2012年11月20日
・バイクを引き取ってきて軽くチェック。ちょっとショックだったのはリアシートは外されて中身を取り出されていた。シートロックはあるのだが、ロック側ではない方を無理矢理こじって外したみたいだ。何に期待していたかと言うと登録書類が残っていて前のオーナーが分かる事だった訳だが、これで絶望的。やっぱ積み替えか?しかし書類を抜いたという事は逆に言えば盗難とかそういう種類のバイクではないだろうと言う推測も付く。きっと抹消したんだよ、うん。
・次にフレームナンバーを確認、車や中型以上を見慣れていたので、ずっとプレートを探してしまっていた。中型以下はヘッドに打刻しているのが多いよね。またヘッドにもKというシールが貼ってあり、フレームナンバーからもこいつは89年式で間違いないようだ。そうするとカウルのカラーリングも89式なので、まあ外装もオリジナルのがついているのかな?スズキのバイクの型式ルールで、最後のアルファベットで年式が分かる。VJ21AだとJとK(88と89)って具合だ。私のGSX750Fは正確にはFKなのでこれも89年式と同年代。しかしFKはその後特に改良せずに販売されていたので90年に買っても95年に買ってもFKだが、ガンマはモデルチェンジをしているのでJとKで違うし、すぐにVJ22になっている(多分L・M・とか)。
・ではVJ21のJとKで何が違うかだが、かなり違っていて驚いた。NSRも同じなんだが、よく型式で○○最強なんて言ったりするが、88年式のMC18は実測60馬力なんて言われるけど、同じMC18の89モデルはかなりパワーダウンしているし、スピードリミッターも装着しているそうな。そう、87年までは「250cc?別にリミッター付けないでも180km越えないだろ?」とリミッターが無かったのだが、88年モデルでは180kmを超えるモデルが出てきてしまったので、自主規制がはじまったわけだ。ガンマも同じで、88年式は真のフルパワーというか、自主規制45psは守ってなかったという噂。89年式はECUが16ビット化され点火制御がデジタル化、リミッターが付いたとある。点火制御は回転数とギアに加えアクセル開度も入れたマップを持っているそうで、88式からアクセルセンサーが付く。
・点火時期はエンジン性能に大きな影響力を持つが、実はバイクでは点火時期をそこまで細かく制御して来なかった。少なくとも4ストでアクセル開度センサーがつくのは5年ぐらい後だし、アフターパーツのキャブ入れたらマップ固定で使っていた。というのは、バイクの場合アクセルをほとんど開けないで使う領域はそれほど重視してない嫌いがあったし、MBTでマップ組んでそれより低い領域で多少効率が落ちても燃焼室も小さいし気にしてなかった。特に4ストは。一方2ストの場合、MBT要素に加え排気温度の影響が大きいので、点火時期の持つ意味が2重だった。まあ、2ストこそ低速なんてシラネって感じだったんだけどね。
・肝心のパワーは89式では本当の45馬力に絞られたと言われている。あるサイトだとチャンバー系も相当絞ってトルクカーブをそのまま下にスライドさせた形にしてあるらしい。VJ22や23では二重管で絞ってあるのでスペーサーを取ればフルパワーになるそうだが、VJ21のはチャンバーそのものが絞ってあるので難しいかな。他の部分、特に自爆装置らへんの改良は行われていない。
・押し歩いて感じたのは「重心低!」「ブレーキがガッチリ」「軽い」という点。よく2ストレプリカは膝スリだのステップガリガリだの言うけど、これだけ重心低ければ必然的にそうなるわな。今のSSは倒し込めるように重心が高くて乗っても怖いんだけど、当時のレプリカはまたがった限りでは怖くない。まあCBR250Rほどじゃないけど。重さはウェット重量でも140kg台、多分このモデルは147kgらへんだと思う。タイヤやブレーキの重さがあるので、取り回しで軽くは感じなかったが、倒れる感じは非常に少ない。もっと軽いバイクも持っているが、重心の違いなどもあってガンマの方が軽く感じる。いや、ヘッド重量ってほんと分かるんだね。ガンマはV型だから、とくにリアが軽い。