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2018年05月30日

RRにあらずんば、ポルシェにあらず? <① 911の苦悩編>

RRにあらずんば、ポルシェにあらず? <① 911の苦悩編> 自動車に興味がなくても、その名前はご存知かと思います。

ドイツのスポーツカーメーカー、ポルシェです。


「This is PORSCHE」と言えば、やっぱりこの車でしょう。





ポルシェ911



1964年誕生なので、今年で54年。

今も第一線級のスポーツカーです。

長い歴史を持つ車なので、当然デザインは変化してきています。

しかし、どの代を見ても「あっ、911だ」とわかるところが、この車の凄いところです。

その外観イメージを司る、大きな要因。





それはRRレイアウトです。


フォルクスワーゲン ビートルを手がけ、ポルシェ社の創業者、フェルディナンド。

356を設計した、フェリー。

代々続くポルシェ一族の設計は、ずっとRRでした。

なので、911を設計したブッツィーも、RRを踏襲していたのは至極当然のことと言えます。

それに1960年代当時、このRRは一般的なレイアウトでした。





例えば、日本を代表する名車、スバル360。

これも、国民車構想という決められた規格の中で、広い室内を実現しています。

この車は、RRレイアウトになっています。





片や、こちらはフィアット ヌォーヴァ 500。

こちらもスバル360同様、コンパクトな車体なのに、大人が十分に乗れる空間を確保しています。

やはりこれも、RRレイアウトです。



当時は、特にコンパクトカーを筆頭に、RRが台頭していました。

FRの様なプロペラシャフトが不要なので、軽量で室内も広く出来るのが主な理由です。

それならFFだっていいのでは? となりますよね。

実際、現代はFFの方が主流なんですから。

ですが、当時は高精度の等速ジョイントが開発されておりませんで。

ハンドルを切って曲がるとタイヤの回転がぎこちない、そういう欠点があったのです。



そんなRRですが、いいことばかりではありません。

これらのコンパクトカーや、ポルシェも356まででしたら、RRでも成り立っていました。

ですが911になると、段々とその欠点が浮き彫りになってくるのです。






RRには、この様なハンドリング特性があります。

ハンドルを切り始めた直後。

回頭性を阻害する重いエンジンが前にないので、鋭くノーズをイン側に向けてくれます。


そこから車速が上がってくると・・・

エンジンを積まない軽さが逆に、フロント接地荷重の小ささに繋がります。

また、後輪にはエンジンの重さから来る大きな接地荷重によって、強力な駆動力が掛かります。

この2つの要因によって、今度は外側に押し出されていく「プッシュ アンダー」と呼ばれる状況に。


更に車速が上がると、今度は車両最後端にある重いエンジンに、強い遠心力が掛かってきます。

その力によって、今度は後輪が外に膨らんでいき、オーバーステアの状態に。

この様な特性を、初期はアンダーステア、最後はオーバーステアに変わることから「リバース ステア」と、呼ばれています。









スキルのあるドライバーは、この特性を利用してドリフト状態に持ち込み、華麗にコーナリングをしていきます。

ですがそれは、本当に高度なドライビングテクニックが、要求されるものなのです。

そこでポルシェは、この急激なハンドリング特性の変化を穏やかにするべく、数々の対策を911に施してきました。


例えば、この車。





ポルシェ911 カレラ4 (タイプ 964)



