2013年07月05日
・今月のバイカーズステーションもなかなか面白かった。とくにVFR750Fの3代目って私は知らなかったので、こんな形だったのかと感動したし、歴代の開発も興味深かった。私が好きなRC24(いわゆる白バイや教習モデル)はイメージリーダーをポルシェ911にして商業的には知らないが、ともかく名車というか高い評価を得た訳だが、その手前のVF750セイバーとかV45マグナとかホンダのV4系のその前の世代はほぼ忘れられていると言っていい。で、それらはカムギアトレン前ので、カムベアリングなどにトラブルがあったんだと。そのイメージの払拭のためにRC24はオーバークオリティーに作ってあり、バルクリ調整ぐらいやっときゃ20万キロの寿命はあると言っていた。さらっとすごい話しで、よくBMWとかではそういう話しは聞くが、国産だってやっぱりそのぐらいの物は作れていたのだと。
・で、私は知らなかったのだが、そのVFR750Fはちゃんとレースに出ていた。ベースがこれだけいいのだから好成績・・・だったら知られているはずで、実際はフロント荷重が足りなくてフロントから転倒が続出して8耐でもリタイアしているそうな。だからVFRで勝てるマシンを作ろうという事になり、RC30を限定で出した。ただ、この判断が良かったとは言いかねる部分があって、国内では限定1000台だったのだが、海外ではレギュラーではないにせよもう少し数を出したらしくて、RC30があるから次ぎのVFR750F(RC36)は思いっきりツアラーにしてしまった。プロアームの奴だ。面白いのは、このモデルは顔がNRそっくりの細眼2灯になっている。んで、レギュラーのVFRをもう少しスポーティーにしようと作られたのが3代目VFR750Fで、これは国内には入れられなかった。というのは、未だレプリカやレーシーなスペック重視なマシンが多い国内で二代目もあまり受け入れられなかったのと、国内自主規制モデルを作ったが開発者が「こんなもっさりデチューンを売れるか!」と言ったんだそうな。その次ぎが白バイのVFR800で、今は1200とかまたツアラーになっているはず。正直白バイモデルでも充分すぎるほど新しくて私にはよく分からないんだが、その後のモデルはなんか安っぽそうで違和感はある。あ、レースマシンは3代目以降はRVFがあるんだったかな?
・その国内で売らなかった3代目の開発ストーリーも面白いし、ホンダや日本人の良い物を作ろうという改良のアイデアも興味深いのだが、とりあえず前輪荷重について。以前RC24のハンドリングを「ハイパワーなオフ車」と評したライターが居て、なるほどなーと思ったし、昨今のSSの前輪荷重を見ても感じていた事だが、今のマシンはどんどん前輪荷重を増やしてキャスターを立ててヘッドを低くしてきている。これは直4エンジンの重心がV4より前になりやすいという事とも関係しているだろう。直4は慣性モーメントやクランクマスの大きさもあり、さらにフロントが重くて動きが緩慢になりやすい。小排気量だとそれらは「適度な安定性」という意味で良い部分もあるし、大排気量でもトラディショナルなネイキッドやメガスポのようにバンク角を犠牲にしても重心が低いモデルなら、重量感として評価出来ない事もない。でもSSのようにバンク角を求めると搭載位置が高くなり、必然的に倒れ込むとずっと寝ているような感じになって切り返しは辛いし、シートも高くなりがち。まあ、今のマシンは結構シートも低いまま成立させていてすごいとは思うけど、本質的に一発でラインを決めて絞るように立ち上がらないと、ラインの自由度は低い感じ。
・よくフロントからの転倒はフロントをオーバーワークさせてこじった結果という事があるのだけれど(というか公道の前からの転倒は圧倒的にこっちだろうけど)、軽すぎて転倒というのも一応分かる。立ち上がりなんかでフロントがスコンと戻っちゃったら暴れるって事はあった。特にRが大きいサーキットなんかだと、フロントに重さが抜けやすいんじゃないかと思う。逆に公道の小さいRだと舵角がグリップを生じるので、あんまりそういう問題は起こらないかな?でも、そういう不具合はあっても、V型マルチの軸モーメントの低さ、搭載位置の自由度、高回転化やトラクション特性は未だに優れていて、市販SSは直四のメーカーでもMOTOGPではV型配置をしていたりする。そういえばドカもV4なんだっけ?ま、公道で常識的な乗り方をするのなら、SSは直4でいいし、V4はツアラーチックになりますよ、という話しでもある。一時期はVツインでも大排気量化してたけど、結局寿命がねぇ・・・なお、フロントからの転倒はライダーへのダメージが深刻なので基本的に避けたい。オフ車がフロントが大きいのは悪路走破性とフロントの安定性のためで、RC24はフロントが16インチだったので、重量バランスはオフ車なのに、フロントが逃げると転倒一直線だったのだろう。だからRC36からは前後17インチにされている。