ブレーキは「なんで250ccがコレつかって750のFがあんなんだったんだ!」と言いたくなるTOKIKOのガッチリキャリパー。スズキのキャリパーは88から多くはこのTOKIKOのに変わっているのだが、FKはその前の年代のややしょぼいブレーキが付いていて、それがずっとネックだった。やっと満足出来るようになったのはパッドをそれなりに強いのに換えてからだ。ガンマのはタッチが恐ろしくシャープでカッチリしている。そりゃ今はラジアルマウント(マスターもキャリパーも、意味違うけど)になってて、タッチも更に良くなっているだろうけど、ガンマのもかなりレベルが高いと思う。
・さて、カギの複製から考えなければいけないが、よいお店を紹介してもらったので、そこに頼めばカギは一応出来そう。平行して登録者を捜すかフレームを手配するかだが、VJ21のフレームはちょっと問題があった。VJ22はシートレールがボルトオンタイプなので、メインフレームだけ購入する事が出来る(メリットは送料が安い)が、VJ21はシートフレームも一体なのでVJ22のフレームを使うならシートフレームも買わなければいけない。だったらVJ21のフレームを買った方がいろんなパーツの取り付けも楽そう。
・運搬車のエンジン積み替えはやっとこさエンジンをクレーンで持ち上げたけど駄目だった。新しいエンジンのインマニがバッテリーボックスと干渉して予定の場所に入らなかった。ボックスは溶接付けなので外せないし、これはオリジナルのエンジンを直せと言う事なのかと。一応外した事で整備性は良くなっているから、まあなんとかなるんじゃないかと。それにしても、この機体もエンジンの搭載とコネクターのはず仕方とかがあんまり考えられてない感じ。ヤンマーが自社エンジン積むんだから、もう少しフィッティング考えりゃいいのに。故障箇所が腰上であれば話は楽だが、仮にクランクケースまで割らないといけないとなると、本体が重いから憂鬱だな。というか分解出来る構造なんだろうか?シングルだから横分割・・・だよな?
Posted at 2012/11/20 22:13:52 | |
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2012年11月19日
・先日軽トラ一杯運んできた薪のうち、鉈で切れない物をチェンソーで切断した。あとは太いのは斧で割ろうと思ったのだけれど、3個目で斧が折れてしまった。いや、よくやる柄で殴ったとかじゃないと思うんだけど、どのみち弱い柄は怪我もなく折れてくれた方が良かった。しかし斧の柄って交換面倒そうだよなー。
・先日までは畑で数年転がっていたような木か、細くて20cmぐらいで昨年の冬までに切った木を燃やしていた。これらは着火性もよく、丸ごとくべても燃えてくれたが、今日は春先の伐採で出たエノキの太いのを入れたら、全く着火してくれなくて驚いた。ここまで着火性に差があるとは・・・持った感じすごい重いという感じでもないのだけれど、割って乾燥させる事の重要性を感じた(春先の伐採は揚水よりは前)。また太い薪はやっぱり投入しづらいしね。単純には投入口のサイズで入るけど、中で燃やしている時はその上に置けるサイズの限界があるし。
・そうすると薪のストッカー兼乾燥ラックが欲しくなる。しかしうちの薪はサイズもまちまちで細いので普通に積むやり方はやりづらい。パレットで箱作って、そこに投げ込むのが楽かなーと思う。取り出しづらいだろうけど。また置き場所も工夫が必要で、現状は1坪のビニールハウスに適当に投げ込んでいるが、ここは春には使うので台所のドアから出入り出来る裏口に積みたい。しかし裏口に車で直で荷物は置けないし・・・