911史上初の4WDモデルです。

リバースステア対策には、2つの方法があります。

1つは、リアタイヤを太くしてグリップを上げる方法。





リアタイやが太いと言って思い出されるのは、この911ターボ(タイプ930)ですね。

これはリバースステア対策というよりは、増大されたターボパワーをタイヤのグリップで押さえ込む。

そんな意味合いが強いです。


もう1つは、フロントにも駆動力を掛ける方法。





それが、この964 カレラ4の考え方です。

内側に巻き込もうとする前輪に駆動力を与えて、前から引っ張ることでアンダーステア傾向にします。

そうすることで、オーバーステアを相対的に抑える、という手法です。



この様にポルシェ911には、リアのスタビリティ向上が命題となって進化してきました。

この進化の結果から、RRはスポーツカー向きのレイアウトだと、言われることがあります。

ですが現実は、ポルシェの弛まぬ努力によって、RRをスポーツカーに昇華させているのです。


更なる高みを目指す911に対して、ポルシェが最後に切るカードは、おそらくこれなんでしょう。


RRレイアウトからの脱却



911がここまで苦悩してきたのは、自身の存在意義ともいえる、このRRレイアウト。

ただこれは、本当に最後のカードです。

ポルシェも過去、何度かチャレンジをしましたが、このカードだけは切れませんでした。

いくら旋回性能が上がろうとも、「RRにあらずんば、ポルシェにあらず」という考えが今も根強くある以上、そう簡単には出来ません。



RRエンジンの呪縛に捕らわれたポルシェ。

その中でポルシェが試みたことについては、また次回に。
ブログ一覧 | ポルシェ | 日記
Posted at 2018/05/30 10:18:40

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この記事へのコメント

2018年5月30日 12:55
こんにちは。
これはあくまでも持論ですが、メーカー自信にも一因があるのではと思います。
「社名はあっても車名が無いから」ではないかと。だから、ポルシェといったらほとんどの人は911を思い浮かべることでしょう。ならRR。車名で呼ぶパナメーラ、カイエン、RRは思い浮かべないでしょう?BMW、メルセデス、プジョー(911の名の基になった)など数字を言われてもイメージできない車もあります。名前であんな車だったなぁって思い浮かぶんじゃないでしょうか。911、1種の時期が長いので自身で呪縛してしまったのではないでしょうか。支離滅裂ですみません。
コメントへの返答
2018年5月30日 17:11
こんにちは。
コメントありがとうございます。

ポルシェ社創業以来、20年間はRRしか作っていません。
しかもその間スポーツカーしか作っていません。
その為か「ポルシェ=スポーツカー=RR」のイメージが付いてしまったのかもしれません。

車名をあえて付けない、というのは、海外ではよくあ手法です。
なんでも、記号にした方が、高級感が出るのだとか。

それに倣って、レクサス、アキュラも記号にしています。

例えば、ホンダ レジェンドは、アキュラではRLX(以前はRL)でした。
2018年5月30日 12:57
こにゃにゃちわわにゃ!(^^)

RRのリバースステアには随分と泣かされたので、興味深く拝見させて頂きましたにゃ(^^)

プッシュアンダー対策で食いつきの良いタイヤを前に入れると、いきなりオーバーステア!(^_^;)
オーバーステア対策でフロントに砂袋を乗せると、加速が落ちる!(^_^;)

前後のタイヤグレードや幅を変えてみたり、空気圧の管理を厳密にしてみたり・・・

走りを極める処までは到底、到達出来ない事だけは、確かに解ったけど、常識的な範囲内のスポーツ走行はFFやFRでは味わえない独特の一体感と言うか、車を駆る楽しさにあふれた車だったにゃ(^^)♪ フロンテクーペ!
コメントへの返答
2018年5月30日 17:15
こんにちは。
コメントありがとうございます。

私も以前、ビートに乗ってました。
エンジンが前にない車の初期回頭性には、感動しましたね。
それまで乗っていたCR-X(サイバー)が、FFスポーツではなくて、2ドアクーペなんだなぁと、思えてしまいました。

ビートはおそらくフロンテクーペほど攻めた設定にはなっていないと思うので、手を切るような旋回性能とまでは言いませんでしたが、大変貴重な体験が出来ました。
2018年5月30日 13:00
こんにちは

数年前に、ターンパイクで、評論家がこれで事故死しましたね。
最近は、タイヤの性能がいいので、スピード出さなければ大丈夫ですが、事故よりも車を壊さないように注意してます。
もう、買えないから(TT)
コメントへの返答
2018年5月30日 17:19
こんにちは。
コメントありがとうございます。

あのMさんの件ですか。
なんだか、もの凄いスピードだったとかで、正直ハンドリング特性も関係なしの Out of Control状態なのかと思っていました。

確かあの方、自車が964だった様な・・・
やっぱりRRは、難しいのですね。

今や貴重なカエルさんですから、無理は禁物ですね。
2018年5月30日 22:06
こんばんわ!

PF60も、なかなかの曲者でした。
1400くらいのエンジン搭載を意図したボディーに1800のツインカム(あ、DOHCって言わないと、あの方に叱られる)載せちゃったから、重量配分6:4強くらい。
荷重の掛け方を間違うと曲がらないわ、ケツは出るわのお祭り騒ぎ。

ポルシェとは、まるっきり裏返しなのに、言葉にすると似た表現になっちゃうのが面白かったりします(笑)
コメントへの返答
2018年5月30日 22:29
こんばんは。
コメントありがとうございます。

FRも最後はパワーオーバーに転じやすいので、リバースステアに分類されることもある様です。

うちに最終から1つ前のモデル(フロントエプロンが切り欠いていないモデル)用のカタログがあります。

それを読むと、コーナリング時はフロントアウト側で踏ん張るので、フロントイン側はリフトさせて荷重を抜いている、と書いてありました。

えっ? ということは、イン側のタイヤはあまり使っていない?

当時から言われていた初期のアンダーステアは、これが原因なのでは?と思いました。

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