
クラッチラインの途中にある、ダンパーというか、ピークトルクリミッタというか、そういったものを取り払って、直結化するただのパイプの部品を取り付けました。
結果的には、「フツーのMTのクラッチフィール」になります。
このピークトルクリミッタなるもの、部品の内部構造的にはスプリングで動く、オリフィスポートになっていて、クラッチを切る動作については、なんらためらいなく切る動作をしてくれるのだが、
繋げる際には、一気につながらず、クラッチフルードが小さい孔をすり抜けながら次第につながるようになっている。いわば、自動半クラ装置といっても良い機能である。
よって、「ここでつなげよっ」とすっと左足をクラッチペダルから放してもすぐにはクラッチがつながらず、
クラッチがやや遅れてじわっとつながるようになっている。
それゆえ、「つながるポイントがよくわからない」、「毎回つながる位置が違う気がする」、という感想を抱く人がかなりいる。
それは、感想というより、事実なんだなたぶん。
僕も、10年ぶりのマニュアルで「クラッチ操作が下手になった。」と思っていたけど、やっぱ何かがおかしい。
やはり、ダンパー(ピークトルクリミッタ)を取り去ってからは、クラッチの操作に曖昧な部分や、タイムラグがなくなり、いわゆる普通のクラッチになった。
一方で、曖昧さがなくなったので、回転数があってないクラッチミートをすると、もろにシフトショックが来るのも事実で、ラフな操作や、操作ミスで過負荷をミッションに与えないためには必要なパーツであるのも事実だ。特にS660にあっては、ターボで低回転からかなり強いトルクが発生している。
車マニアだけでなく、若い世代にもスポーツカーS660を楽しんでもらうという趣旨としては、
図らずしも、誤操作等でミッションを痛めるようなことにならないようにしておこうという、
作り手側の親切心なのだろうか。
クラッチダンパーのレイアウトも、なぜか、クラッチフルードラインをだいぶエンジンルーム下部に引き込む形で、盲腸のように存在している。
これは、樹脂パーツで構成されるダンバーを熱から守るためなのか、それとも、部品を取り去りたい人には簡単に取り外してしまえるようにという配慮なのか、その両方なのか。
真相は僕にはわからないが、クラッチペダルからのレスポンスを大事にしたい人は、撤去を検討するのが良いのかなと。
僕は購入したディーラーで、ブレーキホースの交換と同時にやってもらったが、サービスの人も「かなりタッチが変わるので、注意してください。」と一言いってから、引き渡しするほど、クラッチフィールは変わる。
時々運転する妻も「こっち(ダンパーなし)の方が、半クラがわかりやすい」といっているので、古臭いMT乗り世代には、ダンパーレスのほうが普通なのかもしれない。
一方で、クラッチ操作になるべく無頓着でいたい人は、ダンパーを撤去すべきではないでしょう。
ダンパーがあるおかげで、そこそこ無遠慮にシフトダウンしても、それほどシフトショックがないのだけれど、ダンパーを撤去してしまうと、自分で半クラを意識してシフトダウンするか、エンジン回転数を合わせるアクセル操作をしてあげないと、車体がぎくしゃくしてしまう。
そういった、人間側と機械側の心地よい距離感というのは、人によって様々なので、
自分の好みで考えたらよいのかなという部品でもある。
そういえば、取り外したダンパーを、ディーラーさん、どうしたのかな。返してもらっていないし、どうするかを聞かれてもいない。純正ブレーキホースとクラッチホースもそうだ。
まあ、いいか、もし純正に戻すことがあっても、いったん取り外した部品に組み戻すのは、気色悪いから、たぶん、新品に更新するだろうし。
20240102追記
数年前に、クラッチダンパーは、ミッショントラブル発生時に、新品純正品に戻しました。
スポーツ走行やサーキット走行をする方、エンジンパワーを上げている人は、クラッチダンパーを撤去しない方が良いと考えてます。
クラッチダンパーが備わっている理由は簡潔に言うと、「ミッション側の強度が足りない」からです。
s660のミッションの基本設計は、軽トラアクティ用5MTミッションの流用です。これをベースに、
1. 5MT→6MT化やシンクロ機構改変により各部のクリアランスはギリギリに
2. ミッションへのエンジンからの入力トルクは660ccNAエンジン→低速トルク重視ターボ化により、入力最大トルクはほぼ倍増、しかもトルクピークは高回転時ではなく、日常走行時でも利用する中回転時である
という状況なので、クラッチのラフ操作による過大なトルク入力がなされると、ミッションが壊れる可能性がかなり高い、余裕のない設計です。この辺の話は、ホンダさんが公開している、S660用ミッションの開発設計課題に関する論文に関連情報がありますので、気になる人はチェックしてみてください。
という訳で、クラッチダンパーはミッションを守るために必要な部品として、備わっています。
クラッチ操作に絶対的な自信がある人以外は撤去しない方がよいと考えてます。
僕は慌てるとラフ操作になりがちなので、クラッチダンパーを戻しました。なので、やや安心してシフトミスやクラッチミートミスできます。
シフトミスに際しても、ダンパーレスよりも、ダンパーが備わっている時の方が、エンジン回転数の急上昇急下降速度がマイルドになるので、
クラッチ踏み直しでのエンジン保護が間に合ったり、
エンジン側の負荷がマイルドになるメリットもあります。
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2017/07/25 09:47:57