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イイね!
2022年08月24日

理想と現実

理想と現実 クルマは、いろいろな制約の下で成り立っています。

パッケージ、法規、生産性 etc

デザインスケッチやコンセプトモデルは、凄くかっこいい。

ところが、いざ市販車になると・・・、

往々にして、少なからずありました。

ですが、そんな残念な例ばかりではありません。

例えば、初代アルシオーネ。

直線的で強烈なウェッジシェイプ。

実際に市販された時も、ほぼイメージスケッチ通りです。

それはスペシャリティカーという性格から、あまり実用性等で制約が少ないからでしょうか。

また世界的に稀有なパワーユニット水平対向エンジンが、低ボンネット高の実現に大きく寄与している事も忘れられません。

この時点で4WDありきなのが、スバルらしいです。


ここに1枚のイメージスケッチがあります。







キャビンフォワードで、ボンネットからフロントウィンドウまでをなだらかに繋いだ、ワンモーションデザイン。

強いウェッジシェイプと、それを強調する様なサイドウィンドウ。

極端に短い、前後オーバーハング。

こういうマッシブなデザイン、私は好きなんです。

このデザイン、後にこのクルマとして市販されました。






初代 レックス


現実は、かくも残酷なものです。

あんな伸びやかなデザインを軽自動車枠に収めると・・・それは仕方ない事です。

R-2は、スバル360からのキープコンセプト。

流石にそれも2回は通用しません。

2スト水冷360cc、RRは継承されるも、レックスではドラスティックにデザインが一新されました。

R-2との併売もあり、1972年のデビュー当初は2ドアのみ。

車高もR-2から90mmも下げたので、かなりスペシャリティカーへ振っています。

そんな初代レックス、その後は9年にも渡り販売されます。

その歴史は、時代やそのコンセプトに翻弄され、波乱万丈だったと言えるでしょう。

最初の波乱は、1973年。

排ガス規制と言う名の、暗黒時代に突入です。






実用的な4ドア追加と、排ガス規制対応で360ccのまま4スト化。

標準グレードで比較すると、馬力は1psダウンですが、トルクが4.1kgmから3.0kgmと大幅ダウン。

市街地ゴーストップがメインの軽だと、これはかなりの痛手です。

先代R-2と比べると、走行性能は後退してしまいました。
(これはスバルに限らず、全メーカー共通の問題でしたが)






続いての波乱、商用車の設定。

いつまでもバンはR-2継続と言う訳にもいかず、レックスにも設定します。

まずは、リアにハッチゲート追加。

続いて荷室確保の為にリアシートを前出しすると・・・。

車高を大幅に下げてしまった事が災いし、後席がR-2バンより狭くなってしまいました。

後継車種としてそれはどうなんだ? 

ここは潔く、バンはリアシートなしの2シーターで発売されました。






それでも「荷物も積めて、4人乗りたい」需要は、なんとか対応したい。

さりとて狭い後席を容認するのも、生真面目なスバルは許さなかったのでしょう。

そこでバンをベースに、後席居住性の改善を敢行。

座面も少々伸ばしシートバックを寝かせ、どうにか居住性を確保。

ただこうなると荷室長が不足し、バンには出来ません。

そこでこれを、ワゴンとして発売したのでした。






ワゴン発売するも、「バンの4人乗り」という本来の目標には未達。

その実現に向けて、再度開発を進めます。

問題になっているのは、車高の低さ。

ならばいっそと、ハイルーフ化を断行します。

R-2同等の車高を確保し、念願の「バン4人乗り」がラインナップしました。






そして最後の波乱、新規格。

1976年、軽自動車規格が360ccから550ccへ移行します。

それに伴い、ボディサイズも一回り(全長 200mm、全幅 100mm)大型化。

ボディサイズは新規格の、レックス 5が誕生します。

ですがエンジンは、なぜか490cc。


実はこの暫定排気量、ずっと気になってました。

550ccの新規格、すんなり移行したのはダイハツのみ。

スバル、三菱、スズキは、500cc程の暫定排気量で対応。

ホンダ、マツダは、乗用車撤退。

なんでこんなに、各社で対応が違うんだろう?


