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2016年02月06日

「勝てるエンジン」と「勝ちたいエンジン」

「勝てるエンジン」と「勝ちたいエンジン」 スカイラインGT-R (R32)

この車の素性について、今さら多く語る必要はないでしょう。

グループA制覇を目論み、レギュレーションにあわせて開発された車です。

2600ccの排気量、アテーサE-TS、巨大なリアウイング。

これらはその結果生まれた装備の数々です。


その中で、ちょっと気になったものがあります。

それは、エンジン。

RB26DETT、直列6気筒です。

中途半端な排気量は前述の通り。

問題はその配列です。



当時日産には、2つの6気筒エンジンがありました。

直列のRB系とV6のVG系。

レース車両で考えた場合、どちらが有利でしょうか。



直列の場合、振動が少なく回転がスムーズです。

ですがクランクシャフトが長く、剛性の確保が難しい。

また前後方向に長いので、車の重心軸に寄せにくく、重量配分が不利です。



片やV6。

全長が短くなり、コンパクト。

それ故にクランクシャフトも短く、剛性の確保が容易です。

また、重心軸近くに搭載出来るので、重量配分でも有利です。


いろいろ鑑みると、私だったらV6を選びます。

こちらの方が「勝てるエンジン」だからです。



では、なぜR32は直列だったのか。

その答えは、きっとこうではないでしょうか。

R32 GT-Rは、スカイラインの看板を背負っているから


R32 GT-Rは、プリンス時代から連綿と続く、輝かしい歴史の上に成り立っています。

例えば、ポルシェと死闘を演じ、スカイライン神話の礎を築いた車。



プリンス スカイラインGT (S54B)



搭載エンジンは、G7型、SOHC直列6気筒


1960年代、打倒ポルシェを目指し、日本グランプリで活躍したグループ6カー。



プリンスR380



搭載エンジンは、GR8型 DOHC6気筒。


サーキットで連勝を続け、50勝を超える大記録を樹立した車。



スカイライン2000GT-R (PGC10)



搭載エンジンは、S20型 DOHC6気筒

プリンス系の車において、6気筒といえば、即ち直列なのです。



同じ系譜のR32 GT-Rも、根はプリンス車。

それは直6一択だったのでしょう。


ただ前述にもある様に、重量配分で不利が否めない直6。

R32もアンダーステアに悩まされていました。

4WDのトルク配分で多少は改善されても、限界があります。

後年、SUPER GTにおいて、スカイラインGT-Rは途中で直6からV6へ変更しています。
(RB26DETT生産中止の影響もあるそうですが)



それはV6が「勝てるエンジン」だからです。



それでも、R32 GT-Rは異なる道を選びます。

栄光の歴史を支えた伝統ある直6.。

それこそがスカイラインにとって「勝ちたいエンジン」だからでしょう。



レース車とスポーツカーの大きな違い。

それは、レース車に感覚性能は不要だということではないでしょうか。

レース車というウェポンに、ドライビングプレジャーなんて必要ありません。

勝つか負けるか、それが全てです。


勝てるものの姿、結果としてそれが美しさ。

美しさを狙って作る必要はありません。


例えば、エキゾーストノートの場合はどうでしょう。



V6のR35と直6のR33。

R35はV6特有の不等間隔爆発によるランブル音(ドロドロ音)。

片やR33は直6の等間隔爆発による、むせび泣く様な高周波音。

音はレース結果に反映されません。

でも、直6が愛されてやまない理由のひとつは、これでしょう。

R32 スカイラインGT-Rが直6で本当によかった、そう思っています。


私は直6が好きです。

例えそれが、勝利に最短のエンジンでなかったにしても。
ブログ一覧 | スカイライン | 日記
Posted at 2016/02/06 10:25:19

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この記事へのコメント

2016年2月6日 17:56
こんばんわ!
興味深く読ませて頂きました。

最初の感想。
オイラもこんな文章書いてみたい!
理路整然として読みやすいですね。

直6かV6か?
なぜ日産は直6を選んだのか?
書かれていることで、多分正解だと
思います。
が、失礼を重々承知の上で
オイラなりの解釈を加えるとしたら、
積み上げてきたノウハウですかね。
S20、L型、FJなどの経験を十分に
いかせるでしょうからね。
構造が複雑になるのを嫌ったのかも。
他でのノウハウを積み上げたところで
満を持してV型投入になったと・・・

不利は承知だったのかもしれません。
スカイラインは勝利が絶対条件ですから
あえて堅実路線を選んだのかもです。


情緒的なものが大部分を占める仕事を
しているオイラは、迷わずストレート6!
音、歴史、思い。それに魅了される。
だから車って面白いですね。
コメントへの返答
2016年3月23日 20:57
こんばんは。
コメントありがとうございます。

まぁ、文章を誉めて頂いたのは初めてです。
重ね重ねありがとうございます。

本件、実は私も正解を知りません。
ただスカイラインは、市販車も含めてV6化には慎重でした。
というか、直6こだわっていました。
結局、V6化されたのは、アフターゴーンさんの時代でしたから。

日産は、直6に絶大な自信があったとうかがえます。

例えば、1960年代の日本GP。
トヨタは、3L V8→5L V8と進化しています。
対する日産は、2L直6→(MOON製5.5L V8)→6L V12でした。

なぜ自社製V8がないのか?
それよりも、得意な直6を2機繋いだ方が手っ取り早い、となったらしいです。

日産の直6へのこだわりが、うかがい知れますね

プロフィール

「@中島乗り さん このクルマ、車名が変ったり記号になったりで、詳細が覚えきれません。」
何シテル?   05/13 12:53
クルマ、バイク、自転車と、自分でコントロール出来る乗り物が好きです。 それも日本製が好きです。 (自分で買えそうもないものには、興味が持てなくて) ...

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