2014年11月01日
・いやね、先の冬に工業関係の本が農業に生かせないかなと読んだときから現場人間が指摘していた事なんだけど、日本人や認証や規格に弱いねってな話が出ていた。どういう事かと言うとISO9001とか14001とか、取得が目的になってて規格が生かされず、単なる対外的なバッジになっている、あるいは取引上要求されるから嫌々取り組んでてあんまり意味がない、現場からは手間だけ取られて生産物自体には反映されてないって話が良く出るのね。今回FMEAという手法を調べていく過程でHACCPという食品安全確保のシステムが出ていたので調べたんだけど、まあ問題だらけで笑ってしまった。HACCPは認証ではなく、その結果の生産物に対して付くらしく、認証の方の名称はまた別にあるんだけど、一番よく見る牛乳のHACCP取得を取得直後の雪印が黄色ブドウ球菌の汚染やらかして、戦後最大の食品中毒事件に発展、雪印の牛乳ブランドが吹っ飛んだ事件が出たので、なおさら評判悪い。まあ、牛乳はかなり政治的にコントロールされた分野なので、お上がやれって言われればやってるし、このHACCPは自然な牛乳を作っている人達からすると工業化への強制なので、この手法自体には全然問題ないんだけどイメージ悪いんじゃないかな?というのは食品における安全規格の前提は慣行農法やかなり工業化された畜産を前提としているので、たとえば山羊の乳とか放し飼いで健康に育てている奴なんか殺菌はいらない訳だけれど(小ヤギは煮沸して飲むかって話だからね)、大規模酪農で遠方から集めてストール飼育で立ちっぱなしみたいなのも前提としてしまう。
私が作っているブドウにしても、一応その手のシステムはある。加工じゃなのだけれど、逆に言えば生で食べる分より安全には気を使う訳で、使用農薬と時期、量を「栽培管理日誌」という物で農協に提出させ、そのデーターを商品に「トレサビリティーシール」という形で付属させているので、何か問題があると誰それが作った物で、その栽培管理はこうでしたというのが「一応は」分かる。このシールは生産者の名前も入っているので、それが市場に出る事が嬉しいという生産者さんもいるが、シールのコストやデーター管理をそれほど気にする人がいるのか?って話はある。
たとえば昭和40年ぐらいまでは消費期限なんて消費者が決める物、書いてないのが普通だった。畑の野菜に消費期限なんか書いてないからな。これが工業化された生産物が増えて消費者の食の安全への意識が「下がり」自分で判断出来ない愚鈍なのが増え、なんでも法律法令に頼ろうという管理社会になってはじめて、この手の食品安全の基準が出てきたと思っている。
・出荷した最後のブドウが直売所に出てて(直売所には生産者持ち込みと農協系市場購入があって、後者ね)、そろそろ客足が遠のくので売れ残ると格好悪いなと思ってたら、唐突に売れ行きがよくなってほとんど無くなっていた。個人的にまだシャインマスカットとか食べたかったのでちょい残念だが、良いことには違いない。シャインマスカットは今年も最後に食べたが、あの食感がかなり硬いのに甘いのは面白いな。風味がすごい良いとは思わないけれど(たとえばマスカット香ならネオマスの方がずっとする)、舌で味わう人にはたまらないだろう。
Posted at 2014/11/02 21:12:33 | |
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