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イイね!
2018年03月26日

幻が現実になった時

幻が現実になった時 スーパーカー世代の昭和ボーイズには、忘れられない存在です。

「レースには参戦しない」を理念として掲げていた会社。





フェルッチオ ランボルギーニが起業した、アウトモビリ ランボルギーニ Spaです。


当時(今もですが)、世界的に有名なスポーツカーメーカーと言えば・・・

F1参戦資金を調達する為に、ロードカーを販売しているとさえ言われる、フェラーリです。

それに対してランボルギーニは、サーキットよりもあくまで公道を生きるグランツーリズモを目指す道を選んだのでした。


しかし、更なる高みを狙うには、やはりモータースポーツは無視出来ない存在。

そこで、走行性能担当の責任者、ボブ ウォレスを中心に、1つのプロジェクトが動き出します。





ベースとなったのは、当時世界最速の名声を得ていたクルマ、ミウラです。

これを、FIA競技規定付則J項のプロトタイプに合致させるべく、チューニングを実施。

その車両は、レギュレーション名に合わせて「J」と名付けられました。

しかしこのプロジェクトは、会社の理念がある為、レース参戦を模索するものではありません。

あくまでも「次期ミウラの先行開発」という名目で、スタートしました。


チューニングの主題は、ハイパワー化と軽量化。

エンジンは、オリジナルと同じ3.9Lのままで、55psアップの440ps。

シャシーはスチール製ですが、ボディはアルミに変更されています。

ヘッドライトは、ポップアップ式から固定式に。

リアには、大きなブリスターフェンダーが採用されました。






その後、幾多ものテストを重ね、ボブ ウォレフの出した結論。

このパッケージに将来性なし でした。

結局、次期ミウラはエンジンを縦置きに変更され、この車へと託されたのでした。






役割を終えた「J」は、倉庫の片隅で余生を過ごすことになりました。

ですが一部のユーザーは、この「J」の存在に気づいており、譲渡を熱望。

しかしランボルギーニは、「あくまでテスト車両だから」ということで、それを固辞していました。


事態が動いたのは、1971年。

ボリビア政府と交わされていたトラクター5000台の売買契約が、クーデターにより破棄に。

これを機に、ランボルギーニは経営難に陥ってしまいます。

そして1972年、「J」には新たにシャシーナンバー 4683が与えられることとなります。

「J」のスペイン語読み「JOTA」と言う名前と共に。

このマシンは永い眠りから目覚め、公道に放たれたのでした。






その後、複数のオーナーを経て、新たなオーナーへ引き渡されることとなり。

仲介に入っていた販売業者の担当者が、開通前の高速道路にてテスト走行中、230km/hから横転し炎上。

この事故により、この世に1台しか存在しないオリジナルイオタは、本当に幻となってしまったのでした。





イオタが、今や伝説化されている理由。

それは、元々存在すべきマシンではなかったこと。

唯一存在していたマシンが、現存しないこと。

それらが神秘のベールに包まれているのが、その要因ではないでしょうか。



オリジナルイオタ消失から20年余り過ぎた、1994年。

ランボルギーニは、既に創業者フェルチオの手を離れ、クライスラーの傘下に。

体制が変わった為か、1989年からは待望のモータースポーツ参戦を果たしていました。

「J」の様な完成車ではなく、F1のエンジンサプライヤーとして。

そんなランボルギーニに、日本のJLOCからオファーが届きます。

JGTC(現在のSUPER GT)1995年シーズン参戦用の、車両製作依頼です。

ランボルギーニはその依頼を受け、F1エンジン開発メンバーを投入し車両製作を開始。

ベースは、当時のラインアップで最強を誇る、ディアブロ。

これを620psまで、パワーアップしました。

そして、遂にランボルギーニ初のレース専用車が誕生したのでした。






当初、この車は「ディアブロ コルサ(corsa)」とか「ディアブロ コンペティツィオーネ(competizione)」と呼ばれていました。

1995年、開幕戦の鈴鹿サーキットに降り立ったこの車は、こう名付けられていました。





ランボルギーニ ディアブロ イオタ


あの日、レース参戦を目論みならも頓挫し、最後は公道で散ってしまった、あのマシン。

その無念さを晴らすかの様に、このマシンは「JOTA」の名前を授かったのです。



「JOTA」と言う名前にまつわる、もう一つのエピソード。

これをイタリア語で表記すると「IOTA」となります。

それは、イタリア語に「J」の文字がないからなので。

つまり「J」には「存在しないもの」と言う意味があるのです。

オリジナル イオタは、正にその通りになってしまいました。

ですがディアブロ イオタが誕生によって、幻が遂に現実のものとなったのでした。
ブログ一覧 | モータースポーツ | 日記
Posted at 2018/03/26 10:29:13

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この記事へのコメント

2018年3月26日 11:38
こにゃにゃちわわにゃ(^^)

牛さんは大好きなのですが、それぞれの車やグレードに関するエピソードなどは殆ど知らないので、大変タメになりますにゃ(^^)

国産車のスポーツグレードであるGTやRSなどに相当するものと言うだけではない特別なものなんですね?