・猟銃はお店が「10万でサイクロンが出るから待ってろ」と言って待ってても出ないので催促したら、相手が持ってくる物だからと言いながらもなぜかすぐに出たと連絡。ところが値段が15万円でもう新銃のレインストームに迫る値段。まあ、委託販売だからお店の責任だけでもないけど、サイクロンの新品が30万だろうがこれじゃ買えないなと言いながら銃を見ると・・・トルネードじゃん。「いや、これトルネードですよ!」「FXなら関係ないだろ」「いや、トルネードって単発ですよ」って事でお店のカタログを突きつけると、やっとこれがサイクロンではないという事をお認めになった。トルネードはT5という連射モデルも一応出たが、ベースモデルは単発で威力調整もなくサイクロンより威力も低い廉価モデル。サイクロンは35FPと20FP,12FPぐらいから選べるが、トルネードは27FP固定。しかもポンプも付いてないし、シンセストックは22万円だ。ウッドはまあ30万ぐらいするけど、それを選ぶ意味はない。「あの野郎、適当な事言いやがって!」とお店の爺様は怒っていたが、あんた売り物にデカデカとトルネードと書いてありマガジンもないのがわからんのかと・・・でも、銃砲店というのは警察への登録上少なくとも初回は地元のを使った方が何かと便利。トルネードを8万にするという話もあったが、どうせPCPにするならその分は貯金して今回は最低ランクの物をセレクトする事に。
「以前4万円の5㎜のシャープがあったはずだけど」と言うと、倉庫から取り出してくれた。PCPが出るという話をする時は「シャープなんて当たらん!威力がなくてカラスが飛んで逃げる」とか言っていたが、さすがに売る物がないからか何も言われなかった。これ以上猟期に何の実績もないとお互い困るしな。という事で猟銃はエースハンターの5㎜になりました。これだったらもっと前に登録しとけば良かったけど、まあ悪くもないかな?将来的にPCPを買うならシャープは4.5㎜にしてプリンキング用と使い分けるのも良さそうだけど、一丁でとなると5㎜は万能だし。まあお店の爺様はクセはあるが、書類はただで全部書いてくれたし、安い精神科も教えてもらえたし、昔気質の鉄砲屋ってこんなんなんだろうと思う。
精神科というのは私のオツムをおもんばかってという意味ではなく、鉄砲の所持許可申請では精神科医の診察が義務づけられているから。以前は専門の精神科ではなく普通の町医者で良かったが、事件が増えて精神科が必須になった。が、多くの人が言うように、これを考えた警察官僚こそ精神病院に行った方がいい制度で、実際には言い訳程度の意味しかない。私が今回行った所はとても良心的な値段と対応だったが、それでも短時間の問診で何か分かるとは到底思えない。ひどい所はどっちか言うとレベルE的な精神科なので、問診されると常識が外れそうな所もある。
・そんな訳で猟銃も安く済んでしまったので、少し冒険する事にした。VJ21である。MC15どうしたと言われそうだが、前のユーザーが仕事がいそがして持ってこられないそうで、まだ来てない。で、出物のVJ21を見つけてしまったのだ。もちろんジャンクでカギなし書無しなので、フレーム買って積み替えかなーとか考えている。すごい欲しいのかと言われると、もうMC15で一杯いっぱいだろうと思うけど、一度は全盛期のレーレプに乗ってみたい。結局私が乗り始めた頃はリッターSSが大型免許の関係で出まくっていて(今も出てるけどさ)レーレプは下火だった訳だが、今でもMC18や3KTを見るとぐっと来る物がある。つうか、物があるならMC18だろうけど、またしても鈴菌の罠にはまってしまったのだ。元からの技術差もあるし、特許の関係で2ストレーレプの革新技術である可変バルブは理想的な方式はホンダとヤマハが取ってしまったので、スズキはこの分野は構造的に無理がある物を作らざるを得なかった。ヤマハはずっとYPVSという手堅い技術を保持していたし、ホンダはそれを横目で見ながら特許を避けつつさらに素晴らしいRCバルブを導入した。一方その頃スズキはSAECを使った。カワサキはレーレプを作らなかった(嘘、KR1とか出したけど、一般にはあれでレースをやる物だとは思われなかった)。ま、スズキのこの時代のSAEC付きのは、自爆装置と言わる傑作だからなぁ。
Posted at 2012/11/19 20:51:44 | |
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2012年11月17日
