2014年10月25日
・よく分からない経済の話。農家仲間で飲み会があって、私は運転があったので素面だったのだが、経済政策の話になって、「昨今の農産物価格の低下が10月で顕著になったのは、各種経済物価指数がインフレターゲットを超えてスタグフレーションの徴候を示しているから、消費が冷え込んでいるのではないか?」と言う分析を述べたところ、「スタグフレーションってのはジンバブエとかのレベルじゃないとありえない、日本だと無い」という確信を持った反論と、「給与は景気との間にタイムラグがあるから、不況感が出ているという分析が間違っている!」というこれまた断定的な反論にあった。もちろん、酒場でそんな話に真面目に反論しても無意味だし、私も経済は専門外なのではあさいですかと話を切り替えてきたのだが、やっぱり気になったので調べてみた。
まずスタグフレーションが日本で無いと言った人が混同しているのはハイパーインフレーションの方で、ジンバブエは確かにその通りだった。革命的な農地解放と干魃が重なって供給不足になり、2億3000%という超ハイパーインフレになった事が記録されていた。結局ジンバブエの通貨を切り下げてもダメで、米ドルを直接流通させる事で脱却した、というかそれ通貨を抹消してるよね?紙幣が紙くずになってゼロが数え切れないほど付いた紙幣が発行されるのは、とても分かりやすい異常状態だが、そういう即物的な現象は目に尽きやすいだけで本質とは別だ。
(一応スタグフレーションについて説明すると、物価指数などはインフレ傾向になるのに、雇用や賃金などはデフレ傾向になる事である。本来はインフレ時には景気や雇用も良くなるはずだが、インフレが金融緩和など作られた架空の物の場合なりやすい、とウィキにはある。)
景気の浸透には大企業から中小企業、個人まで、あるいは都市から農村まで、あるいは株や証券などから実体経済まで「タイムラグがある」という反論は、スタグフレーションの徴候への懸念への反論としてはとても理にかなっていた。タイムラグは「現実としては」存在するから、それはとりもなおさずスタグフレーションは存在するとも言えるが、その原理がいわゆる心配される構造的なスタグフレーションではないという意味で、見かけ上の物ではないかと言う事は出来る。その人の主張では「賃金は春闘など年度ごとに上げ下げされるので、一年ごとでしか反映されない」という。確かに正社員の基本給に関してはその通りだ。
しかし、別の人が「公務員給与は正社員の賃金の上昇を受けて上がったはずだが、それは最近だ」という物だった。ま、分析にもタイムラグがあるだろうけど、ニュースではボーナスの反映もあると言っていたので、この「タイムラグ論」もいくつかほころびはある・・・・というか政府与党の説明は毎度このタイムラグ論がある訳で、ある意味それを丸呑みしている分、単なる勘違いよりたちが悪い信念だと思ったので、徹底的につっついてみる。
まずタイムラグ論の問題は、実体経済がインフレ傾向かデフレ傾向か、あるいはスタグかという事には関係ないという事だ。「インフレだけどタイムラグがある」というのは大間違いなのだ。何故か?単純な話で経済波及効果が遅い時点で実体経済のミニマムユニット・ポイントにおいては間違いなくインフレなりデフレなりが確定している。その将来予測なり、過去を振り返る時の分析で「タイムラグがあった」と言う事は出来る。でも、一つの地点で見ればインフレがデフレかスタグか逆スタグ(原理的には多分物価は下がっているのに景気は上昇している時もあるはずなので、仮にそう命名した)しかない。よって、タイムラグが生じているから見かけ上のスタグフレーションは実はインフレであるという主張は意味がない。観測上のインフレはインフレにすぎない。
問題その2。そのタイムラグという分析そのものが恣意的である。よくガソリン価格に関して車に乗る人などは「あがる時は様々な理由を付けて即日であがるくせに、下がる時はダラダラとしか下がらない」という事を経験している事と思う。要は経済の大本に近い所ではインフレが起きた時にはその経済ギャップを大本に有利に取り扱い、業界全体で競争を極力避けつつ(自由経済では競争原理ですぐ下がるはずなんだけどね)ダラダラと利潤を得続けている。ま、経済詳しくないけど、日銀や為替相場が関連する国際企業らへんは、国内とのインフレギャップを用いて利益を得られていて、それは上がるに速く、下げるに遅いって事で、別に上流が善意で好景気を下々に流しているタイムラグがあったりする訳ではないんじゃないかな。タイムラグは結果で実際は利益のストックが入る順番にすぎない。なんなら不景気のタイムラグを逆に考えて見れば簡単に分かる。原油価格が上がったら簡単に小売り価格は上がるだろ?そこにタイムラグなんかない。
さらに賃金のタイムラグが春闘のみってのはおかしい。というか、最近の企業の給与は基礎給与で調整すると景気変動に対応しきれないので、一時給与(ボーナス)で調整するのが通例であり、つまり実体の景気変動より大きく出ていると考えられる。基礎給与で景気を反映しようとしたら、極端に言えばGDP伸び率ぐらいの速度でしかいじれないからだ。また、昨今は非正規労働者の方が多く、そういう賃金は任意でその時々で決まってくる。ただ、税金の関係でそれらの把握にタイムラグがあるってのなら分かる。私は企業運営した事がないので、人件費を行政がどう把握してるのか分からんが。そして最終的な話をすると、インフレデフレは一義的には物価指数と景気の関係であり、景気とは賃金もさる事ながら失業率なので、別にある企業の給与が全く変わらなくても、人を解雇したら景気は下がっていると考えていいのではないかと思う。ちょい難しいのは、失業率は有効求人倍率をかけなおせば景気のポテンシャルを算出出来るはずな点だが、実際の求人はちょっと実態とかけはなれているからなぁ。あと、話は脱線するが、これだけ持って見ても人口減少はまんま経済的な不況なんだなと思う。つまり、高収入の老人が退職して、少数の安月給の新人が入ってくるだけだからね。
何が言いたいのかと言うと、別に経済の議論がしたい訳ではなくて、政府与党の流すデマを末端が信じて自分の考えのように語っていて、それが自分達に都合が悪いのを自覚してないって事の方だ。いや、私の経済分析もかなり恣意的かつ悪意に満ちた見方だよ。ただ、経済学者の経済知らずなので、別に学者にどうこう言われてもなんとも思わないけど。でもさ、少なくともお上の言う事はとりあえず疑っとけってのが私が学んだ大きな物の一つだ。もちろん、他のニュース分析なんかでは新しい視点も随分もらった。人間原理で言えば認識の違いを楽しむしかないな。
・もう一つ疑わなければならない問題が出てきて辟易している。農地中間管理機構の会合なんだが、調べれば調べるほど政府の目的が見えてこない。今度の会合でぶっちゃけで聞いてみるか・・・
・直売会は品物を減らしたのであっと言う間に自分の分は売り尽くして他のも頑張って売って、程ほどの所で自分の仕事を優先させてもらった。こっちも面白い話は沢山あるんだが、一方でちょっと思う所もありーの。
・ワインまつりには、他にも何人かいらしてもらう事が出来そうで良かった。ま、微妙に調整しなきゃならない事や、期待と違ったらどうしようかという心配もある。
Posted at 2014/10/25 23:09:24 | |
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