
前代未聞のフルモデルチェンジを慣行した、現行N-ONE。
先代オーナーの私からすると、気になる存在です。
エンジンはターボに電制ウェイストゲートバルブ採用と、中身はさすがに進化しています。
ですが外観は、さながら間違い探しの様相。
新旧並べれば違いが分かりますが、単独で見た時はどうなのか?
イマイチ判別出来る自信がありません、旧型オーナーにもかかわらず。
鉄製の外板パネルは同じで、バンパー等の樹脂部分が違うのだそうです。
デザインのベースとなるパネルが同じなんて、珍しいですね。
もっとも、変える必要がなければ変えなくてもいい、そういう考え方はアリだと思います。
変化の為に変化をさせて、かえって酷くなるケースも、ない訳ではありませんので。
と言うか、ホンダは特にその傾向が顕著かと。
後期型より前期型の方がカッコいい、そういうのホンダには結構あります。
新鮮味はありませんが、良いものであれば無理に変えない。
それでも良いでしょう。
こういう見た目が同じでも、中身が違うモデルチェンジ。
以前にも他のホンダ車でありました。
ホンダ バモスです。
正式名称「ホンダ バモスホンダ」ではない、2代目の方。
1999年、アクティのおしゃれ仕様、ストリート(でも4ナンバー)の後継として誕生しました。
当初のラインナップは、アクティバンと同じ、横置きエンジンのNAのみ。
駆動方式は2WDと4WDがありました。
ミッションは、2WDに3ATもありましたが、4WDは5MTのみ。
この構成は、ストリートからの継承です。
この時、軽自動車規格が変更され、現行規格になっています。
衝突要件が、普通車と同じになりました。
その為、ボディの強度対策を行った結果、車重は増加。
でも排気量は660ccと据え置かれたので、走りの余裕は減少する事に。
元々重たいワンボックスのバモスだと、その傾向が顕著です。
それに、4WDにAT未設定というのも、ちょっと時代遅れなのかな。
そこで、マイナーチェンジにて対策が打たれます。
ターボの追加、それと4WD用にAT設定です。
普通ならば既存の横置きNAエンジンをベースに、開発が行われます。
ですが同時期、ホンダにはこのクルマがラインナップされていたんです。
ホンダ Z です。
水中メガネのスペシャリティクーペとは縁もゆかりもない、当時流行りのSUVになった2代目です。
このモデルには、ターボも4WD AT(というか、MT未設定)もありました。
既存エンジンベースで新開発するなら、これを流用した方が良いのでは?
新開発すれば、それに伴う開発費用は車両価格に上乗せになりますし。
Zのエンジンを使えば、量産効果でエンジン系の単価が下がり、車両価格への反映を小さく出来るかも?
結局バモスは、ターボ&4WD ATは、Zからの流用するを選択するのでした。
まぁ同じホンダの軽だから、きっと兄弟車みたいなもので、流用も簡単なのでは?
それが実は、そうではないのです。
バモスは、往年のTNトラックから繋がる、アクティ系の横置きエンジン。
対してZは、こうでした。
縦置きミッドシップレイアウト
ホンダは「UM-4 Underfloor Midship 4wd」なる、新パッケージを新軽規格から採用していたんです。
おそらく4WDありきの設計だったのでしょうね。
プロペラシャフトを出しやすくする為か、エンジンが縦に配置されています。
エンジンはアクティからの継承で、床下に配置。
フロントにエンジンがなくなった事で、キャビンも前方に広げられています。
2代目Zは、そのあたりを上手く生かしたパッケージングになっています。
それにしても、横置きエンジンのバモスに、縦置きエンジンの4WDを搭載するなんて。
普通、こんな事はやりません。
しかも2WDは、横置きエンジンのままで継続生産。
つまりバモスは、縦、横のエンジン搭載位置違いを、混合生産していたんです。
生産現場だって、いくら最近は混合ラインが一般的になったとは言え、エンジン搭載方向違いは、かなり大変だと思います。
設備も大幅変更が必要でしょう。
ですがバモスは、この縦横エンジンの2部構成を、N-VANに変わるまで19年間も続けていました。
外観は同じバモスなのに、駆動方式が変わるとエンジン搭載方法が変わる。
実は非常に珍しい(おかしい?)クルマだったのです。
外観は基本同じですが、1つ識別ポイントがあります。
それは、エンジンオイルの給油口。
バモス NA&2WDは、TN系からの伝統で、左後輪の後ろにリッドがあります。
ですが、ターボ&4WDには、これがありません。
オイルの給油は、荷台のメンテナンスリッドを開けて、そこから給油するんです。
ちょっとしたバモスのトリビアネタです。
ところで、このUM-4。
ホンダがビートに続く軽ミッドシップスポーツを作っていると聞いた時、これがベースかと思っていました。
縦置きミッドになれば、重量配分がより50:50に近づき、リアルスポーツ化します。
しかもこれはターボ付き。
専用MTさえ作れば、S660より早く安く作れたんじゃないかなぁ。
2代目Zでしか使わなかった、このUM-4コンセプト。
やり様によっては、もっと大化けするレイアウトだったんじゃないか?
フロアでモノフォルムの大容量車とか作れば、いいクルマになったかも。
三菱 iとか、エスティマみたいなクルマにして。
なんかもったいなかったな、そんな思いがあります。