・今日は交通安全協会の会議があって出てきたのだが、今回の議題は冬の交通安全週間の活動についてとか高齢者への指導を各町会でやりましょう、というのに続いて「優良運転者の表彰」だった。今年の春先に確かそういうパーティーがあって表彰状を渡したりしたと思ったんだけど、来年の分の表彰者の候補を集めてきてくれという事らしい。まあ、ここまではいい。候補者の資格の話が進んだときに違和感を覚えた。表彰者は市のレベルと、県のレベルがあって、上のレベルは下のレベルで受賞して何年か安全運転をしていること、となっていた。で、市のレベルは地区のレベルで表彰されていること、という但し書きがある。しかし地区の表彰の履歴が分からなければ市の候補者をあげようがない。今年はじめてアンキョウに入った人達から意味が分からないという質問が出た。
支部長が言うには、地区のレベルの表彰だが、実際には会員になっている人は自動的に表彰を受けているという事に出来るので、気にしないでいいと言う。じゃあ会員って何なんだ?となったら「すべての人が会員である」という意味が分からない答え。何度かちぐはぐな質疑があって、やっと分かった事は会員というのは交通安全協会の会員の事であり、「2年ほど前に全ての人が会員になった」のだと言う。うん?すべての人が会員ってどういう事だ?となったら「町会経由ですべてのドライバーから交通安全協会の会費を徴収して自動的に会員にしてある」という事らしい。え?俺、交通安全協会の会員になった覚えもないし、徴集も受けてないし、そもそも交通安全協会なんか無くなった方がいいと思っていて免許更新でも断ったけど?私が出ている会議は町会の役員としてのお仕事であって、別にアンキョウに賛同しているとかしていないとか言う話ではない。ぶっちゃけ、アンキョウ以上に腐った町会や自治体の役職もあるし、少なくとも町会の役員はボランティアで交通安全に携わる善意の団体である。
という事でウィキで交通安全協会の概要を見ると
”交通安全協会(こうつうあんぜんきょうかい)とは、道路交通の安全を目的とする日本の非営利法人である。全国組織として警察庁所管の特例財団法人があり、全国法人である全日本交通安全協会がある。また都道府県単位及び警察署単位で財団法人、社団法人などが設置されていて全国法人の普通会員となっている[1]。
しかし、後述の通り協会内部の不透明な資金繰り・警察官の天下り等が依然として問題となっている。”
となっている。もし興味があれば検索して問題点の部分を読んで欲しい。で、この問題が社会問題になった2000年以降、協会は任意団体であり加入も自由である事の周知徹底が裁判でも争われ、免許更新なんかでの参加者はどんどん減少する事となる。少し古いニュースだが、1998年には8割前後あった加入者数が2008年には5割以下、3割台まで下がってしまった地域がある。年間の費用が400~500円だったそうなので、ドライバー人口が7500万人として10年前は300億円もの収入があったのが今は180億円ぐらいになっているという事である。そんだけ不要な団体だったという事だし、ウィキによるとアンキョウの天下り組はごますり組だそうで、まあ交通の関係はそうなんだろうな(つうか役人でちゃんと働いているのは1割ぐらいじゃないかと白バイ隊員も言っていたような)。実際、この団体の加入による加入者のメリットは皆無であり、交通安全活動の方も実際に関係費用で使っているのは2割で、多くは役員報酬で消えていたそうな。ここらへんは地区組織で詳細が違っていて全国での統計は無い。私も町会の役員活動をしているが、これが交通安全のために少しでも役立っていると思えたのはカーブミラー磨きぐらいである。他に交通誘導員的な仕事も回ってくるので、地域の便利要因になっている面もあるが、そっちはアンキョウ本部とはあまり関わり無いので省く。
この協会の運営は協賛金でまかなっているので、収入が半減して8割が役員報酬だったら役員を減らせばいい。あるいは社会活動を充実させて必要性をアピールするなら分かる。しかし、実際に行った事は地域組織を使って不正に費用を徴収して加入率をかさ上げしているようである。ここからはちゃんと調べてないのだが、その費用の徴集を町会がやっているという風ではないので、おそらく町会に自動的に自治体から費用が交付されて自動的にアンキョウに納付されるようになっているのではないだろうか?じゃ、誰がそういう勝手な事を許しているかと言えば、恐らく議員先生と同じ役人として税金にたかっている市役所の中の人だろうと思う。
