2012年10月28日
・今日はマンズワインの小諸ワイナリーの収穫祭に出かけてみた。もちろんミニキャブで。先日から多少カスタマイズしたカーナビの具合を見たかった。MP3音源をいくつか入れたのでBGMとして流しながらナビという事もやってみたが、幸い何の問題も起きなかった。ただミュージックソフトを再生しながらナビソフトを立ち上げる動作は簡単だが、ナビソフトを立ち上げている状態で音楽再生ソフトを立ち上げる事は多分出来ない。システムの許容量の問題かソフト設計のミスか知らないが、ナビしながらは音楽ソフトは一切さわれない、と思う。
・さて、カーナビはこれまで限定的にしか使ってなかったので、果たしてどういう物かと世間的には今更な話題でも。まず戸惑ったのは地元からルートさせると、最初大通りに出させようとするプログラムなので遠回りだったり渋滞に突っ込まされる。まあ田舎だとそれほど問題にはならないだろうけど、遠出も最初はルート案内を切っておいた方が精神衛生上いいかも知れない。なんというか、ナビーがルートを示しているのに逆らうというのは、とても抵抗がある。人が親切で案内してくれているのに、我が道を行くという傲慢な感じがしちゃうのだ。それにナビソフトはヘソを曲げたりはしないだろうが、ルート逸脱警告とか出たら嫌だナーと思ったりしたのだが、結果から言うとこのナビはルートを外れても特に何も言わない。ただリルートボタンが出るので、必要な場所からリルートさせてもすぐに良い道を案内してくれる。
・それでも、ルート案内中は目標ルートだけ誇大表示されるので、他の道が分かりづらい。というか、そのために誇大表示して自分の行くべき道のみを分かりやすくしてくれているのだが、それが他の道を切り捨てているようで、とても違和感があった。地図を暗記したり道路標識で走っている時は、現実世界の方を優先して考えているので、道路を良く見ているし、行くべき道も迷い道もほとんど同じ価値の道として認識されている。なので、ナビに走らされている感覚がつきまとう。もちろん長野県の無計画道路だと、ナビの方がずっと便利なんだけど、街をあんまり覚えてなかったりするのが分かった。
・しかし、帰り道でいくつかルート逸脱を試してみた結果、これはユーザーの考え方なんだという事に気がついた。つまり効率最大で最短距離で漫然と言われるがままに走りたければナビ頼みでいいし、道に迷いたかったら別に自由に寄り道したって構わないのだ。カーナビはそういう時こそ真価を発揮してくれて、セフティーネットとして機能してくれるので、ドライバーは安心して寄り道が出来る。よい意味でナビに頼ってドライバーファーストでいいんだと思ったら、急にナビに対する不安や嫌悪感が無くなってきた。うん、カーナビ、いいじゃない?
・交通は三才山トンネルを通過するルートで、ミニキャブだと頑張っても50kmぐらいという坂もあったりしたが、登坂車線で上手い事道を譲れたり、工事信号があったりで、あまりストレスを感じず往復出来た。でも、本来無料化路線が、無駄な公共工事を継ぎ足していつまでたってもタダにならない理不尽を見ると、公団職員の顔が憎らしく見えてくるね。道路だってかなり荒れていて、いくら補修工事やっていると言っても、真面目にやってないんじゃないかと疑いたくなるし。
・今の美ヶ原周辺は広葉が始まっていて、ガスっていたけれど、幻想的で良かった。多分ビーナスラインは本当に綺麗だろうな。三才山は裏山にあたるので、どこか不気味な広葉で、BGMが「まどか☆マギカ」のおどろおどろしい魔女の音楽だった事もあり、なんだか魔女の森に思えたり。魔女というのは、キリスト教以前、ケルトの文明の中の賢い女の事であり、もっと言うならグレートマザーやキュベレイに通じる根源である。往々にしてそれらは普通の人間の感覚での良い物とはかなり違う、原始的で荒々しい物を含んでいる。キリスト教で父性原理を際だたせるために聖典から外された物にも、同様の物は含まれている。それはハロウィンのような形で通俗的に残ってたりするが、やっぱり畏怖の対象なんだよなと感じる。
・さて小諸ワイナリーはお祭りで大勢の人が来ていて、じっくりと見学とか出来ないのではないかと心配したが、ある意味ワイナリーの心臓部に行く事が出来た。普段は一般公開していない地下セラーで、醸造責任者の松本さん自らサーブしてくださるワインの試飲があったのだ。ワイナリーではどこでもセラーを持つ訳で、平地では倉庫や半地下だし、山だとくりぬいた洞窟だったりするのだが、マンズワインは日本庭園の地下がセラーになっていて、そこにソラリスが収蔵されているし、明らかに特別な場合にのも入れるであろう会議室みたいな物も見られる。収納量は見学範囲ではそれほどでもなかったので、恐らく別の出入り口からボトルを入れるようになっているだろうとは思うが、そこは分からず。普段は口にする事が出来ないワインが500円でグラス2杯楽しめるという事で、防空壕のような場所に結構多くの人が来ていたが、私は車なので飲めず・・・
・肝心の信濃リースリングについて。生産者である事を言って信濃リースリングの苗の配布を行っているか聞いた所、まず行わないという事を言われた。例外としてマンズワインからのれん分けして行ったワイナリーに対しては、要請があれば出しているけれど、関係ない所には出してないとの事。その理由として、最近、ウィルスの感染に大してうるさく言う御仁がいるので、一般販売するのにウィルスフリー化してないと煙たいから、自社で使う分を勝手に作るのみ(要約)という事だった。種苗法の登録が切れている事は先に言っておいたので「仮にどこかのワイナリーの剪定枝から信濃リースリングを接ぎ木として取って栽培する事を禁じる事は出来ないが、育苗元として出所を探る事にはなるだろうし、うちからは出さない」とも言われた。ここが難しい所で、種苗法の登録が切れたら栽培は自由な訳だが、母木は誰かが所有している物なので、勝手に取り木する事も出来ない。そうすると、フリーになっているのに自由には栽培出来ないという状況になるのだ。
