マークⅡワゴンの後期AT仕様には純正OPで機械式LSDがありますが、あまり需要が無いので情報が少ないですね。ほとんど売られていませんし、売っててもお安い感じです。60系セリカ、70系スープラの7.5インチにも使われているデフ玉ですが、1980年代初頭のクルマですのでネットにも詳しい情報がありません。
機械式2ピニの情報があるとしたらAE86系ですが、この時代にあえて2ピニを入れてる人は、雨が降ると乗らないような盆栽派なので、あまり実用的な話が出て来ません。大きなハチロクとも呼ばれるぐらい足回りの構造が似ているマーク2ワゴンですが、2ピニ機械式デフ内部のプレート類も型番は共通だったりします。
マークⅡワゴン・バンのデフも後期のATは7.5インチ、MTは7.1インチと異なり、ほとんどの人はATのホーシングに交換してアルテッツアの7.5インチトルセンLSDを入れているかと思います。最近はそうでもないですが、ATホーシングごと販売の需要が高かったので、自分でOHするからキャリア付きでデフ玉を売ってくれと言うとホーシング代も請求される感じでした。
ともあれ、こまめなオイルメンテも不要ですし、純正OP用のサイドベアリング交換だけでポン付けできるので、アルテッツアのトルセンがデフ載せ替えの主流になっています。
で、2ピニはなんで不人気なのかと言うと、単純にデフがあまり効かないからに尽きます。
4ピニ機械式のようなトルクに感応してピニオンがクラッチ板を押してデフをロックする仕組みや、ヘリカルギアの押し出しを使ったトルクセンサーの仕組みとは違って、トルクに感応しない構造のデフなのです。多少は感応しますが誤差の範囲だと理解しています。
2ピニオン機械式は、イニシャルトルクが10㎏だとすると、いくらアクセルをドッカンと入れても10㎏のまま。整備書通りにセッティングすればバキバキなんて鳴りません。というか、クラッチ板を押し付けるコイルスプリング4本のイニシャルトルクが10㎏です。もちろんクラッチを挟み込むスラストワッシャ―の厚みでイニシャルの変更もできますが、構造を考えるとあっという間に摩耗してしまうのも分かるかと思います。
つまり機械式2ピニオンは
「ジワジワとアクセルを踏んで雪道やぬかるみでスタックしないためのデフ」であって、ガバッとアクセルを入れてアスファルトにタイヤ痕を残す使い方にはまったく向いてないわけです。
一昨年に引っ越したのですが、自宅の前が坂道で、車を車庫にバックで入れると、車を出すときにリアが片輪浮いてしまってスタックするということに気付きました。気づいたのは引っ越しの時(笑)。引っ越し屋に預けられない精密機器機材をレンタカーのハイエースで運んでいたのですが、空荷にしたら車庫からまったく出せなくなってしまい、初めてトラップに気づきました。あたりに漂うタイヤの焼ける臭いと、何だなんだと出てくるご近所さんの目には、汗だくで焦る俺の姿が。
軽くパーキングブレーキを踏んで脱出しようとしたものの、よりによって空転する側のパーキングブレーキの引き代の調整不良なのか、パーキングを引いても空転してしまいます。
こうなったら巻き込んでしまえと、初対面のご近所さんと通行人を4人捕まえて荷台最後部に乗ってもらい、白煙を上げつつようやく脱出できました。
マーク2ワゴンの場合はリアショックが短かすぎて接地しないというのが原因なのですが、セッティングもこなれて今さら変える気も起きないので、デフを入れ替えようかなと思って調べたのが今回のお話。オープンデフやトルセンデフだと片輪が浮いてしまうとどうにもならないので、これは機械式かな、というところで、そういや純正OPにLSDあったよね、と調べてみたところです。
※追記
アメリカでは、この純正2ピニオンデフのAE86用、セリカスープラ用強化キットが売られています。強化バネでイニシャル13.8kgfにする強化デフキットから、さらに板バネを加えて34.5kgfにするセット、デフロックキットまで3種類出ていました。
Posted at 2021/06/16 13:11:15 | |
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