市議会議員というのは地域の組織が票田であるし、組織があればそれを使うのが議員の勤めである。アンキョウ側もパーティーや行事があれば議員先生を招いたりしてなあなあの仲である。以前は消防団がその筆頭だったが、最近は消防団は公務員として政治的に中立でなくてはいけない点が強調されているので、表だってはあんまり働きかけはしないようになっている。一方アンキョウはまだ特殊法人なので、そこらへんはあんまり厳しくない。
100歩譲って、交通安全協会が有益な活動をしているんなら、公金を使って存続させる意味もあるだろうが、今回の表彰に実質的な意味はまるでない。ちょうど警察の取り締まりが交通事故の抑止なんかまるで考えてないのと同じだ。確かに地域の篤志の交通ボランティアの人を顕彰するという場合には意味がないこともないが(優良ドライバーとは別の表彰枠がある)、そういう人はすでに顕彰されつくしていて新規に見つかる物でもない。そもそも、この表彰の動機が消防団とかの公務員は長年やると表彰されたり退職金が出るのに、アンキョウの末端役員にはそういうのが無いからというのが原動力だそうだ。だったら、特別公務員に昇格するぐらい有益な活動をして公務員になりゃいいんだよ、財政も何もかもオープンになっちまうけどな。実際はアンキョウの役員には二種警備員(交通誘導)ほどの権力すら与えられてないのが実情だ。ここは警察が民間への権限譲渡を渋っているのではないかと思うが、天下り先を潰されたくなったらせめてアンキョウ役員には一定の講習後、交通違反者の民間逮捕権限ぐらい与えてもいいんじゃないの(例えば違法駐車とか)。
ここには書かなかったが、私は消防団でほんと形骸化したシステム、地域のしがらみ、役人と政治家の癒着、役人の怠慢、団員の低い危機意識などに嫌気がさして退団した。本当に日本国民って奴が嫌になってしまうような経験をしたし、防災は消防団には頼れないとも分かった。だから、アンキョウで全く同じような事やっているのを見て、胃がムカムカしてしょうがなかった。ちょっとだけ嬉しかったのは、会議の後で他の平役員の人と話したら皆も同じ考えで「こんなんで形だけの表彰で新規に人を推薦したら、自動的に上の表彰でも呼ぶ事になって悪いから誰も出さないべきだ」「そもそもアンキョウの活動意味無いよな」と言ってもらえた事。まあ、本当に会議の時にそういう事を言っちゃうバカは私だけでいいけど、なあなあで許されるべきレベルを逸脱している、と思う。
Posted at 2012/11/17 23:09:19 | |
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2012年11月17日
・今日は一日雨だったので、主に自宅に引きこもってました。薪ストーブはほんと暖かいのですが、色々欠点も見えてきました。暖かさは多くの人が「薪ストーブは心地よく芯から暖まる」と言ってましたが、ほんとそんな感じで、室温20度ぐらいでもちょっと汗が出るような感じがします。ストーブの近くで火加減を良く見るのもありますし、ファンヒーターと違って熱風で表面を暖めるのではないので、皮膚感覚よりも実際には熱を受けている感じです。また輻射熱はもちろんあるのですが、思っていたよりそれはずっと小さいですね。たき火なんかに近づくと火照る感じがしますが、薪ストーブからの輻射はそれより遙かに小さいです。実際は扉を開けるともの凄い輻射を感じるのですが・・・私は薪ストーブの窓ガラスは飾り程度に思ってましたが、輻射で暖まるにはああいう仕組みもいいのかも知れません。当然壁温度とかも輻射熱は全く問題にならない程度ですね。炉壁も法律が無ければあんまり必要じゃないんじゃないかと思ったりします。対流はフルパワーで運転すると煙突の上にかげろうが出たりしますが、多くてその程度です。