このエピソードの前ではGT-Rでさえ霞んでしまいますにゃ(^_^;)

気前よくポンとプレゼントしてくれそうな知り合いも居ないし、ジャンボ宝くじが当たったら牛さん、欲しいにゃ〜(^^)♪

コメントへの返答
2018年3月26日 12:45
こんにちは。
コメントありがとうございます。

「イオタ」という名前は、やはり特別なものを感じます。
名前なんて記号と同じ、と言われてしまえばそれまでですが、やはり大切に扱ってほしいものですね。

スカイラインもそのあたりは、大事に思っていましたね。
いくら当時の高性能でも、「RS」だったり「GTS-R」だったり、安易に「GT-R」という名前は使いませんでした。

80年代、トヨタには普通にあったんですよね、GT-Rが。
2018年3月26日 12:20
このボブ・ウォレスって人、相当な好事家だったようですね。"J"以外にも、ハラマやウラコでも作ってますもんね。
エンジニアとしては、レースという評価の場に出たかったんだろうと思います。
そうそう、ハラマ・レーシング(たぶんレプリカ)は岐阜市内で見たことありますよ。
メチャ格好よかったです。
コメントへの返答
2018年3月26日 12:48
こんにちは。
コメントありがとうございます。

ランボルギーニのレース不参戦主義は、諸説ありますが、参戦したい気持ちは皆無ではなかったのでしょう。
ただ、サーキットでの結果が全てですから、相当な覚悟で挑まなければなりませんね。

ハラマ・レーシングですか!
たとえレプリカでも、見てみたいものです。
おそらく私、ノーマルのハラマですら、見た記憶がありません。
2018年3月26日 21:26
こんばんは!

近年になり、オリジナルのイオタは1台しかない!のを知りました。

小学生当時にカードや本でイオタと紹介されていたのは、実はレプリカモデルであるイオタSVRだったんですね~(^^;

オリジナルには無いルーフウィングや細身でシャープなチンスポにトキメキましたね~!

今でも、SVRが自分にとってのイオタです~(^^)
コメントへの返答
2018年3月26日 23:59
こんばんは。
コメントありがとうございます。

あのイオタSVRは、やはり特別なモデルですよね。
通常のモデルのイオタSVJとは、名前も異なりますし。
SVRは、オリジナルイオタよりも、正直かっこいいですよね。

そんなSVRですら、本物を見たことがないので、やはりイオタは幻の車なんでしょうね。
2019年9月14日 20:39
子供の頃、ときめきながらシャッターを切っていたスーパーカーショウで見たイオタは偽物だったんですね・・・。

でも自分はまつ毛みたいなフィンのついたミウラの方が好きでした。
コメントへの返答
2019年9月14日 21:30
こんばんは。
コメントありがとうございます。

あのルーフにウイングが付いている、赤いクルマですよね。
あれも世界に1台しかないイオタSVRというクルマですから、レプリカの中でも特別な1台です。

ミウラも思えば、不思議なレイアウトですね。
ホンダRA272が12気筒で横置きなのは、それまでバイクの経験があったから、これは理解出来ます。

ですかランボルギーニは、なぜあの巨大な12気筒エンジンを横置きにしていたのか?
ミッドシップと言えども、かなりリアヘビーになり、ポルシェ911の様な御しがたいリバースステアになると思うのですが。
2019年9月14日 21:40
特別な一台という事でちょっと安心しました(笑)

ミウラは実際操安性に問題があったみたいですが(運転したことがないので読んだ限り)、あの美しさだけで十分な気がします。
コメントへの返答
2019年9月14日 21:48
こんばんは。
コメントありがとうございます。

結局、横置きミッドによるリアヘビーが、パワーを上げたことでリバースステアが顕著になり、将来性なしとなったのでしょう。
実際カウンタックは、縦置きミッドになりました。

なぜ横置きだったのか?
先にガンディーニのデザインが完成していて、そこに12気筒を収めるには、横置きしかなかったからなのかな? とも思えてきます。

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「@中島乗り さん 片山さんって、渡米前から有名人だったんですね。」
何シテル?   08/21 21:22
クルマ、バイク、自転車と、自分でコントロール出来る乗り物が好きです。 それも日本製が好きです。 (自分で買えそうもないものには、興味が持てなくて) ...

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