
歴代フェアレディZの中で、私的にはZ32と双璧をなしているモデルです。
S130
その境遇は、なかなか厳しいものがありました。
先代は名車の地位を確立した初代、S30。
大ヒット作の後に来る2代目ですから、そのプレッシャーたるや相当なものだった事でしょう。
結局は、初代に引っ張られる形でのキープコンセプト。
新鮮味に欠けていると言うのが、偽らざる印象です。
それに生まれた時代も最悪でした。
デビューしたのが1978年、まだ排ガス規制の暗黒時代真っ只中。
フェアレディZとて、例外ではありません。
むしろスポーツカーだというだけで、更に風当たりは強かったでしょう。
高性能を声高にうたう事は出来ず。
エンジンも他の日産車と同じ、L20とL28を甘んじて受け入れるしかありませんでした。
それなのに、なぜ私はこのモデルに魅了されるのか。
それはクルマに興味を持ち始めた小学生の頃に誕生した、数少ないスポーツカーだからです。
例えエンジンが、特別なものでなかったとしても。
その低く流れる様なデザイン。
日本車で唯一の2シーター。
そんなS130は、私の眼には華々しく映っていたのです。
確かに動力性能では、排ガス規制前のS30に劣るかもしれません。
ですがS130は、S30に比べてよりワイドになり、ノーズも240ZGの様にロング化。
流麗さを増したデザインに、私はすっかり魅了されました。
更にS130には、それまでなかったTバールーフと、これが新採用されていたのです。
マンハッタンカラー
シルバー&ブラックによる、2トーンカラーです。
この様な塗り分けは、過去に例がなかったと思います。
それにシルバー&ブラックという組み合わせも、このS130が初めてだったかと。
この2色がこんなに合うものなのかと、この時、思わされました。
このマンハッタンカラー、元々は限定車のカラーだったそうです。
それが好評を博し、MMC時にTバールーフと共にカタログモデルとして採用されました。
このマンハッタンカラーには、いくつかのパターンがあります。
これは一般的な配色で、シルバー&ブラックです。
これはシルバー&ブルーです。
また、後期に追加されたモデルには、こうのもありました。
通称、逆マンハッタン。
シルバー&ブラックの配色が逆です。
最後の最後に追加されたターボに、このパターンがありました。
そういえばこのターボも、なかなかZには搭載されませんでしたねぇ。
搭載されたのは、日本初のターボ、L20ET。
当初ターボは「ハイパワー化など、けしからん!」とされて、なかなか認可されませんでした。
そこを「ターボ化する事で、2800ccのパワーを小さく燃費が良い(はず)の2000ccで出せるので省資源」と論法を変更。
なんとか430型セドリック、グロリアで、初認可をされました。
その後、スカイライン、ローレルと順次ターボ化。
フェアレディZは、スポーツカーだからと言う事か、最後の搭載となりました。
さて、話をマンハッタンカラーに戻りまして。
海外に目を向けると、更に別パターンがあります。
ゴールド&ブラックです。
これは生誕10周年の限定車、DATSUN 280ZX 10th ANIVERSARYで採用されたものです。
なんともゴージャスなゴールドですね。
さすがはアメリカンです。
この10th アニバーサリー、エンジンが日本未搭載のL28ETなんです。
パワーは180hp (SAE)と。S130最強。
2000ccターボでも大変だったのですから、2800ccターボなんて、夢のまた夢ですね。
この2トーンカラー、人気はあったと思うのですが、なぜか次モデルのZ31では採用されませんでした。
ブラック&シルバー、あるにはあったのですが、なんか「これじゃない」感があります。
なぜなんでしょうね? Z31で継承しても似合うと思うのですが。
Z31もS130程ではないですが、キープコンセプトでしたからね。
このマンハッタンカラー、S130の印象が強烈です。
ですがもう1台(厳密には2車種)、採用されたモデルがあります。
ガゼール RS(S110)
シルビアと兄弟車になっていた、初代モデルです。
後期追加されたFJエンジン搭載車、RSに採用されていました。
パターンはボンネットが黒い、逆マンハッタンですね。
このモデルもアメリカには「200SX」として、人気を博していました。
その影響もあっての、マンハッタンカラー採用だったのでしょうかね。
カッコいい事に相違ないのですが、S130の様な「コレだ!」感が、少々弱い印象があります。
むしろ、これだったら、単色の方が似合っているのかなぁ。
このクルマのロングノーズ、ショートデッキではありますが、S130ほど流麗という感じではありません。
それとも、逆マンハッタンだから?
やっぱりマンハッタンカラーは、S130 Zで決まりですね。
昨年、アメリカでコンセプトモデルが発表されました。
そのカラーは、イエロー。
アメリカはMr Kこと、アメリカ日産初代社長、片山豊さんのイメージなんでしょうか。
元々アメリカには、スポーツカー=イエローのイメージがあるそうなので、その影響かもしれません。
もし次期Zがあるのならば、是非マンハッタンカラーもラインナップに加えて頂きたいですね。
きっと似合うと思いますよ。