・ウィルスフリー化云々は私の疑問が上手く伝わらなかったのだが、普通交配品種を種から作れば基本的にはそれはウィルスフリーである。長い栽培期間に罹患する可能性は否定出来ないので、定期的にウィルスチェックを種苗業者は行っているのだが、その結果を見る限り、そう簡単にウィルスに感染するわけでもないようだ。またウィルスフリーを義務化すべきかどうかについては、基本的にはやった方がいいので、その御仁の主張は正しいと思う。ごく希にウィルスフリーにすると品種特性がおかしくなっちゃう事もあるので(ナイアガラとか)、例外はあるかも知れないが、私はそう思う。まあ、費用がタダって訳でもないだろうから、そこは色々なしがらみもあるだろうけどね。
・という事で、まあ理由はどうであれ、信濃リースリングは一般には出ないという事なので、逆にすっぱり諦めが付いた。穂木泥棒までして欲しい訳じゃないし、製品にした時の名称に困るし、マンズと契約栽培するには離れすぎている。それに、作りたいのはリースリングなんだから、素直にリースリングに挑戦してみればいいのだと腹をくくれる。そのリースリングに関しては、工場内の圃場に色々な品種が植えてあって、房もついていて試食出来るようになっていたので、初めてリースリング他色々なブドウを食べられたのだが、やっぱりリースリングは生の時から個性がはっきりしている。というか、多くのワイン用ブドウは生では甘いかも知れないが美味しくないが。リースリングは生でも美味しいと感じる。
・ワイン用ブドウが生で美味しくないというのはいくつか理由がある。まずジュース優先なので果実の食感が悪い。また皮や種から香りや酸味、渋みを抽出するので、果肉部分だけだと品種の特徴に乏しい。そして糖度だけ高いので、もう何を食べているのか分からなくなるほどだ。とくに赤系。実はワイナリーでジュースでベリーAの赤とシャルドネの白があって飲んだのだが、シャルドネは品種の特徴が出ているが、ベリーAはかなりすっきりとした、ベリーAのワインっぽくはない味だった。コンコードのようにジュースでも皮の渋みやコクが出る品種もあるが、ベリーAはマスカットのような香りがあって、すっきり系赤になっちゃう。ま、そんな中、リースリングは果肉を食べて、生食用ブドウのような印象を持つおいしいブドウだった。生だと近いのは・・・笑う人もいるだろうけど、ナイアガラだと思う。
・実際ナイアガラのワインとリースリングのワインは香りこそ全然違うが、ライトでやさしい香りが高い甘口白、という点で共通点が多い。特に普通のナイアガラは酸味がある段階で収穫するので、今回食べたリースリングに似ている。ただナイアガラは完熟すると酸が足りなくなってしまうし、糖度も低い。リースリングは「完熟して糖度が最高になっているのに香りが残っているナイアガラ」という、似ても似つかぬ物ではあるのだけれど、それでも一般的に食べるブドウとしてはナイアガラが近いかな。
・このワイナリーは周辺も生産用ワイン畑に囲まれていて、しかも比較的都市部にある。棚田をブドウ園にしたようで、周辺ではまだ収穫作業している小さい田圃が目だった。傾斜地なので水はけは良さそうだが、さらに地下ドレン管から用水路に水を捨てており、昨日からの雨で水が出てきているのが確認出来た。栽培は全部マインズレインカットで、かなり農薬も減らせるようで、ボルドーの形跡が見えないし健全葉ばかりで、園の状態としてはこれまで見た中で一番揃って綺麗と言える。木の古さもかなり太くなっているのに樹冠を広げておらず。栽培技術の高さが伺われる。
・ただ、これ、指摘しちゃまずいかも知れないけど、工場の度真ん前に輸入葡萄のマスト(絞ったジュース)の濃縮液ドラム缶があったのはどうなんかと。小諸ワイナリーは信州産葡萄に特化したプレミアムワインをウリにしていて、見学途中で見た大きなタンクも今は使ってないと言う。言葉を信じるなら、プレミアムワインの生産量は約1万リットルで、タンクが4万リットルのが40本は転がっていたので、そういうレベルである(1万リットルは普通の収穫量なら1ヘクタールぐらい。自社工場の畑は多分そのぐらいに見える)。ただ、うちの地元の小さいワイナリーでもそれ以上は醸造していると思う。マンズワインさんはもちろん明確に輸入マストでの醸造商品もラインナップしているので、勝沼以外でもやっているんだ程度の話で、ほんと何ら隠すべき話ではないんだけど、うーん。まあ、良く言えば小諸の地ワインが全体のイメージを引き上げているね、って話なのかな。
・それはそうと、私は改めて東信は苦手だなーと運転していて思った。運転マナーは中信はよく悪い悪いと新聞やテレビでも叩かれるのだが、明らかに上田小諸の方が危ない割り込みや対向車線の右折などが多い。ヤンチャな車も多いし、18号沿いの店や風景は、ちょっと悪い時代の松本と言った感じ。もちろん、それぞれの地域がお互い苦手意識を持っていたりするのだが、上田佐久方面のメンタリティーってチンピラな人が多くてあんまり好きじゃないんだよな。それが運転でも感じられた。もちろん東信出身で長野県の名声を高めた人も多いし、中信にも悪い人間は沢山いるけど、今現在に限れば東信は地盤沈下しているように感じる。
Posted at 2012/10/28 16:43:11 | |
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