鉄道や水路のように道路と比べて緩い勾配の変化率を表す単位に
「パーミル(‰)」というものがあります。
「パーセント(%)」が「百分率(100m 毎に何m 変化するか)」であるのに対して
「パーミル(‰)」とは「千分率(1,000m 毎に何m 変化するか)」です。
道路では 5% 上り勾配などザラにありますが
鉄のレール上を鉄の車輪で走る鉄道は摩擦係数が低く勾配に弱いので
一般的な鉄道線路の勾配は 30‰(3%)程度が限界です。
ですから鉄道廃線跡を活用した「南島原自転車道」のような自転車専用道は
「勾配が極めて緩い」(にわか)サイクリストにとっては理想的な道路といえます。

↑ 北から2番目の開通区間のはじまりの絶景ポイント!
北側に眉山(右)と平成新山(左)を望む
南島原自転車道で最大かつ最長の勾配は現在開通区間北端の「水無川橋梁」南から
5km 南の「旧・布津新田駅跡」北側にかけての 10‰(1%)勾配です。
南下するライドでは緩い下り坂,北上するなら緩い上り坂ですが
変速機の無いママチャリでも余裕で走れます!
電動アシスト自転車なら物足りなく思う位のフラットコース。
全区間が開通した暁には多くの観光客を呼ぶことが期待できます。

↑ 北から二番目の開通区間の中程,旧・蒲河(かまが)駅跡の東あたりから
南側を見遣ると天草の湯島と上天草島が正面に見えます
往路(4/20)と復路(4/21)両日とも幸い好天に恵まれ気温も上昇したので
半袖で走っていたら日焼けで両腕が真っ赤っ赤!
4月なのに日差しの強さはもう初夏のものです。日焼け止め必携!
島原半島の外周をグルリと一周する国道251と付かず離れず寄り添いながら
島原鉄道の南目(みなみんめ)線廃線跡あらため「南島原自転車道」は
往年の列車よろしく自転車でのんびり,オーシャンビュースポットでは
気の向くまま立ち止まってはまた走る,
そんな緩いお気楽ライドにうってつけのコースです。

↑ 現在北から2番目の開通区間の終わり(南)近く,
旧・有家(ありえ)駅跡,路面には 100m 毎に
自転車道の南側起点である旧・加津佐(かづさ)駅跡からの距離が
ペイントされています
青い空の下,一点透視法の構図で撮影すると気分はキリコ
自転車道の路面には 100m 毎に南の起点である旧・加津佐(かづさ)駅跡からの
距離がペイントされています。
鉄道時代には線路脇に「キロポスト(里程標)」が立っていましたが
路面ペイントの方が安上がりなのでしょう。
昨年5月には見られなかったのでつい最近描かれたもののようです。

↑ 現在北から4番目の開通区間と5番目の開通区間との間
未開通区間にある旧・北有馬駅跡,
遅くとも来年までには開通してほしい!
さきに触れたように「南島原自転車道」は国道251と付かず離れず走っているので
数km毎にコンビニがあり,自転車道と一般道との交差点の要所要所に
近所のコンビニの案内が掲示されているので食事・トイレの心配はありません。
北から6番目の開通区間は世界遺産「原城跡」のすぐ西側を通過しており
現在「世界遺産原城跡ビジターセンター」建設工事のため
この区間の開通が遅れています。
2018年の世界遺産登録から時間が経過するにつれ「原城跡」への観光客は減り続け
おまけに「南島原自転車道」建設工事費が当初見積もりの1.4倍に膨らみ
厳しい財政を強いられる南島原市では新たな箱モノ建設に批判的な声も
少なくないようですが,完成後の活用法を希望的観測に終わらせず
活用実績評価を徹底して事業を黒字化させていただきたいものです。
広島県呉市と愛媛県今治市を結ぶ「しまなみ海道」は既にサイクリングの聖地
として国内外からの評価が固まり多くの来訪者を呼び寄せています。
長崎市(空港)や諫早市(JR)からは島原鉄道輪行で
熊本からはフェリーで,アクセスを支援する旅行商品を創出して
せっかく整備した資産をもっと積極的に活用すべきでしょう。

↑ 北から7番目となる開通区間の旧・有馬吉川駅跡の南 800m にある
ビュースポット,南南西に天草下島の鬼池港を望む
鬼池港には島原半島南端の口之津港からフェリーが就航
自転車道の南端近く,南島原市口之津町から終点の加津佐町にかけての区間は
全区間の中で最も早く開通した区間なのですがその後の延伸が滞っており
特に有馬吉川駅跡と東大屋駅跡との間にある「宮崎鼻トンネル(272m)」を含む
前後区間はトンネル内の補強工事に予算をとられて整備が遅れ気味です。
鉄道の廃線から18年,それまでは短い間隔で定期的な点検が行われていたのが
廃線後は全く放置されてきたので入念な点検を施して頂きたいところです。
自転車道開通後は「南島原市道」として全区域で定期的な点検・補修・除草が
実施されます。今回のライド中も数カ所で除草作業が行われていました。

↑ 終点:加津佐駅跡の 400m 手前から北西を望む
右手前は女島山,左奥は岩戸山
18年前まではここを列車が走っていたという感傷に浸るもよし
白砂青松の古典的風景美を愛でるもよし
この日の午前中に島原港を出発してから4時間ほどで 38km を走破し
(島原港~水無川橋梁南を含めた自転車道が全区間開通すれば 35.1km)
終点の加津佐に辿り着きました。
ここが観光客で溢れ返る光景はちょっと想像できませんが(笑)
南島原の美しく穏やかな風景と人情に癒される旅人が
じわじわ増えて地元経済の活性化に寄与することを願うばかりです。