・逆に欠点について。最大の問題は燃焼ガスのシール性ではないかと思います。鋳鉄ストーブなどはシールがしっかりしているので問題ないかと思いますが、時計型ストーブは穴だらけと言っていいぐらい気密性はありません。天板の蓋、とくに後ろの多くの枚数を重ねてある部分からは火が見えますし、投入口も空気穴も隙間だらけです。煙突が引くので実際には煙が室内に流れ出るという事はまず無いのですが、もっと小さい分子は分散している気がするんですよね。特に心配なのが一酸化炭素。空気が充分入っていれば反応性が高い一酸化炭素も燃えていると思いたいのですが、アルコールの回りが早い気がするのは、軽い一酸化炭素中毒なんじゃないかなーとも思ったりします。料理も何度かやってますが、蓋を取ると火力的には満足出来ますが、時計型ストーブは薄い鋼板で強度を出すためのリブが多数付けられており、天板も真っ平らではないので鍋やフライパンの底が密着しません。隙間があいても煙は出てきませんが、空気口を絞って火力を下げていても隙間から吸う空気で燃え上がるという事がありました。
Posted at 2012/11/17 22:11:11 | |
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2012年11月16日
・先日読んだ「ボルドーVSブルゴーニュ」はとても面白い本だったが、歴史的な経緯に対する研究がずいぶん多く、また過去の著作に対するフランス文学的な皮肉っぽい否定が多くて、読むのがずいぶん疲れる本だった。例えば「現在ブルゴーニュで白ワインはシャルドネが一番多い。それは気候的にシャープなワインが出来て評価が高いからだ」という事を科学的に示せば済む事を、やれAOCがどーの、昔の領主がどうの、その時ボルドーはどうだっただのを、一々原典著作の名前を出して「○○は無批判にこう言っているが、これは××がおかした間違いをうーたらこーたら」と言う訳だ。私は日本人歴史家や著作家すら名前出されただけで何言っているかなど分からないので、ましてフランス人なんか分からない。とは言え、この本の主目的はボルドーとブルゴーニュは同じフランスの中でお互いをライバル視しつつ没交渉で、同じAOC法でも全然適用が違うんだけど、もっと科学的に自らの良さを確認して協力してフランスワインを盛り上げて行きましょうよ、という事である。そのために、通俗的な説明を一々否定して回っているのだろう。実際ワイン業界ほど通俗的な説明が幅を利かせている分野は無いと思われ、フランス中華主義もあいまって「ワインをしらねえ奴にはウソ八百を吹いて煙に巻くのがブルゴーニュ流」ってな表現もどこかで聞いた。それも100回言ってればいつのまにか真実味を帯びてくる物なのだ。
ただ、この本の指摘でいくつか注意すべき点がある。まずAOCによるテロワールの規定が昨今の科学的なアプローチで陳腐化しつつあるという点だ。規模がブルゴーニュの5倍も大きいボルドーのシャトーでは、比較的大量生産にシフトしていて、まあ割り切りも最新設備に積極的な事もあって、品質と値段のバランスは取れている。一方ブルゴーニュのドメーヌはもっと小規模で品質も不安定だけれど、供給量が少ない事で価格が割と高く、田舎の小金持ちっぽいと批判されている。ま、ともかく、ブルゴーニュの土地の価格は恐ろしく高いようだ(大体日本の畑の土地の価格と同じぐらいする)。すると、積極的な生産者はそこで規模拡大するより、フランスのもっと地価が安い場所で生産を始めて高品質な物を作ったりする。それはAOCのランク付けの外なのだが、評価が高かったり、ガレージワインと揶揄されつつもAOCそのものの信頼性に挑戦する結果になっているわけだ。同じフランスの中での新興産地との競争があると言った所かな。また歴史的にはブドウの栽培はもっと広範な範囲で行われていたので、現在ランクされてない場所が過去に名醸造地であったという事もあったりする。もちろん、前かいたように、AOC法が強固であろうとすればするほど、それを軸にフランスワインが発展するので、ある部分ではいいのだけれど、消費者と価格という点で見るとちょっと困るかも知れない。同じ問題が新世界のワインとの競争でも言える訳で、フランスのワインの高さが土地にある程度起因しており、その所有が栽培者とかけ離れているというのは問題だと思った。