・ちょっと残念に思ったのは、RC24のようなオーバークオリティーなぐらいの品質の日本車というのは、最近見なくなったという事だ。RC24がオーバークオリティーになった理由は先に述べたし、加えるなら技術的にある程度の挑戦があったのもある。ホンダのアルミフレームはなんでもあそこらへんが最初で、ノウハウの蓄積がないぶん苦労したらしい。今の国産で最近ですごい飛躍したと思うのはZX12Rなのだけれど、カワサキだからどの程度品質が高いか分からないし、隼なんかはモデルチェンジしたのは質感はイマイチに感じる。もっとも、バイカーズステーションの主張は「3代目最高!」って話しなので、むしろ枯れた技術で熟成したモデルの方がトータルバランスは優れているかも知れない。
・うちのVTはまさにこの時期のホンダの作品なので、おそらく技術的には相互関係があると思う。V型のカム回りの作りやオーバークオリティーな所とかね。またレーシーなV型というイメージからV型はツアラーという転換もVTとVFRではかぶっている。400のRVFだけはモロにレーシーな方向に行ったまま終わったのだけれど、VFRとVTは続いているし。一方私がVTで不満な埋め込みウィンカーに関しては、どうも当時はCd値を下げるのが流行だったみたいで、フラッシュサーフェス化の一環としてやったっぽい。
・今日は近所で仕事の会合があって、最近閉じたバイク屋の詳細が分かったのだが、交通事故だったそうだ。自動車の夜間の自爆事故だったそうで、相当な年寄りだったので見えなくて中央分離帯に激突したのかな?確か軽トラがあったはずだから、速度が低くても壊れ方が酷かったか、発作が先にあったのか・・・そのちょっと前にYAMAHAの看板が新しい成型プラの大きいのになったばかりだったのだが、昨日見たら看板降ろして店頭も駐車スペースになってしまっていた。知らない人ではないので(正直、あまりいい印象はないけど。バイク屋としてではなく)、こうやってバイク屋が減っていくんだなーと思った。
・最近思ったのだが、ライディングで怖いと思うという事は大変良いことかも知れない。怖いと思えるという事は、理由が明かであるにせよないにせよ、体感としてそのライディングなりバイクに不安があるというセンサーが正常に機能しているという事であり、その時点で原因分析をしてより上手くなる余地があるという事だからだ。これが「分からない」とか「蛮勇ふるってエイやとやってしまえ」となる方がまずい。もっともっと恐がりでありたい。
・近所の人がマツスピアクセラから新型アテンザに乗り換えた。あれを好きって人もいるだろうし、あるいはもうオーナーになった人もいるだろうけど、あれが走っているのを最初に見た時はぎょっとしたわ。正直に言おう、あれがジャガーやアストンマーチンだったとしても驚かないと。でもマツダだと分かってびっくりしたし、正直「ええー」と思った。俺も偏狭な人間だから、ごまめのはぎしりなんだけど、新型アテンザのセダンのフルーリーブルーメタリックなんか、昔のジャギュアみたいでものすごーいカッコイイと思う。エグくて押しが強くて、いかにもブルジョアのオーナーズカーって感じがする。そして、マツダのデザイン力が戻って来ている事を感じる。MX5を作っていた頃の、セクシーでグラマラスなマツダな感じがしないでもない。でも、私がマツダだと知って感じたのは「このクソでかくて押しが強そうだけど300万ぐらいの車が路上に溢れて、さらに狭い道を狭くして迷惑しそうだな、どうせ中身もマツダなんだしガワだけの魅力で売るんだろうナ」と(ほんとファンやオーナーの方、ごめん)。もうね、止まっているのを見るとアメ車のDセグあたりと同じなんだよ、腰高なのもあるだろうけど、幅が1840とかなめとんのかと。先代の輸出モデルと同じサイズにしちゃった。初代は1780,二代目1795だったのに。高速ばっかりに乗るとかならいいけどさー、田舎の裏道にコレでズケズケと入ってくる奴らばっかりだから嫌になる。旧規格で走っている身になってみろよと。それに、私はあまり好きな尺度ではないけど、車格とデザインって物がある。正直このデザインは500万ぐらいで3~3.5リッターのV6かV8積んでるFRのサルーンでやる物で、300万の
2リッターのFFでやるのは滑稽だ。100台に一台そういう金持ちの嫌味な車が走っているならいいよ?誰もヤクザのベンツに公共性だの調和だのは求めないから。でも、このアテンザは自分が50代で家のローンや子供の養育費も払い終わって小金があったら買っちゃいそうな魅力がある。言ってみればスズメバチに擬態したオオトリバ、ベイツ型擬態な訳じゃん。それが増えるんじゃないか?ってすごい心配する。まあ、マツダは8とかもデザインはすごいイイナーと今でも見かけると思うし、今回の肥大も国内モデルを準備できないぐらいの台所事情と国内市場の縮小、前モデルの失敗ってのがあるんだろうとは思う。これを買う人に一つ忠告するなら、車体価格は安くても燃費は高級車乗る人のように考えちゃいけない。ガソリンの値段や地球温暖化の事なんか全く考えない人しか乗っちゃいけない。いくらカタログ燃費が良くてもマツダだからな・・・てか、多分北米のストップ&ゴーがないロングライド向けの開発基準になってると思うよ。
Posted at 2013/07/05 10:04:08 | |
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