みなさん、こんにちは、こんばんわ、おやすみなさい(起きろ)
霧ちゃんです。
今日は最近のセッティングの中でも謎が多かったりした
燃料噴射タイミングとインジェクター容量についてのお話です。
色々調べたり検証していく中で、後述する論文が面白いくらい分かりやすくていい情報だったので記載しておきます。
あくまで自分なりの検証結果ですので正解ではありません。
排ガス規制でキャブから移行した初期のインジェクションシステム(F6Aや4AGなど)では同時噴射(全気筒が同じタイミング)でした。
これは主にデスビだった頃のシステムです。
理想的なタイミングで噴いている気筒が1つと残りはあまり芳しくないタイミングで噴いている気筒。
次に進化したのが気筒判別による気筒別噴射(シーケンシャルインジェクション)
スズキではK6Aで採用されましたね。
ECUがクランク角度だけでなく、圧縮上死点の気筒も認識し、各気筒それぞれに理想的なタイミングで噴射できるようになりました
(ある程度の回転域からは同時噴射制御になるものもあります)
ポート内に噴射された燃料ほぼすべてが気化するのにはタイムラグが発生します。
回転数がある程度上昇して吸気の流速がある程度上昇してくると無視できるようにはなりますが、負荷が少なかったり、回転が低かったりするとレスポンスや燃焼の安定性(ストールや失火)に影響が出ます。
すべての気筒で理想的なタイミングで噴射できればすべての気筒で燃焼が安定し、燃料の無駄打ち(=燃費向上)、急激な負荷変動に対しての応答性の改善(レスポンスUP)などメリットがたくさん。
その分、制御が複雑(クランクセンサーと別に気筒判別センサーが要る、気筒判別するまでエンジンが始動させれない)
これはダイレクトイグニッションとセットでつける感じの方式ですかね
始動の速さはデスビには遠く及びませんが安定性や燃費などは同じこれ以外全く仕様ならこちらに軍配が上がるでしょう。
逆に同時噴射のメリットは気筒判別がないのでとにかくエンジンを掛けやすい、制御が雑でもエンジンがかかるのでコストが下げれる(クランクセンサーが1系統でいい、上死点が分かればとりあえず始動できる)
デスビのように機械的に点火振り分けを行う場合、クランキングから始動の速さは圧倒的でしょうか。
換装前のワークスの場合、最速で圧縮音1回のキュイブオォーンで始動してましたし。(コンピューターが壊れてる説もありますw)
気筒判別のあるK6Aでは真似できない速さですね。
為になる論文を今更見つけて読み漁ったので紹介します。
ヤマハ発動機さんが公開されている10年ほど前の論文です。
燃焼安定性におけるポート噴射の影響
インジェクタの向きや種類、タイミングなど数種類の組み合わせで燃焼安定性がどう影響するのかが記載されています。
※F6AやK6Aなどほとんどの予混合式ガソリンエンジンは論文内の噴射系2が該当します
読み進める中で、負荷が小さい時は吸気行程に入る前に噴射を終え、吸気行程途中から気化した燃料を含む混合気が気筒内に入るようにすると気筒内の混合状態が安定していることが読み取れます。
負荷が少なくて噴射量が少ない間は
吸気バルブが開くちょっと前に噴き終わり、吸気バルブが開いて吸気流入で気化を促進、そして残りは空気を吸入しシリンダー内で攪拌、混合する
といったイメージだと思います。
ただ、負荷が増えてインジェクター開弁率が50%を超えるとクランク1回転以上噴いていることになります。(噴射角度=720度×**%)
ですので、さらに複雑になります。
1行程(カッコ内はピストンの動く向き)は
1、圧縮上死点
燃焼行程(↓)
排気弁開(↓)
2、燃焼下死点
排気行程(↑)
吸気弁開(↑)
3、排気上死点
排気弁閉(↓)
吸気行程(↓)
4、吸気下死点
吸気弁閉(↑)
圧縮行程(↑)
1、圧縮上死点に戻る
と上記を1行程と定義してこの先の話を読んでください
噴射角度が50%(360度)を超えてくると吸気弁が開く前に噴き終わるではなく、噴射する前の1行程の吸気弁が閉じた後に噴射開始になるようにセッティングしなければいけないので注意が必要です
例)80%噴射しているとした場合(使用限度といわれる量です)
720度×80%=576度
吸気弁が閉じるのは圧縮上死点前からおおよそ120度くらいと仮定すると
720度(1行程)+90度(吸気弁閉じ後30度ほどマージンとってます)=圧縮上死点前810度
810度ー576度(80%噴射してる間にクランクが回る角度)=234度
はい。セッティング上のインジェクタ噴射時期は234度くらいになりますね。
60%だとしたら
720度×60%=432度
720度+90度=810度
810度ー432度=351度
となります。
ですが、圧縮上死点前351度ってほぼ排気上死点です。
まだ吸気行程が始まったばかりなのでもう少し遅らせても大丈夫だと思うので330~300度くらいにしてもいいでしょう。
こんな感じでログ見ながら条件(MAPと回転数)毎に噴射時期を自分なりに導き出した最適値にあわせてみました。
注意してもらいたいのはここでの噴射時期というのは「噴き終わり」時期です。
噴き始めは?というと、計算途中の圧縮上死点前810度。これ以上早く噴き始めると前回の吸気行程にまで被さるので、増やせません。
これ以上遅く噴き終わると、噴いた燃料が吸気弁閉じまでに気化して混合できなくなるので噴き終わってから90度くらい(圧縮上死点前210度以降)は無噴射時間を用意しておいたほうがいいと思います。
なのでコレがインジェクターは80%くらいまでで使いなさいと言われる理由ですね
容量からおおよその目標馬力を算出できますが、高回転なエンジンになると容量は増やす必要があるということがわかります
回転数が高いとその分短時間に大量に燃料を供給しなければなりませんから
今自分のエンジンに使っている容量は195cc
全開時に75%程使用していますのでまぁまぁ限界ですかね
ブースト0.85kgf/cm^2で既に限界まで使っていますので、大容量のタービンに交換した場合、燃圧をあげるか、容量を増やすかしないと・・・
ただいたずらに増やすと、少量の噴射が苦手になり、アイドリングや低負荷での燃料がばらつくなどしますので、容量選びは難しいです。
今日はここまでかな?
じゃまた気が向いたら。