2018年01月01日
・2018年という、まだちょっと耳の中で座りが悪い新年がはじまりました。
一茶の句に 「めでたさも 中ぐらいなり おらが春」
というのがありますが、正月に高揚感も無く、平凡に過ぎていく今年はその感が強い。この句の前書きには正月飾りも出さないし大掃除もしないような事が書いてあり、年賀状も書かずしめ縄も飾らない家なんかまさにそんな感じだなぁと思う所であります。カメラを持って出かけてはみましたが、神社でいかにもな正月の写真撮るのもなんだなと思い、古本屋でちょいと気になった本を買って終わりました。道路も空いていて、立ち読み客ばかりな世間を見ると、ほんと景気悪いんだなって。でも天気は良く、気持ちいい新年ではあります。
・ケミカルカイロの小ネタというか発見、就寝時に外して朝給油しようとしたらまだ残量が多いという事があった。また、一時的に外したら温度が下がっていたのだが、服に入れたらまた温度が上がったりする。恐らく服の外だと温度が下がってベンゼンの揮発や触媒作用が下がり放熱が下がるのだろう。やがて止まる事もあるのだろうが、温度が10度ぐらいだと触媒がなんとか反応を続けられる感じだ。今日もカイロを入れていたので温々というか時々暑いぐらい。ケミカルカイロは止められないと思われているが、実際は密閉して酸素を断てば止まる。しかし自然でも低温にすれば止まる事が分かった。
・ストーブ、今日はリンゴのコンポートを作ってビンで保存。ジャムとして使うと結構な間持ちそう。あとは餅を買ってきて焼いて磯部にして食すが、醤油がちょっと悪くなっていて香りはイマイチだった。自家製のモチ米もあるんだが、餅にするには精米して蒸してついてと行程が多い。ラップで冷凍保存とかするなら作り置きもいいんだろうけど。パンなんかもストーブで炙ってから表面カリカリで食べると一段と美味しい。
あと昨年購入した薪の水分計を使って見ているが、結構数字が頻繁に変わるので安定しない。一応20%以下、出来れば15%らしいが、地面際に切り転がしておいた薪は水分が多くて燃やしてもイマイチである。こういう薪は寝る前の熾きの後ろに置いておくと、一晩たってカラカラになっていて良く燃える。ま、今年は割らないで燃やしているのでなおさら乾燥が悪い気もする。薪割りは以前は薪ストーブの醍醐味ぐらいに思っていたが、剪定枝やブドウの伐採程度だと割らなければ入らないサイズの薪はそれほど出ないし、割った方がいいサイズでも丸でくべた方が楽なので、乾燥させればいいと思っている。長さも極力楽するため炉内サイズギリギリなのもある。
・うちの猫は毛皮が厚く体も大きくてがっしりしているので比較的寒さに強いらしく、最近保温をしっかりするようになってからは布団の上で寝る事はなくなってしまった。ちょっと残念だけど、猫に追い出される事もないので良し悪し。コタツだと良く膝上に乗ってくるが、これとて暑いと思うと逃げ出すので、スキンシップなんだろうなと思う。鼻をフンフン慣らしながら乗ってきて、ゴロゴロ言いながら手を伸ばして爪出してモミモミしているのを触るってるのは至福だ。
・ ・パトレイバーの小説版の4、5巻を読んでいる。サブタイはブラックジャックで後藤隊長をクローズアップした回、著者は横手美智子サンである。時系列的にはTVが終わったぐらいで、第1小隊にピースメーカーが配備され第三小隊の創設が検討されている時期にあたる。横手さんが執筆に苦労している間に長くなって、一巻にまとまらなかったので上下に分けたと言う事だが、確かにかなり苦労している感がある。太田迷いの午後で脚本デビューした横手さんなのでまだまだ駆け出しだし、後藤という一番謎が多く難しいキャラのため、切り口に迷いが見られるし、直裁的な描写を避けた結果迂遠で分かりづらい感じになっている。後藤隊長の過去に関してはファンの間でもあまり知られてないというか謎感があったのだが、こういう公式小説があるのにそれが解消しなかったのは、一つに小説の出来に疑問符がついていたからではないかと失礼ながら思ってしまう。また、横手さん脚本でもこれに似た感じのも良くあるので、手法としてはまあ当時からなんだろうな。
さて4巻の方の中身からだが、パトレイバー世界の解説が断片的にも出てくる。1995年に東京湾周辺で大地震があり甚大な被害が出ている事はコミックなどでも出てきている。一応レイバーが大量に使われる背景として「バビロンプロジェクト」という東京湾の大規模開発があるが、そのペーパープランは大正の頃からあるんだけれど、直接にはこの震災復興からの流れである。また、これも東京を舞台とした作品では良く出てくるのだが、ジオフロント計画ね。これらのためにレイバーが動員されている背景がある。