・さて、アンリ・ジャイエである。この人も割と最近まで知らなかったのだが、某漫画でブルゴーニュの神様という事を知って、どんな事言っているか知りたいと思ったら、アンリジャイエ語録みたいな本があったので借りて来て読んでいるが、より面白い。身近な話なので分かりやすいし、ちょうどフランスが経験してきたブドウ栽培の近代史が日本の20年ぐらい前と重なっているようなので、まさに今、よんで面白い本だろうと思う。今でこそブルゴーニュワインは高級ワインとして定着している訳だが、そもそもフランスの中では「イギリス経由などで世界中に輸出されているボルドー」と「修道院や貴族など国内消費のブルゴーニュ」って違いあり、近代はややブルゴーニュの醸造技術が先んじていたので評価が高いが、元々そんな高値で動く物でもないので、ジャイエだって最初からそんな神様みたいな事をやれていた訳でもない。また近代化学農業の前の時代も経験しているので、その弊害についても詳しい。今、そこから脱却しようとして温故知新をしようと読んでみるのにも最適なのだ。
日本のブドウ栽培との違いは多数あるし、逆に似ている点もままあるのだが、一番違うと感じたのは中耕回数の多さだ。よくフランスの畑の写真を見ると、畝が作られてブドウが垣根栽培になっており雑草が無い事に驚く。一応除草剤の乱用が問題にはなったが、元からフランスで日本のように雑草天国という事はないようだと思ったら、彼らは土地をすごい耕している。秋に起こして株もとに寄せ土し、春にまた耕したり、8月ぐらいまで畝を崩したりしている。日本だとまずそういう事はしない。一つはまず冬場に寄せ土しないでもブドウが凍死する事は無い、と思う。寄せ土するなら蒔き藁をする方が一般的だし、発芽時期にスプリンクラーで霜対策をするなんて事もあんまり無い。これは一つには夏が短いヨーロッパではブドウの成熟期の積算温度が足りなくて発芽が早く熟成が遅い品種で糖度を稼いでいるからではないかと思う。ま、日本でも明治頃の寒い時期はメルローが凍死したりしているので、温暖化が進んだ今はちょっと違うかも。
耕すもう一つの理由は養分の補填だ。不思議な事、と言っていいだろうが、AOC法では施肥に厳しい制約があり、畜糞の使用が禁止されている所が多い。農業する上で施肥が出来ないって訳分からないんだけど、どうやらかつて領主がそう命令した、という事があったらしい。その原因は施肥すると土地の固有性が無くなるという問題があったらしいし、ブドウが施肥を必要としなかったという事もあるみたいだ。もちろん現代は化学肥料も普及しているので、それを使っている所が多い。ま、AOCでは施肥は出来ないけど、じゃあ何もやらなかったかと言うと、彼らは他の土地から表土を持ってくるという荒技をやっていた事が知られている。「ボルドー対ブルゴーニュ」の作者はそれを以て、テロワールの規定が過度に天与の地理的な条件とされていて人間の関与を認めてない事を批判している。つまり「ロマネコンティの畑だって毎年馬車数十台の土入れてたんだから、その土地のテロワールじゃない要素も入っているだろ」という事である。もちろん、だからロマネコンティの等級を下げろという話ではなくて、美味しいワインが出来ている土地の人為的な改良をもっと認めて評価しようという話なんだが。
で、アンリジャイエもその土の補填の話をしているのだが、ちょっと面白いのは、「そもそもその土がどこから来たのか?」って話。ワイン畑は傾斜地にあるし、いくら降雨量が少ないと言っても地表が裸地jに近ければ浸食が起きる。とくに養分の保持に関係する微細粒子や有機物が流亡しやすい。であるから、ガケの下や河川などその土地の元々の保有していた土を再び畑に運び上げるのが本来の土地の補填であって、全く関係ない肥沃土を入れるのがいいとは言ってない。一方日本でそんな事を言う人は希だ。確かに同じ土地の中で客土出来ればいいだろうから、それは否定もしないけど、そもそも土が肥料という考え方はないし、堆肥を使うのだって自由だ。
