2015年01月09日
・モンドビーノ見る。うーん、事前に持っていた情報と見た時の印象がかなり違った。形としてはドキュメンタリーなのだが、制作側はフランスの地ワイン、文化的に伝統を重んじるサイドに立っていて、その反対にアメリカナイズされたグローバリゼーションのテクニカルなワインを置き、両者を対立する物として描いている。巨大資本でブルトーザーで全てを商売にしていくアメリカやそれに与する人達は悪で、伝統的に家族経営でやってる小さいワイナリーは素朴な善人という形になる。様々な側面や階層で見るとそういう点もあろうかと思うが、一方で家族経営の人達の迷走や不和、技術をおざなりにしている可能性、グローバリゼーションへの意固地な嫉妬などを軽く扱いすぎている気もする。あえてそう言わなければならないほど、モンダビやロランを批判的に表現する手法が露骨だからだ。ドキュメンタリーの風を装いながら、ロランを悪役に仕立てているのを見ると、こいつらマスコミだなぁと思う。そして、無理矢理その意図をドキュメンタリータッチに馴染ませるために下手で素人っぽいカメラワークを多用するので、全然みたい所が見えない。私は反グローバリズムの立場は取るが、こういう誘導的なテクニックは逆に信頼を欠く物であると思うのでオススメしない。
まあ、でもシャトー・ムートン・ロートシルトへの取材は興味深かった。フランスは言うに及ばずカルフォルニアでも系列に手をだし、最近では中国にも大規模なワイナリーを立ち上げているユダヤ資本のグローバリゼーションの手先は、ブランドを最大限使った結果本国フランスでは信頼が失墜したとまで言われている。レクサスって名前が出来てトップレンジがあったとしても、その下のクラスの名前負けしているようなのを公道で沢山見て、そいつらがマナー悪ければ「結局ロールスロイス以外は成金だな」って事になってしまう。ま、ベンツクラスと成金にアピールを競う事は出来るからいいんだろうけどさ(念のため、私はレクサスもベンツも変えない貧乏人だし、あくまでムートンの喩えで本当がどうかは知らない。本国のベンツはもっと質実剛健なイメージもあったし(古いディーゼルとか)、SLのようなスポーツカーのイメージもある)。
フランスのテロワール重視も逆に言えば味による信頼を勝ち得ない事で最後の砦になってしまっている感もある。特にボルドーは伝説のパリ試飲事件以降、テロワールを重視しない方向に舵を切らざるを得なかったし、それ以前からクリーンな経営方針だった訳でもない。フランス人がスパリエにした公道など見ても、結局反米中華思想と自分の利益の最大化が第一にあって、ここらへんはその手段って感もするんだ。大体、ボルドーのどんだけがビオディナミだよ。
むしろ、もっと怖いと思うのは「マスメディア(インターネットを含む)による意識操作やマーケティングが行われて、人々は無批判にそれに飛びついている」「結局金という評価基準はグローバリゼーションと言われる前から国境を越えている」って所で、「既得権益の保守も文化的侵略者も仲良くすりゃいいのに」と思う。何故なら、そこに飲み手の姿が見えないからだ。そりゃ「企業は客に仕えるべき」ってのも絶対正義ではないけれど、飲み手は別に批評家のようにワインをジャッジしている訳ではないし、そうであってはならない(ソムリエ試験を受けるとか、プロを目指している人は別だが)。サステイナビリティーに問題がある栽培方法の物がトップにくるとか、健康に悪いワインがもてはやされてしまうとさすがに問題だが、伝統が物を言うならそれと同様に新しい世界で新規にはじめたというのもストーリーになるし、それぞれの生産者が同時代に生きるお互いをなぜ褒め称えられないのか。
・肩がものすごく痛くなったので少し休んで作業、煙突断熱終了。色々コツを掴んだ、まずスパイラルダクトだが、曲げると片側が伸びるのを利用して細かくやっていけば一人でもまあまあの長さに出来る。で、断熱材は煙突にしっかり巻き付けておかないとずり落ちる。先をテープで止めておくのが良い。そしたらスパイラルダクトをネジのように回転させながら押し込むと割と綺麗に押し込める。まっすぐにやろうとするとずりおちてえらい事になる。燃焼効率は多分さらに上がっているかとは思うが、空気を引きすぎて逆に排気ロスが増えてしまっている感じもある。煙も天気が良かったからか逆に目立って見えた。しかし匂いは減っているので、薪の当たり外れな気もする。点火はいっそう楽になった。あとコールドドラフトが無くなった。
薪ストーブは煙突を外に開放して持つため、運転時には煙突効果で排気する反面、外が冷えてくると逆にダウンドラフトが煙突内部を落ちてストーブ側にふきかえる現象が起きる・・・というか起きていると思う。ストーブから外の冷たい空気が逆流してしまうのだ。高いストーブは煙突にダンパーがついているので、これをとじればある程度おさえられるだろうし、気密が高いから全部閉じればどのみち止まると思うが、時計型は気密も低ければダンパーもないので完全には止められない物だった。しかし、グラスウールで断熱するとダクトが長くても充分に気流が止まる感じなのか、気にならなくなった。どのみち気にするほどではなかったが、余録である。
