2015年08月11日
・好きなブログで動的平衡という話をしていた。元の意味とは若干異なるが、「ミクロで見ると動いているが、マクロで見ると動いてないように見える」物を動的平衡と呼ぶらしい。で、生命体の維持というのは個体レベルで見れば細胞は死にながら産まれ観測上は同じ個体に見えているが、実際は死んでいる。これを群体レベルで見ても、相対としての種は変わらず、新陳代謝が続く事で種は動的平衡状態にあるのではないか?という指摘だ。なるほどなぁとも思ったけれど、元の引用が「生物がエントロピーに逆らう方法が動的平衡」と言うのは、どこか違和感を持った。
エントロピーは常に増大する。個体側を固定して考えるからエントロピーの増大に逆らう方法をどこかに認めないと生存がありえなくなるのであって、先にエントロピーの増大を「あるもの」とすれば、生命の存続が説明出来る。流れ落ちるエネルギーの流れがあって、はじめて現象として生命が観測されるのであって、その逆ではない。ちょうど水の循環があるから川があるのであって、川があるためにどこからかエントロピーが増大していると言わないでもいい。数学的にはイコールな物を逆さにしたり入れ替えたりしても同じ事だろうが、やっぱり私は逆に考えるのは無理があるように感じる。そして、詰まらない話になるけど、上の出発点で見ていくと「世界は動的平衡のために新陳代謝をしている」という「驚き」は、「世界全体ではエントロピーの増大に逆らうエネルギー投入があるから動的平衡が下流でおきてる」って当たり前になってしまう。
・昔住んでいた大町の方をグーグルのストリートビューで見ると、土蔵に藁をかけられるようになっている。ストローベイルハウスの走りか?と思いたくなるが、あとで述べる理由でちょっと考えづらいので検索かけたら、これは雪囲いであるという記述が見られた。なるほどと納得した。確かに最近の家でも雪囲いとして木組みが回してある家はそこそこ見かけるし、逆にもっと雪が降らないうちの市では見た事がない。
家の周囲に木組みを作り藁をかければ暖かいのではないか?という期待がありえないのは、露出した藁の防火性の低さだ。1度火がつけば簡単に燃え落ちてしまうだろう。蔵ならまあ多少は防火性があるし、雪が降らない時期は藁を外して他の事に使えばいい。
これを参考にした写真サイトは長野県下の古い建物の美しいモノクロ写真が集まっていて見ていて心が安らぐ。まだ茅葺きの農家の三和土で婆様が豆を唐竿で叩いていた時代が80年代半ばまであったのが嘘みたいだ。ちょうど私はそこらへんが失われていく時代のど真ん中にいたはずなのに何も覚えてない事にちょっと後悔を感じる。んで、結構びっくりしたのは、高校の通学路の途中の温泉街にあった不思議な建物、一説には信州大学の学生寮だったと聞いたのだが、それが遊郭だったという事。横田遊郭という所で、私が高校の頃はまだ建物はあったのだが、今はもうマンションが建っている。妙にハイカラで目を引いたが、そういう所だったとは。なぜ、温泉が出ないのに温泉街があり、チンケな宿が乱立しているのか分かった気がするし、少しガラが悪いのも納得。
それにしても今度壊す家の土蔵も結構いい扉とか風情がある物使っているので、部材使えるなら使ってやりたい。多分、母屋より土蔵のが古く、通りに面している増築部分に元は何かあったんじゃなかろか。そうそう、以前から考えていた事についても面白い記述を見つけた。それが「土座住居」。床の断熱の観点から高床式の家は明らかに不利。では昔の人達はどうしていたのかと言うと、床を張らないという選択肢があった。そのかわり、藁や籾殻をしき、その上にむしろを敷いて生活していたのだそうだ。きっと床はブヨブヨした歩き心地だったに違いないが、土間の上に籾殻という発想が決して的外れではなかった事に感動した。記述によると「冬場暖かかった」とあるし、そこまで極端に珍しい家でもなかったようだ。まあ、普通の格が高い家は皆床張っていたんだろうけどね。