さて、後藤についてだが、最初は刑事部にいたが、一時期公安に移動していたが、6年前の95年に警備部に移って特車二課の隊長についている・・・という感じらしい。また第1小隊の機材更新が申請から2.3年たっているとか言う描写があるので、時期的には2001年ぐらいかな。そして既婚者であり妻とは死別している。妻、裕子の兄の築嶋顕悟は刑事畑の時の元上司だが、後藤が公安をやめる時に退職して電気設備の会社をやっている。劇中でも時々出てくるが、後藤は公安に対してあまりいい印象を持っていないようで、時々衝突や命令無視を見せているし、公安が悪役な話もある。またコミックで人身売買を憤る野明に対して警察は予防的措置が出来ないという話を何度かしている。曰く、予防的に健康体に薬を飲むのは良くないとか、風邪薬には風邪薬のプライドがあるんだとかなんとか。一方この小説では、公安は治安に対して未然的に防ぐ性質があるとも述べており、両者は完全に区別されている。
ここはコンセプトデザインの段階での押井さんの影響を感じる所だが、日本の左寄りの人達は公安のやり方や存在を敵視する一方で、実働部隊である機動隊や警備、自衛隊なんかもインテリジェントじゃない方なんかには好意的である。それは、まあ、歴史的な経緯もあるだろうし、事実嫌われるような事を公安・憲兵・特高警察なんかがやりまくっていたのもある。左寄りが全員反戦かと言うとロシア革命の赤軍見れば分かるように、必ずしもそうじゃあない。もちろんパトレイバーが革命派という気はないが、当時の学生運動左寄りの人達には実力への強い期待があったし、一方でソ連や社会党、革マル派への反感から「新しい社会体制や革命はどうあるべきか」という葛藤があった物と推測出来る。その答えの一つが野明や遊馬の成長を通して描かれる「個人的良心に則った中庸路線、でもなかなか上手く行かないよね」って所じゃないかと思う。基本的にパトレイバー世界はバブル世界がまだ残っているから景気もさほど悪くない分、そういう革命機運も低いし、そういう動機の低さの補足としてよく環境保護団体問題が出てくる(ま、そう考えると資本主義革命を進めたい勢力にとって当座の景気の良さは、場当たり的な民族性ではマイナスでしかなく、本質的に景気浮揚と言うのは下手なのかも知れない。無論、平均値とか地方とか世代を考えるとどうだか分からんが)。あとは、まあ、作中でも書かれている通り、読めない実力者後藤とて完璧人間ではないし、野明達も成長していかなければならないという所がどうなるかだな。
他少し気になるのは松井さんが後藤の過去に関してあまり知らないような事が出てくる。松井は刑事課なので後藤の刑事時代なら知っているのかも知れないが、公安時代の事もあまり知らないみたいだ。アニメや劇場版だとカミソリ後藤の話を知っている数少ない理解者という位置づけだったので少し齟齬はあるが、彼目線で見ると恐らく訓練生の不穏分子の部分で困る設定があるのだろうか。後藤の妻の死因はまだ出ていないが、時期的に震災影響なのか、病気なのかはおいおい出てくるだろう。また後藤が部下の死に責任があるような話しも出てくるが現時点では不明。ただ、冒頭の話はこれに繋がっているとも思われる。
日本の社会派SFの巨匠では、押井と士郎ではここが大きく異なる事に気がついた。二人とも警察機構の対テロ対犯罪を描いているが、パトレイバーは非公安、攻殻機動隊は公安サイドである。そもそも公安9課は「犯罪に対してより攻性であるべき組織」として犯罪の未然防止は是になっている。またパトレイバーにしても独断専行の二課として警察の範囲を超えた活動は十八番になっているが、9課みたいにバックに首相がいるとかではない。もっと言うと攻殻は警察が舞台なのは1,と1.5で、2は企業体であり、社会云々は荒巻の頭にあったとしても、少佐はもっと個人的な、人間の霊的・技術的革命の方に傾いて終わる。そういう意味だと、もっともっとオカルティズムやアナーキーな大友があって、その間が士郎で、反対が押井みたいな位置づけかも知れない。パトレイバーなんてレイバー抜かすとほっとんど人間は80年代的マインドと生活しかしてないからな。そして、そういう戦後昭和体制を引きずった中での社会像がパトレイバーな訳だ。現実としてオカルティズムは今は下火だし人間変革も見られない。未だ昭和の政治家が世界を動かして新人類とは行っても劣化したような感じになってるのを見ると、リアリティーがどちらにあるかは語るべくもない(それは創作の優劣とは関係ないが。士郎ワールドの高踏的な所も嫌いじゃないし)。
Posted at 2018/01/02 01:49:35 | |
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