実は当初、排気量が500ccが上限とされていた?

当時、世界一厳しいと言われた51年規制に、550ccでは対応出来ずに排気量を下げた?

何か特別な事情があるのかな? と思っていました。

いろいろ調べてみた結果、スバルだけ理由がわかりました。

それは・・・

現行設備で対応出来る最大排気量が、500ccだったから。

もちろんスバルも、新規格には550ccで対応したい。

ですが360ccの設備を流用すると、ヘッドボルトのピッチ(間隔)から最大で490ccまで。

設備改修を待って、550cc化するか?

現行設備を流用して、490ccで一刻も早く発売するか?

スバルは、後者を選択しました。

スバルはこういう事情でしたが、他社はどうだったのか?

調べてみると深そうなので、この辺りは追って調査してみます。


結局、暫定排気量で1年程販売し、いよいよレックス最終形が誕生します。






レックス 550の誕生です。

軽自動車規格、排ガス規制と、時代の荒波に翻弄された9年間。

スバルも、初代レックスがここまで長いモデルライフになるとは、予想していなかったでしょうね。

そんな初代レックス、その割には残存していないと思います。

イベント見たのも、1回くらいかな?

この独特なデザインと、地道な技術的進化。

昭和オヤジのシロクマには、スバルってこういうクルマのイメージです。
ブログ一覧 | スバル | 日記
Posted at 2022/08/24 11:47:14

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この記事へのコメント

2022年8月24日 12:41
こんにちわ!
件のイメージスケッチを見た瞬間に、スバルの話にもかかわらず、初代トゥデイを連想してしまいました。
まさかレックスだったとは…
最近、660のまま250PS以上を絞り出してるマイチェン後トゥデイの動画を見てたせいかな?(笑)
コメントへの返答
2022年8月24日 13:02
こんにちは。
コメントありがとうございます。

ワンモーションのキャビンフォワード。
短いオーバーハングと、初代トゥデイに似ていますね。
よく見ると、リアフェンダーあたりのボリューム感は、RRっぽいと言えなくもないのかなと。

トゥデイで250psですか!
岡山のヤツじゃないですよね?

<追記>
動画見ました。
岡山のヤツですね。
速いのは知っていましたが、あんなにパワーが出ていたとは驚きです。
2022年8月24日 15:45
こんにちは。
三菱自動車も「早期出現を図るため新たな設備投資を避けて現有設備を流用し、新規格の範囲内でできるだけ大きな排気量とする」(三菱重工技報第13巻第3号186頁、1976年5月発行)ということで、359ccの2G21形エンジンのシリンダボアを3mm、ピストンストロークを11.4mm増大して471ccの2G22形を開発したそうです。
コメントへの返答
2022年8月24日 16:58
こんにちは。
コメントありがとうございます。

重要な情報も頂けて、感謝します。
三菱も同じく暫定排気量だったのですが、理由が調査しきれず・・・
現有設備優先という事は、スバルと同じ理由の様ですね。
となると、スズキも同じかな?

逆に、なぜダイハツにはないのか?
業界代表のトヨタと国とで行っていた草案作成。
その時、51年規制とは別に、2スト車50年暫定規制というのを盛り込んでいます。
これによって、550cc化時の強制的な4スト移行は回避されたのです。

ダイハツはトヨタの子会社ではなかったですが、資本提携下にはありました。
2022年8月24日 19:32
『実業の世界』1976年9月号138頁の記事を引用します。
「この会社/その動き」ということでダイハツ工業が取り上げられていて、見出しは『軽“拡大車”の好調で輸出目標も増量修正』。
以下、原文ママで。