そこらへんの変化や断熱性能のチェックのために非接触式温度計も注文した。やっぱり分からないと対策たたらないってのがある。特に室温は外部センサーを積んだタイプを使っていて分かるのだが、床に置いてるセンサーが5度で本体のセンサーが20度なんてザラで、いかに空気を媒介に物を暖めるのが大変か分かる。その割りに冷える時はすぐ冷えちゃうが。
・プラダンの断熱性能について。自作二重窓で有名なプラダンだが、具体的な断熱性能がイマイチわからない。感覚としては暖かいんだろうけど、かと言ってYKKあたりが作ってる二重窓とは違うだろうし。まずプラダンの断熱性能だが、素材のポリプロピレンの熱伝導率は0,17~0.19程度、ダンボールは0.062程度、ガラスは0.5~0.75程度、空気が0.024、グラスウールが0.05程度、紙は0.06ぐらいです。プラダンは紙よりは素材の断熱性は劣りますが、形状的に見ると恐らくダンボールと素のPP素材の間、0.1前後じゃないかと想像します。次、厚さですが、プラダンはメジャーなので2.5㎜、4㎜、6㎜のがあります。一般のガラス窓は3㎜ぐらいの厚さなので、熱貫流率(K値)は200です。実はアルミサッシだとアルミ部分がもっと凶悪なんですが、面倒なので計算しません。一方プラダン4㎜だとK値は25になります。8倍ほどマシな計算になりますが、一方でグラスウールの100㎜厚だと0.5あたりですんで、壁はさらに50倍も熱を伝えない事になるので、いかに開口部の熱損失が大きいのかと・・・では、最新のサッシはどうかと言うと、YKKAPのAPW430というトリプルガラスの製品シリーズでK値は0.91でした。厚さは41㎜との事なので、ほぼグラスウール並の熱伝導率という事になります恐るべし。
じゃあ、自作系素材で高断熱窓は出来ないのか?プラダンの6㎜が単純に性能1.5倍にはならないでしょうが、厚さや枚数を増すのは割と簡単にできる対策です。また、APW430はかなり究極な所があり、普通のペアガラスの断熱性は単板の4倍とか書いてあるので、実はプラダンの方がペアガラスよりは高性能って事も言えるのかも。
・エースコンバットゼロというゲームで、ベルカ式国防術というのがある。これは自国領土内に敵軍が攻め込んだタイミングで核爆弾を起爆させて損害を与えようとしたもの、と説明されている。ネット界隈だと「アホな戦術」として焦土作戦の一種に思われている。ゲーム中では核爆発に伴う強力なEMP(電磁気パルス)によって自機のHUDの表示がグラングランと乱れるという演出がある。まあ、演出なんだからどうでもいいんだが、果たして本当に核爆弾が使われるとEMPパルスがあんな形で影響を与えるのだろうか?というのが今回のお話。
まず戦闘機がEMPパルスの影響を受けるかと言えば受け得るというのが結論のようだ。劇中、それで他の動作がおかしくなったり、無線が完全にダメになったりはしないが。私はあれ「ずっとパルスが発生している」のか「機材がEMPの影響で故障してああなったのか」が分からなかったが、EMPパルスの持続時間は10ナノセカンド程度と超短時間な事から考えると「故障」の線が濃厚。
しかし、あの創作には大きな矛盾があった。EMPが発生するメカニズムは核爆発を超高々度で行った場合、熱など爆風でエネルギーが浪費されないので放射電子線という形で放出され、それが希薄な空気分子にぶつかって電子を叩きだし、それが地球の磁場に引かれて降り注ぐんだそうな。アメリカはいろんな核実験やった中でティークと呼ばれるテストで高々度核爆発をやったが、予想外に電子機器や通信環境にダメージが出て大問題になったとある。一方、ベルカ式国防術は国境付近の7つの街で行われたとされ、クレーターが明確にのこっている場所もあるが、その規模はそれほど大きくはない。思うに地下埋設型か地表付近で、kt級の核を使ったのではないかと思う。威力の定義ではないのだが、戦術核兵器を使ったという表記もあるのでた、短射程弾頭=小型核という一般的な予想は成り立つ。そうすると、改めてクレーターが出来るのは地表付近での爆発だったからであろうと。
じゃあ、地上で爆発させてEMPは出るのか?という話になる。核爆発自体はどのみち大量のガンマ線などを放出するので、大気密度が濃い地表であってもコンプトン効果でEMPは発生するであろう。しかし、「熱で放出されるエネルギーが大きい」「空気密度が高いのでガンマ線が飛び散らない」事から、影響範囲も威力も格段に小さくなる。またウィキによると周波数が高々度核爆発のそれより限定的とあるので、シールドを効率的に行える事だろうと思う。少なくとも、ゲームの中ぐらい離れた場所にいてあそこまで影響が及ぶ事は考えづらい。
もっとも、ベルカが自国領土内であれ核を使った事がなんか正当化ではないが因果応報って形でうやむやにされ全面核戦争になってない事、他のエスコンのミッションでは核ミサイルの迎撃ミッションがあり、明らかにダーティーボム程度じゃすまない爆発をしている時もあり、あの世界の物理法則や様々な点が現実世界とは異なる可能性があるので(そもそも対空対地両用の誘導ミサイルが100発以上積める戦闘機なんて無い)、ゲームはゲーム、現実は現実ではある。
Posted at 2015/01/09 23:35:04 | |
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