて垣根仕立てにしか出来ないと日光の利用効率も落ちるので、日本で同じ条件で考えるべきではないだろう。単純な日光の利用効率だと棒仕立ては棚の6割、垣根は8割ぐらいだそうだ。さらに短梢剪定かどうかでも果実への糖の分配率が下がる。たとえばカルフォルニアでも条件が良いところは棚栽培。
うちの地元のワインの話をすると、以前から一つおかしいと思っているのはワインボトルの形である。うちのはアサンブラージュ(違う品種のワインを混ぜること、最初からブドウを混ぜて作る場合もある)しないし、白はシャルドネが本格ワインではウリなのでブルゴーニュのスタイルだ。特にシャルドネはどんどん磨きがかかっていて、シュールリーなどは下手なシャブリよりおいしいと思う。特にオールドワールドの繊細なバランスはザ・ブルゴーニュ。ところがボトルはボルドーのいかり肩のスタイル。確かにボルドーの方が栽培量は多いので、フランス=ボルドーって印象もあるんだけど、いつもボトルに違和感を覚える。
ただ赤はピノノワールは栽培していないので(実験レベルならやったそうだが、さすがにやめたとかなんとか)、そういう意味だと赤はボルドーと言えなくもない。そうは言っても混ぜたりはしてない。ピノグリは最近はじめたそうだが、あれもブルゴーニュの品種だよな。ボルドーは赤で長期熟成、つまりカベルネとメルローを混ぜたフルボディーのラトゥールとかロートシルトの系統だと思うが、日本だとメルローはともかくカベルネが完熟してフルボディーにはなかなかならないということがあり、本当にボルドーっぽいのは少ないはずだ(じゃあピノのワインが多いのかと言われると、そうでもないけど)。ま、理想を言えば、赤はボルドー、白はブルゴーニュのを使うのが正しいのではないだろうか?ボトリングラインとボトルの入手がどうなっているのか分からないので無責任だけど。
ちなみにドイツスタイルは北海道ワインとかグランポレールとかがあるが、ビンの色を見る限りモーゼル・ザールルーヴァー風のはずである。確かにラインヘッセン風のべた甘いのは少ないけど、じゃあモーゼル風なの?と言うとちょっと疑問に思う。モーゼルのワインほどフレッシュな香りでもないし、ドライすぎる傾向を感じる。私はまだ未経験だが、おそらくアルザス風なんじゃないだろうか?そういえばうちのワイナリーで出しているヴァンドソレイユという藁乾燥ワインもアルザスだと割りとあるそうな。なんでか分からんが・・・
Posted at 2012/08/19 19:29:49 | |
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