・仕事は朝一で出荷、その後収穫、いくつか雑用で回ってから昼寝、そこから選果して発送したらもう夜である。まあ雑用は急ぎではないので削れる仕事だし、昼寝したのは昨日寝不足なので自己責任だが、選果と発送作業が結構大変。しかも選果そのものではなくて箱の組み立てや蓋の結束と言った周辺作業に結構時間を食っているのが分かった。ブドウの価格が高い原因の一つに協同選果作業が出来ないとので、その分個々人の農家が梱包までやるので、その人件費が農家に支払われていると考えられるのだが、逆から見ると出荷作業も効率的に行わなければそこで労賃が発生しているのを見過ごす事になりかねない。箱の組み立て、スタンプが10箱で10分ぐらい、梱包が蓋閉めだけで4kgなら軽く1分はかかる(保護カバーもあるので)。一箱2分だと1時間で30箱しか梱包出来ない。私の労賃を時給2500円とするなら、一箱に80円以上の労働力が割かれているって事になる。梱包機のお陰でこの効率は飛躍的に上がったとは言え、ここらへん辛いな。荷物の積み込みも地味にロスだが、簡単に解決する方法は今の作業場レイアウトだとないしね(つまりレイアウトかえれば大分ロスは減らせる)。
雑用の一つはワイナリーだったのだが、盆休みですごい混雑していた。正直あれはいただけない。普通なら駐車場内の誘導を3人ぐらい警備員使ってでも行って事故がないようにしなければならない。あそこは普段はすいているので人の歩行ゾーン分けはされてないし、人気の直売所は入り口横に併設されているので、あそこに2人、一人が下の駐車場までカバーして奥の入り口方面に一人、無線で駐車場誘導しないといけないだろ。とくに下の駐車場は入ると蟻地獄だし見通せない不良設計だからな。あとは燕が気になる。燕の雛が産まれるのはほほえましいが、あの糞は施設のイメージを大きく損なう。場当たり的に撤去するのではなく、設置されたくない場所を徹底的にカバーし(ネットでも使えば目立たず手軽だ)、設置してもいい場所を影響が少ない場所にし、どうしても作ってしまったら下に糞受けを置くべきだ。倉庫ならまだしもレストラン入り口があれじゃ・・・
さて、迅速な対応を目的に設置した出店は、私が来た時は閑古鳥が鳴いていた。という事でサクラかねて、最後の肉うどんを食べたのだが、これが一番それっぽかったかなぁ。以前より麺がほぐれてカッチカチな感じはなくなっていた。てか、インスタントより、普通に冷凍ほぐした方がはやくね?肉は安い薄切りだが、まずくはなかった。ただ、脂が冷えた状態だと固形になって食感が良く無い。だから肉だけ暖めて乗せてあるのだが、だったらもう冷やしである必要もなかろうに。冷やしでやるなら脂がない感じの肉の方がいいんじゃなかろうかと。さて、囮の甲斐あって人もボチボチ来るのだが、説明文が長くて読んでいるうちに面倒になって移動してしまった。これは頭よすぎる人のミスで、たとえばマクドには様々な決まり事があるのだけれど説明は最低限口頭で言えば分かるようにしてあるし、多少は施設側の負担(ゴミの分別とか)になっても、ああいう説明は避けるべきだ。たとえば水分の分離なら、ボール型投入口があれば「ここは飲み残しだな」と普通は分かる。別に販売形式に特許はないんだからシステム丸パクリでも問題ないだろ。あと、これは施設側の深い意図もあるのかも知れないが、サクラ入れろ。良く有る事だが、良い物を売っている店も誰も入らないと敬遠してしまう。分かっている人が来て名店だと分かると逆に客が集中する事は良くある。プレオープンで客が少ない時にお偉いさんがきてもしょうがないんだよ!