 輸出好調と軽自動車の“拡大車”が予想を上回る出足で伸びてきたため、業績見通しもがぜん明るくなった。株価の人気ぶりがそれを反映している。
 輸出目標は今年三万台を考えついたが、それを三万五千台に修正した。輸出の主力は軽トラックや小型トラック。東南アジア、中近東、アフリカ、豪州などが中心で、乗用車の対米輸出とは趣を異にするが、トヨタ出身の山本正男会長が輸出を経営戦略の自ら陣頭指揮で新市場を開拓した地道な努力がようやくみのってきた。輸出国も五〇か国近くに達し、落穂拾い的な輸出戦略はなかなか味合いがある。
 また五月に発売した軽商用車「ハイゼット550」「フェローMAX550」の両シリーズは、新開発の五五〇cc級エンジンを積載した五十年度排ガス対策車であるが、燃費が安く、走行性能にもすぐれ、発売早々から人気を集めている。
 このため六月の販売台数は一万二八九八台と大きく伸び、鈴木にかわってトップシェアを占めた。輸出競争力もあるとみてこんごに期待をかけている。すでに受注残も一か月分以上を超え、生産に追われているため、とりあえず季節工四〇〇人を採用することになった。すべてに慎重な同社にしては思い切ったことで、軽“拡大車”の好調を如実に物語っている。
 山本会長、大原栄社長らトヨタ出身者が経営の中枢にすわり、徹底的合理化を追求するトヨタ方式で改革が進んでいる。
 今五十一年六月期の業績は、売上高一五五〇億円と前年にくらべ一〇%強増収となり、経常利益は三七億円と五〇%弱大幅に増加する見通しである。
 これはやむをえないところでその分を輸出と軽“拡大車”でカバーしていく必要がある。輸出好調とはいっても、まだまだ輸出比率は一〇%に達せず、近い将来二〇%ていどまで引き上げたいところ。
 無公害車として注目されている電気自動車の開発にはかねがね力を入れており、まだ業績に寄与するところまできていないが、将来の夢をはらんでいる。


とのことで、この時点で既に子会社も同然であって、親会社が子会社に有利な動きをしていても全然不思議ではないように思います。

コメントへの返答
2022年8月24日 22:13
こんばんは。
コメントありがとうございます。
またまた貴重な情報も頂き、有難いです。

新規格軽、やはりフルスペック対応車に人気が集まるのは、当然でしょうね。
スバル、スズキにとっては暫定車でも、ユーザーにとっては長く使う恒久車ですから。
近い将来フルスペック仕様が誕生して旧型になりそうなクルマには、やはり手を出さないと思います。

51年規制には、ダイハツの目論見も反映されていたんでしょうね。
結果、自社の販売も好調な上に、2スト開発に重きを置いていたスズキに、暫く4ストエンジンも供給出来たのですから。

この550cc新規格対応、各社のアプローチが様々で、調べて見ると新発見がありそうです。
2022年8月24日 20:59
ごめんなさい。追記です。

トヨタ自動車販売(株)『世界への歩み : トヨタ自販30年史. 資料編』(1980.12)によると、1976年時点でダイハツ工業会長の山本正男氏は、1973年12月に「ダイハツ工業社長にトヨタ自工・山本正男副社長就任」とあります。
https://shashi.shibusawa.or.jp/details_nenpyo.php?sid=6700&query=&class=&d=all&page=133

現役副社長を社長として迎えたのですから、1973年にはトヨタグループ入りしていたと思われます。
コメントへの返答
2022年8月24日 22:26
こんばんは。
コメントありがとうございます。

トヨタとダイハツの関係は、1967年の業務提携からでした。
(すみません、いきなり資本提携ではありませんでした)
その結果が、1969年のパブリカとコンソルテですね。

あと前コメントの訂正です。
ダイハツは最初からフルスペック系ではありませんでした。
他社とは逆で、エンジンが550ccの旧規格ボディ+大型バンパーでした。
2022年8月24日 21:05
こんばんは。

スズキの暫定排気量は下記の2種です。
何れも360ccの(2stの)生産設備を最大限利用した結果だと思われます。
 1.2st 3気筒のLC10(360cc)をボアアップしたT4A(443cc)
 2.2st 2気筒のL50(360CC)を3気筒化したT5A(539cc)
https://www.suzuki.co.jp/suzuki_digital_library/7_engine/2-3.html

