
時々公言させて頂いておりますが、私は商用車好きです。
トラック原体験・・・
時を遡ること私の幼稚園時代、父は配送を仕事にしていました。
配送コースが自宅近くを通る為、時々父のトラックに便乗させてもらっていたんです。
その時のトラックは、合併して日産になっていた2tトラック、クリッパー。
幼稚園児の眼から見ると、2tのクリッパー、まるで巨大な岩の様です。
こんな大きな乗り物を一人でコントロール出来るなんて、父は凄いんだなぁ、と尊敬していました。
そして月日は流れ、18歳で私も免許取得。
取ったのは、普通の四輪免許でした。
トラックに乗る機会はほとんどなく、30年くらい前に仕事でエルフの2t車に乗ったのが、唯一の体験。
しかもこのエルフ、標準ボディなので4ナンバーでした。
なのでハイエースと大差ない感じで、あまり違和感なく乗れました。
反面、大きなクルマに乗っている感動も、薄めだったんですけど。
20代になった私には、エルフが巨大岩石とは思えない大きさになっていたからでしょうね。
私の免許は、いわゆる昭和の普通免許。
つまり「中型8t限定」が付いています。
今の普通免許では運転出来ない、4トン車が運転出来ます。
「乗ってもいいよ」と言われているんですから、この権利、行使しないのはもったいない。
いつかは自分の免許で乗れる、最大のクルマに乗りたいなぁ。
そんな野望を抱いていました。
それが先日、初めて運転する機会を得たんです。
免許取得から34年・・・やっと念願が叶いました。
初めての4t車は、これです。
いすゞ フォワード
現行のフォワードは、ほぼエルフと同一デザインです。
見た目はエルフですが、横に立つとやっぱり4トン車、デカいです。
今回はベテランさんに同乗してもらい、運転を体験させてもらいました。
ではさっそく、乗り込んでみます。
内装もやっぱりデカいエルフです。
まずは、シート合わせ。
なんだか妙にレバーが多いです。
スライド、リクライニング以外に、シートのリフターもあります。
それも前後別々で。
長距離走行を想定しているからなのか、調整機構を多くして疲労を低減させるんでしょうね。
ではエンジンを始動し、ギヤは2速へ。
今回は空荷だったので2速発進でしたが、定積載でも2速で良いそうです。
1速はほぼ使わないんだとか。
ゆっくりクラッチペダルを上げていくと、何事もなく動き出します。
さすがはディーゼル、トルクが分厚いです。
微速で動かしてから、一旦停止。
ブレーキを踏むと・・・ガン! と激しいショック!
なんだ! もの凄い制動力です。
しかもペダルのストロークがほとんどない感じ。
ちょっと触っただけで、いきなりガツンと効きます。
ブレーキペダル、まるでスイッチみたい。
今は空荷だからこんな感じだけど、積載時はちょうど良くなるよ、とベテランさん談。
いやぁ、それにしてもスムーズに減速させるのが難しそうです。
車庫内で転回します。
あれ? なんか上手くいきません。
乗用車感覚でステアリングを回していると、あまり向きが変わらないんです。
ステアリングレシオがスローなのかな?
乗用車以上にステアリングを回す必要があるみたいです。
走り出しても、やっぱりこのデカさがイマイチ掴めません。
走行中、左右のミラーでセンターラインと車道外側線(路肩の線)をよく確認する様に、と指示が出ました。
右のミラーには、センターラインが写っています。
左ミラーを見ると、あっ、白線をちょっと踏んでます。
つまり左に寄っているんです。
どうやら、車線上のドライバー位置を乗用車と同じ位置で走らせているみたいなんです。
その為、車幅が増えた分、左に寄っていると。
このままだと、最悪左ミラーを飛ばす事態になりかねません。
左ミラーで白線が見える位置まで右に寄せていくと、うわっ、対向車が近いなぁ。
その位置を覚えて頻繁にミラーで確認しながら、車線の中央に自車が来る位置を覚える様にします。
そして、目の前には赤信号。
5速のまま減速するも、なんかエンストするかも?
途中でシフトダウンをしてから停止しました。
先程くらったガッツンブレーキには、細心の注意を払いながら、ちょっとは上手くいったかな。
ベテランさん曰く、ディーゼルはなかなかエンストしないよと。
20km/hくらいまでは、5速ホールドでクラッチ繋いだままで大丈夫だとか。
そう言えば私、シフトダウンもした挙句、クラッチ切るのも早かったな。
ディーゼルエンジン、想像以上にドライバビリティが良いです。
発進も停止も、多少のずぼら運転を受け入れてくれるみたいです。
これは楽ですね。
さて、次は最大の難関、左折です。
まずは20Km/hくらいまでゆっくり発進。
左ミラーで後輪を意識しながら、交差点に進入します。
曲がり角に来たあたりで、一気に左にステア。
頭を大きく振りながら、左へ向けます。
あとは対向車と接触しない様に距離を見ながら、ステアを戻す。
こんな感じでした。
最初は、速度も高く、切り始めも早過ぎ。
その為、左後輪が交差点の縁石へ・・・
やばっ、当たるかもと、今度はステアリングを戻し修正。
フロントを左右に揺らしながら、まぁ、なんともぎこちない挙動です。
この長いホイールベースと前端にある運転席。
普通車とは全然ステアするタイミングが違います。
それは頭では分かっているつもりですが、上手く実践出来ていないんです。
今回の様に寄り過ぎたかと思えば、次は縁石接触が怖くて、左後輪が離れすぎ。
曲がった先が2車線だったので無事曲がれましたが、1車線だったら、アウトです。
こんな感じで、結局バタバタで上手くはいきませんでした。
あと難しかったのが、ミラーとバックカメラ。
鏡面が大きく視野が広いので、どこに障害物があるのかは分かりやすいです。
ただ問題は、そこまでの距離がわからない。
最初は一度降りて、確認してみました。
どうやら障害物は、思ったよりも近くに見える感じです。
ミラーもたくさんあるのですが、結局サイドミラーばかり見ていた気がします。
多くのミラーやフロントガラス越しからの情報を、短時間で集めて判断するのが、全然出来ていませんでした。
今回初めて知った事。
荷台のサイドマーカーって、おしゃれで付けているのかと思っていました。
そうしたらさにあらず、夜間はマーカーで荷台の位置を把握しているんだそうです。
確かにマーカーが最後端にあれば、バックする時にぶつけなさそうですね。
あのマーカーにそんな実用的な理由があったなんて、ちょっと驚きました。
はじめての運転は30分ほどで終了。
ベテランさんからは、概ね大丈夫と言われました。
あとは大きさとトラック固有のクセになれれば、運転出来ますよ、だそうです。
今回は不安ばかりで、とても楽しめる様なものとは程遠く。
でも自分の免許で乗れる最大のクルマに乗れたのは、いい体験になりました。
4トン車がもっとスムーズに動かせる様になれば、カッコいいだろうなぁ。