肥料の他にアンリジャイエの独特の哲学だと思ったのは品種の話。ブドウというのは実生で育てるのではなく、母木から穂木を取って挿し木なり接ぎ木して栽培する。その母木の性質をより良くしようと選抜する重要性が認識され、やがて同じ品種の中でも特定の選抜系を区別するようになった。つまりメルローと一口に言ってもいろんな系統がある訳。その中には品質が優秀とか、収量が多いとか、耐病性が高い、など特徴がある。一般にはその母木は一つの畑で統一する。そうしないと、希望する品質が出ないし、混ざっていると生育ステージも違って作業が繁雑になる。私の畑にも早生デラウェアと普通のデラがあるが、早生種はジベ処理適期が違うので困る。逆に全ての畑が早生なのがあれば、作業が全て早い畑から集中して作業が出来るので作業分散が出来る。あと個人的な見解だが、早生種は品質は劣る。デラに限れば、早生は最終的に完熟させても色が濃い紫にならずピンクっぽくなるし、糖度も酸も低くて、痩せ馬の先走りそのものと言った感じだ。でも作型が早いと価格は良いし、病気リスクが減るので、それを踏まえて栽培する事はいいと思う。
ところが、アンリジャイエはそういう特定の母木のみを栽培する事(クローンセレクション)を否定して、マサル法がいいと言っている。このマサル法というのは解説が載ってないので調べてみたら、どうもマスセレクション(集団選抜)という技法のようだ。ある程度の集団から母木を取る事で、遺伝子の多様性をある程度残せるというメリットがある。まあ、DRCのように評価が高い母集団がある所でマスセレクションが出来るならいいけど、普通はどうなんだろうね?とも思うし、知らない人が読むと「クローンセレクション」という単語になんだか遺伝子操作的な響きを感じる恐れもあるけれど(実際的外れな農業批判ってのは結構あるし、有機農業などが意図的にやってる事もある)、実際はマサル法も単一クローンもやってる事はそうは違わない。むしろ、マサル法はコントロールが出来てない方法という風にも見える。これがボルドーだったら「クローンナンバー○○を30%、××を70%でブレンドするとリスクヘッジと性能とのバランスが取れる」みたいにやるだろう。
ただ、マサル法のそもそもの考え方は、長期的な適応のプールなのかも知れない。ブドウ、とりわけブルゴーニュの赤の主流のピノノワールは遺伝子変化が多い品種として知られ、枝変わりという個体内の遺伝子変化からピノブランやピノグリという品種が出来ている。日本でも4倍体の枝変わりや、色素変化の選抜は同じように行われている。普通クローンセレクションは研究機関でやられるので、栽培園とは違う気象や土壌条件であるが、マスセレクションの場合大抵は自家培養なので、優秀系統の選抜は言ってみれば地方選手権、クローンは国際大会である。そうすると、その土地に一番あった系統、その土地にあった品種を選ぶという意味ではマスセレクションの方が合理的とも考えられる。クローンはF1,マスセレクションは在来固定種のような「方向」を向いているという訳だ(繰り返すが、両方とも選抜過程が違うだけで、遺伝子操作とかはない)。
・ちなみに、クローンセレクションをさらに複雑にしているのは台木問題だ。アンリジャイエもアメリカ(台木の事、フィロキセラ耐性があるアメリカ品種だから)をいかに管理するか書いているが、日本でも台木にアメリカ品種を使う。というか、アメリカ品種を栽培するにもさらに耐性がある台木を使っている。この選択に関しても相性があるので、実際は木の上はクローンでも、下が違うと性能が違うという事はよくある。リパリアとかルペストリスと言う原種や、改良系のテレキ各種などで着色や耐寒性が違う。当たり前だが、タイヤが違う車みたいなもんだから。前回某ワイナリーに行ったらワイナリーツアーの解説の人が「台木が違っても味は一緒」とか言っていたが、そういう事は無い。無いけど、じゃあ「台木で味も違います」って話をしたとして、ツアー参加者は「じゃあ台木が味を悪くしていて自根の方がいいじゃないか」とか思ったりするのも困るだろうなぁ、とも思う。
Posted at 2012/11/16 19:21:04 | |
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