・もう一つの雑用は、とある圃場の賃貸の件。空き家の方は会議結果ももらったが、結局知ってる所だけだったが、圃場は予想外にすんなり貸してもらえそうでびっくり。間に入ってくれた方の人徳なんだろうなぁ。条件等はあとからだが、言われてはじめて気がついたんだが「農地中間管理機構は使えないよ」って、そういやそんな役立たない政策ありましたねぇ。実績5%でしたっけ?NDK?NDK?こうしてみると役人が机上の空論で作った政策、あるいは高度な策略に基づく反作用政策は、むしろ利用者から「補助金がもらえない」というマイナスを意識さえる事で優良農地の流動化を阻害しかねない。人間心理でマイナス・デメリット・ロスはことさら意識されるが、目に見えてないメリット・ベースラインでのプラスは見落とされがちだ。「そんなの政策に甘えなければいいじゃないか?」と言われそうだが、まさにその通りで、政策によるインセンティブなんて無視できるだけの損得勘定や自己基準がなければやっていけない。そして、そういう農家を生き残らせるには、この手の細かい条件つけた補助金事業そのものが害悪でしかない。元からそんなの無しで考えた方がいい。まあ補助自体は必要なので、それはこういうみみっちい要件は無い直接支払いとかの方がいいんでないのかな。
Posted at 2015/08/12 23:13:32 | |
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2015年08月11日
・朝一で出荷した。恥ずかしながら6時の最初の頃来たこと無かったので、ここまで混雑しているとは思わなかった。軽トラ渋滞で、しかも爺さん婆さんの運転だからこええ。ウィンカー無し、公道塞いで行列など無法地帯である。行列つくればまだマシ、ヘタすると出口から入って置いてく奴とかいるぞアレ(しかも知り合い。ただ、軽トラじゃないので入り口入れず特例かも知れない)。で、そのあと収穫したのだが、提出書類作成のデッドラインで休めず(昼間寝てる)、その後地主さんの倉庫整理を頼まれた人から道具を持っていけと半分強制参加で倉庫片付けやって、役所には閉庁ギリで持ち込んだ。そして、まだ雨が降らないので、巨峰園の乾燥が再び危険水域に近づいている予感があったのでこっちも潅水。水の吸い込み具合が半端ないので、安心できるまで潅水してたら夜中になってて、さすがに寝込んでしまった。巨峰も怪しい袋開けて見ると、肩がしぼんでるもんな、園の内側でも。幸い被害は房単位でスポットで発生しているので、全部がランクオチって事はなさそうだけど、今年は異常だわ。あ、尿素が効いたのか、色の薄さは大分解消した感じ。色は正直悪い。ハクビシンの被害ですでに軽く食害を受けた房を食べてみたが、今年は巨峰の生育も大分早く、味に関してはもう食べても全然平気、巨峰のあのコクは出てないが酸味はほとんど感じないのだが、いかんせん色がかなり悪い。袋掛け前後までは着色が早くてホクホクしていたのだが、あれから色が大きく進んだ感じがない。夜温が下がり出せばグッと黒くなるかも知れないし、標準的な生育タイミングとしては悪くないのだが、このまま赤熟れしないか心配。
・そんな事やってたらさすがに具合が悪くなったので休んでいる。睡眠は分割してもあまり効果ないね、昼寝程度なら挟む意味はあるけど。という事で荷造り作業を行って発送して、片付けで出た荷物を仮置き場に置いて、パープル苗に潅水をちょっとだけしたら終わった。苗園は小屋に雨樋つけてドラム缶に入れていたのだが、結局ペール缶で2杯潅水するのが目一杯だった。他の場所さすがに辛い感じになってるし、1日「潅水デー」を作ってタンク持って走り回るかな。幸い片付けた中に40㎜ポンプで使えそうな吸水口があったから、タンクに入れるのも出すのもポンプ使えるし。そうそう、苗園のプログリは結局草退治としてはほとんど効果がなかった。丁寧に散布したツル系雑草(アサガオやアレチウリ)は消えたけど、先端がちょっと枯れただけのアカザやイネ科雑草は4日ぐらいは生育が止まったかな?って感じで全体として見れば順調に伸びてしまったので、草刈機の出番。やっぱり根まで枯らすタイプじゃないと散布量か散布時期を相当選ぶな。
・半日調整タイム入れて休んだのである程度リフレッシュ、明日まで収穫はある(13日が特別対応)。14日は直売会、そういや直売の葡萄も頼まれているんだった。正直直売会は休みたい、というか休むかな。この時期に1日潰されるの辛い。半日地元でやるならいいけど、往復2時間とか勘弁してください。
・明日の予定 出荷 収穫 潅水 苗園の草刈り 地主ん所の片付けの続き
Posted at 2015/08/11 20:58:07 | |
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