生産設備の制約って結構ありますよね。
車両工場の高さ制約が生んだ初代オデッセイ。
CVTへの投資をした日本勢はCVTを作り続けるしか無いし、MTの設備活用でDCTを作る欧州勢もMT/DCTを作り続けるしか無い。

今後の脱炭素化に於いても、暫定的な仕様が各車から色々出てくるでしょうね。
後の人も、『何で脱炭素化の時に〇〇なんて仕様を挟んだんだろう』と興味を持って調べてくれるかもしれません。
コメントへの返答
2022年8月24日 22:40
こんばんは。
情報ありがとうございます。

スズキも同様ですか。
その後の開発も凄いですね。
元々は4スト化で低下したパワーを補う為の550cc化を、2ストのままで53年規制突破。
2連酸化触媒と2次エアでクリア出来たなんて驚きです。
もしかして2ストは燃焼温度が低く、NOxはあまり考えなくて良かったのでしょうか。

今回調べて見て、三元触媒誕生以前の排ガス規制は、各社の独自性が出ていて、非常に興味深いです。
2022年8月24日 21:39
今晩は。

REXの歴史。想い出辿りながら、懐かしく拝読しました。
全国津々浦々、どちらに伺ってもREX走り回っていました。

掲載されているカタログ。車のカラー、濃い茶色は趣深いですね。

時は流れ80年代も中頃でしょうか。ECVTにスーパーチャージャーが搭載されたモデルの御登場。ミニカダンガンやアルトワークスと合わせ、華々しい時代でした。

その後登場したプレオ。250cc4気筒エンジンの様な走り心地でした。マイルドチャージ、エンジニアさん中々の知恵者だと感動した昔、想い出しました。

コメントへの返答
2022年8月24日 22:51
こんばんは。
コメントありがとうございます。

アルト、ミラに比べると少数でしたが、販売期間が長かった故か、街中で結構走っていた印象があります。

焦げ茶色の550、カタログにも使われてテーマカラーだったせいか、よく見かけました。
あと初代モデル末期に登場した、当時のボンバンブーム対応のファミリーレックスの黄色。
確かプラモデルもあったので、これも印象に残っています。

スバルの軽、やはり独自性が強いですね。
他社はターボなのに、スーパーチャージャー。
他社は3気筒なのに、それを飛び越し4気筒。
先日ネットで見つけた元スバル技術本部長のインタビューに関連する話があったので、いずれブログ化したいと思います。

なぜ普通車は水平対向なのに、軽は違うんだろう?
それについても記事がありました。
一番はコストなんですが、それ以外でも興味深い話がありましたよ。
2022年8月25日 12:38
こんにちは
難しいことはよくわかりませんが、たくろうのCMソングがあまりに印象的でしたが、当時のレオーネ同様かっこわり~(失礼!スポーツカー好きの子供でしたからね)車としか思ってませんでした。が、後年先輩がセカンドカーとして360のレックス貰ってきて乗ってました。最初の愛車がR2だったこともあって、覚えていた乗り味とRRの面白みが継承されてたという印象でした。なんか今見るとかっこいいな~。探してしまいそう。
コメントへの返答
2022年8月25日 12:53
こんにちは。
コメントありがとうございます。

拓郎さんのCM、Youtubeで見ました。
リアルタイムで記憶があるのは、550cc以降かもしれません。

私がイメージするスバルって、70~80年代です。
このレックスと初代レオーネ。

それ以前の1000とかR-2(初期のグリルレス)は、派手さはないですが洗練されていると思います。
なんだかヨーロッパ車的で。
初代レガシィもデザイン、パワーユニット共に違う次元に飛んだ感じです。
その谷間の70~80年代スバル車オーナーが「スバリスト」なのかなと思っています。

レックスってイマイチあか抜けていない所が、なんだか良いですよね。
不器用だけど真面目さが伝わってきます。

プロフィール

「@中島乗り さん 片山さんって、渡米前から有名人だったんですね。」
何シテル?   08/21 21:22
クルマ、バイク、自転車と、自分でコントロール出来る乗り物が好きです。 それも日本製が好きです。 (自分で買えそうもないものには、興味が持てなくて) ...

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